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養老保険の受取人を最適に選択しよう

この記事で解決できるお悩み
  • 養老保険の受取人をどのように設定すればよいかわからない
  • 受取人設定の重要性がわからない
  • 養老保険の受取人に変更が必要な状況を把握したい

養老保険を選ぶ際、保険金の受取人設定は重要である。

なぜなら、経済的保護を必要とする可能性のある家族や最も信頼できる人物を指定でき、養老保険の利益を最大限に活用できるからだ。

この記事では、養老保険の受取人の選択方法を詳細に解説し、その重要性やより利益を高める方法を提示している。また、受取人の変更が必要となる可能性のあるシチュエーションも考察した。

適切な選択で養老保険を最大限に活用し、家族の経済的安定を目指そう。

目次

養老保険の受取人とは何か

養老保険の受取人とは何か 生命保険ナビ

養老保険は「死亡時」と「満期時」にお金が受け取れる保険だ。

養老保険の契約には以下3つの名義を指定しなければならない。

名義役割
契約者保険会社と契約を結ぶ方

契約内容を変更する権利や保険料の支払い義務がある
被保険者養老保険がかけられている方
被保険者が死亡・​所定の病気が保険金の支払い対象となる

また満期まで保険金を受け取らない場合は、満期保険金が支払われる
受取人死亡保険金や満期保険金を受け取る方

ここでは受取人に関して以下の3つを解説する。

  • 保険金受取人の役割とは
  • 受取人設定の重要性
  • 受取人の分類とその特徴

養老保険の保険金受取人の役割とは

保険金受取人は、文字通り保険金を受け取る方のことを言う。

受取人の役割は、保険会社に対して保険給付の請求をすることだ。保険金を受け取れる状態にあっても、請求しないと保険金は受け取れない。

保険金には支払い期限があるため、受け取り申請を放置していると要件を満たしていても保険金が受け取れなくなる。

保険法第95条によると「保険給付を請求する権利は、行使できるときから3年間行使しないと時効によって消滅する」と定められている。

ただし保険会社の約款や対応によっては、3年を超えても保険金を請求できるケースもある。詳しくは保険会社に確認してほしい。

請求漏れが発生すると、受け取れたはずの保険金が受け取れなくなってしまう。

保険給付を請求できる権利があると分かったら、すぐに保険会社に保険金の給付請求をしよう。

養老保険の受取人設定の重要性

受け取りの人の設定によって、支払うべき税金の種類が変わるため、税金対策をしたい方は慎重に受取人を設定する必要がある。

下記の表は、夫・妻・子の3人家族を例に、死亡保険金を受け取った際の税金の種類について示している。

契約者被保険者受取人税金の種類
所得税(一時所得)
住民税
相続税
贈与税

税金の種類は、保険契約者・被保険者・受取人の関係によって変わる。

また税金の種類によって、税率や控除額が大きく変わるため、税金の支払額は大きく変動する。

参考までに相続税と贈与税の税率の違いについて確認しよう。

相続税

死亡保険金をはじめとした「みなし相続財産」の相続税は、非課税限度額(500万円×法定相続人)を超えた部分に10%〜55%の税率が課せられる。

非課税限度額を超えた課税価格税率控除額
1,000万円以下10%
3,000万円以下15%50万円
5,000万円以下20%200万円
1億円以下30%700万円
2億円以下40%1,700万円
3億円以下45%2,700万円
6億円以下50%4,200万円
6億円超55%7,200万円
参考:国税庁「No.4155 相続税の税率」

仮に法定相続人が1人で、3,500万円の死亡保険金を受け取った場合の相続税の計算式は以下のようになる。

※相続財産は死亡保険金3,500万円のみとする。

3,500万円-非課税限度額(500万円×1人)×税率15%-控除額50万円=相続税額400万円

贈与税

贈与税は基礎控除額(110万円)を超えた部分に税率をかけて求める。

税率は贈与者によって異なり、一般税率と特例税率がある。

この記事では、父母や祖父母の直系尊属から18歳以上の子や孫へ贈与した場合に用いられる「特例税率」について記載する。

基礎控除後の課税価格税率控除額
200万円以下10%
400万円以下15%10万円
600万円以下20%30万円
1,000万円以下30%90万円
1,500万円以下40%190万円
3,000万円以下45%265万円
4,500万円以下50%415万円
4,500万円超55%640万円
参考:国税庁「No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)」

相続税の計算と同様に、3,500万円の死亡保険金を受け取った場合の贈与税の計算式を示す。

※保険金を贈与した年の贈与財産は死亡保険金3,500万円のみとする。

3,500万円-基礎控除額110万円×税率50%-控除額415万円=贈与税額1,280万円

同じ3,500万円の死亡保険金でも課せられる税金が違うと、(880万円-400万円)の差が出てくる。

保険金の額がより大きくなれば、さらに税額の差は大きくなる。

契約者・被保険者・受取人を誰に設定するかによって税金の種類が変わり、納めるべき税金の額が大きく変動する。

多額の保険金を受け取る予定の方や税負担を少しでも軽くしたい方は、税金の額のシミュレーションをしてから受取人を決めるべきだ。

養老保険の受取人の分類とその特徴

受取人は「死亡保険金受取人」と「満期保険金受取人」の2つに分類できる。

死亡保険金は被保険者が死亡した際に受け取れるお金だ。

一方で満期保険金は、被保険者が契約期間満了まで生存していると受け取れるお金だ(ただし高度障害保険金を受け取っていると、満期保険金は受け取れない)

死亡保険金の受取人に被保険者は設定できない。一方で満期保険金は被保険者も受取人になれる。

養老保険で適切な受取人を設定する方法

適切な受取人の設定 生命保険ナビ

ここでは適切な受取人を設定するため、以下の3つを解説する。

  • 適切な受取人の選択基準
  • 選択肢の検討
  • 状況変化に対応する受取人設定

養老保険の受取人を選ぶ基準

そもそも養老保険の受取人に設定できる方は、原則として被保険者を基準にして「配偶者」または「2親等以内の血族」と決まっている。

2親等以内の血族は以下の表を参考にしてほしい。

両親1親等
1親等
祖父母2親等
兄弟姉妹2親等
2親等
参考:日本年金機構「2親等以内の親族の範囲」

上記以外にも一定の条件を満たしていると、婚姻関係がない内縁の妻を指定できるケースもあるため、詳しくは保険会社に確認してほしい。

受取人の選択基準は以下のように目的によって決まる。

  • 相続税対策をしたい
  • 子にお金を残してあげたい
  • お世話になった妻に恩返しがしたい

相続税対策が目的なのであれば、保険金と税金の種類ごとの税額を計算して、最も税負担が少ない方を受取人にすると良い。

子供や配偶者など特定の方にお金を残したいのであれば、その方を受取人にするべきだ。

そのため適切な受取人を選択するためには、何を目的にするか明確にすることが大切だ。

親族以外の養老保険の受取人の選択肢

生命保険信託を利用すると受取人を先述した配偶者と2親等以内の血族以外に、信託銀行と慈善団体も設定できる。

受取人を信託銀行にするメリットは、保険金の渡し方を柔軟に選択できることだ。基本的に会社に保険金を請求すると、一括で口座に振り込まれる。

そのため大金の扱い方に慣れていない方が受け取ると、契約者の意図していない形でお金を使われてしまうリスクがある。

受取人が信託銀行のケースだと、以下のような方法で家族にお金を渡すことができる。

  • 毎月10万円ずつ口座に振り込む
  • 子供が18歳になったらお金を振り込む
  • 配偶者が定年になったら毎月10万円ずつお金を振り込む

上記のように契約者の希望に沿う形で、家族に対してお金を渡せることが信託銀行を受取人に設定する魅力だ。

また保険商品によっては主契約または特約で直接、慈善団体に寄付することもできる。

ただし保険によっては、寄付先の慈善団体が指定されているケースもあり、自由に慈善団体を選べない場合がある。

保険金を慈善団体に寄付したい方は、保険会社や営業担当者に慈善団体へ寄付できる保険商品と寄付先を確認してほしい。

状況変化に対応する養老保険の受取人設定

結婚や離婚、死別などが原因で現在の状況が変化した場合は、早急に受取人を変える必要がある。

特に現在、配偶者を受取人している方が離婚した場合は、新しい受取人を契約者本人(但し、前述のとおり死亡保険金については被保険者を受取人とすることはできない)や子、両親に変えるべきだ。

なぜなら離婚しても受取人が配偶者のままだと、保険金を配偶者が受け取ることになり、本来渡したい方にお金を渡せなくなってしまうからだ。

そのような不本意な状況を避けるためには、ライフステージの変化に応じた適切な受取人の設定が必要となる。

養老保険の受取人を変更するなら

受取人の変更における手続きとタイミング 生命保険ナビ

ここでは受取人変更における手続きタイミングについて解説する。

養老保険の受取人を変更する理由

養老保険は10年以上の長期にわたる契約になるケースが多い。時間が経つと契約時の状況から大きく変わり、以下のような理由で受取人を変えたいと考える方もいるだろう。

  • 結婚・離婚・出産といったライフステージの変化
  • 受取人の死亡
  • 受取人との関係の変化
  • 相続・資金計画の見直し

受取人の変更を希望する場合は、速やかに手続きを行わないと、契約者の意図しない方にお金が渡ってしまう。

受取人を変えたい場合は早急に手続きを進めよう。

養老保険の受取人変更の手続き

養老保険の受取人の変更をしたい場合は保険会社や営業担当者に連絡し、手続き書類の送付をお願いしよう。

必要事項を記入し、必要書類と一緒に返送すれば変更手続きが完了する。

またかんぽ生命をはじめとした保険会社では、インターネット上で手続きが行える場合もある。

「Web上で素早く済ませたい方」や「書類を書くのが面倒な方」は、契約している保険会社のホームページを確認し、インターネット上で手続きができるのか確認してほしい。

ただし被保険者の同意が必要となるケースもある。例えば、契約者が夫で被保険者が妻といったケースでは、妻の同意が必要となる。

また各社によって必要書類は異なるため、詳しくは保険会社や担当者に確認してほしい。

養老保険の受取人変更の最適なタイミング

受取人を変更する最適なタイミングは、変更の必要性が生じたときだ。

保険金は誰が受け取るかによって、課せられる税金の種類が変わる。税金の種類が変われば納めなければならない税額も大きく異なる。

先述した相続税と贈与税の例では、納めるべき税金が800万円も変わってくる。受取人の変更手続きを怠ってしまうと場合によっては、数百万円以上も多く税金を納めることになりかねない。

また受取人変更の手続きを行わないと、契約者が望まない方に保険金が支払われる可能性が高まる。

課せられる税金を少なくしたい方や、適切な人物にお金を受け取って欲しい方は、受取人の変更手続きの必要性が生じたらすぐに手続きを行うべきだ。

以下のような設定で、離婚した場合の受取人について考えてみよう。

  • 契約者:夫
  • 被保険者:夫
  • 受取人:妻

離婚後も受取人の変更手続きを行っていない場合、夫に万が一のことがあっても保険金の受取人は(離婚前の)妻になる。

そのため、本来お金を渡したかった子や両親が受取人になれない。

受取人の変更は、必要性の生じたときが最適なタイミングだ。手続きを忘れていたり、先延ばしにしたりしてしまうと、本来受け取って欲しかった人にお金を渡せなくなってしまう。

特に結婚・離婚・出産などライフステージの変化が起きた場合は、速やかに受取人の変更手続きを行うことをおすすめする。

養老保険の受取人を適切に選択しよう

まとめ 生命保険ナビ

養老保険の受取人設定は、商品の持つ価値を最大限に引き出すポイントの一つである。

適切な受取人選択を通じ、経済的な安定性を提供しながら自分の意志を反映させることができる。

しかし、受取人設定や変更の手続きは、プロフェッショナルのアドバイスなしでは難しいものとなり得る。

そのため、あなたの状況に最適なプランを選び、必要な調整を行うためには専門家の助けが必要となるだろう。

「生命保険ナビ」は、全国の保険のプロの中からあなたの条件や意向に合った担当者が選べるサービスだ。

「生命保険ナビ」で専門家の比較検討を行うことにより、より適切な選択をすることができる。

詳細は「生命保険ナビ」のページにアクセスしてみよう。

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執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。お客様と保険のプロを結ぶマッチングサイト「生命保険ナビ」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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