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【法人向け生命保険】メリットと損金算入ルールをわかりやすく解説

この記事で解決できるお悩み
  • 法人向け生命保険に加入するメリットが知りたい
  • 法人向け生命保険の損金算入のルールがわからない
  • 法人向け生命保険を導入する際の注意点を理解したい

法人が生命保険を導入することには多くのメリットがあるが、その中でも「損金算入」は非常に重要な要素である。

しかし、近年損金算入の規定が変更されたこともあり、その詳細な内容を正しく理解していないという方も多いのではないだろうか。

この記事では、法人向け生命保険に加入するメリットや、損金算入のルールについて詳しく解説する。

読み進めることで、法人向け生命保険がもたらすメリットと具体的な損金算入方法への理解が深まるだろう。

目次

【損金算入できる?】法人向け生命保険の特徴とメリット

法人向け生命保険の特徴とメリット 生命保険ナビ

個人が万が一のリスクに備えて加入するイメージが強い生命保険だが、法人が契約者となって加入するケースもある。

事業を行っていく上で想定されるあらゆるリスクに備えることができ、さまざまなメリットが得られる。

ここでは、法人向けの生命保険の概要や種類、メリットについて解説していく。

まずは法人向け生命保険に関する基本的な内容を押さえていこう。

法人向け生命保険の概要

法人向け生命保険とは、契約者の名義を法人に設定する生命保険のことである。

被保険者は保険加入の目的によって異なるが、経営者・役員・従業員のいずれかに設定するケースが多い。

法人向け生命保険は、事業を行っていく上で想定されるリスクや将来の資金需要に備えるという目的がある。

被保険者が死亡したときに受け取れる「死亡保険金」や、途中で解約したときに受け取れる「解約返戻金」などを使い、まとまった資金を準備するという仕組みだ。

法人向け生命保険の主な加入目的は以下の通りである。

  • 経営者の万が一に備えた事業保障
  • 経営者・役員等の退職金準備
  • 事業承継対策
  • 従業員に対する福利厚生

上記のような資金の準備を検討中であれば、法人向け生命保険への加入を視野に入れておくと良いだろう。

法人向け生命保険の種類とその特徴

法人向け生命保険にはさまざまな種類があり、それぞれ特徴も異なる。

自社に合った商品を選ぶためにも、各種類の特徴の理解を深めておくことが重要だ。

法人向け生命保険の種類と特徴は以下の表の通りである。

種類特徴
逓増定期保険保険期間の経過とともに保険金額が増えていくタイプの生命保険。
5〜10年後に解約返戻金のピークが訪れるため、数年後の役員の退職金準備などに活用される。
長期平準定期保険一般的な定期保険と比べて、保険期間が長く設定されているタイプの生命保険。
満期を「100歳まで」などに設定できるため、長期間にわたる事業保障や10年以上先の退職金準備などに活用される。
終身保険被保険者が死亡するまで保障されるタイプの生命保険。
経営者が死亡したときの事業保障や会社を引き継ぐ際の資金などに活用される。
養老保険保険期間中に死亡すると死亡保険金、生存したまま満期を迎えると満期保険金が支払われるタイプの生命保険。
役員や従業員の死亡退職金・勇退退職金を準備する際に活用される。
収入保障保険被保険者が死亡・高度障害状態となった場合に一時金または年金で保険金を受け取れるタイプの保険。
経営者が死亡した場合の事業保障などに活用される。
第三分野の保険
医療保険・がん保険)
被保険者がケガや病気、がんで入院・手術をした場合に保険金が支払われるタイプの保険。
従業員への福利厚生や経営者・役員が不在となったときの事業保障などに活用される。

上記のようにさまざまな種類があるため、特徴を把握した上で自社に必要な商品を選択しよう。

法人向け生命保険を導入するメリット

法人向け生命保険は加入によってさまざまなメリットが得られるが、なかでも以下の3点が大きな魅力と言える。

  • 万が一の際の事業継続資金を用意できる
  • 事業承継対策に活用できる
  • 保険料の一部または全部を損金に算入できる

経営者が万が一死亡してしまった場合、取引先から契約を解除されたり、金融機関から追加融資を受けられなかったりするリスクがある。

法人保険で死亡保険金を受け取ることができれば当面の事業資金を確保できるため、急な経営難にも対処可能だ。

また、事業承継の際には多額の相続税が発生するケースもある。

法人保険で受け取れる死亡保険金を納税資金に充てられる点もメリットとして挙げられる。

そして支払う保険料を損金に算入できる点も大きな魅力だ。損金算入によって法人の所得を減らし、法人税の負担を軽減できる。

このように、法人向け生命保険には万が一の保障以外にもさまざまなメリットがある。

導入を検討しているのであれば、まずはメリットを正しく把握しておこう。

法人向け生命保険の損金算入ルール

法人向け生命保険の損金算入ルール 生命保険ナビ

前述の通り、法人向け生命保険で支払った保険料は一部または全部を損金に算入できる。

損金算入により課税所得が減るため、法人税等の負担軽減につなげられる点が魅力だ。

ここでは、損金算入についての基本知識や法人向け生命保険の損金算入ルールの内容、損金算入が可能な商品例を解説していく。

損金算入って何?基本知識をおさらい

損金とは、法人税法上における費用・経費などのことを指す。そして損金算入とは、事業を行う上でかかった費用を損金として扱うことを言う。

法人税を計算する際に重要な概念となるためしっかりと押さえておこう。

法人税は「益金(法人税法上の収益)−損金」で算出された課税所得に税率を掛けて算出される仕組みだ。

損金に算入できる費用が増えればその分課税所得は減り、法人税自体の負担も減らせる。

前述の通り、法人向け生命保険の保険料は一部または全部を損金に算入できる。

つまり法人向け生命保険に加入して保険料を支払うことで、法人税の負担軽減につながるということだ。

事業を行なっていく上では、できるだけ手元のキャッシュを確保しておくことが重要となる。

事業資金を残すためにも、損金算入の項目を増やして支払う税金の負担を軽減させよう。

なお、損金は法人税法上の概念であり、会計上の「費用」や「経費」とは異なっている。費用や経費がすべて損金として算入できるわけではないため注意が必要だ。

損金算入のルール

法人向け生命保険の損金算入ルールは保険の種類によって異なる。

加入を検討中の保険商品の損金算入ルールを確認しておこう。

まず、定期保険の損金算入ルールは以下の表の通りだ。

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ピーク時の解約返戻率損金算入ルール
50%以下全額を損金に算入
50%超〜70%以下
(被保険者1人あたりの年間保険料が30万円以下)
全額を損金に算入
50%超〜70%以下
(被保険者1人あたりの年間保険料が30万円超)
保険期間の当初40%の期間は支払い保険料の40%を資産、60%を損金算入

保険期間の40%以降は全額損金算入

75%を経過してからは当初資産に計上した保険料も均等に取り崩して損金算入
70%超〜85%以下保険期間の当初40%の期間は支払い保険料の60%を資産、40%を損金算入

保険期間の40%以降は全額損金算入

75%を経過してからは当初資産に計上した保険料も均等に取り崩して損金算入
85%超保険期間の当初10年間は「保険料×ピーク時の解約返戻率×90%」を資産計上、残りを損金に計上

11年目以降から返戻率がピークになるまでは「保険料×ピーク時の解約返戻率×70%」を資産計上、残りを損金算入

返戻率のピークから全額を損金に算入

上記の通り、定期保険の場合は商品の解約返戻率がピークになったときの割合に応じてルールが異なる。

次に、第三分野の保険(医療保険・がん保険)の損金算入ルールは以下の通りだ。

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保険料全期払いの場合定期保険と同様のルールで処理
保険料短期払いの場合(被保険者1人あたりの年間保険料が30万円以下)全額を損金に算入
保険料短期払いの場合(被保険者1人あたりの年間保険料が30万円超)「年間保険料×保険料払込期間÷保険期間(116歳−契約年齢)」で計算された金額を損金に算入、残りを資産に計上

保険料の払込期間が終了してからは被保険者が116歳になるまで支払い保険料を損金算入、資産に計上していた分を均等に取り崩して損金に算入

保険料の払込方法や年間保険料によって損金算入ルールが異なっているため注意が必要だ。

また、養老保険の損金算入ルールは以下の表の通りである。

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死亡保険金・満期保険金の受取人がどちらも法人の場合全額を資産に計上
死亡保険金・満期保険金の受取人がどちらも被保険者や遺族の場合全額を損金に算入
死亡保険金の受取人が遺族、満期保険金の受取人が法人の場合保険料の半分を資産、残り半分を損金に計上

損金算入ルールを理解した上で法人向け生命保険を上手く活用しよう。

損金算入が可能な法人向け生命保険の商品例

各保険会社で販売されている法人向け生命保険の多くが、保険料の一部または全部を損金に算入できる。

例えば、ソニー生命で販売されている以下の商品を契約すると、支払い保険料の損金算入が可能だ。

  • 長期平準定期保険
  • 低解約返戻金型平準定期保険
  • ニューエグゼクティブライフ平準定期保険
  • 変額保険
  • がん入院保険

もちろんほかの保険会社で販売されている商品でも、保険料を損金に算入することはできる。

保険に加入する前に損金算入が可能なのか確かめておくと良いだろう。

損金算入可能な法人向け生命保険導入の注意点

法人向け生命保険導入の注意点 生命保険ナビ

法人向け生命保険を自社に導入する際には、いくつか注意しておくべき点がある。

保険加入後のトラブルを避けるためにも、事前に注意点を確認しておくことが大切だ。

ここでは、商品を選ぶ際や更新時・解約時の注意点をそれぞれ解説していく。

保険を選ぶ際の注意点

法人向け生命保険を選んだり、加入したりするタイミングで注意すべき点は以下の3つだ。

  • 出口戦略を立てる
  • 保険料を無理なく支払える商品を選ぶ
  • 規程を定めておく

法人向け生命保険はさまざまな種類があり、商品によって備えるリスクも異なる。

「この保険を活用してどういった資金需要に備えたいのか」という点をきちんとイメージした上で、法人向け生命保険に加入しよう。

保険金や解約返戻金は受け取ったタイミングで課税対象となるため、何も考えずに受け取ると税金が課されてしまう。

将来受け取る保険金・解約返戻金をどのような使い方をするのか、出口戦略を練っておこう。

また、保険料の負担が無理のない範囲になっているかを考えることも重要だ。

万が一のリスクに備えて保険に加入しているはずが、かえって会社の財務状況を悪化させてしまうリスクがある。無理なく保険料を支払っていけるか、事前にシミュレーションしておこう。

そして、法人が受け取る保険金の使い道を定めた規程を作成しておくことをおすすめする。

税務調査などで問われたときに根拠として提示するためだ。

退職金の支払いや従業員への福利厚生のために法人向け生命保険を活用する場合は、あらかじめ規程を定めておこう。

更新時の注意点

法人向け生命保険に加入してからも注意すべき点はある。定期的に保険の内容を確認し、問題ないかチェックしておこう。

加入してからの注意点は以下の2つだ。

  • 保障内容の見直しをする
  • 関連する法律に改正等がないかチェックする

一度加入したからといって、法人向け生命保険をそのままにしておいて良いわけではない。

定期的に保障内容を見直し、過不足がないかを確かめておこう。

事業を継続していくと、会社を取り巻く環境の変化とともに想定されるリスクの内容も変わってくる。

保険加入当初の保障内容が過剰になったり、反対に不足してしまったりする可能性がある。

決算を迎えるタイミングなどで見直しておくと良いだろう。

また、損金の算入に関係する法律に変化がないかを確かめることも重要だ。

法改正によって損金算入の条件が厳しくなったり、損金算入自体ができなくなったりするリスクがある。

実際、損金算入ルールは2019年6月に変更されて現在の形となっている。

今後も変更となる可能性があるため、しっかりとニュース等をチェックしておくことが大切だ。

解約時の注意点

解約返戻金が必要となり、途中で保険を解約する際にも注意点がある。

以下のポイントを抑えておこう。

  • 保険金・解約返戻金は益金に算入される
  • 解約のタイミングを逃すと損をする可能性がある

法人向け生命保険では支払った保険料が損金算入できるため、法人税の負担が軽減される。

しかし、保険金や解約返戻金を受け取る際には益金に算入されて税金が発生するため、結局課税されることになる場合がある点に注意が必要だ。

対策法としては「保険金や解約返戻金を受け取るタイミングで同じ金額の支出をする」という方法がある。

受け取った保険金等による益金と支出による損金が相殺され、法人税の負担がかからずに済む。役員・従業員の退職金支給など、大きな支出が必要なタイミングに合わせて保険金・解約返戻金を受け取ろう。

また、法人向け生命保険の解約返戻率はピークを過ぎると下がっていくケースが多い。

解約のタイミングを逃すと受け取れる返戻金が減ってしまい、損をしてしまう可能性があるため注意が必要だ。

しかし、解約のタイミングを見極めたり、税金の負担増加を避けるための出口戦略を考えたりすることは容易ではない。

専門知識を持つ保険のプロに相談することをおすすめする。

「生命保険ナビ」では、希望の条件や相談内容にマッチした保険のプロを簡単に見つけることができる。

無料相談もできるので、ぜひこの機会に「生命保険ナビ」を利用して信頼できる専門家を探してみてはいかがだろうか。

最大のメリットである損金算入を考えて法人向け生命保険を検討しよう

まとめ 生命保険ナビ

本記事は、法人向け生命保険に焦点を当て、加入するメリットや選ぶうえでの注意点、お勧めの商品などを詳しく解説した。

法人向け生命保険は、特に損金算入による大きなメリットがある。

ただ、単にこれだけを求めて加入することは避けるべきだ。

あくまでも税負担の軽減効果は副次的なものと考え、基本的には万が一のリスクや将来の資金需要に備えるものとして活用しよう。

なお、本記事でも法人向け生命保険導入時の注意点について触れたが、何より重要なことは、数ある保険商品の中から、必要な保障内容を備えた保険を選ぶことだ。

また、状況に応じた見直しや解約も必要になる。そのため、これらの判断に少しでも疑問や不安があれば、保険のプロに相談することも積極的に検討してほしい。

専門的なアドバイスをもらうことで、必要な保険を的確に判断することができるはずだ。

また、全国の保険のプロから最適な担当者を探す際には「生命保険ナビ」の活用をおすすめする。

「生命保険ナビ」は、自身の条件に合った保険のプロを簡単に見つけることができるマッチングサービスである。

気になった担当者とは無料相談もできるので、ぜひ活用してほしい。

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執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。お客様と保険のプロを結ぶマッチングサイト「生命保険ナビ」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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