- 引受基準緩和型の死亡保険の特色が知りたい
- 引受基準緩和型の死亡保険のメリットとデメリットが知りたい
- 引受基準緩和型の死亡保険を選ぶ上での注意点がわからない
引受基準緩和型の死亡保険、と言われてどのような保険かすぐにイメージできるだろうか。
持病があっても入りやすいというメリットで、注目を集めている保険である。
自分に向いている保険なのか知っておきたいと興味を持つ人も増えてきているのではないか。
本記事では、引受基準緩和型死亡保険の概要とメリットとデメリット、利用時の注意点と選ぶ際のポイントを解説する。
引受基準緩和型の死亡保険への加入を悩んでいる人は、本記事を参考にしてほしい。
引受基準緩和型死亡保険の基本情報
引受基準緩和型死亡保険を理解するには、「引受基準緩和型」と「死亡保険」の2つに分けるとよいだろう。
一般的な保険には、死亡保険(生命保険)や医療保険、がん保険などがある。
それぞれ保険金の支払い事由が異なるものの、生命保険各社が指定する「告知事項」を満たせば加入可能だ。
そのなかで、被保険者が死亡した際のリスクに備えるのが「死亡保険(生命保険)」である。
そのうえで、一般的な死亡保険の「告知事項」の基準を緩くしたものが、「引受基準緩和型死亡保険」だ。
いわゆる「持病がある人でも加入できる保険」として提供されており、自身の健康状態に不安がある人が検討する保険といえるだろう。
引受基準緩和型の死亡保険とは
引受基準緩和型死亡保険とは、生命保険会社が定める保険加入の条件・基準が、一般的な生命保険に比べて緩和されている死亡保険を指す。
死亡保険に限らず医療保険にも同様の保険商品が用意されており、死亡保険のなかでも定期保険と終身保険の大きく2つに分類可能だ。
民間の保険に加入する際は、現在の健康状態や病歴に関して必ず告知しなければならない。
これらは告知事項などと呼ばれ、保険加入希望者の健康状態などを正確に把握することで、保険金を支払う可能性に応じた保険料を算定しているのである。
特定の持病があり、過去に入院や手術したことがある人の場合、健常者に比べて保険金を支払う確率は高まると考えるのが普通だ。
その病気が重篤なものであるほど、一般的な保険への加入が難しくなるのはやむを得ないだろう。
そのような持病のある人に向けて提供された保険商品であり、告知事項は3つほどで一般的な死亡保険に比べて少ない。
持病のある人でも申込みやすい点が最大の特徴であり、保障内容は一般的な死亡保険と同様だ。
対象となる人について
引受基準緩和型死亡保険の告知事項の一例として以下が挙げられる。
現在の健康状態について | 妊娠中である 入院中である 直近3ヶ月位以内に、医師から入院・手術・先進医療による療養を勧められている 肝硬変または悪性新生物(※)と医師から診断または疑いがあると指摘されている(※)がんや白血病、悪性リンパ腫などを含む |
過去の健康状態について | 直近6ヶ月以内にケガや病気で入院または手術をした 過去2年以内に入院または手術をし、同じ症状で直近6ヶ月以内に診察や検査等を受けた 直近5年以内に悪性新生物で入院または手術をした |
認知症関連 | いままでに認知症と診断または疑いがあると指摘された 今までに認知症を原因として要介護・要支援の認定を受けたことがある |
上記を告知事項として生命保険各社から提示されることが多く、上記に該当すると保険には加入できない。
言い換えると、上記に該当しなければ保険に加入できることになる。
「直近5年以内の入院または手術歴」に関しては、がんや白血病などの悪性新生物だけでなく、以下の病気やケガも告知事項として確認されることが多い。
- 糖尿病の合併症
- 脳や心臓、血管にまつわる病気
- 肝臓やすい臓、腎臓、肺の病気
- 指定難病
- 神経系の損傷
- 統合失調症や双極性障害、アルコール・薬物依存症、アルツハイマー病など
たとえば、高血圧や合併症のない糖尿病、うつ病などに罹患していても、引受基準緩和型死亡保険に加入できるケースもある。
「持病があるから保険には加入できない」と思っている人であっても、上記に該当しなければ死亡保険に加入できるから検討してみてほしい。
上記に該当する場合は条件が「5年」になるため厳しくなるが、その他の病状であれば「直近2年間」または「直近6ヶ月」が一つの基準になるだろう。
条件は「入院または手術」となっており、「通院」の場合は除外される。
具体的な告知事項は保険会社によって異なるが、ぜひ参考にしてほしい。
保険料はどれくらいか
引受基準緩和型死亡保険の保険料について、条件ごとの一例としてまとめると下表の通りとなる。
加入者の年齢や保障内容等 | 保険期間 | 月々の保険料 |
30歳女性、500万円 | 10年 | 1,550円〜 |
30歳女性、200万円 | 終身 | 4,022円〜 |
35歳男性、300万円 | 10年 | 1,743円〜 |
35歳男性、200万円 | 終身 | 5,248円〜 |
40歳女性、300万円 | 10年 | 1,917円〜 |
40歳女性、200万円 | 終身 | 4,910円〜 |
40歳男性、300万円 | 10年 | 2,067円〜 |
40歳男性、200万円 | 終身 | 5,934円〜 |
上記はほんの一例に過ぎず、年齢や保障額、保険期間によって保険料は当然異なる。
なお、引受基準緩和型死亡保険の保険料は、一般的な保険に比べて1.5〜2倍程度になっていることが多い。
保険会社の立場に立てばわかることだが、健康的な人に比べて保険金を支払う可能性が高い人には、相応の保険料を設定するだろう。
保険料が上がるほど家計を圧迫しやすくなるため、自身の保険加入の目的に応じた保障額を検討するのはもちろん、保険以外の方法で対応できないか検討することも重要だ。
引受基準緩和型の死亡保険のメリットとデメリット
引受基準緩和型死亡保険の概要を踏まえたメリットとデメリットを詳しく解説していこう。
もちろん、「持病があるから緩和型一択」というわけではない。緩和型保険のプラス・マイナスの両局面を正しく理解した上で、自身の病状や家計の状況も考慮して保険に加入すべきか検討することが重要である。
引受基準緩和型の死亡保険のメリット
引受基準緩和型死亡保険のメリットは以下のとおりだ。
- 一般的な死亡保険よりも告知事項が少ない
- 持病があっても加入しやすい
- 加入時点の持病(既往歴)も保障対象になる
- 終身タイプと定期タイプで保険期間を選べる
- 持病の悪化や再発も保障される場合がある
告知事項は限定的なため、持病がある人でも保険に加入しやすく、加入時点の持病も保障の範囲になるのは助かるだろう。
保険に加入する際は、終身または定期で保険期間を選択できる。
後述するように、一定期間を過ぎれば一般的な死亡保険に加入できる可能性もあり、定期保険にして保険料の負担が一定期間だけ増えることも許容できるだろう。
持病が悪化した場合だけでなく、過去に罹患していた病気が再発した場合も保障対象になり得る。
再発のリスクにも対処できる安心感は、想像以上に大きなメリットといえるだろう。
引受基準緩和型の死亡保険のデメリット
引受基準緩和型死亡保険のデメリットは以下が挙げられる。
- 一般的な死亡保険よりも保険料は割高になる
- 加入から一定期間は保険金や給付金が削減されることもある
- 申込み時点で入院中や医師から入院・手術を勧められている場合は加入できない
- 特約のバリエーションが少ない
保険の加入条件が緩和されているということは、保険金が支払われる可能性は通常より高まると考えられる。
具体的には、条件の緩和により加入できた被保険者の場合、保険料はどうしても割高になってしまう。
保険金の支払い事由に該当する可能性が高い以上、保険料が高くなるのはやむを得ないだろう。
さらに、多くの場合では、加入から1年以内に保険金支払い事由に該当すると給付額が半減されるのが通常だ。
給付の理由が持病とは関係ない場合にも半減されてしまうため、必ず覚えておこう。
半減措置に関しても、保険会社における支払いリスクを下げるための制度として理解するしかないだろう。
ほかにも、引受基準緩和型死亡保険は、選択できる特約の種類が一般的な死亡保険と比べて限定的なことが多い。
特約に加入できたとしても、一般的な死亡保険の特約に比べて保険料が高く設定されているケースもあるため、この点にも注意が必要だ。
保険を利用すべき人とすべきでない人とは
引受基準緩和型死亡保険を利用すべきか利用しなくてもよいかは判断が分かれるが、加入を検討したほうがよい人の特徴として以下が挙げられるだろう。
- 加入時点で貯蓄が少ない
- 遺された家族が路頭に迷いかねない
- 一般的な死亡保険の加入を申し込んだが断られた
- 割高な保険料になっても支払える経済的な余裕がある
保険の根本的な加入目的は「もしもの事態に備えるため」である。
引受基準緩和型死亡保険を検討するからには、通常の場合に比べて保険金の支払い事由に該当する可能性が高いだろう。
つまるところ、現在の家計の状況や、万が一の事態が本当に起きてしまった場合に対応できるかどうかで検討するしかない。
ほかにも、一般的な生命保険に加入できる条件を満たすまでの「つなぎ」として加入する方法もあるだろう。
貯蓄は少ないが毎月の家計から保険料を支払えるだけの余裕があるなら、保険に加入して安心を手に入れるのが最適といえるだろう。
言い換えると、検討時点で一定額の貯蓄があり、一般的な死亡保険加入の条件を満たせるまでの間は無保険状態でも問題ないと判断できるのであれば、無理に加入する必要はないだろう。
引受基準緩和型死亡保険の利用時の注意点と選び方
引受基準緩和型死亡保険を利用する際の注意点と選び方について解説しよう。
生命保険各社から販売されているため、結局どれにすればよいかわからない人も多いはずだ。
以下で解説する内容を踏まえて、自分にぴったりな保険を検討しよう。
引受基準緩和型の死亡保険を利用する際の注意点
引受基準緩和型死亡保険の注意点についておさらいしよう。
具体的には、以下の3点は加入前に必ず押さえておきたい項目だ。
- 月々の保険料は一般的な死亡保険の1.5〜2倍に上がる
- 加入から1年以内は給付額が半減される場合がある
- 特約は限定的で、告知事項が増えることもある
「毎月いくらまでの保険料なら負担できそうか」に関しては、あらゆる生命保険を検討する上で非常に重要な指標になる。
保険は、いわば「不幸な人が得をする仕組み」である。
保険金の支払い事由に該当するのは本来的には望まないことだが、支払い事由に該当しなければ保険料は支払い損になる。
要するに、「自身の身に万が一の事態が起きる確率に対して保険料をベットする図式」といえるだろう。
一般的な死亡保険に比べて割高な保険料を支払う必要があるのはもちろん、加入してすぐは給付額が満額でないこともある。
逆に、保険会社によっては加入当初から満額を給付するケースもあるため、比較検討する際にチェックしておくとよいだろう。
保険の本来的な仕組みを理解したうえで、引受基準緩和型死亡保険は本当に必要なのかを慎重に判断すべきだ。
引受基準緩和型の死亡保険の選び方
引受基準緩和型死亡保険の選び方を理解する前に、以下の順序で必要性を判断しよう。
- 保険に加入する目的は何か
- まずは一般的な死亡保険に加入できないか検討する
- 貯蓄や公的保険制度でどの程度カバーできるか検討する
まずは「どの期間にどの程度の保障を受けたいか」を最初に明確にしておくことが重要である。
前提条件を定めることで、条件を満たす適切な保険商品をピックアップできるはずだ。
そのうえで、まずは一般的な死亡保険に加入できないか検討しよう。最初から緩和型保険を検討する必要はなく、場合によっては条件付きで一般的な死亡保険に加入できる可能性もある。
さらに、必要な保障額次第では、現在の貯蓄額や公的保険制度で対応できる場合もあるだろう。
まずは上記を順番に検討して、緩和型保険が必要という結論に至った際は、以下を中心に比較検討するとよいだろう。
- 告知事項を確認する
- 保障内容を比較検討する
- 保険期間を比較検討する
- いつ加入するかを検討する
告知事項の内容によって、加入できる保険会社とそうでない会社は分かれるだろう。
加入できる保険会社を見つけた上で、最も大切な保障内容を見比べて、保険期間と保険料を総合的に考慮して条件のよい保険会社を探してほしい。
加入時期に関しては、早ければ早いほど条件はよくなるため、年齢が若いうちに検討するのがベターだ。
相談事項があれば専門家の利用を検討する
保険の選び方を具体的に解説したものの、保険商品の説明内容はどれも難しく、保障内容も各社で異なる。
そのため、結局どの保険にすればよいか分からない人も多いだろう。
死亡保険は「住宅に次ぐ高い買い物」とされるため、慎重な判断が欠かせない。
家族間の話し合いだけではどの保険にすべきか判断できない場合は、保険のプロからアドバイスをうけることをおすすめしたい。
専門家に依頼すれば、保険に関する豊富な知識をもとに、それぞれのライフプランや保険加入希望者の病状などに合わせた最適な保険商品を提案してくれるだろう。
些細な疑問や不明点も気兼ねなく質問できるため、安心して保険商品を選べるはずだ。
最終的にどの保険にすべきか分からない人は、専門家の利用も積極的に検討しよう。
持病があっても諦めないで!引受基準緩和型の死亡保険も選択肢に入れよう
本記事では、引受基準緩和型死亡保険の概要とメリットとデメリット、利用時の注意点と選ぶ際のポイントを解説した。
引受基準緩和型の死亡保険には加入が容易であるメリットがあるが、保険料が高くなりやすいデメリットもあり、利用するべきかは生活状況に応じて判断する必要がある。
自分が利用すべき保険なのか、本記事を理解しただけではわからないと感じる人もいるだろう。
そんな時は保険のプロに相談することも検討しよう。一人一人に合ったアドバイスをもらうことで、的確に必要な死亡保険を選択することができる。
ただ、保険のプロは数多く存在し、自分にとって最適な担当なのかをすぐに見定めることは難しい。
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