- 養老保険が満期を迎えた際に注意するべきポイントがわからない
- 養老保険と他の保険商品の違いを確認したい
- 養老保険の満期保険金の扱いについて知りたい
養老保険は、保障と貯蓄、二つの役割を果たす保険といわれている。
この保険では、死亡時に死亡保険金が給付されるが、払い込んでいた保険料は貯蓄され満期には満期保険金として受け取れる。
この満期保険金の活用方法、受け取る際に注意すべき点を知りたいと考えている人も、多いのではないだろうか。
この記事ではこれらに加え、養老保険の概要と他の保険との違い、満期時の手続き方法や税金の扱いまでを網羅的に解説する。
あなたが掛けている保険が満期を迎える前に、これらの情報を参考にして、最適な対応を行ってほしい。
満期時のポイントの前に!養老保険の基礎知識をおさらい
養老保険には、被保険者が亡くなったときの死亡保険金、および保険契約の満期を生存して迎えた場合に受け取れる満期保険金が用意されている。
また、満期前に解約しても解約返戻金を受け取ることができる。
つまり、被保険者が亡くなったときに残された家族の生活を保障するだけではなく、将来のための貯蓄の役割も担うのが大きな特徴だ。
このように、さまざまな保険商品の中で保障と貯蓄の両方を兼ね備えた保険は、養老保険だけだ。
ここでは、そんな養老保険について、概要や他の保険商品との比較説明を行う。
養老保険の基礎知識
生命保険は、「掛け捨て型保険」と「貯蓄型保険」に大別され、養老保険は後者に分類される。
掛け捨て型保険は、安い保険料で手厚い保障が得られる反面、満期や解約時に受け取れる金銭がないことが一般的だ。
具体的には、下記のような保険商品が掛け捨て型保険にあたる。
- 定期保険
- 契約時に定めた保険期間内に被保険者が亡くなった際に、死亡保険金が受け取れる。
- 医療保険
- 被保険者が病気やケガで入院や手術などをした際に、給付金が付与される。この保険には、保障期間が一定期間の定期医療保険と、保障が一生涯続く終身医療保険がある。
- 民間介護保険
- 公的な介護保険を補填することを目的とし、被保険者が保険会社の定める状態になったときに、一時金や年金が付与される。
- 収入保障保険
- 被保険者が亡くなったときから、契約時に定めた満期まで、残された家族が年金を受け取れる。
一方、貯蓄型保険は養老保険以外に、終身保険が代表例として挙げられる。
また養老保険は、被保険者の生存・死亡に関わらず保険金が受け取れるため、「生死混合保険」とも呼ばれることがある。
養老保険の役割は蓄積と保障
生命保険には、「終身型保険」と「定期型保険」という分け方もあり、この区分けでは養老保険は後者に分類される。
保障期間に関して終身型保険は一生涯だが、定期型保険である養老保険は、契約時に設定した保険期間内の保障に限られる。
養老保険は、この保険期間内で支払った保険料を蓄積して、満期の際には満期保険金として受け取れる。
この保険の保険期間には、二つの契約タイプがあり、契約時に自由に設定できる。
契約開始から10年・20年など契約年数を定める年満期タイプと、60歳・70歳など一定年齢までを期限とする歳満期タイプだ。
養老保険の特徴
養老保険の特徴を、よく比較対象となる終身保険との違いをもとにさらに深掘りしていこう。
この二つの保険は、保険料の一部は将来のために積み立てられていて、保険を解約すると解約返戻金を得られる。
しかし両者とも、掛け捨て型保険よりも、保険料が高いという側面もある。
このように、この二つの保険には類似点が多いが、保険の目的は全く異なる。
終身保険は被保険者の生涯に渡る保障を目的としている一方で、養老保険は一定期間の保障と貯蓄を目的にしている。
下記の表で両者の違いを理解し、自分の目的に合った保険を選択してほしい。
養老保険 | 終身保険 | |
概要 | 保険期間中に被保険者が亡くなった際に、死亡保険金が受け取れる 死亡せずに満期を迎えたら満期保険金を得られる | 被保険者が亡くなった際に、死亡保険金が受け取れる |
保険期間 | 一定期間※1 | 一生涯 |
満期保険金 | あり | なし |
解約返戻金※2 | あり | あり |
向いている人 | 貯蓄を主目的にしつつも、一定の保障も得たい人 | 自分が亡くなった後に残された家族へ生活費を用意したい人 |
※1:養老保険の保険期間は、契約締結時に自由に設定できる
※2:同じ条件(保険料と契約経過年数)で比べると、解約返戻金は、養老保険の方が終身保険よりも高くなるケースが多い
養老保険が満期を迎えたら
契約中の養老保険が満期に近づくと、保険会社から連絡がある。
保険会社の指示に従い、満期保険金の受取手続きを行わなければならない。
この保険金があるのは、養老保険以外に、学資保険、生存給付金付保険などの一部の保険商品だ。
ここでは養老保険の満期保険金に関して、その内容や受け取り方、注意点などを説明する。
養老保険の満期保険金とは
この保険金は養老保険の目的の一つであり、契約期間中に払い込んでいた保険料の一部を、保険会社が貯蓄してきたものだ。
貯蓄された保険料は契約が満期になった段階で受け取れ、老後の生活資金や、今後のライフイベントの資金としても活用できる。
保険会社は保険料を国債などリスクの低い金融商品で運用し、かつてバブル期では高い運用益を得て、保険契約者にも還元した。
低金利時代の昨今では保険会社が得られる運用益も低く、払い込んだ保険料の総額よりも、満期保険金が下回ることもある。
養老保険の満期時の選択肢と注意点
養老保険が満期に近づくと、満期保険金の手続きを行う必要がある。
このとき一時金受け取り、年金受け取り、受け取り据え置きの中から受け取り方を選択し、保険会社に申請しなければならない。
いずれの受け取り方を選択しても、受け取れる保険金に税金が掛かることがあるので、注意してほしい(詳細は後述)。
保険金の受け取り方は、以下の表を参考に、自分に合った方法を検討してほしい。
一時金受け取り | 年金受け取り | 受け取り据え置き | |
内容 | 満了保険金を一括で受け取る | 受領期間を定め分割して受け取る | 即座に受け取らず生命保険会社に預けておき、一定期間経った後に保険金を受け取る※1 |
選択基準 | まとまったお金が必要な場合 | 老後の生活資金として継続的に利用する場合 | 利用目的が当面ない場合 |
税金 | 課税される場合がある | 課税される場合がある | 課税される場合がある※2 |
※1:据え置きできる期間は、保険会社により異なるが、一般的には最長10年。保険会社が満期保険金を預かっている間には、保険会社が定める金利も得られる
※2:満期保険金は手元になくとも、契約者が満期日に一旦受け取ったものと見なされる
養老保険の満期後の保険料の扱いについて
保険契約が満期を過ぎると、その契約は終了するので、保険料の払い込みは不要になる。
これは、保険料による貯蓄は終了し、今後の保障もなくなってしまうことを意味する。
このため保険の満期が近づけば、今まで契約していた保険に代わる、貯蓄や保障の手段を考える必要がある。
定年を超えた年齢で満期になるならば、保障内容の見直しや、保険料の低減も考えたい。
例えば手厚い医療保障を得るために、満期保険金をその保険の頭金として活用して、月々の保険料を抑えることも一考になるだろう。
養老保険の満期保険金とその活用方法
多くの人は、お金が貯まったときの使い道を考えて、貯蓄を始めるだろう。
しかし長い保険契約期間の間にライフスタイルが変わり、当初考えていた目的から、使い道が変わることもある。
このため満期を迎える前に、得られる保険金の使い道を、もう一度考えた方がよい。
ここでは、この保険金の活用方法、活用する保険金の受取方法や税金の扱いについて説明する。
養老保険の満期保険金を受け取るための手続き
この保険金の手続きは、満期になる1~2ヶ月前までに、保険会社から連絡があり必要書類も届く。
その中の請求書に必要事項を記入し提出すれば、保険会社では1週間程度かけて、その書類の内容を確認する。
書類に問題がなければ、満期日から1週間以内に、振込指定口座に保険金が振り込まれる。
満期保険金の請求をする際には、一般に以下のものが必要となるので、事前に準備しておくとよいだろう。
- 保険証券(保険証書)※1
- 印鑑
- 保険金受取人の本人確認書類※2
- 被保険者の生年月日を確認できる書類※3
- 保険金受取人名義の預貯金通帳またはキャッシュカード
※1:保険証券(保険証書)がなくても、記号番号が申告できれば手続きは可能
- 顔写真がある書類
- 運転免許証、マイナンバーカードのいずれか一つ(通知カードは不可)
- 顔写真がない書類
- 各種健康保険被保険証、各種共済組合の組合員証、国民年金手帳のいずれか二つ上記の書類のいずれか一つと、現住所が記載された公共料金の領収書など
各種健康保険被保険者証、旅券(パスポート)、国民年金手帳、運転免許証、各種共済組合の組合員証、マイナンバーカードなど
養老保険の満期保険金と税金の関係
保険契約者と満期保険金の受取人が、同じであれば所得税、異なる場合は贈与税がかかる。
いずれの場合も、下記の計算式で算出した税額を、確定申告する必要がある。
なお契約期間5年以内の養老保険は保険料を一括で払い込めば、保険会社が源泉徴収し納税(税率20.315%)するため確定申告は不要だ。
計算式 | |
所得税 | 受け取り方法が、一時金受け取り、受け取り据え置きの場合 課税対象金額(税法上は一時所得) =(受け取った保険金額※ - 払込保険料総額 - 特別控除50万円)× 1/2 ※受け取った保険金額が50万円以下の場合は非課税 受け取り方法が、年金受け取りの場合 課税対象金額(税法上は雑所得) =受け取った年間保険金額 × (払込保険料総額 ÷ (年間保険金額 × 支給期間)) 一時所得や雑所得は、上記の計算結果を給与など他の所得と合計し、総所得額から納税額を計算する。年金を受け取る際に源泉徴収されている場合は、確定申告で精算すれば、税金が戻る場合もある。 |
贈与税 | 課税対象金額=受け取った保険金額 ― 基礎控除110万円 税額=課税対象金額×贈与税率 ― 控除額※ |
受け取り据え置きは満期日の年に課税対象となるため、払い出しの際には、保険会社の預かり金利分のみの課税となる。
養老保険の満期保険金の活用方法
満期を迎えるタイミングで、満期保険金の使い道が見当たらなくなったら、借金やローンの減額や完済を考えてはどうだろうか。
住宅や自動車のローン、子供の奨学金なども低金利とはいえ、一般的に貯蓄で得られる利息よりも高い。僅かな借金でも複利で拡大するため、まとまったお金があるときに、手を打っておきたい。
借金やローンを完済したうえで、投資や貯蓄による資産の維持拡大を考えるべきではないだろうか。
満期を迎える前までに、満期で受け取る保険金を、一番有意義に活用できる方法を考えておこう。
養老保険の満期保険金を効果的に使おう
養老保険の概要や満期について理解し、満期金の活用方法や必要な手続きを熟知したうえで、適切な行動をとってほしい。
保険の満期には、ひとりひとりの生活設計や経済状況により最適な対応策が異なるため、保険のプロから意見を求めることも重要だ。
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