- 学資保険で節税するやり方がわからない
- 学資保険の生命保険料控除を利用する上での注意点が知りたい
学資保険とは、一定期間にわたり保険料を払い込み、時期が来た際に子どもの教育資金を保険金や祝い金として受け取ることが出来る貯蓄型の保険のことである。
このように、教育資金の貯蓄目的で加入する学資保険だが、実は生命保険料控除を活用した節税も可能なことをご存知だろうか。
控除を利用する方法や注意点を学ぶことで、学資保険をお得に活用できるようにしてもらいたい。
本記事では、学資保険を利用した節税方法や申請方法について解説する。
また、学資保険の生命保険料控除を利用する際の注意点についても解説する。
学資保険を節税対策にも利用したいと考えている方は、ぜひ参考にしてほしい。
学資保険を利用した節税方法の概要
学資保険は子どもの教育資金を貯めるための保険だ。
メリットの一つに生命保険料控除の活用によって、所得税や住民税を節税できるというものがある。
ここでは、納税額が決まる仕組みや3種類の生命保険料控除、学資保険で利用可能な控除について解説する。
所得税や住民税が決まる仕組み
所得税や住民税の税額は、課税所得によって決まる。
課税所得とは、収入から必要経費を引いた所得から所得控除を差し引いた金額のことである。
必要経費が多かったり、所得控除の額が大きかったりすると、課税所得が小さくなるため、納税額は小さくなる。
ただ、一般的なサラリーマンには経費という考え方はない。
そのため、納税額を抑えるためには、所得控除を積極的に活用する必要がある。
代表的な所得控除は以下のとおりだ。
- 雑損控除
- 医療費控除
- 寄付金控除
- 社会保険料控除
- 生命保険料控除
- 地震保険料控除
- 小規模企業共済等掛金控除
- ひとり親控除
- 寡婦控除
- 基礎控除
- 勤労学生控除
- 扶養控除
- 配偶者控除
- 配偶者特別控除
- 障害者控除
これらの控除を活用することによって節税が可能になる。
会社員の場合は年末調整によって、各種の控除を受けられる。
3種類の生命保険料控除
代表的な控除の一つである生命保険料控除だが、加入する保険によって適用できる控除が違う。
生命保険料控除には「一般生命保険料控除」「介護医療保険料控除」「個人年金保険料控除」の3種類あり、併用が可能である。
2012年以降に加入した生命保険であれば、それぞれの控除ごとに所得税は40,000円、住民税は28,000円が控除される仕組みだ。
3種類すべてを活用する場合は、所得税が120,000円、住民税は70,000円までが控除の対象になる。
一般生命保険料控除は名前の通り、定期保険や終身保険などの死亡保障のついた一般的な生命保険への加入によって受けられる控除だ。
介護医療保険料控除は、介護保険や医療保険、がん保険などが対象になる。
個人年金保険保険料控除は個人年金保険が対象だ。
保険に加入している場合は、どの控除を活用できるかチェックしてみよう。
学資保険で活用できる控除
学資保険で活用できるのは、一般生命保険料控除だ。
年間の支払保険料が8万円を超えていると、所得税と住民税ともに最も大きい控除額が適用される。
月々66,667円支払っている場合、年間の支払保険料が8万円を超える計算だ。
なお、以下の記事では学資保険にかかる税金の仕組みについてまとめているので、改めておさらいしたいという方はぜひチェックしてほしい。
学資保険の生命保険料控除を活用した際の節税効果とは
「生命保険料控除によってどのくらい節税できるのか」「学資保険の節税効果はどのくらいなのか」と疑問に思っている人もいるだろう。
ここでは、生命保険料控除の計算方法について解説する。
2012年以降に加入した保険に対する新制度と2012年以前に加入した保険に対する旧制度の両方に対応しているので、ぜひ参考にしてほしい。
生命保険料控除の計算方法
新契約(2012年1月1日以後に締結した保険契約等)に基づく場合の控除額は以下のとおりだ。
年間の支払保険料等 | 所得税の控除額 |
20,000円以下 | 支払保険料等の全額 |
20,000円超 40,000円以下 | 支払保険料等×1/2+10,000円 |
40,000円超 80,000円以下 | 支払保険料等×1/4+20,000円 |
80,000円超 | 一律40,000円 |
年間払込保険料額 | 住民税の控除額 |
12,000円以下 | 払込保険料全額 |
12,000円超 32,000円以下 | (払込保険料×1/2)+6,000円 |
32,000円超 56,000円以下 | (払込保険料×1/4)+14,000円 |
56,000円超 | 一律28,000円 |
旧契約(2012年12月31日以前に締結した保険契約等)に基づく場合の控除額は以下のとおりだ。
年間の支払保険料 | 所得税の控除額 |
25,000円以下 | 支払保険料等の全額 |
25,000円超 50,000円以下 | 支払保険料等×1/2+12,500円 |
50,000円超 100,000円以下 | 支払保険料等×1/4+25,000円 |
100,000円超 | 一律50,000円 |
年間払込保険料額 | 住民税の控除額 |
15,000円以下 | 支払った保険料の全額 |
15,001円から40,000円まで | 支払った保険料÷2+7,500円 |
40,001円から70,000円まで | 支払った保険料÷4+17,500円 |
70,001円以上 | 35,000円(限度額) |
生命保険料控除の計算方法は、保険に加入した時期によって異なる。
2012年以前に加入したか以後に加入したかによって、生命保険料控除の制度内容が違うからだ。
加入時期が曖昧な場合は、保険会社から送付される生命保険料控除証明書を見てみよう。
「旧」または「新」という記載があるので、どちらの制度が適用されるか確認できる。
また、節税額を計算するにあたって、所得税額の計算方法も必要だ。所得ごとの税率や控除額は以下のとおりだ。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
1,000円 から 1,949,000円まで | 5% | 0円 |
1,950,000円 から 3,299,000円まで | 10% | 97,500円 |
3,300,000円 から 6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
6,950,000円 から 8,999,000円まで | 23% | 636,000円 |
9,000,000円 から 17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円 から 39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円 以上 | 45% | 4,797,000円 |
給与所得や事業所得のほか、生命保険の解約返戻金や満期保険金などの一時所得、副業による雑所得などを合計した金額が、所得として考えられている。
2012年以降に加入した保険の計算方法
イメージしやすくなるように、具体的な例を用いて計算方法を説明しよう。
- 夫30歳のサラリーマン
- 基礎控除や扶養控除後の所得400万円
- 妻30歳の専業主婦
- 子ども0歳
- 2023年に学資保険に加入予定
- 毎月1万円を払い込む契約
- 子どもが20歳になると満期を迎える
月々1万円なので、年間払込保険料は12万円。
年間の支払保険料が8万円を上回っているため、所得税は4万円、住民税が2.8万円が控除対象になる。
所得から控除額を引くと、課税所得がわかる。400万円ー4万円=396万円が課税所得だ。
先ほどの表によると、課税所得400万円に対しては20%の税金がかかる。つまり、4万円に税率20%をかけた8千円の所得税を節税できる。
また、住民税率は一般的な10%だとすると、2.8万円に税率10%をかけた2.8千円が節税可能だ。
所得税と住民税を合計し、1年間で1万800円の節税が期待できる。
満期までの20年間にわたって控除を受けられるので、トータル21.6万円節税できる。
2012年以前に加入した保険の計算方法
- 夫40歳のサラリーマン
- 基礎控除や扶養控除後の所得600万円
- 妻40歳の専業主婦
- 子ども13歳
- 2010年に学資保険に加入し、毎月1万円を払い込んでいる
- 子どもが20歳になると満期を迎える
月々1万円なので、年間払込保険料は12万円。
年間の支払保険料が10万円を上回っているため、所得税5万円、住民税3.5万円が控除対象になる。
600万円ー5万円=595万円が課税所得だ。
先ほどの表によると、課税所得600万円に対しては20%の税金がかかる。
つまり、5万円に税率20%をかけた1万円の所得税を節税できる。
また、住民税率は一般的な10%だとすると、3.5万円に税率10%をかけた3.5千円が節税可能だ。
所得税と住民税を合計し、1年間で1万3,500円の節税が期待できる。
節税対策のために!学資保険の生命保険料控除を利用する際の注意点
「制度を利用する際に気をつけるべきポイントがわからない」という人もいるだろう。
ここでは、2つの注意点を紹介する。利用を考えている人はぜひチェックしてほしい。
学資保険の生命保険料控除を受ける条件
2012年以降に締結した保険契約で控除を受ける条件は以下のとおりだ。
(イ) 生命保険会社または外国生命保険会社等と締結した生存または死亡に基因して一定額の保険金が支払われる保険契約
(ロ) 旧簡易生命保険契約のうち生存または死亡に基因して一定額の保険金等が支払われる保険契約
(ハ) 農業協同組合と締結した生命共済契約その他これに類する共済に係る契約のうち生存または死亡に基因して一定額の保険金等が支払われる保険契約
(ニ) 確定給付企業年金に係る規約または適格退職年金契約
条件を満たしていないと控除の対象とはならない。
学資保険の申請は契約者本人がおこなう
生命保険料控除の申請は、契約者本人がおこなう必要がある。
そのため、妻や子どもが被保険者の保険に加入し、夫が保険料を払っている場合は夫の年末調整で生命保険料控除を受けられる。
保険料を払い込んでいる契約者が、確定申告や年末調整で申請しなければならない。
つまり、子どもが被保険者である学資保険は、保険料を払い込んでいる契約者の名義で控除を受けることが可能だ。
一方、妻が被保険者かつ契約者である保険は、夫名義ではなく妻名義で生命保険料控除の申請をしなければならない。
契約者以外が申請しても生命保険料控除の対象にはならないため、必ず注意しよう。
節税対策のために学資保険の生命保険料控除を利用しよう
本記事では、学資保険を利用した節税方法の概要や生命保険料控除の計算方法・申請方法について解説した。
また、学資保険の生命保険料控除を利用する際の注意点についても解説を行った。
学資保険は、生命保険料控除を適用することで節税対策にも活用できる。
控除の適用には2種類のパターンが存在するため、自分の学資保険がどちらに該当するか必ず確認するようにしよう。
その他にも他の保険料控除の状況次第では学資保険は控除適用外になる可能性がある。
本記事を理解しただけでは、適切に学資保険の控除を受けられるか心配だという人もいるだろう。
そんな時は、保険のプロに相談することも検討しよう。
一人一人に合ったアドバイスをもらうことで、学資保険の保険料控除申請をスムーズに進めることができる。
ただ、保険のプロは数多く存在し、自分にとって最適な担当なのかをすぐに見定めることもまた難しい。
マッチングサイトである「生命保険ナビ」を使えば、自身の条件に合った保険のプロを簡単に見つけることができる。
無料で利用できるので、ぜひ活用してほしい。