- 自分の年収に対してどの程度の比率で保険料を負担するべきかわからない
- 医療保険の保険料の抑え方が知りたい
- 医療保険を選ぶ上で重視すべきポイントを知りたい
少子高齢化が進む日本では、老後の生活に備え医療保険への加入を検討する人が増えてきている。
加入するプランを選ぶ際に、医療保険の保険料をいくらにするべきかで悩む方も多いだろう。
その際、自分と同じくらいの年収の方が保険料をどのくらい払っているかを参考にしたいという方もいるはずだ。
そこで本記事では、「年収と医療保険の関連性」について解説を行う。
ぜひ本記事を保険料や保険を選ぶ際の参考としてほしい。
年収と医療保険の関連性を解説
ケガや病気のリスクに備えて加入する医療保険について「加入すべきか」「どの程度の保険料に設定すべきか」という点で悩んでいる方も多いだろう。
特に、自分の年収に対してどの程度の比率で保険料を負担するべきかというのはなかなか判断が難しいところだ。
ここでは、年収による医療費負担額の変化や年収ごとの医療保険加入率、年収別に見る保険料の平均負担額などを解説していく。
同じくらいの年収の人の加入率や保険料平均額を参考に、自身の医療保険プランを検討してみよう。
年収による医療費負担額の変化
日本では公的医療保険制度が充実しており、医療機関の窓口で支払う費用は原則として医療費全体の3割で済む。
さらに医療費の自己負担額が過剰にならないように「高額療養費制度」も設けられている。
高額療養費制度とは、1ヶ月の医療費の自己負担額が一定の金額(自己負担限度額)を超えた場合、超えた分があとから還付される制度のことだ。
そしてその自己負担限度額が年齢や所得に応じて設定されているため、年収による医療費負担額は変化する。
70歳未満の方の所得ごとの自己負担限度額は以下の表の通りだ。
所得区分 | 自己負担限度額 |
標準報酬月額83万円以上の方 報酬月額81万円以上の方 | 252,600円+(総医療費−842,000円)×1% |
標準報酬月額53万〜79万円の方 報酬月額51万5千円以上〜81万円未満の方 | 167,400円+(総医療費−558,000円)×1% |
標準報酬月額28万〜50万円の方 報酬月額27万円以上〜51万5千円未満の方 | 80,100円+(総医療費−267,000円)×1% |
標準報酬月額26万円以下の方 報酬月額27万円未満の方 | 57,600円 |
被保険者が市区町村民税の非課税者等 | 35,400円 |
上記の表からも分かる通り、収入が上がると自己負担限度額も高くなる。
つまり年収が高い人の方が負担する医療費が大きくなる可能性があるということだ。
反対に、年収が低い人は医療費の自己負担が過剰にならないような工夫がされている。
年収ごとの医療保険加入率
次に、年収ごとの医療保険加入率について見ていく。
同じくらいの年収の人がどの程度医療保険に加入しているかを把握し、加入すべきかどうかを判断する際の参考にすると良いだろう。
公益財団法人生命保険文化センターの「2022(令和4)年度『生活保障に関する調査』」では、医療保険の加入率を発表している。
以下の表は「疾病入院給付金が支払われる生命保険に加入」している人の割合を年収別にまとめたものだ。
本人年収別 | 加入率(単位:%) |
収入はない | 55.1 |
100万円未満 | 63.1 |
100〜300万円未満 | 68.0 |
300〜500万円未満 | 70.5 |
500〜700万円未満 | 79.0 |
700〜1,000万円未満 | 75.7 |
1,000万円以上 | 62.3 |
比較的年収が低い人の加入率が低く、年収が上がるにつれて加入率も高くなっていく。
しかし「500〜700万円未満」をピークに、次第に加入率は下がっていることが分かる。
一定の収入までは医療費に対する備えを医療保険で準備する必要性が高い。
しかし一定以上の収入になると貯蓄等である程度医療費を準備できるため加入率が低くなっていくと考えられる。
年収別に見る保険料の平均額
同じくらいの年収の人が「保険料をどの程度負担しているのか」を把握しておくことも保険選びの際に参考になるだろう。
収入に対する保険料の比率などを考え、最適な保険料を設定することが大切だ。
生命保険文化センターの「2022(令和4)年度『生活保障に関する調査』」では、生命保険全体の年間払込保険料の平均が紹介されている。
以下の表は、生命保険の年間払込保険料の平均を本人年収別にまとめたものだ。
本人年収別 | (単位:万円) | 年間払込保険料平均
収入はない | 13.4 |
100万円未満 | 13.0 |
100〜300万円未満 | 15.1 |
300〜500万円未満 | 18.9 |
500〜700万円未満 | 26.1 |
700〜1,000万円未満 | 31.5 |
1,000万円以上 | 36.5 |
上記の表の平均額は生命保険全体のものであるため、医療保険だけの平均ではないが、保険料をどの程度負担しているかという参考にはなるだろう。
基本的には年収が高くなるほど保険料の負担も大きくなる傾向があり、「1,000万円以上」になると保険料は年間36.5万円(月約3万円)となっている。
医療保険の保険料の抑え方
医療保険への加入を検討している場合、できるだけ保険料の負担を抑えたいと考えている方も多いだろう。
特に年収に対する保険料の割合が高くなっている人は、支払いを継続することが難しい場合もある。
保険料の抑え方を把握し、無理なく保険料を支払っていけるプランを設計しよう。
ここでは、医療保険の保険料を抑える3つの方法について解説していく。
掛け捨て型保険を利用する
医療保険は大きく分けると「貯蓄型」と「掛け捨て型」の2種類がある。
貯蓄型は支払った保険料の一部を積み立てるタイプ、掛け捨て型は保険金・給付金の支払い事由が発生しない限りは支払った保険料が戻ってこないタイプだ。
保険料を安くしたいのであれば、掛け捨て型の商品を選択しよう。
貯蓄型の医療保険は一定年数の経過に応じて祝金が受け取れたり、解約時に解約返戻金を受け取れたりする。
貯蓄をしながら万が一の医療保障も得られるため、魅力的に感じている方も多いだろう。
しかし貯蓄をする分だけ保険料は高めに設定されている。
また、解約返戻金も払い込んだ保険料総額を下回るケースが多い。収入面で余裕がない人にとっては、デメリットの方が多くなる可能性がある。
一方、掛け捨て型の医療保険は保障に特化しているため、シンプルな保険料となっている。
月々の保険料を抑えられ、家計にかかる負担も軽減できるだろう。さらに浮いた保険料を貯めることも可能だ。
できるだけ保険料の負担を抑えたいと考えている方は、手頃な保険料で医療保障を得られる掛け捨て型の医療保険の活用をおすすめする。
保障内容の重複を確認する
加入する医療保険の保障内容を確認し、すでに加入している保険の保障内容と重複していないかチェックすることも重要である。
保障内容に重複があると、その分支払う保険料が無駄になってしまうためだ。
例えば医療保険にはさまざまな特約があり、がんの治療を行う際の保障を手厚くする「がん特約」などが設けられている。
すでにがん特約を契約してがんのリスクに備えている場合、新規でがん保険などを契約する必要はないだろう。
また、勤め先の福利厚生などで医療保険に加入している場合、入院や手術による給付金はある程度受け取ることができる。
不足分をカバーするために医療保険に入るのは問題ないが、そこまで手厚い保障は必要ない。
このようにすでに加入している保険で保障を備えている場合、重複している分の保険料が無駄になるケースがある。
必要な保障内容を過不足なく備え、無駄のない保険プランを設計しよう。
インターネット申し込みの商品を選ぶ
近年、インターネットで申し込み手続きができる保険商品も増えてきている。
保険料を安く抑えたいのであれば、ネット申し込みに対応している保険商品を選ぶことも検討しよう。
ネットで加入できる保険は人件費や店舗のコストがかからない分、保険料は安く設定されているケースが多い。
同じ保障内容を希望する場合でも、保険代理店や保険会社の窓口で契約する商品に比べて割安な保険料で契約できる可能性がある。
また、ネットで加入できる保険の多くは、加入希望者に分かりやすくするためにシンプルな保障内容となっている。
加入の際に分かりやすい保険プランとなっている点も、ネット契約ができる保険のメリットだ。
ただしネット加入の場合は基本的に担当者が付かないため、自分で保障内容を選んだり、プランを設計したりしなければならない。
必要な保障額を把握できず、過剰な保障内容のプラン設計をして無駄な保険料を払うことになるリスクもあるため注意が必要だ。
医療保険を選ぶ際に重視すべきポイント
医療保険は各保険会社がさまざまな商品を提供しているため、実際にどういった商品を選べば良いか迷ってしまうケースは少なくない。
あらかじめ保険選びの軸を明確にし、どの保険が自分に合うかを見極めていくことが重要だ。
ここでは、医療保険を選ぶ際に重視すべき3つのポイントについて解説していく。
加入目的を明確にする
まず、「なぜ医療保険に加入するのか」という目的を明確にすることが重要となる。
目的がはっきりしないまま医療保険を選んでも、リスクをカバーしきれなかったり、過剰な保障を準備して無駄な保険料を支払うことになったりするためだ。
医療保険の加入目的としては主に以下の2点が挙げられる。
- 社会保障でカバーできない費用を補う
- 入院期間中に減少する収入を補填する
日本は公的医療保険が充実しているため、医療費の負担が過度に大きくならないような工夫がされている。
しかし入院期間中の差額ベッド代や食費などは公的医療保険の対象外である。
また、自己負担額が軽減されるとはいえ治療費も負担しなければならない。こうした費用がどれくらいかかるのかを把握し、どの程度の保障額を準備すべきか計算しよう。
また、ケガや病気で入院することとなった場合、収入が減少してしまう可能性がある。
会社員・公務員は「傷病手当金」により給与の約3分の2が支給されるが、長期間の入院になると保障が不足する可能性がある。
そして自営業者やフリーランスには「傷病手当金」の制度自体がない。
働き方によって減少する収入額は異なるため、カバーできる分の保障を準備しておく必要性が高い。
このように、加入の目的が明確になると必要な保障額も見えてくる。具体的な商品選びに進む前に、まずは「なぜ医療保険に加入するのか」という目的をはっきりさせた上で必要な保障内容を検討しよう。
必要な保障内容と保険料のバランスを検討する
必要な保障内容がある程度明確になったら、次は保険料とのバランスを見極めよう。
保険料が高くなり過ぎると、家計に負担がかかってしまったり、保険契約を継続できずに途中で解約してしまったりするリスクがあるため注意が必要だ。
ケガや病気にかかったときのリスクを考え、手厚い医療保障を備えようとするケースは多い。
しかし手厚い保障を備えるとその分保険料も高くなってしまう。
必要な保障内容と無理なく支払っていける保険料のバランスを考える必要があるだろう。
医療保険は、基本的に10年以上にわたって保険料を支払っていくケースが多い。
今は無理なく支払うことができても、10年後には支払いが厳しくなっているという可能性もある。
今後の収支の見通しを立て、長期的に無理なく保険料を支払っていけるかどうかを確認しよう。
前述の通り、「掛け捨て型の保険を利用する」「インターネット申し込みの商品を選ぶ」などの工夫をすれば、同じ保障内容でも保険料を安く抑えられる可能性が高い。
保険料の予算を決めておき、予算の範囲内で必要な保障をカバーできるプランがないか検討しよう。
出来る限り条件の良い保険を選ぶ
具体的な保険商品を選ぶ際は、複数の保険会社・商品を比較して検討することが大切だ。
出来る限り良い条件で契約できる保険を探すためにも、さまざまなプランの保障内容・保険料を比べてみよう。
医療保険の保険料は保険会社によって計算方法が異なるため、同じ年齢で同じ保障内容を希望しても商品ごとに金額の差が生まれる。
月々で数十円・数百円の差であっても、10年以上にわたって保険料を負担していけば大きな差が広がる可能性がある。少しでも安い保険料で契約できる商品を探してみよう。
多くの保険会社では、公式サイトで保険料の概算を確認できる「保険料シミュレーション」を提供している。
年齢や希望の保障内容を入力するだけですぐに見積もりを取れるため、複数社の見積もりを取って比較することをおすすめする。
各保険会社の見積もり内容を比較し、自分にとってもっとも良い条件で契約できる医療保険を見つけ出そう。
まとめ
本記事では、「年収と医療保険の関連性」について解説した。
医療保険の保険料を年収ごとに見ていくと、年収の上昇と共に支払う保険料も高くなる傾向にある。
一方、年収が少ない世帯は、年収に対する保険料の割合がとりわけ高くなっている。
年収別の平均額を参考に、無理のない範囲で保険料を設定するようにしてほしい。
また、医療保険を選ぶ際には、加入目的を明確にした上で、必要な保障内容と保険料のバランスを見極めることが重要だ。
そのため、もし「保険料をいくらにするべきか」「どの医療保険に入るべきか」などの判断に迷ったら、保険のプロに相談することも積極的に検討してほしい。
一人一人に合ったアドバイスをもらうことで、あなたに必要な医療保険を的確に選択することができるはずだ。
また、保険のプロは数多く存在し、その中から自分にとって最適な担当を見つけるのは難しいだろう。
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