- 離婚した時、学資保険をどう取り扱うべきなのかわからない
- 学資保険の名義人変更の方法が知りたい
- 離婚時の学資保険の名義人に関するトラブルを防ぎたい
学資保険とは、一定期間にわたり保険料を払い込み、時期が来た際に子どもの教育資金を保険金や祝い金として受け取ることが出来る、貯蓄型の保険のことである。
学資保険に加入してから起こりうるトラブルとして、離婚時に学資保険をどう取り扱うか夫婦間で揉めるという事態が考えられる。
基本的には子どもの親権者が学資保険の契約者になるようにすべきであり、場合によっては名義人変更が必要になる可能性もあるだろう。
そこで本記事では、離婚時の学資保険の適切な取り扱い方や名義人変更の方法を解説する。
また、離婚時の学資保険に関するトラブルの防止法についても解説するので、参考にしてほしい。
トラブル回避のために!離婚時に学資保険をどう取り扱うべきか
結論から述べると、離婚時、生命保険や学資保険は財産分与の対象となる。
そもそも学資保険・財産分与とは何かを紹介した上で、離婚時における学資保険の取り扱いや、学資保険が財産分与の対象となる場合とならない場合について解説していく。
学資保険の基本
学資保険は、毎月決められた金額を保険料として支払い、子供の進学のタイミングや満期を迎えた時に保険金が受け取れる仕組みの保険で、次のようなメリットがある。
- 保険金を受け取るタイミングが選べる
- 着実に教育資金を貯められる
- 契約者に万が一のことがあれば保障内容そのままでその後の払込が免除される
- 医療保障が付加できる保険商品もある
契約の途中で契約者である親が死亡した場合は、その後の払込が免除されるが、保障は満期まで継続され、学資金が受け取れるのも特徴である。
成長過程の病気やケガに備えた医療保障が付けられる商品もあるが、このように特約を付加する場合は、支払った保険料に対してどのくらいの返戻金がもらえるのかを比率で表した「返戻率」が通常より低くなる傾向にある。
学資保険選びではこの返戻率がどの程度であるかも重要なポイントになり、返戻率が低いと保険金が払込保険料総額を下回る元本割れの状態にもなりかねない。
このような学資保険のデメリットについてはこちらの記事でまとめたあので、気になった方はあわせてチェックしていただくと、より理解が深まるはずだ。
財産分与とは?
財産分与とは、離婚したとき相手方に財産の分与を請求することができる制度。
結婚生活中に二人で築いてきた財産が対象で、貢献度に見合った量を分配することができる。
財産分与は、大きく分けて次の3種類の方法に分けられる。
- 精算的財産分与…夫婦の財産をそれぞれの貢献度に応じて分配する方法
- 扶養的財産分与…離婚後に片方が経済的困窮する場合、生計を補助する方法
- 慰謝料的財産分与…慰謝料もまとめて財産分与として請求する方法
財産分与の対象となる財産は預貯金の他に、家具財産・不動産・有価証券・退職金・年金などがあり、学資保険などの保険もその対象。
これらは、夫婦の収入に格差があった場合でも基本的に半分ずつを目安として譲り受けることができる。
例え相手方が財産分与に応じてくれない場合でも、民法768条により必要分を請求できると定められている。
ただし、財産分与は離婚後2年以内に行わなければいけないという期限があり、これをすぎると相手に請求できなくなり、「相手方に全財産を奪われた」「財産を勝手に使われた」というトラブルにもなりかねない。
これを避けるためにも、財産分与は離婚成立直後に話し合い、とりきめをしておくことが重要である。
ちなみに、ギャンブル等で個人的に借り入れた多額の借金などのマイナスな資産や、結婚前に個人で築いた財産については分与の対象とならない。
離婚時における学資保険の取り扱い
離婚後の学資保険は、契約者が解約して返戻金を受け取るか名義変更を申し出ない限り契約は継続される。
離婚後も学資保険の契約者が親権を持ち、引き続き滞りなく保険料を支払えるのであれば、特に変更手続き等は不要。
学資保険の財産分与には「名義変更による方法」と「解約返戻金を分ける方法」の2種類があり、それぞれ次のような違いがある。
名義変更による財産分与
離婚後の学資保険について、名義変更による財産分与を希望する場合は、次の2つをチェックしておく必要がある。
- 離婚後は誰が契約者となり、保険料を支払うのか
- 誰が保険金や祝金を受け取るのか
基本的には親権を持つ人が契約者となり保険金を受け取るケースが多いが、離婚後はそれぞれが別になるケースも珍しくない。
親権者と契約者・受取人が同一でない | 「親権者」を「受取人」として名義変更 |
親権者と契約者・受取人が同じ | 「契約者」が引き続き保険料を支払い |
このように「親権者」「契約者」「受取人」が誰であるかによって、どのように名義変更を行うかは異なる。
具体的な名義変更の方法については、記事の後半で詳しく解説しているので参考にしてみよう。
解約返戻金を分ける財産分与
学資保険は、子供が進学するまでの期間を目安として加入する積立型の保険だが、契約者からの申し出があればいつでも解約可能。
途中で解約した場合、払込期間に準じた「解約返戻金」を受け取ることができ、離婚時はこの解約返戻金を夫婦の財産とみなし、原則として1/2ずつ分けることができる。
学資保険は基本的に満期まで契約を継続しなければ、解約返戻金が払込金額を下回ることが多いため、解約時はいくら受け取ることができるのかを事前に確認しておこう。
また、保険商品によっては「1歳まで加入可能」など、保険の加入年齢に制限を持たせているものもある。
子供だけでなく、契約者にも年齢制限を設けている保険商品もあり、一度解約して再加入を検討する場合申し込み自体が受付できない場合もあるので要注意。
離婚後に生活保護の申請を行う予定がある人は、貯蓄目的の学資保険に新規加入ができないケースもあるので、解約前は夫婦でよく話し合い、取り決めをしておこう。
学資保険が財産分与の対象となる場合とならない場合
次に学資保険が財産分与の対象となる場合と、ならない場合の違いについて解説していく。
財産分与の対象となるのは、原則として「解約返戻金が発生するもの」とされている。
結婚前から加入していた学資保険については、結婚後は夫婦双方の貢献があって支払われてきたものとし、【離婚時の解約返戻金ー結婚時の解約返戻金】が財産分与の対象となる。
反対に、同じ解約返戻金が発生する場合でも、次の事例に関しては財産分与の対象外となる。
- 結婚前に全ての保険料を払い終えていたもの
- 結婚後に契約したものでも、婚姻前の個人の財産で支払われたもの
相手方がこれらの事例を真実として認めない場合には、支払いが完了したことや、支払いの原資が個人の財産であることを証明する必要がある。
学資保険の名義人を変更しないとトラブルに?学資保険の名義人を変更する方法
ここからは、離婚後の学資保険を名義変更して継続する場合の方法について解説していく。
名義人を変更しないと起こりうるトラブルについても解説していくので、財産分与を検討している人はぜひ参考にしていただきたい。
学資保険の名義人を変更しないと起こりうるトラブル
離婚後も学資保険を継続して利用する場合、次のようなトラブルに発展する可能性がある。
- 保険金を受け取った元配偶者が、親権者にお金を渡してくれない
- 離婚後に勝手に学資保険を解約された
- 契約者となる配偶者が支払いを滞納し、学資保険が失効となった
財産分与は離婚成立後、2年以内に行うと期限が決められており、これを過ぎてしまえば上記のようなトラブルに対処しづらくなる。
「契約者が未納を繰り返し、入学に必要な資金を用意できなかった」と、本来子供のためである保険が子供の未来を脅かす危険性もある。
離婚後も必要な時に、必要なお金や保障を確実に受け取るためにも、双方できちんと取り決めを行い、必要であれば名義変更を行う必要がある。
トラブル回避のために学資保険の名義人を変更する方法
現在加入している学資保険について名義変更を行う場合、まずは保険会社への連絡が必要。
名義変更の手続きができるのは、原則として保険の契約者のみ。
手続きの際は手元に「保険証券」などの書類を準備しておくとスムーズである。
ちなみに、名義変更をして契約者と受取人が変わると、保険金を受け取る際に贈与税が発生してしまう場合がある。
学資保険の受け取りにかかる税金の種類は次のとおり。
受け取り形態 | 税金の種類 |
契約者と受取人が別 | 贈与税 |
契約者と受取人が同じ | 所得税 |
同じ金額を受け取るならば、契約者と受取人を同一にして保険金を一括で受け取り、一時所得の形にすれば非課税もしくは税額が小さくなる。
このように、学資保険の名義変更を行う場合は税負担を軽減するためにも、受取人の変更も念頭に置いておきたい。
離婚時の学資保険に関するトラブルを防止するには
このように、離婚時における学資保険の取り扱いは契約者や名義人が誰になるかによって大きく変わる。
それ故にトラブルに発展するケースも少なくないだろう。
そこで、離婚時の学資保険に関するトラブル防止策や、その後の生活に必要なライフプラン再構築の重要性について解説していく。
離婚時の学資保険に関するトラブルを防止する対策
離婚時の学資保険に関するトラブルを防止するには、次のような対策が必要。
- 解約するか継続するかを早めに話し合う
- 学資保険の加入時の契約者・被保険者・受取人の関係を明確にしておく
今回紹介したように、離婚後の学資保険は財産分与の対象となるものの、本来は「子供の将来のために掛けた保険」であることを忘れてはいけない。
どちらが多くの財産を手にするかというよりも、できる限り税負担を減らし、将来的に子供が受け取れるお金を増やすというのが重要課題となる。
そのためにも、誰が保険金を受け取るかをよく話し合い、必要な手続きを行った上で実行しよう。
ライフプラン再構築の重要性
離婚後は家族の生活が大きく変化することが予想できるため、今後は「何にどれだけ備えたいか」あらためてライフプランを見直す必要がある。
結婚は予測できても、離婚というライフステージの変化は予想外の事態であるため、改めて学資保険の加入目的を明確にするためにもぜひ見直しを実施していただきたい。
ライフプランとは、その名の通り「人生の設計図」を意味しており、離婚後の生活や再婚の可能性などこれから起こるイベントを想定して必要経費を予測していくもの。
現在の状態を知り、こどもとじぶんの目標をかなえながら生活していくために、どの程度保険の加入内容を見直す必要があるのか、再検討していこう。
離婚時の学資保険の取り扱いを理解してトラブルを防ごう
本記事では、離婚時の学資保険の適切な取り扱い方や名義人変更の方法を解説した。
また、離婚時の学資保険に関するトラブルの防止法についても説明を行った。
学資保険は財産分与の対象になり、その方法は解約返戻金を分ける、または名義人を子どもの親権者に変更する、の2種類がある。
名義人の変更は、対応が遅れると勝手に保険を解約されてしまったり、保険料を滞納されてしまうなどのトラブルに発展する可能性がある。
早めに対応していく必要があるが、一人では不安だという人は、保険のプロに相談すると良いだろう。
専門家のアドバイスをもらうことで、離婚時にも学資保険の取り扱いを正しく進めることができるはずだ。
ただ、保険のプロは数多く存在し、自分にとって最適な担当なのかをすぐに見定めることもまた難しい。
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