- 医療保険の給付金が支給対象外になる場合があるか知りたい
- 医療保険の給付金が支払われない事態を防ぐ方法が知りたい
- 自分に合った医療保険を選ぶポイントが知りたい
医療保険には、病気で入院や手術をしても給付金の対象外になるケースが存在する。
医療保険に加入したのに、給付金が支給されないという事態は誰もが防ぎたいことだろう。
そこで本記事では、医療保険の給付金が支給対象外になる場合について、支給対象外になることを防ぐ方法も含めて詳しく解説する。
また、記事の最後には自分に合った医療保険を選ぶポイントも紹介する。
安心して医療保険を利用したいという方には、ぜひ参考にしてほしい。
医療保険の給付金が支給対象外になる場合
万一の怪我や病気のために医療保険に加入したのに、場合によっては給付金が支払われないというケースが存在する。
まずは、医療保険の給付金の支払い対象外となるケースについて順番に確認していこう。
具体的なケースを知っておけば、万が一の際に支給対象外となってしまうトラブルも防ぎやすくなるはずだ。
支払事由に該当しない場合
医療保険の給付金が受け取れるのは、保険会社が定義する「支払事由」に該当する場合のみだとなる。
逆にいうと、保険会社が定義する支払事由に該当しない場合は、給付金を受け取れない。
支払事由に該当しないケースは、大きく分けると以下の3つだ。
- 責任開始前に発病・診断された場合
- 入院期間が支払限度日数を超えた場合
- 支払い対象とならない手術を受けた場合
保険には、契約日とは別に責任開始日というものがある。
責任開始日とは、保険による保障が始まる日のことで、責任開始日前の病気や怪我による手術や入院は、原則として給付の対象外となるため注意しよう。
また、がん保険など診断によって給付金が支払われる保険も、責任開始日前に診断を受けた場合は給付金の支払い対象外となる。
がん保険の場合は、責任開始日から90日間は免責期間となっているため、その間に診断を受けても給付されない。
また、入院給付金が支払われる保険の場合、入院日数によっては支払限度日数に到達すると超過分の入院については給付金が支払われない。
支払限度日数は保険会社や商品によって異なるため、あらかじめ確認するのをおすすめする。
逆に、日帰り入院の場合や入院日数が短すぎる場合も、給付金の対象外となるケースが存在するためチェックしよう。
さらに、支払対象とならない手術を受けた場合も給付の対象外だ。
支払対象となるかどうかは保険会社や商品によって異なるが、一般的に病気や怪我の治療のためではない入院については給付の対象外となる。
- 美容目的のほくろ手術
- 美容整形のための入院・手術
- 虫歯や親知らずを抜く抜歯手術
ただし、同じほくろ除去手術を受けた場合も、悪性腫瘍の疑いがあるケースや、ほくろによって日常生活に支障が出るようなケースなど、医療機関で保険適用となる場合は、給付金支払いの対象となる可能性がある。
詳細については、各保険会社の約款やパンフレットを確認するか、担当者やコールセンターに問い合わせよう。
免責事由に該当した場合
保険会社の約款に定められる「免責事由」に該当する場合も、給付金支払いの対象外となる。
例えば、被保険者の薬物依存、泥酔、犯罪行為等で事故を起こして入院した場合などが該当する。
無免許運転によって生じた事故や酒気帯び運転による事故も同様だ。
これらは主に被保険者の過失によって引き起こされた事故であるため、加入者間の公平性を保つという観点から、給付を認めないものだと考えられる。
また、地震、噴火、津波などの自然災害および戦争やその他の変乱なども免責事由に該当するが、保険会社の判断やその程度によっては全部または一部の給付金が支払われるケースもある。
免責事由やその例外については各保険会社によって対応が異なるため、不明点がある場合は都度確認をおすすめする。
その他違反行為に該当した場合
支払事由に該当しない場合や免責事由に該当する場合のほか、その他違反行為に該当する場合も、給付金は支払われない。
例としては、以下の通りだ。
- 告知義務違反があった場合
- 重大事由による解除、詐欺・不法取得目的による取消・無効の場合
- 執行中に支払事由が生じた場合
医療保険の契約時に、告知義務違反があった場合は給付金が支払われないケースがある。
故意または重大な過失によって事実を通知しなかったり、虚偽の内容を告知したりした場合、契約が解除されて給付金等は支払われなくなる。
通常、被保険者の責任開始日から2年以上過ぎていた場合、告知義務違反があったとしても契約が解除されることはない。
しかし、「現在の医療では治療が難しいまたは死亡するリスクが高い疾病の既往歴・現症」等に該当する事項についてわざと告知を行わなかったなど、内容が重大だと認められる場合は、詐欺による取消を適用して保険金・給付金を支払わないケースも存在する。
また、給付金を搾取する目的で事故を起こしたときなどの重大事由で契約が解除となった場合も同様だ。
さらに、月払契約の場合で払込限月および猶予期間中に保険料の払い込みがなく、保険が失効してしまったあとに入院を開始したとしても、すでに契約は失効しているため給付金は支払われない。
ただし、払い込みの猶予期間中に入院した場合は、本来の給付金から保険料分を差し引いて支払われるのが一般的だ。
給付金が支給されない事態を防ぐには
医療保険に加入したにもかかわらず給付金が支払われなくて困る、という事態を防ぐために、いくつか注意したいポイントがある。
それぞれのポイントについて順番に解説していく。
保障開始のタイミングを把握しておく
まずは、医療保険の保障が始まるタイミングを事前にしっかり確認しておくことが大事だ。
保険は、契約を申し込んですぐに保障が開始されるわけではない。
保障が開始される日を「責任開始日」といい、多くの場合、以下の3つが全て完了した時点で保障が開始される。
- 保険契約の申し込み
- 告知または診査
- 第1回保険料の払い込み
上記の3つが完了すると、保険会社で契約を引き受けるかどうかの審査が行われる。
保険契約が成立すると、「告知または診査」「第1回保険料の払い込み」のどちらか遅い方が責任開始日となる仕組みだ。
保険会社によっては、保険契約が成立すると保険の申し込み日に遡って保障を行うというケースも存在する。
早く保障を開始したい場合は、ネットで申し込み可能な保険を選ぶのがおすすめだ。
申し込み手続きをパソコンやスマホなどで完結できて、書類を郵送するやりとりを省けてスムーズに手続きが終えられる。
また、保険料の支払い方法にも注意しよう。銀行引き落としの場合は引き落としまで時間がかかるため、その分保障が開始されるタイミングが遅くなる。
なるべく早く加入したいなら、第1回保険料はクレジットカード払いで払い込むようにしよう。
なお、がん保険の場合は、加入後に一定の免責期間が設けられているケースがほとんどだ。
免責期間は90日または3ヶ月に設定されていることが多く、免責期間中にがんの診断を受けたとしても給付金は受け取れず、保険契約は無効となる。
免責期間中にがんと診断されても保障は受けられないが、一般的ながん保険では免責期間中であっても保険料の支払いが必要だ。
保険会社の保障内容を確認する
どのような場合に給付金を受け取れるか、加入前に保障内容をしっかりと確認しておくことも重要だ。
給付の対象となる手術は、契約している保険会社や保険商品、契約するタイミングによって異なる場合がある。
最近は、公的医療保険の対象となる手術を手術給付金対象とする民間保険が増えてきている。
こうした保険では、病院または診療所において公的医療保険制度による医科診療報酬点数表に手術料の算定対象として列挙されている診療行為に該当する手術を受けたときに、手術給付金が支払われる。
なお、手術料の算定対象となっている手術であっても、保険会社の約款で給付対象外と定められている場合は、手術給付金は支払われないため注意しよう。
保険を請求する際は、まず自由診療なのか保険診療なのかを確認し、その上で正式な手術名を確認する。
手術名は、診療明細書や手術同意書・手術計画書などに記載されているのが一般的だ。
代表的な手術についての給付可否は、保険会社の約款やパンフレットなどに記載されているが、記載のない手術についてはコールセンターや担当者に確認しよう。
告知を正確に行う
医療保険の加入時には、健康状態や過去の既往歴に関する告知や診査が必要となる場合が多い。
過去の既往歴について虚偽の告知をしたり、服用中の薬を伝えなかったりすると、告知義務違反として保険契約が解除されるため、給付金も支払われない。
例えば、過去に慢性C型肝炎で通院していた人が、告知書で通院歴を正しく告知しないまま保険に加入し、契約1年後に慢性C型肝炎を原因とする肝がんで死亡した場合、給付金の対象とならない。
わざと嘘の告知をした場合に限らず、告知を忘れていた場合や入院期間を誤って伝えていた場合なども告知義務違反となるため気をつけよう。
なお、これまでに通院歴や入院歴があったとしても、それだけで保険に加入できなかったり、保険金が支払われなかったりするわけではない。
また、告知義務違反の対象となった事実と請求原因との間に因果関係がないと判断されれば、給付金が支払われるケースもある。
いずれにせよ、過去の通院・入院歴や健康状態については、必ず正しく告知するようにしよう。
不安な点がある場合は、コールセンターや営業担当者にあらかじめ確認するのをおすすめする。
自分に合う医療保険を選ぶためには
医療保険と一口に言っても、保険会社や商品によって保険でカバーできる範囲や月々の保険料、手術や入院時に支払われる給付金の金額は異なる。
自分が備えたいリスクについて適切にカバーされていないと、せっかく保険に加入したのにいざというときにお金を受け取れないというリスクが発生する。
また、幅広いリスクに万遍なく備えようとすると、必然的に保険料は高くなってしまう。
毎月の支出負担が大きくなると、家計の支出が圧迫されて日々の生活が苦しくなってしまうことも考えられる。
自分の生活を守るための保険なのに、そのために普段の生活が圧迫されてしまっては元も子もない。
適切な保険に加入するために、重要なポイントを押さえておこう。
主契約と特約の組み合わせを考える
まずは、主契約と特約の組み合わせに注目する。
医療保険は、怪我や病気による「入院や手術」に対する保障が主契約となっていて、さらに気になるリスクに備えられる「特約」を契約に付加できる。
特約は、保険会社や商品によって付加できる特約が異なり、一つの主契約に対して複数の特約を付加できるケースもある。
契約するタイミングにしか付加できず、契約の途中では付加できない特約などもあるため、保険に加入する際は、特約の有無も含めてしっかり確認するようにしよう。
特約には、以下のようなものがある。
先進医療特約 | 厚生労働省が認定する先進医療の治療を受けた際に保障が受けられる特約で、高額となりやすい先進医療の技術料をカバーできる |
がん特約 | がんを患った場合に、主契約の保障に上乗せして保障が受けられる特約や、一時金としてまとまった保障が受けられる特約などがある |
女性疾病特約 | 乳がんや子宮がん、子宮筋腫など女性特有の器官のがん・疾病および帝王切開などの異常分娩による入院の際に、主契約の保障に上乗せする形で保障が受けられる特約 |
入院一時金特約 | 不慮の事故や病気を原因として入院したときにまとまった一時金を受け取れる特約で、短期間の入院もカバーしやすい |
保険料払込免除特約(特則) | 一定の条件を満たした場合に、以後の保険料支払いが免除される特約 |
医療保険への加入を検討する際は、主契約と特約を含めて総合的なバランスを判断することが重要だ。
特約を付加すると保障内容は充実するが、代わりに保険料の負担は大きくなりやすくなる。
特約やコースには様々な種類があるため、いくつかの保険会社の商品を比較しつつ、自分に合った保障内容について考えてみるのをおすすめする。
保険料と払込期間を適切に設定する
保険料と払込期間をニーズに合わせて設定するのも大事だ。
自分の収入や将来のライフイベント、備えたいリスクなどに応じて払込期間を設定しつつ、余裕を持って支払える保険料に設定するのが望ましい。
払込期間とは、保険の契約者が保険料を支払う必要がある期間のことで、支払いが滞ってしまうと保障を受けられなくなる場合もある。
保険期間が終身である医療保険の中には、払込期間が一生涯続く終身払と、60歳や65歳などで支払いが終了する短期払がある。
払込期間が短くなる短期払ほど毎月の保険料は高くなり、生涯払い込みが続く終身払だと保険料は安くなりやすい。
人の死亡のタイミングはわからないが、一般的には長生きすると短期払の方が有利になると言えるだろう。
また、個人の年齢やライフプランによっても、適切な払込期間は変わってくる。
保障は働いている現役時代のみで良いという方は、保険期間や払込期間を短く設定して保険料を抑えると良い。
一方、若いうちから老後の保障も検討したいという方は、保険期間を終身にすると保障が一生涯続いて安心できる。
老後の年金から保険料を支払うのが不安だという場合は、保険期間は終身にしつつ払込期間は短期払いを選択するのもおすすめだ。
保障期間が十分か確認しておく
保険期間には、10年や20年など一定期間のみ保障を受けられる「定期型」と、一生涯保障が継続する「終身型」の2つのタイプがある。
終身型は年齢にかかわらず保障が継続するというメリットがあるが、その分保険料の負担は大きくなるという点がデメリットだ。
一方、定期型は一定期間で保障が終了してしまう分、毎月の保険料は終身型よりも安く設定されやすく、少ない保険料負担で病気や怪我のリスクに備えられる。
現在の収入や貯蓄の状況から、どちらのタイプが自分に合っているかをチェックすると良いだろう。
このように、医療保険を検討する際は、様々な観点から商品を比較して、自分に最適な保障を選択する必要がある。
自分自身で選ぶのが難しいと感じる場合は、保険のプロに相談しながらアドバイスをもらうのがおすすめだ。
「生命保険ナビ」では、信頼できる保険のプロをニーズに合わせて手軽に検索できるため、ぜひこの機会に利用してみてほしい。
まとめ
本記事では、医療保険の給付金が支給対象外になるケースと、給付金が支給されない事態を防ぐ方法について解説を行った。
また、自分に合う医療保険の選び方も紹介した。医療保険には保障対象から外れている病気や手術が存在する。
また、入院日数次第では保障がつかない場合もあるので、加入前には必ず保険の内容を確認しておこう。
さらに、告知義務違反や泥酔による怪我などの免責事由に該当した場合にも給付金は支払われない。
保険のルール違反となる行為をしないよう、注意してほしい。
もし、医療保険の保障内容や加入するべき保険の選択に迷ったら、保険のプロに相談することも積極的に検討してほしい。
一人一人に合ったアドバイスをもらうことで、あなたに必要な医療保険を的確に選択することができるはずだ。
また、保険のプロは数多く存在し、その中から自分にとって最適な担当を見つけるのは難しいだろう。
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