- 医療保険で給付対象となるものがわからない
- 民間の医療保険に加入する必要性がわからない
- 自分に最適な医療保険を見つける方法が知りたい
医療保険は病気やケガなどもしもの時に、自分や家族の生活を守る役割を果たす。
しかし、具体的にどんなものが給付対象となるのか、正確に理解しているだろうか。
また、公的医療保険が充実している日本で、民間の医療保険を利用する必要性はあるのだろうか。
本記事では、医療保険の給付の基本的知識や、加入の必要性について解説していく。
あなたが最適な医療保険を選ぶための参考になれば幸いだ。
医療保険の給付とは何か
怪我をして治療を受けたり、病気で入院や通院することになった際に利用するのが医療保険である。
医療保険は複数種類存在し、給付される費用も様々だ。一体どんな費用が支給されるのだろうか。
そこで本章では、主に公的医療保険に関する基礎知識について解説を行う。
医療保険の種類を解説
最初に、医療保険の種類について理解しておこう。
医療保険は公的医療保険と民間の医療保険の2種類があり、公的医療保険はそこからさらに細かく分類される。
先に、公的医療保険について解説する。
日本では国民皆保険制度が導入されており、基本的に全国民が医療保険へ加入しなければならない。
その対象となるのが、公的医療保険である。
公的医療保険は以下の5種類へ分類される。
- 健康保険組合(従業員700人以上の大企業で働く人とその扶養家族が加盟。健康保険が適用される。)
- 全国健康保険協会(中小企業で働く人と家族が加盟。健康保険や船員保険が適用される。)
- 共済組合(国家・地方公務員と私立学校の教職員、その家族が加盟。)
- 国民健康保険(上記組合に加盟していない国民が加入する。主に自営業者と家族が対象。)
- 後期高齢者医療制度(75歳以上の高齢者、もしくは寝たきりの65歳以上高齢者が利用する制度。)
上記制度により、本人が負担する医療費は原則3割ですむ。
さらに、後期高齢者医療制度では、後期高齢者医療広域連合が保険者となり、本人負担額が1割とごく少額になる。
公的医療保険制度とは別に、医療費の負担を軽減してくれるのが民間の医療保険である。
様々な医療保険が販売されており、中にはがんに特化したがん保険や脳卒中や心筋梗塞など特定疾病への保障が手厚いものも存在している。
公的医療保険で給付される費用とは
公的医療保険では、具体的にどんな費用が支給されるのだろうか。
まず、医療保険の給付には医療給付と現金給付の2種類が存在する。
医療給付は病気の治療に必要な費用を給付し、現金給付はそれ以外の費用を給付すると覚えると分かりやすい。
それぞれの給付について、対象となるケースや適用金額を以下の表にまとめたので確認してほしい。
医療給付
給付される費用の種類 | 費用の詳細説明 |
---|---|
療養給付 訪問看護療養費 | 病院にかかった時の費用を負担してくれる制度 年齢毎の負担割合は、以下の通り 〜6歳:8割 6歳〜69歳:7割 70歳〜74歳:8割、所得が一定以上ある場合は7割 75歳〜:9割、所得が一定以上ある場合は8割もしくは7割 |
入院時食事療養費 | 入院中の食事代を支給する制度で一食あたり460円 低所得者(住民税非課税世帯)の場合は、一食あたり210円 入院が90日を超えると160円に下がり、70歳以上の低所得者の場合は100円まで下がる |
入院時生活療養費 | 65歳以上の高齢者が入院する場合に生活費を追加支給する制度で1日当たり370円 低所得者でも同じ額が支給されるが、老齢年金を受給している場合は支給されない |
高額療養費 | 所得や年齢に応じて月額の医療費上限額が定められ、超えた分の医療費が支給される 制度1年間で4ヶ月以上適用される場合は上限金額が下がり、69歳以下と70〜74歳で費用の計算式が変わる 詳細な計算式はこちらを参照(参考:全国健康保険協会「高額療養費」) |
現金給付
給付される費用の種類 | 費用の詳細説明 |
出産育児一時金 | 保険の加入者もしくは扶養家族が出産すると費用が支給される 金額は原則42万円だったが、令和5年4月以降は50万円に増額された 詳細はこちらを参照(参考:全国健康保険協会「出産に関する給付」2023年11月調査) 国民健康保険の場合は、条例等で金額変更がなされる場合がある |
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埋葬料 | 保険の加入者もしくは扶養家族が死亡した場合、費用が支給される 健康保険や共済組合は定額5万円だが、国民健康保険や後期高齢者医療制度では条例で定められた金額が支給される |
傷病手当金 | 保険の加入者が傷病で就労できなくなった場合に最長1年6ヶ月にわたって費用を支給する制度 詳細な計算式はこちらを参照(参考:全国健康保険協会「傷病手当金」2023年11月調査)また、国民健康保険と後期高齢者医療制度では任意給付であり、給付実績無し |
出産手当金 | 保険の加入者が産休中に就労できない場合に、出産日42日前〜出産後56日の範囲内で費用が支給される制度 詳細はこちらを参照(参考:全国健康保険協会「出産に関する給付」2023年11月調査) 出産育児一時金との併用ができないため、どちらかを選択する必要がある 傷病手当金と同じく、国民健康保険では支給されない |
上記のように、公的医療保険では様々な種類の費用が給付されている。
公的医療保険の給付対象外になる費用
公的医療保険の対象範囲は広いが、一部対象外の費用も存在する。
対象外になる費用としては、主に以下のものが挙げられる。
- 入院時に個室へ移る場合の差額ベッド代
- 高度な技術を必要とする先進医療や保険適用外の手術を受ける費用
- 整骨院や鍼きゅうなどで身体の施術を受ける費用
- 健康診断や予防接種の費用
- 美容整形に関する手術費用
上記費用は高額になりやすいものが多く、費用を準備しておく必要がある。
ではどのように用意すれば良いのか。その疑問を解消すべく、次章にて解説を行う。
民間の医療保険の給付を受ける必要はあるのか?
公的医療保険で給付されない費用については、民間の医療保険を利用することで賄うことが可能だ。
ただ、具体的にどれくらいの費用が給付されるのか、またそもそも加入すべきか判断する基準について、知りたいという人もいるだろう。
そこで本章では、「民間の医療保険で給付を受けるべきなのか?」という問いに対して解説を行う。
民間の医療保険で支給される費用を解説
最初に、民間の医療保険でどれくらいの費用が賄われるのか解説しよう。
ここでは、チューリッヒ生命の終身医療保険「プレミアムZ」へ30歳男性が加入した場合を例に挙げる。
支払われる費用や必要な保険料は以下の通りだ。
月額保険料 | 1,218円 |
---|---|
入院給付金 | 1日につき、5,000円 |
支払限度日数 | 60日(1度の入院で入院給付金が支給される限界の日数) |
手術や治療時の給付金 | 外来の手術・・・2.5万円 放射線治療・・・5万円骨髄 ドナー・・・5万円 |
先進医療を受ける時の 給付金 | 先進医療を受ける時にかかった費用(最大2,000万円まで)+支援給付金(最大15万円) |
入院した時に給付される一時金 | 1回3万円、同じ病気やケガを原因として、退院日の翌日から180日以内に再入院をした場は支払なし |
毎月の保険料支払いは必要になるが、前述した差額ベッド代や先進医療など、必要な費用が高額になりがちな医療費を賄うことができる。民間の医療保険を利用する必要性は大いにあると言える。
医療保険に加入するべきか判断するには
具体的な金額を見て、医療保険への加入を考え始めた人もいるだろう。
では、医療保険へ加入するべきか、判断するポイントにはどのような点が挙げられるのだろうか。
まずは、将来に向けて貯蓄が十分か、という点を検討しよう。
貯蓄もできていない状態で、月々の保険料を支払ってまで医療保険に入る必要はない、と考える人もいるだろう。
ただ、そういった人こそ早めに加入を検討する必要がある。
なぜなら、年齢が若く健康状態が良いうちに医療保険を選ぶほど、入れる保険の選択肢は多く、保険料も安く抑えられるからだ。
若いうちは病気や怪我になりにくく、保険金を支払うリスクが低いため、条件が良くなりやすいのだ。
将来の医療費が心配な人は、医療保険へ加入すべきだと言える。
また、国民健康保険の加入者、主に自営業の方々も医療保険を利用する必要性が高い。
前章でも述べたが、国民健康保険は、現金給付が支給されない、もしくは他の健康保険と比較して支給金額が少なくなりやすい。
特に入院中に得られるはずだった就労収入の一部を支給する傷病手当金が利用できないため、入院時のリスクは他の健康保険加入者と比べて格段に高い。
そのため、足りない部分を民間の医療保険で補う必要があると言えるだろう。
なお、医療保険の保障範囲についてはこちらの記事でも詳しくまとめている。また、保障内容をどのように選ぶべきかについても解説しているので、合わせて参考にしてみてほしい。
医療保険を利用する際の注意点
ここまで民間の医療保険について解説したが、利用する際にはいくつか注意点がある。
まず、医療保険に加入しても保険金が給付されない場合があることは認識しておこう。
下記のような状況だと、給付金は支給されない。
- 責任開始日(医療保険の保障が始まる日)より前に保障が必要になった場合
- 医療保険の給付金が支給される上限日数を超えた場合
- 告知義務違反(保険会社へ伝えるべき情報を伝えていない・嘘の情報を伝えるなど)があった場合
特に、告知義務違反の際には保険の契約が無効になり、最悪の場合違約金を支払わなくてはならない。保険会社への告知は確実に行うようにしよう。
また、健康状態や年齢によっては加入できない医療保険があることも理解しておこう。
前述した通り、若くて健康な場合は選べる保険の幅が広くなる。
裏を返せば、病気に罹患している、もしくは歳を重ねると保険への加入を断られるケースが増えてくるのだ。
保険金がすぐに必要になる人の加入を、簡単に認めるわけにはいかないのである。
ただ、加入条件が緩い引受基準緩和型医療保険などであれば加入できる可能性はある。
どうしても医療保険へ入りたい場合は、検討すると良いだろう。
自分に最適な医療保険の選び方
ここまで、民間の医療保険で給付を受ける必要性について説明してきた。
加入すべきか判断する参考となったのではないか。ただ、実際に医療保険を選ぶことになった際に、どのような点を重視すべきか知りたいという人もいるだろう。
そこで本章では、「自分に適した医療保険を選ぶポイント」について解説する。
自分のライフプランに合わせて選ぶ
まずは、自分のライフプランに必要な保障内容を考えるとよいだろう。
年齢や養う家族の有無によって必要な保障内容は変化してくる。
例えば、20代独身の場合、養うべき家族はまだいない。
また、収入も少ないため、医療保険の保障内容は必要最小限に留め、月額保険料を安くすることに注力すべきだと言える。
また、40代で小学生や中学生の子どもがいる場合は、住宅ローンや教育費など、直近で用意すべき費用が多い。
また、老後の資金準備も始めた方が良い年代だ。
つまり、必要な金額が大きい分、働き手が入院することで生活が保てなくなるリスクも高いのだ。
家族の生活を保障するためにも、給付金の費用を増やすなど保障を手厚くしておくべきだと言えるだろう。
このように、自分のライフスタイルを考えると、必要な医療保険が見えてくるだろう。
加入する目的を明確にする
また、自分が備えたい疾病がどれなのかはっきりさせることで、必要な医療保険が選びやすくなる。
例えば、がんに備えたいと考えるのであれば、がんへの保障が手厚いがん保険に加入すべきである。
がん保険には、通常の医療保険で支給される入院給付金以外に、がんと診断された時に給付される診断一時金やがん特有の治療(放射線治療など)時に給付される治療給付金がついていることが多い。
ただ、がん保険は基本的にそれ以外の病気への保障が備わっていない。
他の疾患も保障内容に含めたい場合は、医療保険にがん保障の特約を付けることも選択肢になる。
がん保険より保障面は薄くなってしまうが、対応できる疾病の幅は広がる。
また、妊娠出産を含む女性特有の疾患に備えたいのであれば、女性専用の医療保険を利用すべきだろう。
子宮頸がんなどで入院した場合に、支給される費用が通常の医療保険より多くなる。
各社から様々なプランの女性保険が販売されているため、複数の会社を比較するとより自分に適した医療保険が選べるようになるだろう。
上記のように、「なぜ自分は医療保険に加入したいのか?」を追求することで、入るべき医療保険が見えてくるはずだ。
無理のない範囲で保険料を設定する
最後に、保険料は必ず無理のない範囲で設定するように心がけよう。
いくら備えたい疾病があるとはいえ、保険料が高すぎて家計が圧迫され、途中解約となってしまっては本末転倒だ。支払いを継続して続けられる金額に設定するようにしよう。
メディケア生命の終身医療保険「新メディフィットA」を例に解説する。
30歳男性で、入院給付金5,000円・支払限度日数60日・手術給付金5万円で設定した場合、月々の保険料は1,035円となる。
これに加えて、抗がん剤治療への給付金・がんによる入院時の一時金を追加すると、保険料は2,025円となる。
がんに対する保障を手厚くしたいと考えると、保険料が約2倍になるのだ。
給付される金額を手厚くしようとすると、その分保険料も高くなる。
自分に必要な保障内容と保険料のバランスを取ることを、忘れないようにしよう。
公的医療保険と民間の医療保険の給付を利用することで、自身や家族の万一の際の生活を守ることが出来る。
本記事を参考にして、医療保険を上手に活用できるようにしてほしい。
まとめ
本記事では、医療保険の給付の基本的知識や、加入の必要性について解説した。
また、記事の最後には自分に適した医療保険の選び方も説明した。
日本では、公的医療保険が充実しており、医療以外に出産育児一時金など生活に関する費用も支給される場合がある。
ただ、公的医療保険で賄えない費用もあるため、民間の医療保険も併用する必要性は高い。
医療保険を選ぶ際は、自分のライフプランや加入する目的を明確にして、保険料とのバランスを考えながら自分に合うものを選択する必要がある。
ただ、自分ひとりで将来のリスクを完璧に把握し、必要な保障内容を設定することは難しいだろう。
そんな時は、保険のプロに相談することも検討しよう。
一人一人に合ったアドバイスをもらうことで、あなたに必要な医療保険を的確に選ぶことができるはずだ。
また、保険のプロは数多く存在し、その中から自分にとって最適な担当を見つけるのは難しいだろう。
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