- 医療保険と共済の違いを把握したい
- 医療保険と共済のどちらを選ぶべきか知りたい
- 自分に適した医療保険を選択するためのポイントを抑えたい
医療保険にかかる費用が少し負担に感じている方も多いだろう。
そんなとき、解決策として掛け金がお手頃な共済を思い浮かべる方もいるのではないだろうか。
しかし、本当に共済が最適なのだろうか。安くできたとしても、いざという時に保障が不足することは避けたい。
本記事では、医療保険と共済の違いや自分に適した医療保険の選択方法について解説していく。
医療保険への加入を検討している方や既に加入している保険を見直したいと考えている方は、ぜひ最後まで読んで参考にしてほしい。
医療保険と共済の違いが知りたい!
あなたは共済と言われてどんなイメージを持つだろうか。
医療保険と同様に疾病への保障を備えることができるものだが、一体どれくらいの範囲を保障してくれるのだろうか。
そこで本章では、医療保険と共済の種類やお互いの相違点について解説する。
医療保険の種類と特徴
まず、医療保険の種類を把握しておこう。
医療保険には、公的医療保険と民間の医療保険の2種類が存在する。
今回は共済と比較するため、民間の医療保険について紹介する。
民間の医療保険について、以下の表で種類別にまとめた。
定期医療保険 | 保険期間が決まっている医療保険。(1年、5年、10年など)保険期間が短い分、保険料は他の医療保険よりも安くなる。 期間終了後も同じ保険を利用したい場合は、更新が必要になり、年齢の上昇と共に保険料も上昇していく。 |
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終身医療保険 | 保険期間が生涯にわたって続く医療保険。 保険料も同じ金額で生涯保障されるため、最終的な保険料は定期医療保険よりも安くなる。 |
がん保険 | がんに対する保障に特化した医療保険。 がん以外の疾患に対応していない代わりに、がん特有の手術に対する給付金など他の医療保険にはない保障内容が多くなっている。 |
女性保険 | 女性特有の疾患(子宮頸がんや妊娠出産に関する治療など)に対する保障が手厚い医療保険。 定期医療保険や終身医療保険に、女性疾病への保障を広げる特約が付加された物が多い。 |
引受基準緩和型医療保険 | 高齢者や持病のある方など、通常の医療保険には加入できない人でも加入できる医療保険。 加入時の審査は緩いが、その分保険料は高額。 |
このように民間の医療保険には様々な種類があり、自分が求めている保障内容の保険を探していく必要があると言える。
共済の種類と特徴
続いて、共済の種類と特徴について解説する。
前提として、共済とは「お互いに助け合う」ことを意味する言葉だ。
今回説明する共済は、特定の組合が組合員に対して行っている「共済事業」のことを指している。
組合員が支払う共済掛金を元に、入院や家・自動車の事故など不慮の事態が起きた際に共済金が支払われる。
提供される共済には、損害保障(ものに対する保障)と生命保障(人に対する保障)の2種類が存在する。
このうち医療保険と対比になるのは生命保障の共済だ。
提供している共済の種類は団体別で異なるため、以下の表を参考にしてほしい。
共済実施組合 | 会員団体 |
---|---|
農業協同組合 | JA共済連(農業を営む人の団体) |
漁業協同組合 | JF共済連(漁業を営む人の団体) |
こくみん共済 coop 全労済 (いわゆる労働組合が対象の共済) | |
コープ共済連 (コープ生協が提供する共済) | |
生活協同組合 | 全国生協連(県民共済) |
防生協(防衛省の共済) | |
神奈川県民共済 (神奈川県の県民共済、全国生協連とは別に存在する) | |
事業協同組合 | 日火連(消防士の団体) |
中済連(中小企業の団体) |
農業や漁業などの自営業者から、消防士などの公務員まで様々な職種の人が共済に加入することができる。
医療保険と共済の違いとは
民間の医療保険や共済の種類や特徴については、理解できただろう。
では、両者の違いはどういった点にあるのだろうか。
最も大きな違いは「営利目的で提供しているかどうか」という点となる。
民間の医療保険は、保険会社に資金を提供している人達へ配当を行わなければならない。
そのため、どうしても営利を追求せざるを得ない部分がある。
一方、共済については組合員への奉仕を目的としており、運営も組合員で行っているため、営利を追求する必要はない。
組合の内部で資金の流れが完結しているのである。
また、保険の加入対象者や根拠法令も異なってくる。
民間の医療保険は保険業法が元となっており、販売する人々に縛りはない。
これに対して共済は、JA共済は農業協同組合法、生協は消費生活協同組合法など、団体ごとに根拠法令が異なる。
更に、加入できるのは原則として、組合員とその家族のみだ。
共済を利用したい場合は、組合への加入が基本的に必要となるのである。
上記のように、両者が提供されている背景や販売条件は大きく異なるのだ。
医療保険と共済はどちらを選ぶべきなのか?
ここまでの説明で、医療保険と共済に対する理解が深まったと思う。
では、加入するとなった際にはどちらを選ぶべきなのだろうか。
そこで本章では、共済と医療保険、それぞれのメリットとデメリットを取り上げ、最後にどちらを利用すべきなのか解説する。
共済のメリット・デメリット
まずは共済のメリットとデメリットを確認しよう。
メリットとしては、「保障内容が分かりやすく、費用も安い」「割戻金がもらえる場合がある」といった点が挙げられる。
共済で提供される保障内容は非常にシンプルだ。そのため、自分が希望するプランを選びやすく、迷いにくいのは大きなメリットになる。
また、前述したように営利を追求したものではないため、月々に支払う料金も割安だ。
さらに、決算の結果余剰金が出た場合は、割戻金という形で支払った料金が戻ってくる。
利用する側にとっても嬉しい制度だろう。
デメリットとしては、「高齢になると保障金額が不足する場合がある」「自分に必要な保障内容をカスタマイズすることが難しい」という点になるだろう。
保障内容がシンプルということは、その分支払われる金額も少なくなる。
そのため、歳を重ねて疾病にかかることが増えてくると、保障が心許なくなる場合がある。
医療保険と同様に、特約を付加して保障内容を手厚くすることもできる。
ただ、付加できる内容が限られており、自分で保険内容をカスタマイズしたい人にとっては共済は向いていない場合がある。
それぞれの点について、全労済が提供する「終身医療プラン・ベーシックタイプ」を参考に確認してみよう。
30歳男性が入院給付金日額5,000円・支払限度日数60日・先進医療特約付きで加入し、終身払いを選択した場合の月額掛金は2,080円だ。
また、2022年度であれば割戻金が300円程度戻ってくる。
ただ、がんや女性特有の病気に関する保障は設けられておらず、特約で付加することもできない。
共済は、比較的割安な保険料で保障を備えられるが、保障範囲が物足りない場合も多い、ということを認識しておこう。
医療保険のメリット・デメリット
次に、医療保険について考えてみよう。
医療保険を利用するメリットには「自分に合わせた保障内容を付加できる」「保障期間を長期間にすることで、高齢時でも安心できる」という2点が挙げられるだろう。
民間の医療保険は、様々な会社から提供されていて保障内容も多岐にわたる。
そのため、自分に合わせた保障内容を選択することが可能だ。プランが限られる共済と比較して、これは明確に優れた点と言える。
また、付加できる特約の種類も多いため、高齢時に利用することを考えて保障内容を手厚くすることも可能だ。
自分に必要な保障内容を考えられる人であれば、医療保険を効果的に活用できる可能性も高くなる。
デメリットとしては、やはり「保険料が高額になりやすい」ことが挙げられるだろう。
例えば、SBI生命の終身医療保険「SBI生命の終身医療保険Neo」に30歳男性が入院給付金日額5,000円・支払限度日数60日・先進医療特約付きで加入する場合を考えてみよう。
これは、前述した全労済の商品と同様の条件だ。ここで、保障内容の範囲が広い「保障充実プラン」に加入した場合、月額の保険料は3,283円となる。
特約の種類が増えると、料金も割高になるのだ。
ただ、保障内容をシンプルにした「基本プラン」であれば保険料は1,010円になる。
どちらに加入すべき?
ここまでの説明で、自分がどちらに加入すべきか、悩ましくなったという人もいるだろう。
結論としては、「医療保険の方が選択肢が多くおすすめである」と言える。
共済は選択できるプランや付加できる特約が限られており、保障内容が足りなくなる可能性もある。
一方医療保険であれば、選べる保障内容は格段に広くなる。
また、前述した医療保険の通り、うまく調整すれば共済よりも保険料を抑えられる可能性もある。なお、これには自分に必要な保障内容の取捨選択が重要になる。
このように、医療保険を上手に活用すれば、安い保険料で十分な保障内容を備えることができる。
最後の章で、自分に最適な医療保険を選ぶためのポイントを解説しよう。
自分に適した医療保険を選ぶポイント
医療保険を利用すべきなのは分かったが、自分に最適な医療保険を選ぶにはどうするべきか、知っておきたいという人もいるだろう。
最後の章では、自分に必要な医療保険を選ぶためのポイントを3点解説する。
保険期間や払込期間を考える
まずは、医療保険の保険期間や払込期間をどうするか、考えておくようにしよう。
保険期間は、医療保険の保障がいつまで続くかを表している。
期間が定まっている定期タイプと、生涯にわたって保障がある終身タイプの2種類がある。
定期タイプの方が期間が短いため、月額の保険料は安くなる。
ただ、定期タイプを継続して利用するには更新が必要になり、年齢と共に保険料は上昇していく。
長期で利用したい場合は、終身タイプの方が安く済む場合もあるため、どれくらいの期間保障を備えたいか事前に考えておくようにしよう。
また、保険料の払込期間についても考えておくべきだ。払込期間とは、保険料を支払う期間のことを指し、保険期間満了前に支払いを終える短期払いと、満了まで払い続ける終身払いの2種類が存在する。
短期払いにすると、1回で支払う保険料の金額は終身払いよりも高くなる。
ただ、支払う保険料の総額は短期払いの方が低くなる。費用さえ用意できるのであれば、短期払いの方がお得になるのだ。
また、保険会社によっては1年間で保険料を支払う回数も年払い・半年払い・月払いなど細かく設けられている。
自分が支払える保険料の金額に合わせて、設定するようにしよう。
保障額が足りているか確認する
保険期間や払込期間が決まったら、次にどれくらいの保障額が必要かを考えよう。
医療保険で賄うべき保障額は「入院時に支払わなくてはならない自己負担費用+逸失収入の額」で考えると分かりやすい。
自己負担費用となるのは、入院時に個室へ移動した際の差額ベッド代やがんなどの病気に関する専門の治療を受けた時の金額だ。
また、逸失収入とは入院したことで収入が失われ、実質的に負担している費用が増えることを指す。
毎月の給与からも、どれくらいの費用を医療保険で補填すればいいのかを事前に考えておこう。
医療保険の基本的な保障内容は、入院した時に給付金が受け取れるものである。
ただ、がんのような通院治療をメインとする病気に対して、通院保障や診断一時金などの保障を備えている保険もある。
例えば、アフラックのがん保険『「生きる」を創るがん保険 WINGS』であれば、がんの診断一時金だけでも3種類存在し、1回につき50万円が支給される。
さらに入院・通院時に1日当たり1万円が支給され、放射線治療など専門の治療を受けた場合は3〜10万円以内の費用が支給される。
上記保険へ加入すれば、がんに対する保障として100万円以上の給付金を受け取れる可能性もある。
また、特約を付加すればさらに保障を充実させることができる。
万が一疾病に罹患した時、必要な費用の金額を計算しておくと、医療保険が選びやすくなるはずだ。
ライフステージに合わせて必要な医療保険を選ぶ
保障内容は各保険会社によって異なるため、医療保険を選ぶには複数の会社を比較する必要がある。
決めるのに悩んだ際は、自分の生活状況や年齢などライフステージを考慮すると良い。
例えば、30代既婚で子どもがいない家庭の場合、夫(妻)の生活を保障する必要がある。
入院による収入の減少から家族の生活を守らなければならない。
そのため、医療保険の入院給付金を少し高めに設定するなど、生活を守れる保険を探す必要があるだろう。
また、子どもが自立し始める50代は、現在加入している医療保険を見直し、必要に応じて新しい保険へ入ることも検討すべき時期と言える。
家族への保障を手厚くしすぎている場合は特約を外す、または自身の将来に向けて必要な内容を備えた保険に加入するなどの取り組みが必要になるだろう。
自身のライフスタイルを考えることで、必要な医療保険も同時に見えてくる。
自分に最適な医療保険を選ぶことができれば、あなたの生活はより安定したものとなるだろう。
本記事が少しでも参考になれば幸いだ。
まとめ
本記事では、「医療保険と共済のどちらを利用すべきか?」について解説した。
共済は営利を目的とせず、組合員から集めた掛金を元に保障を提供している。
民間の医療保険と比べて保険料は安く、保障内容もシンプルで分かりやすい。
ただ、高齢になると保障内容が不足するリスクもある。
一方医療保険であれば必要な保障をカスタマイズできるため、特に長期的な保障を考えるのであればおすすめだと言える。
医療保険は各保険会社から様々なプランが販売されているが、その中でライフステージに合わせた保険を選ぶことを忘れないようにしてほしい。
もし、一人で自分に合った保険を判断することに少しでも疑問や不安があれば、保険のプロに相談することも積極的に検討しよう。
一人一人に合ったアドバイスをもらうことで、あなたに合った選択ができるはずだ。
また、保険のプロは数多く存在し、その中から自分にとって最適な担当を見つけることは難しいだろう。
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