- 生命保険がいらない理由を知りたい
- 自分は生命保険に加入する必要があるのかどうか把握したい
- 生命保険に加入するメリットデメリットを理解したい
最近、生命保険はいらないという意見を耳にすることが増えたのではないだろうか。
本記事では、生命保険は本当にいらないのかどうか、自分は加入する必要があるのかどうか、加入するメリット・デメリットなどについて解説していく。
生命保険への加入を検討している方や、既に加入している方でプランを見直したい方は、ぜひ参考にしてみてほしい。
生命保険がいらないと言われる理由
民間の保険会社で加入する生命保険について、加入している人もいれば未加入の人もいるだろう。
公益財団法人生命保険文化センターがまとめた調査によると、生命保険に加入している人の割合は79.8%という結果だった。言い換えると、約2割の人は生命保険に加入していないことになる。
なお、ここでいう「生命保険」とは、死亡保障や医療保障などを含む各種保険のことを指している。
広義の生命保険は怪我や病気、介護などの備えを含めた保障を指すが、狭義の生命保険は、死亡または高度障害状態に認定された場合に保険金が支払われる死亡保険をいうものだ。
生命保険には意味するものが大きく2種類あるため、以下では、それぞれの意味における生命保険について、不要と言われる理由を3つの観点から解説しよう。
国民皆保険制度で遺族年金があるから
狭義の生命保険がいらないと言われる理由の1つ目が、国民皆保険・国民皆年金制度があるからである。
日本に住む限り、全員が健康保険に加入しなければならず、そのおかげで保険料を一部負担するだけで医療を受けられている。
なかでも、一家の大黒柱を失った場合は遺族年金が支払われるため、一定程度の保障を受けられる仕組みが整備されているのだ。
具体的な金額は状況によって異なるものの、子どもがいる場合は年間に130〜150万円程度支給され、18歳を迎える年まで支給される仕組みがある。
ただし、厚生年金と国民年金では遺族年金の仕組みが異なり、厚生年金に加入している会社員のほうが保障は手厚く、個人事業主の場合は遺族基礎年金のみ支給される点には注意が必要だ。
また、医療保険(広義の生命保険)に関しては、高額療養費制度があることから毎月の治療費を一定額負担するだけで済むため、必要性が乏しいと感じる人も多い。
しかし、差額ベッド代や先進医療に関しては自己負担となるため、必ずしも医療費を安価に抑えられる保証はない点には注意が必要である。
生命保険を利用するケースが稀だから
死亡または高度障害状態に該当した場合に保険金が支払われる狭義の生命保険の特質上、保険金が支払われるケースは極めて稀と言わざるを得ない。
特に、若年層の場合は生命保険の必要性を感じない人も多いだろう。
厚生労働省がまとめた「令和4年簡易生命表」によると、40歳まで生存する人の割合は男性が98.4%、女性が98.9%とされている。
65歳までの割合は男性が89.6%、女性が94.4%という結果で、死亡する確率は相当低いことがわかる。
30歳の場合における死亡率はさらに低いことが予想されるため、生命保険の必要性を感じにくいのは無理もないだろう。
結婚して子どもが生まれた場合には守るべき家族ができるため、万が一に備える必要性は高まる。
しかし、単身者の場合は必要性の乏しい生命保険料を支払うくらいなら、自己投資や投資信託などの購入に充てたほうが期待リターンも高まるだろう。
貯蓄しておけば対応できるから
生命保険が不要であると感じる点として、貯蓄で対応できるという点も考えられる。
人によって状況が異なるため一概には言えないが、扶養する家族がいない場合や子どものいない共働き夫婦の場合などであれば、まとまった額の保障は必要ないだろう。
もちろん、単身者の場合は自分の身を守れるだけの資産があれば十分である。
しかし、もしもの事態が起きた際に必要な額は千差万別であり、長期間仕事ができなかったり、障害が残って今までどおり働けなくなる可能性もゼロではない。
ただし、こうした「万が一の事態」というものが起きるのは稀であることは先ほど解説したとおりであり、リスク許容度が高いまたは大きい人にとっては生命保険は不要と感じるだろう。
また、厚生年金に加入している会社員の場合、怪我や病気で長期間働けない場合には傷病手当金が支払われる。
給与の約3分の2が最長1年半にわたって毎月支払われるため、ある程度の貯蓄があれば、就業不能保険や医療保険は不要であると判断する人もいるだろう。
保険は本当にいらないの?生命保険の必要性
生命保険はいらないと考える人がいるのは事実であるものの、現に約80%の人が保険に加入しており、必要性を感じている。
先ほどの生命保険文化センターの調査によると、20代の加入割合は46.4%であるが、30代は81.5%と急激に増え、50代の86.9%が最多となっている。
ここでは、生命保険のメリット・デメリットを解説したうえで、加入を検討すべき人とそうでない人の特徴を解説しよう。
生命保険に加入するメリット
生命保険に加入するメリットは以下のとおりだ。
- 万が一の事態に備えられる
- 安心して毎日を過ごせる
- 節税効果も期待できる
- 保険として備えつつ将来に向けて貯蓄もできる
保険の本質的な役割・効果は「加入による毎日の安心を手に入れられる」という点だ。
保険金が支払われるのは自身の身に何かが起きた場合で、つまるところ、不幸な状態になってしまった時に家族を含めてのしかかる経済的負担を緩和する仕組みになっているのである。
言い換えると、健康体でい続けられると結果的に保険料の支払い損になるのが保険の根本的な仕組みなのだ。
そのため、万が一の事態に備えられ、安心して毎日を過ごせるのは大きなメリットになる一方、保険料を払い続けるのはデメリットになり得るのである。
ほかにも、各種生命保険には「生命保険料控除」と呼ばれる税金の優遇制度が用意されている。
上限は定められているが、所得税と住民税の減税効果も期待できるのだ。
詳しくは下記の記事を参照してほしい。
さらに、保険の種類によっては解約時に返戻金があるため、保険として用意しつつ、将来への貯蓄もできるのはメリットだろう。
老後資金を貯めるための個人年金保険に限らず、生命保険の解約返戻金を教育資金に充てる使い方もできる点はメリットになるだろう。
生命保険に加入するデメリット
生命保険にはデメリットもある。
- 支払い事由に該当せず満了する場合もある
- 中途解約すると元本割れする可能性がある
- 資金を一定期間拘束させることになる
生命保険は保険金の支払い事由に該当しない限り保険金が支払われないため、場合によっては払い損になることもある点は大きなデメリットだろう。
実際、生命保険が不要だと考える人の多くが、この点をネックに感じているはずだ。
健康体であり、万が一の事態が起きないのは何よりである一方、支払った保険料が返ってこない点に勿体なさを感じるのは無理もない。
ただし、保険商品によっては解約時の返戻金を用意していたり、満期保険金として保険料が返ってきたりするため、選択の余地があるのは事実だ。
また、返戻金のある生命保険の場合、中途解約することで元本を下回る金額しか返ってこない場合もある点には注意が必要である。
関連して、生命保険は長期間にわたって保険料を支払い続け、その保険料を保険会社が運用して収益を出している側面がある。
運用収益を出すにはまとまった期間が必要で、長期にわたるほど複利効果が働くのは事実だ。
元本割れを避けたい場合は保険に長期間加入するのを強いられるため、その期間は資金を拘束することになってしまう。
ほかに資産運用する手段があったり、緊急性高く資産を用意する必要があったりする場合は、保険に加入して資産を拘束させることにデメリットを感じるだろう。
生命保険が必要な人
生命保険の加入を積極的に検討したほうが良い人は、以下のとおりだ。
- 扶養家族がいる人
- 貯蓄だけでは備えられない人
- 老後に向けて資金を用意したい人
- 節税対策を視野に入れている人
- 個人事業主やフリーランスの人
もしもの事態が起きた際、その影響が及ぶ範囲が大きいほど生命保険に加入すべきである。
結婚して子どもがいる場合はもちろん、公的保障だけでは不十分に感じる場合は生命保険への加入が必須だろう。
老後に向けた資産形成に関しては、必ずしも個人年金保険で対策する必要はないが、選択肢の一つとして考えられる。
また、既に一定程度の財産を保有しており、相続税がかかる見込みの場合は、生命保険に加入して節税効果を図るのも有効である。
相続税対策はもちろん、贈与税対策として生命保険を活用できるため、詳細は下記の記事を参照してほしい。
最後に、会社員ではなく個人事業主やフリーランスで働く人も、生命保険の加入は前向きに検討したほうが良いだろう。
遺族年金が乏しいだけでなく傷病手当金がないため、もしもの事態には各自で対策しなければならない。
フリーランスの場合は自分が働けないと収入を得られない事態に直結する可能性が高いため、就業不能保険を中心に、不足する保障は民間保険で賄ったほうがよいだろう。
生命保険の必要性が乏しい人
生命保険への加入の必要性が乏しい人は以下のとおりだ。
- 単身者
- もしもの際にまとまったお金を残さなくても良い人
- 十分な貯蓄がある人
先ほどとは逆のパターンで、もしもの事態が起きても影響の範囲が限定的であれば、あえて生命保険に加入する必要はないだろう。
フルタイムの共働き夫婦で子どもがいない場合や、子どもが独立して退職金を受け取った夫婦などの場合も、あえて死亡保険に加入する必要はなく、加入するとしても限定的な保障があれば十分だ。
言わずもがなであるが、十分な貯蓄がある場合は保険に加入する必要性は乏しいだろう。
自分に生命保険はいらないの?
生命保険に加入する必要があるかどうかに関して、結論としては人によるのだが、必要性の判断には一定の共通する考え方がある。
ここでは、ライフステージ別のおすすめな生命保険や自分に適した保険の選び方、加入時の注意点を詳しく解説しよう。
ライフステージ別のおすすめな生命保険
ライフステージにはいくつかあるのだが、生命保険の加入や見直しを検討すべきタイミングと検討したい保険の内容は以下にまとめたとおりだ。
ライフステージ | 検討したい保険の内容 |
---|---|
就職 | ・スポーツをしている人は怪我や病気に対する医療保険が有力 ・自身の葬儀代程度を保障する死亡保険の加入の検討も ・いずれにしても必要性はかなり乏しく、視野に入れておく程度で十分 |
結婚 | ・フルタイムで共働きの場合、死亡保険や医療保険の必要性はさほど大きくない ・最低限の保障はつけておいたほうが遺されたパートナーは安心できる ・パートナーが派遣またはアルバイトの場合、一定額の死亡保険の加入を検討すべき |
出産 | ・死亡保険、医療保険、学資保険の3つを検討 ・死亡保険は、保障が一生涯続く終身保険で最低額を確保しつつ、定期保険で保障を上乗せさせるのがポイント ・学資保険は子どもが18歳になるまでを保険期間とするのが通常で、早く加入するほどリターンは大きくなりやすい |
マイホームの購入 | ・もしもの事態が起きた場合に住宅ローンが完済される団体信用生命保険(団信)に加入するため、死亡保険の保障額を抑えても良い |
子どもの独立 | ・定期死亡保険に加入している場合は解約してもOK ・終身型の医療保険に加入して病気への備えを手厚くするのを検討するタイミング |
定年退職や年金の受給開始 | ・終身型の死亡保険の必要性を判断・医療保険のみ継続加入で、ある程度の保障を確保 |
上記はあくまで一例で、老後に備えた資産を用意するために、個人年金保険に加入しても良いだろう。
自分に適した生命保険の選び方
自分に適した保険を選ぶ際は、以下のポイントを押さえておこう。
- 生命保険に加入する目的を明確にする
- 必要な保障額を計算する
- 保険料と保障内容のバランスを見極める
保険への加入は目的を明確にするのが最優先である。
将来に対する漠然とした不安はつきものだが、その正体をしっかりと言語化することで、備えるべき保障も明確になるだろう。
そのうえで、必要な保障額を計算するのが次のステップである。具体的には、「家計に入る一生分の収入」と「家族で使う一生分の支出」との差分が必要な保障額だ。
収入を計上する際は、遺族年金や死亡退職金などの公的制度も含めて計算しよう。
これらを除いて保障額を算出すると、結果的に手厚すぎる保険に加入してしまう可能性がある。支出に関しては、住居費、教育費、葬儀代の一生涯にわたってかかる費用をもれなく算出しよう。
収入と支出を引いて不足する金額が分かれば、その保障を用意するための保険を探せば良い。
あとは保険料と保障内容とのバランスだ。
生命保険の選び方は上記のとおりだが、具体的な収入額や支出額の算出はもちろん、適切な保険を選ぶのは簡単ではないだろう。
その場合は、ファイナンシャルプランナーに相談して、プロの視点からライフプランの作成と適切な保険の提案を受けたほうがよい。
保険を比較検討する手間が省けるだけでなく、将来を的確に見据えられるため、過不足なく保険に加入できる安心感も大きいだろう。
生命保険に加入する際の注意点
生命保険に加入する際は、以下の点を踏まえて慎重に検討してほしい。
- 保険料を払い続ける必要がある
- 支払い事由に該当しないと保険金が支払われない
- インフレリスクに備えられない
- 解約返戻金が元本割れする場合がある
生命保険に加入するデメリットと一部重複するが、生命保険は個人の買い物のなかでも住宅に次ぐ高額な商品である。
長期間払い続ける以上、自身にぴったりな商品を選ぶべきなのはもちろん、支払い事由に該当しないと保険金が支払われないため、備えたいリスクをカバーできるか慎重に検討しよう。
また、保険を貯蓄代わりにする場合、インフレリスクに対応できず、実質的に価値が目減りする可能性もある点には注意が必要である。
生命保険は本当にいらないかどうか、必要性を理解して正しい判断をしよう
本記事では、生命保険の必要性や加入するメリット・デメリット、さらには自分に適した保険の選び方についても解説した。
生命保険はいらないとよく言われるが、生命保険はもしもの時に自分や家族を守る重要なツールの一つである。
実際、日本人の約8割が生命保険に加入していると言われている。
ただし、保険に加入する際には、ライフスタイルやニーズに合った保険を選ぶことが重要である。
しかし、将来のリスクを把握し、自分に最適な商品を選ぶのは難しいだろう。
多くの商品やプランを比較するためには専門的な知識が必要となるため、専門家に相談することをおすすめする。
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