- 学資保険が満期を迎えた際の取り扱いがわからない
- 学資保険の満期金を受け取る際の税金の仕組みを理解したい
- 学資保険の満期を設定する時に注意すべきことがわからない
学資保険とは、子どもの教育資金を貯めておき、時期が来た際に満期保険金として受け取ることが出来る貯蓄型の保険である。
そんな学資保険の満期には複数の種類があることを知っているだろうか。
また、満期保険金を受け取る際には税金がかかるが、それも2種類の取り扱い方法が存在するのをご存じだろうか。
本記事では、学資保険の満期の概要や受取時の税金の計算方法、さらに満期(保障期間)を設定する時に考慮すべき点について解説する。
学資保険の満期について知っておきたいという人は、参考にしてほしい。
学資保険の満期の概要
子どもの教育資金を準備するために学資保険に加入する人も多いだろう。
その一方で学資保険が満期を迎えるとどうなるのか、満期には複数の種類があることをしっかり把握している人は少ないかもしれない。
「子どもが高校生や大学生になると、いままで積み立てたお金が支給される」「万が一契約者の自分が亡くなると、その後は残された家族が保険料を負担する必要はなく、子どもに教育資金を渡せるメリットがある」等と考えて加入するケースは多いかもしれないが、必要となるタイミングで保険金を受け取れなければ意味がない。
出口戦略を明確にするためにも、まずは学資保険の満期について把握しよう。
学資保険の満期とは
学資保険の満期とは保険期間の満了を意味し、通常は子どもの教育資金として満期保険金を受け取ることができる。
必要なタイミングで確実に教育資金を確保するためにも、満期の時期を適切に設定することが重要だ。
学資保険に加入すれば子どもの教育費が確保できると決まっているわけではなく、あくまで必要なタイミングで満期を迎えて受け取れることが非常に重要だ。
例えば子どもが18歳で大学生となり、自宅を出て上京してひとり暮らしを始めると入学費用や在学費用だけでなく、賃貸マンションの家賃や食費等もかかる。
本人がアルバイトをするから問題ないと言ったとしても、保護者の負担がゼロになるわけではない。
子どもの教育費が家計を圧迫して経済的に困窮するリスクを軽減するためにも、必要なときに保険金を受け取れるかどうか事前に確認しよう。
学資保険の満期の種類
学資保険の満期は被保険者である子どもの満期年齢をもとに決まり、一般的に彼らが大学生となるケースが多い18歳に設定されていることが多い。
ただし満期日は一律で固定されているわけではなく、学資保険の商品によって異なることもある。
満期を自由に設定できる場合もあれば、18歳等の特定の年齢に固定されている場合もあるので、自身のニーズと照らし合わせて商品を選ぶことが重要だ。
学資保険の満期がくるとどうなるのか
学資保険の満期を迎えると具体的には以下のようになる。
- 保険料の払込みが終了する
- 学資保険の保障が終了する
- 満期保険金を受け取れる
まずは、保険期間の満了に伴い、保険料の払込みも終了する。
ただ、学資保険の場合は一般的に満期を迎える前に保険料の払込みが終了することが多いため、特に気にする必要はない。例えば明治安田生命が提供する「つみたて学資」の場合は子どもが10歳または15歳のタイミングで終了する仕組みとなっている。
また、保険契約の満了に伴い保障期間も終了となる。
なお、学資保険を契約する際、例えば子どもが病気やけがをした際に医療保障等を受けられる特約をつけていた場合、満期を迎えるとこの特約も使えなくなる。
もし今後も同様の保障をつけたい場合は、別途保険に加入する必要があるので要注意だ。
さらに、満期保険金を受け取れることがほとんどだが、保険金の受け取り方によって課税される税金の種類が異なり、可処分所得の金額も大きく変動する可能性があるので、注意しよう。
その他、学資保険に関する基本情報についてはこちらの記事でまとめたので、改めておさらいしたいという方はあわせて参考にしてほしい。
学資保険の満期金を受け取る際にかかる税金とは
学資保険の満期保険金を受け取るとすべて自由に使えるわけではない。
なぜなら通常の給与所得や事業所得等と同様に税金が発生するからだ。
学資保険の満期金はどう取り扱われるのか
満期保険金も一般的には所得とみなされるため、金額によって課税される可能性がある。
満期保険にかかる税金は保険の契約状況によって変化し、保険料の負担者と保険金受取人が同一の場合は所得税、異なる場合は贈与税の課税対象となる。
一般的には保険料の負担者と保険金受取人は同一の場合が多いが、例えば夫が保険料を負担し、保険金は妻が受け取るような場合は所得税ではなく贈与税の扱いとなるので注意しよう。
所得税の課税対象となる場合、満期保険金の受け取り方で所得の取り扱いや税金の計算方法が変わる。
満期保険金を一括で受け取ると一時所得として課税され、分割で受け取ると雑所得として扱われる。
関係する税金の種類については各保険商品の契約時留意事項等に記載されていることが多いので必ず確認しよう。
学資保険の満期金が一時所得として取り扱われる場合の計算式
一時所得は以下の計算式をもとに金額が決まる。
学資保険の満期保険金の場合「総収入金額」は満期保険金の金額であり「収入を得るために支出した金額」はいままでに払い込んだ保険料である。
例えば満期保険金を300万円受け取り、保険料総額が250万円の場合は「300万円−250万円− 特別控除額(上限50万円)=0円」となるため課税されない。
一方で満期保険金が300万円で保険料総額が200万円の場合は特別控除額を差し引いても50万円となる。
一時所得は2分の1に相当する金額が課税所得となるため、50万円の場合は他に給与所得等がないと仮定すると25万円が課税対象となる。
学資保険の満期金が雑所得として取り扱われる場合の計算式
学資保険の満期保険金を一括ではなく分割の年金方式で受け取ると公的年金等以外の雑所得扱いとなる。
一時所得には上限50万円の特別控除額があるが、雑所得にはそれがない点にも要注意だ。
雑所得は利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得および一時所得のいずれにも当たらない所得を指す。
公的年金等だけでなく副業で得た所得も該当するため、例えば会社員が副業を行って得た利益は雑所得と扱われることも多い。
一時所得は特別控除額が適用されて利益から差し引くことができるが、雑所得はそれがないので必要経費をのぞいた所得部分は全て課税対象となる。
分割の年金方式で受け取る場合、必要経費はいままで払い込んだ保険料総額がそのまま計上されるわけではなく、その年に相当する分を計算したうえで適用される点にも注意しよう。
例えばその年に受け取った保険金額が50万円、保険金受取総額は300万円、いままでに払い込んだ保険料総額が250万円とする。必要経費は「受け取った保険金額×いままで払い込んだ保険料総額/保険金総額」で計算され、「50万円×250万円/300万円=約42万円」となり、雑所得は約8万円となる。
なお、一時所得や雑所得は仮に赤字となっても他の給与所得や事業所得等と損益通算できないので注意しよう。
いままで払い込んだ保険料よりも解約返戻金が少なく、いわゆる元本割れが発生したとしても給与所得等から差し引くことはできない。
一方で複数の生命保険を解約し、A商品は100万円の黒字となりB商品は100万円の赤字となった場合は損益通算が可能なので雑所得はゼロとなる。
学資保険の満期を設定するときに考慮するべき点とは
学資保険は主に子どもの教育資金を準備するために加入する金融商品であるが、単に加入すれば良いわけではない。
保険金はいつ必要となるのか、保険料は問題なく支払いが可能で家計への大きな影響はないか、保険金はどのような方法で受け取って納税するのか等を総合的に考慮する必要がある。
学資保険の満期保険金が必要となるタイミングを意識する
学資保険に加入する際は、どのタイミングで満期保険金が必要となるのか意識することが非常に重要だ。
学資保険は一般的な死亡保険や医療保険、がん保険等と異なり、保険金が必要となるタイミングを把握しやすく資金計画を立てやすいのが大きな特徴である。
死亡保険は被保険者が死亡または高度障害状態となった際に保険金が支払われるが、どのタイミングで発生するのか誰にも分からない。
一方で子どもの教育費は一般的に高校生や大学生となる時が最もかかるといわれている。
例えばうまれたばかりの子どもがいる場合は今から15年後くらいに教育費の負担が増えるため、そのタイミングで満期保険金が必要となる。
5歳の子どもがいるなら10年後から13年後にピークが来る計算だ。このように自身の子どもの年齢によって満期保険金が必要となるタイミングを把握できる。
子どもが複数人いる場合はそれぞれタイムラグが発生するので注意しよう。
学資保険の満期まで保険料を問題なく支払えるか確認する
学資保険は加入後も場合によっては途中で解約することもできるが、高確率で元本割れする可能性がある。
もちろん学資保険に限らず預貯金等も含めて絶対に元本割れしない保障はないが、払い込んだ保険料に利息が上乗せされた満期保険金を確実に受け取るためにも、途中で解約しない前提で支払い計画を立てることが重要だ。
保険金額を意識するあまり身の丈に合わない保険料を支払い、途中でやむを得ず解約して「これでは学資保険に加入せず預貯金をすれば良かった」等となっては本末転倒である。
いまは問題なく保険料を支払うことができてもライフステージは常に変化する。
例えば転職や退職で収入が減ったり持ち家の購入で住宅ローンを組む、第2子や第3子などがうまれて家計設計に変更が生じる可能性もあるだろう。
もちろん考え始めるとキリがないが、少なくとも現在の状況が今後も安定的に続くとは限らない点に留意しよう。
仮に現在結婚して子どもが1人いる場合でも、将来的に第2子や第3子が誕生する可能性もゼロではない。
新たに子どもがうまれなかったとしても、自身や家族が病気やけがをして想定外の出費がかかることもある。
子どもの教育費以外の部分で支出が増えることもあるので、不測の事態は常に発生すると考えておいたほうがよいだろう。
学資保険の保険金を一括と分割のどちらでもらうべきか検討する
満期保険金を受け取る際は一括でまとめてもらうのか、分割で複数回にわけてもらうのか検討しておこう。
税金部分で解説したとおり、一括で受け取ると一時所得として扱われるため特別控除額の存在も含めて考えると分割の場合よりも得になることが多い。
ただし一括で受け取ると必要以上に使いすぎる可能性があるのがデメリットだ。
いざというときに不足しないように計画的に保険金を活用する必要がある。
たとえ税金面では一時所得が有利だったとしても、まとめて受け取ると使いすぎる心配がある場合は分割を選択するのも1つの方法だ。
学資保険の満期保険金をもらう方法やタイミングを考えよう
本記事では、学資保険の満期の概要や受け取る時の税金の計算方法、満期を設定する時に考慮すべき点について解説した。
学資保険の満期には複数種類があり、支払う保険料や満期保険金を受け取るタイミングが変化する。
また、満期保険金を一時所得と雑所得のどちらで取り扱うかで計算方法が変化するため、事前に確認が必要だ。
ただ、最終的にどの満期を選ぶべきかは人によって異なるため、本記事を理解しただけでは、適切な満期が分からないと考える人もいるかもしれない。
そんな時は保険のプロに相談することも検討しよう。
一人一人に合ったアドバイスをもらうことで、いつ満期を設定すればいいのかを判断することができる。
ただ、保険のプロは数多く存在し、自分にとって最適な担当なのかをすぐに見定めることもまた難しい。
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