- 学資保険の返戻率という考え方がわからない
- 学資保険の返戻率を上げる方法を知りたい
- 返戻率以外に学資保険を選ぶ際に重視すべき点が知りたい
学資保険は、子どもの教育資金を貯めておき、時期が来た際に満期保険金として受け取ることが出来る貯蓄型の保険である。
また、学資保険の返戻率とは、支払った保険料に対して最終的に受け取る総額がいくらになるのかを計算した比率の事を言う。
返戻率が高ければ、最終的に受け取ることが出来る保険金の額が増える。
その為、出来るだけ返戻率が高い学資保険を選びたいという人は多いだろう。
では、学資保険を選ぶ際は返戻率だけを重視して選べば良いのだろうか。
結論から言うと、保険金を受け取るタイミングなど他にも気にすべき点はある。
本記事では、学資保険の返戻率の概要や返戻率を上げる方法、そして返戻率以外に学資保険を選ぶ際に重視すべきポイントについて解説する。
学資保険を選ぶポイントが知りたいという方は、ぜひ参考にして欲しい。
学資保険の返戻率とは
学資保険について、各保険会社のサイトを調べると、返戻率が記載されている。
返戻率は学資保険を検討する際には重要な指標となる。
ここでは、学資保険の返戻率について、具体的な数値を用いて、その特徴を確認していく。
学資保険の返戻率の定義
返戻率は、保険料総額に対する保険金総額の割合である。
学資保険は、子どもの進学に合わせて保険金を受け取れる保険である。学資保険を選ぶ際には、保険料総額と保険金総額を基準に比較・検討していく。
- A社 保険料総額120万円・保険金総額130万円
- B社 保険料総額140万円・保険金総額151万円
A社とB社の学資保険を比較した場合、どちらがお得かは簡単には判断できない。
そこで用いられる指標が、返戻率である。
学資保険の返戻率の計算方法
返戻率は、次の算式で求める。
前述のA社とB社の返戻率を求めると次のようになる。
- A社 130万円 ÷ 120万円 × 100 ≒ 108.3(%)
- B社 151万円 ÷ 140万円 × 100 ≒ 107.8(%)
返戻率で比較すると、A社のほうが若干高いことがわかる。返戻率が100%を超えると、支払った金額以上の保険金を受け取れる。
なお、医療保障が付帯している学資保険などは、100%を下回ることもあり、保障が必要かどうかを検討しなければならない。
学資保険の返戻率と利率の違い
返戻率と似た言葉に、利率がある。一般的に保険では予定利率のことであり、予定利率は保険会社が受け取った保険料をどの程度の利率で運用できるかを示しており、保険料に影響する。
予定利率が高いほど、保険料は安く、予定利率が低いほど、保険料は高くなる。前述のA社(保険金130万円)で、もし予定利率が高いときに加入すれば、支払い保険料は先ほどの120万円よりも少なくて済む。
仮に、保険料総額が110万円だとすると、
となり、受取額が同じでも返戻率は高くなる。
ただし、予定利率は株価のように頻繁に値動きするものではなく、予定利率が高い時期を狙って加入することは難しい。
なお、学資保険の返戻率と予定利率については以下の記事でも詳しく解説している。あわせてチェックしていただくとより理解を深めることができるはずだ。
学資保険の返戻率を上げる方法
学資保険の返戻率は保険会社によって異なるが、同じ商品でも契約の仕方によって返戻率は変わる。
お気に入りの学資保険を見つけたあとに返戻率を上げる方法について解説する。
早い段階で学資保険へ加入する
学資保険は、保険期間が長いほど返戻率は高くなる。
たとえば、子の年齢が3歳のときに加入するより、0歳で加入したほうがよい。
- 0歳で加入した場合
- 月払保険料 15,800円 保険料総額 1,896,000円 返戻率約105.4%
- 3歳で加入した場合
- 月払保険料 23,680円 保険料総額 1,989,120円 返戻率約100.5%
上記のシミュレーションによると、3歳で加入した場合、保険料は高くなるうえ、返戻率はギリギリ100%を超える程度である。
ただし、この特徴は保険料払込期間を短くする場合とは意味合いが異なる。次の章で詳しく解説する。
学資保険の保険料の払込期間を短くする
前述のA社を例に、シミュレーションしてみる。0歳で加入するが、保険料払込期間を変えた場合で比較する。
- 保険料払込期間10年
- 月払保険料:15,800円
- 保険料総額:1,896,000円
- 返戻率約105.4%
- 保険料払込期間17年
- 月払保険料:9,540円
- 保険料総額:1,946,160円
- 返戻率約102.7%
保険料払込期間10年と17年で比較した場合、17年の毎月の保険料は安くなるが、返戻率は下がる。
次に、保険期間を延ばした場合を確認する。
学資保険の満期保険金を受け取る時期を遅くする
保険料払込期間は変えず学資保険金の受け取り時期を遅らせると、その分、返戻率は高くなる。
具体的に数値で確認する。
- 保険期間17歳満期
- 月払保険料:15,800円
- 保険料総額:1,896,000円
- 返戻率約105.4%
- 保険期間20歳満期
- 月払保険料:15,560円
- 保険料総額:1,867,200円
- 返戻率約107.1%
保険期間を20歳満期にすると、返戻率は107.1%となる。
同じ条件であれば、受け取り時期を遅らせたほうが効果的だ。
なお、上記のほかに、月払ではなく、半年払や年払にする方法や保険料払込免除を付帯しない方法でも返戻率を上げることができる。
「利率が低いので学資保険はおすすめできない」という意見もある。
確かに株式や投資信託を活用した資産運用と比較すると劣る部分はあるものの、解説したようなポイントを踏まえて利回りを高める工夫をしてみることも重要だろう。
学資保険を選ぶ際に返戻率以外で重視するべき点とは
学資保険の返戻率は重要だが、返戻率以外にも重視すべき点がある。
家族に合った学資保険を選ぶために、参考にしていただきたい。
学資保険の学資保険の満期保険金の金額と受け取り時期
返戻率を上げる方法について解説したが、なかには現実的でない例もある。
保険料払込期間を短くすれば返戻率は高くなるが、毎月の保険料は上がる。
また保険期間を20歳満期にする方法もあるが、大学入学時には受け取れない。
学資保険を比較する際、返戻率は重要だが、返戻率のみ重視すると、家族に合った学資保険から遠ざかることがある。
保険期間や保険料払込期間を調整し、無理のない保険料になるよう設定しよう。
学資保険に医療保障特約がついているか
学資保険に医療保障特約が付帯されている保険もある。
子どもに医療保障が必要かどうか検討するとともに、必要であれば、ほかの医療保険と比較したほうがよい。
また医療保障特約を付帯していると、その分の保険料を支払わなければならず、返戻率は100%を下回る可能性が高い。
特約を付帯するかどうかは保険の商品性によるが、目的別に加入したほうがわかりやすい。
学資保険に保険料払込免除があるか
保険料払込免除は、契約者が万一のときに保険料が免除となる制度である。
たとえば、保険契約者を父、被保険者を子とする学資保険の場合、保険契約者が保険料を支払う。
父が万一亡くなった場合、保険料を払えなくなり、保険金が受け取れないことも考えられる。
この保険料払込免除を付帯しておけば、父が亡くなった場合、その後の保険料は免除となるうえ、保険金も満額受け取れる。
保険料払込免除を外すと返戻率は上がるが、万一のときでも保険料を払い続ける必要がある。
なお、健康状態によっては、保険料払込免除を付帯できない場合もある。
学資保険の返戻率の仕組みを理解して適切な保険を選ぼう
本記事では、学資保険の返戻率の概要や返戻率を上げる方法、そして返戻率以外に学資保険を選ぶ際に重視すべき点を解説した。
学資保険の返戻率は保険金の総額を支払う保険料の総額で割って計算される数値である。
返戻率が極端に高かったり低かったりする学資保険は存在しないが、早期加入や満期保険金を受け取る時期を遅くすることで、上げることは可能だ。
ただ、学資保険を選択するときには返戻率だけでなく医療保障特約や保険料払込免除などの制度が利用できるかといった点にも注意する必要がある。
そのため、もし保険の比較や自身にとって適切な保険の選択にまよったら、保険のプロに相談することも検討してみよう。
一人一人に合ったアドバイスをもらうことで、自分に必要な保険を的確に判断することができるはずだ。
また、全国の保険のプロから自分に合った担当者を探す際には「生命保険ナビ」の活用をおすすめする。
「生命保険ナビ」は、自身の条件に合った保険のプロを簡単に見つけることができるマッチングサービスである。
気になった担当者とは無料相談もできるので、是非活用してほしい。