- 会社が従業員にかける死亡保険の特徴やメリットが知りたい
- 従業員向けに死亡保険を活用する際の注意事項が知りたい
- 会社が契約する従業員向け死亡保険の商品内容が知りたい
会社が契約者となり、従業員に死亡保険をかけられることをご存知だろうか。
会社が従業員にかける死亡保険には、従業員に万が一のことがあった際に、残された家族の生活を保障する役割がある。
ただ、従業員向け死亡保険にはさまざまな特徴や導入に際しての注意事項が存在する。
これらを理解できれば、正しく活用できるだろう。また、実際に販売されている商品の内容を確認することで、従業員向け死亡保険の導入に向けたイメージが湧くはずだ。
そこで本記事では、従業員向け死亡保険の特徴やメリット、利用する際の注意点、そして実際に販売されている商品の内容について解説する。
現在法人保険の導入を検討している方には、ぜひ参考にしてほしい。
会社が従業員にかける死亡保険の概要
ここでは、会社が従業員にかける死亡保険の特徴と、加入することで従業員および会社にとってどのようなメリットがあるかについて解説していく。
会社が従業員にかける死亡保険の特徴
会社が従業員にかける死亡保険の特徴としては、主に以下の5つがある。
- 従業員の死亡退職金・弔慰金や遺族の生活保障のための保険
- 一般的に保険期間は1年で自動更新
- 会社で一括加入するため保険料が割安
- 簡単な告知のみで加入可能
- 会社が保険料を支払う「企業保障型」と従業員本人が保険料を支払う「自助努力型」の2種類がある
この保険の目的は、従業員に万が一のことが起きた際の死亡退職金・弔慰金の準備や遺族に対する生活保障にある。
一般的に保険期間は1年となり、毎年自動更新されていくのが特徴だ。
また、会社で一括加入するため、個人で保険に加入するよりも保険料が割安になる点も特徴の一つである。
さらに、医師の診査が必要なく簡単な告知のみで加入できるため、持病があり一般の死亡保険に加入できない方でも加入できる可能性が高い。
契約者は会社、被保険者は従業員となるが、保険料の支払いを誰が行うかによって「企業保障型」と「自助努力型」がある。
それぞれに対応する商品は以下の2つだ。
商品名 | 保険料負担者 | 保険金受取人 |
---|---|---|
総合福祉団体定期保険 | 会社 | 従業員の遺族または会社 |
団体定期保険 | 従業員 | 従業員の遺族 |
まず「企業保障型」にあたるのが「総合福祉団体定期保険」だ。
この保険は原則全員加入であり、保険料の支払いは会社が行う。従業員に万が一のことが起きた際の死亡保険金の支払いは、会社の退職金規程や弔慰金規程に基づいて行われるため、「総合福祉団体定期保険」を導入するためには、これらの規程を整備しなければならない。
また、保険金の受取人は従業員の遺族または会社となる。
会社が保険金を受け取る場合は、遺族や被保険者の了承を得ることが必要だ。
加えて、従業員に万が一のことがあった際には、新しい人材を確保するための採用などにコストがかかるが「総合福祉団体定期保険」であれば「ヒューマンバリュー特約」が付加できる。
「ヒューマンバリュー特約」とは、従業員に万が一のことが起きた際に会社が特約保険金を受け取れるものだ。
「総合福祉団体定期保険」の受取人が従業員の遺族であったとしても、特約保険金は直接会社に支払われるため、この保険金を採用費用等に充てられる。
続いて「自助努力型」にあたるのが「団体定期保険」だ。
「総合福祉団体定期保険」とは異なり、任意加入となる。そのため、保険料の負担者は従業員本人だ。
通常、契約者が会社となる保険は被保険者はその会社に勤める従業員となるが、商品によっては従業員の家族も加入できる。
割安な保険料で、従業員本人だけでなく、家族の万が一のときの保障も準備できるのだ。
従業員が死亡保険を利用するメリット
従業員が会社が契約者となる死亡保険を利用するメリットとしては、主に以下の3つがある。
- 診査がないため持病があっても加入できる可能性が高い
- 万が一のときに家族の生活を守るための保障が準備できる
- 自助努力型の団体定期保険に加入すれば、ライフステージに合わせて保険金額を増減させられる
先述したとおり、会社が従業員にかける死亡保険は医師による診査が必要なく、簡単な告知のみで加入できるため、持病がある方でも加入できる可能性が高いのはメリットといえる。
ただ、1年以内に病気やけがが原因で数週間の欠勤・休業をしていたり、会社で受診が求められている健康診断などを受けていなかったりすると、より詳細な告知が求められるケースがある。
告知内容によっては加入できない点には注意してほしい。
従業員向けの死亡保険に加入することで、万が一のときに家族の生活を守るための保障が準備できるのは大きなメリットだ。
万が一のことが起きた際には、国から遺族年金が受け取れるが、遺族年金の受給だけでは今までの生活水準を維持することは難しい。
その点、従業員向け死亡保険であれば、割安な保険料で保障を準備できるのは嬉しいポイントである。
さらに、自助努力型の団体定期保険は、ライフステージに合わせて保険金額を増減させられるのもメリットだろう。
1年更新であるため、その年その年で必要保障額が柔軟に調整できる。
しかし、保険金額を増額する場合には、改めて告知が必要となるケースがあるため注意が必要だ。
会社が死亡保険を利用するメリット
会社としては、「総合福祉団体定期保険」を導入したときにメリットがある。
メリットは主に以下の2つだ。
- 支払い保険料を損金算入できる
- 求人の際に福利厚生の充実をアピールできる
原則全員加入となる「総合福祉団体定期保険」では、保険料を会社が負担するが、その保険料を全額損金に算入できるのは会社にとって最大のメリットである。
また、「総合福祉団体定期保険」を導入することによって、求人の際に福利厚生の充実をアピールできるのも大きなメリットだろう。
ただ、この商品を導入するためには、退職金規定や弔慰金規定を整備しなければならないだけでなく、「加入者数が10名以上」といった制限が設けられているケースが多いため注意が必要だ。
会社が従業員向け死亡保険を利用する際の注意点
従業員向け死亡保険を利用する際の注意点としては、以下の3つがある。
- 企業の人数によって利用できない場合がある
- 解約するタイミングによって損する可能性がある
- 保険料が適正か必ず確認する
それぞれ解説していく。
企業の人数によって利用できない場合がある
会社が従業員にかける死亡保険は、従業員の人数によって利用できない場合がある点には注意が必要だ。
商品によって従業員が10名以上の場合、100名以上の場合などと導入の対象としている会社の規模が異なるため、申し込み前にあらかじめ確認しておくことがおすすめだ。
解約するタイミングによって損する可能性がある
解約時に解約返戻金が受け取れる商品や、保険期間満了時に満期保険金が受け取れる商品に加入した場合は、解約するタイミングによって損する可能性がある点にも注意が必要である。
保険は貯金とは異なるため、解約した際には支払った保険料分がそのまま返ってくるわけではない。
また、貯蓄性のある商品であっても、加入してから早期で解約した場合には、解約返戻金はどとんどない点は覚えておこう。
加えて、解約返戻金がピークに達する時期は、その商品や従業員の年齢などによっても異なる。
「解約返戻金がピークとなる時期に手続きするのを忘れてしまった」とならないように慎重に契約を管理しよう。
保険料が適正か必ず確認しよう
保険料は、商品内容や従業員の人数、年齢、保険金額、付加する特約によって大きく変動する。
保険金額は高すぎないか、必要ない特約は付加されていないかをチェックしながら、保険料が適正であるかを必ず確認しよう。
従業員向け死亡保険の商品を紹介
ここでは、従業員向け死亡保険について、以下3つの商品について紹介する。
- 【日本生命】みんなの団体定期保険(任意加入型)
- 【大同生命】定期保険Lタイプ
- 【SBI生命】定期保険
それぞれ特徴を見ていこう。
【日本生命】みんなの団体定期保険
日本生命が販売する「みんなの団体定期保険」の特徴としては、以下の3つが挙げられる。
- 従業員数が100〜1,000名程度の中小企業が対象
- 申し込み手続き等はデジタルでの手続きが前提
- 従業員のみならず、配偶者や子どもも加入可能
「みんなの団体定期保険」の最大の特徴は、中小企業のみを対象とした商品であるということだ。
任意加入である団体定期保険は、申し込み手続きなどに相応のコストがかかるため、大企業で導入されるケースが多かったが、デジタルでの手続きを前提とすることで申し込みなどにかかるコストを削減し、中小企業であっても導入可能な商品となっているのだ。
また、申し込み手続き等を書面でのやりとりからスマートフォンなどからのデジタル申し込みに移行することで、自分の都合の良い時間に手続きが可能な点も特徴といえる。
さらに、従業員に加えて配偶者や子どもの保障も準備可能だ。家族全員で加入することで、従業員本人だけでなく家族に万が一のことがあった際にも保障が受けられるのが嬉しいポイントだろう。
【大同生命】定期保険Lタイプα
大同生命が販売している「定期保険Lタイプα」の特徴は以下の3つだ。
- 長期保障を前提とした商品であるため、更新の取り扱いはない
- 解約返戻金の抑制割合を選択することが可能
- 会社の経営状況等に応じて定期保険Rタイプなどへの変換が可能
長期保障を前提とした商品であるため、更新がないのが特徴だ。
例えば、65歳満了で契約した場合は、満了を迎えると保険契約は消滅する。
また、解約返戻金の抑制割合を0〜100%の間で選択することが可能である。
解約返戻金の抑制割合を0%とした場合は、解約返戻金額が最も高くなると同時に保険料も最も高くなる。
一方、抑制割合を100%とした場合は解約返戻金は一切なくなり、その分保険料が安くなるという仕組みだ。
解約返戻金の有無を選べたり、解約返戻金のピークを退職時期にあわせられたり、ニーズによって細かくオーダーメイドできるのがこの商品の特徴といえる。
さらに、会社の経営状況や従業員の退職時期に応じて保障内容を変更したいというニーズもあるだろう。
そのようなときは、「定期保険Lタイプα」よりも保険料が割安な「定期保険Rタイプ」へのスイッチ(変換)が可能な点も特徴の一つだ。
スイッチは入院・手術歴などの簡単な告知のみで利用でき、スイッチした時点での「定期保険Lタイプα」の解約返戻金が受け取れる点も魅力的である。
【SBI生命】定期保険
SBI生命が販売している「定期保険」の特徴は以下の3つである。
- 解約返戻金がないため、保険料が割安
- 加入者が10名以上いる場合は、法人が一括で告知をする
- 最短即日で保険金が受け取れる
この商品は解約返戻金がないため、万が一のときの保障に特化している。
そのため、保険料が割安なのが特徴だ。
また、加入者が10名以上いる場合は、個人個人の告知は必要とされず、契約者となる会社が一括で告知を行うため、手続きが簡単なのも嬉しいポイントである。
さらに、万が一のことが起きた際には、最短即日で保険金が受け取れるのも特徴といえる。
ただ、保険金額が500万円を超える場合は、このサービスの対象とはならない点には注意しよう。
会社が従業員にかける死亡保険は「企業保障型」と「自助努力型」の2つ
本記事では、従業員向けの死亡保険の特徴やメリット、利用する際の注意点、そして実際に販売されている商品内容について解説した。
会社が従業員にかける死亡保険には、会社が保険料を支払う「企業保障型」と従業員が保険料を支払う「自助努力型」の2つが存在する。
いずれの保険も従業員とその家族の生活を守るために必要な保険だ。
ただ、会社で従業員向け死亡保険を導入する際には、導入条件を正確に把握するだけでなく、適正な金額の保険料の設定が重要となる。
本記事の内容だけでは導入するのが不安だと感じた方は、保険のプロに相談することも検討してほしい。
会社の状況や悩みに対してアドバイスをもらうことで、あなたの会社にとって必要な保険の選択が可能となるはずだ。
また、保険のプロは数多く存在し、自分にとって最適な担当者であるか見定めるのは難しいだろう。
担当者探しに困ったら、保険のプロと個人(会社)をマッチングさせる「生命保険ナビ」を利用してほしい。
このサービスを使えば、自身の希望に沿った保険のプロを簡単に見つけられる。
無料で利用できるので、ぜひ気軽に活用してほしい。