- 医療保険における待機期間とは何か知りたい
- 医療保険に待機期間が設けられている理由が知りたい
- 待機期間が存在する保険と存在しない保険はどちらを選ぶべきか知りたい
医療保険には「待機期間」と呼ばれるものが存在する。
これは医療保険全般に共通するものだが、特にがん保険に存在するケースが多い。がん保険には、どうして待機期間が存在するのだろうか。
そこで本記事では、主にがん保険における待機期間に焦点を当て、詳しく解説していく。
また、待機期間が存在しないがん保険もあわせて紹介する。
医療保険における待機期間について学びたい方は、ぜひ参考にしてほしい。
医療保険における待機期間とは何か
医療保険には、一定期間の保障を制限するため「待機期間」が設けられている商品が存在する。
ここでは、そもそも医療保険とは何かを解説しつつ、医療保険における責任開始日、待機期間の定義について述べていく。
そもそも医療保険とは
医療保険とは、病気で入院したり、手術を受けたりしたときを保障する「主契約」と、さらに保障を充実させるための「特約」を組み合わせて成り立つものをいう。
医療保険に付加できる特約には、主に以下の7つが挙げられる。
保険会社によって特約の名称は異なるため、例として掲載する。
特約名称(例) | 保障内容 |
---|---|
入院一時金特約 | ・入院したときに一時金が受け取れる ・一時金額は5〜20万円程度の間で選択できる商品が多い |
通院保障特約 | ・退院後に通院したときに給付金が受け取れる ・通院1日につき2,000円〜10,000円の範囲で設定できる商品が多い ・通院開始時に通院一時金が、外来で手術を受けたときに外来手術給付金が受け取れる商品もある |
先進医療特約 | ・先進医療を受けたときに、自己負担となった技術料が受け取れる ・給付金に加えてお見舞金(技術料の10%程度)が受け取れる商品も多い |
女性医療特約 | ・女性特有の病気で入院や手術を受けたときに給付金が受け取れる |
三大疾病特約 | ・がん、心疾患、脳血管疾患で入院や手術をしたときなどに給付金が受け取れる ・三大疾病での入院が無制限で保障される特約もある |
がん診断特約 | ・がんの診断を受けたときに一時金が受け取れる ・一時金の受け取りは1回だけの商品もあれば、再発に備えて複数回受け取れる商品もある |
特定損傷特約 | ・骨折や脱臼、腱の断裂をしたときに一時金が受け取れる |
中でも、「三大疾病特約」や「がん診断特約」を付加した際は、その特約に待機期間が存在するケースが多い。
その理由は、後ほど詳述する。
上記の表で示した特約は、あくまでも一例だ。
医療保険はいずれの保険会社においても力を入れている分野であり、特約のラインナップも豊富である。
ただ、その分保障内容が複雑化しやすい点には気をつけよう。
自身に合った保障を準備するためにも、必要な保障は何かを明確にしておくことが大切だ。
医療保険における責任開始日とは
責任開始日とは、保障が始まる日を指す。
医療保険における責任開始日は、契約の申し込み後、以下のどちらか遅い日となる。
- 告知した日
- 初回の保険料を払い込んだ日
保険会社では、「契約の申し込み」「告知」「初回保険料の払い込み」が全て完了することを「3点完備」と呼ぶことがある。
保険会社が申し込みを引き受けると、3点完備となった日に遡って保障が始まるのだ。
ただ、初回保険料の支払いを口座振替によって受け付ける保険会社もある。
その際は、初回保険料の払い込みが完了する前でも、契約の申込日または告知日のどちらか遅い日に遡って保障が開始される。
責任開始日は生命保険を契約するにあたって大切な事項である。現在医療保険への加入を検討されている方は、いつから保障が始まるのかをしっかり確認しておこう。
医療保険における待機期間の定義
医療保険における待機期間とは、契約の申し込みから保障がない一定の期間をいう。
がん保険のように一律で待機期間が存在するケースの他にも、申込時の告知の内容によって「特定疾病・部位不担保」の条件が付加されるケースがある。
この条件は、数年単位で付加されることが多い。
不担保期間(待機期間)中は、指定された病気・部位を原因として入院などをした際でも、保険金・給付金が支払われない点は覚えておこう。
がん保険にはなぜ待機期間が存在するのか
がん保険は、申し込みから一定期間にわたって保障されないことをご存じだろうか。ここでは、がん保険における待機期間に関して、以下3点を解説していく。
- がん保険に待機期間が存在する理由
- 待機期間の日数はどのように決まるか
- 待機期間中の保険料の取り扱い
それぞれ見ていこう。
がん保険に待機期間が存在する理由
理由は、以下の2つが挙げられる。
- 契約者間の公平性を保つため
- モラルリスクを防ぐため
まず1つは、契約者間の公平性を保つためだ。保険は、契約者同士でお金を出し合い、契約者の誰かが病気などをした際には、その出し合った保険料の中から保険金・給付金を支払うという「相互扶助の精神」で成り立っている。
がんは、初期の段階だと自覚症状がないケースも多いため、申し込みから一定の間保険金などを支払わない期間を設けることによって、契約者間の公平性を保つように工夫されているのだ。
もう1つは、モラルリスクを防ぐためだ。モラルリスクとは、不正を働くことによって保険金などを搾取する非道徳的な行為をいう。
がん保険でいう不正とは、主に「告知義務違反」のことを指す。
保険に申し込む際には、現在の健康状態や過去の傷病歴などを正しく告知しなければならない。
しかし、「がん検診で要再検査の指摘を受けたけど、がんといわれたわけではないから隠しておこう」といって、事実を伝えないことを告知義務違反という。
そして、告知義務違反をした方に対しては、告知の時点で保険金を支払う可能性が高いことを保険会社が見抜くのは不可能だ。
「保険に入ってから再検査を受ければ、がんといわれても保険金がもらえるだろう」と考えてがん保険に入る人が増えてしまうと、健康な状態で加入する人との公平性が保たれない。
このような理由から、待機期間が存在するのだ。
待機期間の日数はどのように決まるか
待機期間の日数は、保険会社によって異なるが、責任開始日から90日または3ヶ月のいずれかで設定されることが多い。
また、がん保険における待機期間に関しては、把握しておくべきポイントがある。それは以下の2つだ。
- 更新した際の待機期間は存在しない
- 現在入っているものを解約し他の商品に申し込んだときは、改めて待機期間が適用される
終身で契約しない限り、保険期間は終了するため、継続して保障を受けたいのであれば更新しなければならない。
同じ保障内容や保険期間で更新した契約においては、待機期間が存在しないのが一般的だ。
ただ、保険金額を増額するなど保障内容を変更した際には、増額した部分に対して待機期間が適用されるケースもあるため注意してほしい。
加えて、現在加入しているがん保険を解約し、他のがん保険へ新たに申し込むケースもあるだろう。
その際は、新たに申し込んだがん保険に対しても待機期間が適用される点には気をつける必要がある。
新たな保険に入ったからといって、今まで入っていたものを解約すると、がんに対する保障が途切れてしまう。
そのため、新たながん保険における待機期間が満了するまでは、解約せずに継続しておくと安心だ。
一方、保障を途切れさせないために両方の保険料を払うことは、保険料の二重払いとなる。
保険料の二重払いを防ぐために、近年では「条件付解約制度」を取り入れる保険会社が増えてきている。
条件付解約制度とは、新たに申し込んだ保険が成立したことを条件に、今まで入っていた保険の解約の効力を発するという制度だ。
この制度によって、保険料の二重払いが防げることになる。
条件付解約制度を利用してがん保険に申し込んだときは、責任開始までの間にがんに罹患しても、今まで入っていたがん保険の解約を取り消し、復旧する取り扱いがある。
しかし、条件付解約制度を利用できるのは、同じ保険会社の商品で解約、新規の申し込みが発生したときに限られる。
現在加入しているがん保険とは別の保険会社のがん保険に申し込むことを考えている方は、当制度を利用できないため注意しよう。
待機期間中の保険料の取り扱い
待機期間中は、保険料の支払いが必要ないのではと考えている人もいるのではないだろうか。
しかし、待機期間中であっても、保険料の支払いは行わなければならない。
なぜなら、待機期間も含めた保険期間全体で、がんになるリスクを踏まえて保険料が設定されているからだ。
責任開始日前にがんになってしまった際には、今まで支払った保険料分は返金されることとなる。
ただし、申し込み前から医師より異常の指摘があったり、すでにがんを宣告されていたにもかかわらずそれを隠蔽して(告知義務違反して)申し込んだりしたことが発覚したときは、保険料は返金されないため注意が必要だ。
待機期間が存在しないがん保険は販売されているのか
数は少ないが、待機期間が存在しないがん保険も販売されている。
どのような特徴や注意点があるのかを解説していく。
待機期間が存在しないがん保険の特徴
待機期間なしに保障を受けることが可能ながん保険の特徴は、主に以下の2つだ。
- がん診断時の一時金保障が設けられていない
- 設定できる保険金額が通常のがん保険と比較して少額
通常のがん保険においては、がんの診断を受けたときに一時金が受け取れる「がん診断一時金」が組み込まれているものが多い。
しかし、待機期間が存在しない商品においては、一時金保障が用意されていないのが特徴だ。
また、設定できる保険金額が通常の商品と比較して少額となるのも特徴の一つである。
このように制限を設けている理由は、申し込みを受け付けてからすぐに保障が始まるため、早期に多額の保険金を支払わなければならないケースが出てくるからだ。
支払う保険金が多くなりすぎると、保険会社としても経営が成り立たなくなってしまうことから、制限を設けてリスクヘッジしているのである。
待機期間が存在しないがん保険を利用する際の注意点
待機期間が存在しないがん保険を利用する際は、必要な保障を十分に備えられているかを確認しよう。
先述のとおり、契約後すぐに保障が始まる商品だと、保障範囲が限られていたり、保険金額が少額であったりする。
がんになったときに備えて保険でいくら準備しておくべきなのか、どのような保障が必要なのかを考えた上で慎重に検討しよう。
待機期間が存在しない保険と存在する保険はどちらを利用すべきか
待機期間が存在しない保険には、さまざまな制限があることで、待機期間が存在する通常の保険と比較して保険料が割安になるといったメリットもある。
一方で、保障が充実しているのはもちろん通常のがん保険だ。
「こちらを選ぶべき」とは一概にはいえないが、充実した保障を準備したいのか、保険料を抑えたいのかを基準として選択するのも一つの手だろう。
医療保険の待期期間の必要性を理解して、より効果的に保険を活用しよう
本記事では、主にがん保険における待機期間に関して詳細に解説した。
医療保険に対して待機期間が設定されている目的は、契約者間の公平性の担保にある。
例えば、がん保険への加入直後に高額な保険金を受け取り、その後保険料を支払わずに解約する人がいると不公平に感じるだろう。
待機期間には、このような事態を防ぐ効果がある。
一方、待機期間なしで保障が始まるがん保険も存在するが、通常であればがん診断時に受け取れる診断一時金は存在しない。
メリットとデメリットを踏まえて、加入するべきかは慎重に判断する必要がある。
がん保険を選択するにあたって一人では不安だという方がいれば、保険のプロに相談することもおすすめである。
一人一人の悩みに合わせたアドバイスをもらうことで、あなたに必要な医療保険に加入できるはずだ。
また、保険のプロは数多く存在し、その中から自分にとって最適な担当を見つけるのは難しい。
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