- 医療保険の終身型と更新型のそれぞれの特徴やメリットが知りたい
- 更新型医療保険について詳しく理解したい
- 終身型医療保険の選び方のポイントがわからない
本記事では、終身型と更新型それぞれの医療保険の特徴、メリットとデメリットについて解説する。
病気やケガへの重要な備えである医療保険にはいくつかの種類があるが、保障期間では終身型と更新型に大別されており、その選択に迷う人も多いだろう。
また、さまざまな保険会社から多様な商品が販売されているが、その人の経済状況や将来のリスクへの考え方によって、選ぶべき保険は変わってくる。
このように保険選びに悩まれている方に向けては、医療保険を選ぶポイントについても説明する。
よりよい医療保険を見つけるための参考として、ぜひ最後まで読んでほしい。
終身医療保険とは?終身型と更新型の違いについて
医療保険とは、ケガや病気になったときの医療費を保障してくれる保険だ。
医療費は、公的医療保険(健康保険など)により自己負担は3割になるが、手術や入院がともなうと自己負担の費用も大きくなる。
手術や入院が必要なときには、医療保険は手術給付金や入院給付金を給付してくれる。
ここでは、生涯にわたり医療費を保障してくれる“終身型”医療保険の特徴を解説する。
さらにこの医療保険との比較として、“更新型”医療保険との違いについても説明する。
医療保険の必要性
読者のなかには「医療費が高額になっても、高額療養費制度があるので、医療保険は必要ない」と思っている方はいないだろうか。
確かに医療費の自己負担額が一定額を超えるとき、高額療養費制度を利用すれば、支払った金額の一部を払い戻してくれる。
ただ現在の公的医療保険が保障する医療費の3割の自己負担率も、少子高齢化の進展により、今後変わる恐れもある。
少子化により公的医療保険料を納める働き手が減少し、高齢者が増えて医療機関の利用も増えれば、公的医療保険の負担も拡大する。
このため高額療養費制度も変わる可能性があり、自分を守るためにも医療保険に加入し、これらの制度変更に備えておくべきだ。
終身型医療保険の特徴
終身型医療保険は、契約時の保険料で生涯にわたる保障を受けることができるが、その代わり更新型医療保険よりも保険料が割高になる。
高齢の場合や持病があるときには保険の加入が困難になるが、若く健康なときに加入すれば、生涯にわたる安心感が得られる。
しかし保障内容が一生変わらないため、ライフステージの変化に対応して、保障内容を見直すことが難しい面もある。
この保険のなかには、保険料の一部を保険会社内で運用し、解約時には保険料を払い戻してくれる保険商品もある。
この保険料の払戻金を解約返戻金というが、これを担保に以下の制度も利用できる。
- 契約者貸付制度
- 保険会社から融資してもらえる制度。保険会社からの審査もなく、利用目的にも制限はない。
- 自動振替貸付制度
- 保険料の払い込みを忘れた場合でも、保険会社が自動的に保険料を立て替えてくれる制度。
更新型医療保険の特徴
この保険は契約時点で保険期間を取り決め、その期限(満期)を迎えると同じ保障内容で自動更新される。
終身型医療保険と比べ保険料は割安で、契約更新時に保障内容が変わらなければ、医師の診断や告知(健康状態の申告)も不要だ。
保証内容が同じであれば更新ごとに保険料は高くなるが、更新の際には、保障内容の見直しにより保険料の調整もできる。
昔は日帰り入院を保障しない保険が多かったが、更新できない保険だと、「日帰り入院を保障しない保険」を持ち続けることになる。
医療保険の終身型と更新型のそれぞれのメリットとデメリット
ここでは、終身型と更新型の医療保険がもつ、それぞれのメリットとデメリットを対比して解説する。
両者とも長所と短所があるため、どちらの保険を選べばよいかという判断が、難しいと思われる方もいるだろう。
終身型と更新型の医療保険は対照的な存在であるため、並べて比較すると、両者の違いがより明らかになる。
両者の特徴の違いから導き出される、それぞれの保険に合ったライフステージやユーザー像も紹介する。
自分にとって、どちらのユーザー像が近いのかを考えてみることで、自身に合った保険が浮かび上がってくるかもしれない。
医療保険の終身型と更新型のメリットとデメリット
これまで述べてきた終身型と更新型の医療保険の特徴を、メリットとデメリットの観点で、以下の比較表で整理する。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
終身型 医療保険 | 契約時点で取り決めた保障内容と保険料は、生涯にわたり変わらないため安心感が得られる。 解約返戻金がある保険商品では、契約者貸付制度や自動振替貸付制度が利用できる場合がある。 | 保険期間には満期がないため、保障の見直しが難しい。このため以下の課題が生まれる可能性がある。 保障内容が変わらないため、自分のライフステージの変化には対応しない。 医療技術の進歩や公的医療保険制度の変更により、契約時点の保障内容では不十分になる恐れがある。 契約して数十年経過すると、インフレにより、契約時点に設定した保険金額では医療費が補えなくなる可能性がある。 保険料は更新型と比べて割高。 |
更新型 医療保険 | 保険期間には満期があり、契約更新の際には、保障内容の見直しができる。 保険料は終身型と比べて割安。 | 保障内容が同じであっても、契約更新の際には保険料が上がる。 ほとんどの場合で解約返戻金がない。 |
この比較表では、「契約の更新」をどう受け止めるかによって、それぞれの保険の評価が変わってくるだろう。
「契約の更新」を、その保険の長所と感じる人もいれば、短所と感じる人もいる。
つまりユーザーの価値観によって向いている保険は異なり、さらにライフステージの変化によっても、よりよい保険は変わってくる。
ここからは、それぞれの保険に適したユーザー像を紹介していく。
終身型医療保険に向いているユーザー像
この保険では、「契約の更新がない」ことで生涯にわたる保障がもてるため、安心感を得たいと考えている人には向いている。
世の中が変化し、保険の保障内容が十分でなくなったとしても、「貯蓄で補う」と考えている人には適しているだろう。
また子どもが独立し、その後に大きなライフステージの変化が見込まれない老後を迎える方にも、向いている保険といえる。
高齢での保険加入は保険料が上がるが、退職金の一部を頭金に入れられれば、保険料を抑えることもできる。
一方で、今後ライフステージの変化が多く訪れる若い人には、保険料が割高なこともあり、向いていない保険かもしれない。
更新型医療保険に向いているユーザー像
この保険は、保障内容は手厚く保険料も割安なため、収入が少ない若い人でも加入しやすい保険だ。
若い人は、今後様々なライフステージの変化や、医療技術の進歩や公的医療保険制度の変更などに接するかもしれない。
この保険には「契約の更新がある」ことで、このような自分を取り巻く状況の変化に応じて、保障内容が見直せる。
住宅ローンや子どもの教育費が多い時期だけ保障を手厚くしたいなど、一定期間だけ保障を充実させることも、この保険では可能だ。
一方で「生涯にわたる安心感をもちたい」と考えている人には、この保険は向いていないだろう。
医療保険の選び方のポイント
ここでは自分に合った保険選びのポイントを解説する。
前章までは、終身型と更新型の医療保険がもつ特徴、それぞれの保険に向いているユーザー像を紹介してきた。
しかし「いずれのユーザー像にも、自分はあてはまらないため保険選びに悩んでいる」と考えている方もいるだろう。
先に紹介したモデルユーザーは、二つの保険の違いを、より明確にするための一例にすぎない。
ここからは、将来のライフプラン・保険加入の目的・保険料の三つのポイントから、保険の選び方を説明する。
将来のライフプランを考える
20代30代の方が医療保険の加入を検討する際には、これからのライフプランを、まず考えることをおすすめする。
若い頃は最低限の保障にし、年齢を重ねるごとに病気のリスクも高まるため、段階的に保障を手厚くするという考え方もあるだろう。
また子どもが独立すれば経済的責任が減るため、生命保険の死亡保険金を減らし、医療保険を手厚くするという方法もある。
ただし、高齢になると手厚い保障内容に切り替えることが困難になるため、そうなる前に障害にわたる保障を確保したい。
ライフプランを考え、変化の激しい時期は更新型に加入し、変化が少なくなると終身型に切り替えるのも一考ではないだろうか。
医療保険への加入目的を明確にする
次に、医療保険に加入する目的や理由を、改めて考えてほしい。
生涯にわたり保障内容が変わらず、「お守り」のような安心感を得たいと思えば、終身型医療保険以外に選択肢はない。
しかし女性の方のなかには、妊娠・出産時期のリスクにのみ重点的な保障を備えたいと考えている人もいるだろう。
また個人事業主のなかには、長期入院による収入減少に備えて、現役世代の間は保障を手厚くしたいと考える方もいるだろう。
医療保険に対しそのような考え方をもつ方々には、一定期間だけ保障が手厚くできる更新型医療保険がいいだろう。。
つまり何のために医療保険に加入するのか、その目的や理由を実現できる保険商品を選ぶべきだ。
家計への無理がないように全体の保険料を考える
どんなに自分にとって最適な保険でも、家計への負担が大きいために、継続できなくなれば意味はない。
以下に、生命保険文化センターの調査報告による、世帯年収別の払込保険料の調査結果を紹介する。
世帯年収 | 年間払込保険料の 平均額※1 | 年収に占める 保険料の割合※2 |
---|---|---|
200万円未満 | 20.5万円 | 11.7% |
200~300万円未満 | 28.0万円 | 11.6% |
300~400万円未満 | 31.5万円 | 9.0% |
400~500万円未満 | 30.6万円 | 6.8% |
500~600万円未満 | 31.9万円 | 5.8% |
600~700万円未満 | 32.9万円 | 5.1% |
700~1,000万円未満 | 43.4万円 | 5.2% |
1,000万円以上 | 57.9万円 | 4.2% |
※1:P40「〈図表Ⅰ−54〉 世帯年間払込保険料(世帯年収別)」
全生保データより引用
※2:P42「〈図表Ⅰ−57〉 世帯年間払込保険料対世帯年収比率(世帯年収別)」
全生保データより引用
自分の年間払込保険料が、上記データよりも超える場合は、加入中の生命保険と保障内容が重複していないか確認してほしい。
生命保険の死亡保険金額が適切であるかも確認のうえ、必要であれば保障内容を調整し、自分の保険料全体の最適化を考える。
終身型と更新型の医療保険の特徴を押さえて自分に最適な保険選びを行おう
医療保険には終身型と更新型があり、前者は生涯にわたり変わらぬ保障が得られ、後者は満期での保障内容の見直しがしやすい。
また終身型の保険料は割高で、更新型の保険料は割安だが、更新型は更新ごとに保険料は上昇する。
将来への備えとなる保険選びには、それぞれの特徴を把握し、自分のライフスタイルにあった保険を選ぶことが大切だ。
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