- 医療保険の一時金タイプの特徴を把握したい
- 自分は一時金タイプの医療保険が適しているのかわからない
- 一時金タイプのメリット・デメリットを把握したい
医療保険は病気やケガなど万が一の時の備えとして加入する保険である。
その種類は多く、なかには入院時に一時金が給付されるものなどもある。
しかし、入院給付金に加え、医療保険の一時金(入院一時金)までも必要なのだろうか。
本記事では、医療保険の一時金の特徴や必要性、自分に適した保険の選び方について解説していく。
医療保険への加入を検討している、または既に加入している方で保険を見直したいと考えている方は、ぜひ参考にしてほしい。
医療保険の一時金は必要か
医療保険は、入院や手術の際の費用を保障してくれる保険だが、ある程度まとまった金額を一時金として支給してくれる仕組みも用意されている。
ここでは、その仕組みの概要を確認しよう。
医療保険の概要と特徴
医療保険とは、疾病やケガの際に給付金が支給される保険のことである。
医療保険の保障内容は、主に入院給付金と手術給付金が中心となる。
入院給付金は、日額5,000円など金額が決まっていて、実際に入院した日数を乗じて支給される。
1回の入院で60日や120日程度までを限度として設定されており、総入院日数としては1,000日や1,095日といった上限が決まっているのが特徴だ。
手術給付金は、一定額を支払う定額型と、入院給付金の10倍や20倍といった倍率で計算する方式が一般的だ。
保険会社ごとに対象とする手術は決まっており、どんな手術でもいいわけではない。
その他に、通院治療した際の通院給付金が用意されている保険もある。
がん以外でも入院期間が短くなる傾向にあり、通院治療に対する保障はとくに重要視されるようになっている。
先進医療を受けた際の先進医療給付金も、特約で用意されていることが多い。
医療保険には、一定期間の保障を受けられる定期型と、一生涯の保障を受けられる終身型の二種類がある。
定期型は、10年、15年などのように保障期間が限定されており、そのぶん保険料が割安に設定されている。
加入時の年齢によって保険料が決まり、若いほど安い保険金額となっている。
そのため、20-30代といった若いうちに加入すれば安い保険料で済むが、10年後、15年後に40代、50代を超えてくると、徐々に高額になってくる。
加入上限年齢もあるため、老後を迎えるころには入れる医療保険がない、ということもあるため、注意しておこう。
終身型は、加入時点からずっと同じ保険料で一生涯の保障を得られるというタイプだ。
定期型に比べて、保険料は割高なため、収入が少ない若いうちから加入しても家計を圧迫するだけかもしれない。
とはいえ、昨今の寿命の長期化から、一生涯の保障をカバーできる終身型の医療保険のほうが人気がある。
終身型の医療保険に加入しておき、老後で収入が少なくなる前に、保険料を払い終えるようにすると、トータルの保険料も少なく、一生涯の保障を得ることができて、ベストな選択肢といえるだろう。
入院一時金とは
通常の医療保険は、入院給付金と手術給付金を中心としつつ、追加で保障が必要な場合は、オプションや特約を追加することで、さまざまなプランを作ることができる。
追加できるのは、通院給付金や先進医療給付金のほか、がんや三大疾病に関する保障、女性疾病に関する保障など、バリエーション豊富である。
入院一時金も特約で付加できる保障の一つだ。
入院給付金は入院した日数分だけ、受け取れる金額が決まっているが、入院日数に関わらず、ある一定の金額を一度に受け取ることができるのが、入院一時金である。
入院時には、治療費のほかに食事代や日用品代、さまざまな雑費を含め多くの費用がかかってしまう。これは入院期間の長さに比例するものではなく、短期の入院でも費用はそれなりにかかるのは事実だ。
生命保険文化センターの調査によると、一回の入院で支払った金額(自己負担分)は、平均19.8万円にもなる。
5日未満の短期の入院でも、平均8.7万円の費用がかかっているとのこと。
退院後に請求手続きを経て、受け取る入院給付金では、入院に必要な最初の費用をカバーしきれないだろう。
入院一時金は、入院時点ですぐにまとまった金額を受け取れるので、入院の準備のための費用にあてることができるのが利点といえる。
なお、入院一時金は、通常の医療保険の特約で提供する場合がメインではあるが、入院一時金が主契約となっている保険もある。
たとえば、ネオファースト生命「入院一時給付保険」や太陽生命保険「入院一時金保険」がそれにあたる。
- 参考:公益社団法人 生命保険文化センター 「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」
- 参考:ネオファースト生命「入院一時給付保険 ネオdeいちじきん」
- 参考:太陽生命保険「入院一時金保険」
入院一時金は必要?
医療保険の入院給付金があれば、入院一時金までは必要ないのではないか。
以下に入院一時金の必要性を考えてみよう。
短期入院に備えることができる
最近は入院も短期化しているが、入院時の医療費以外にも様々な初期コストがかかる。
入院一時金は短期の入院に対しても一定の保障を得られ、急な医療費の発生に備えることができる。
一時金の給付金額が決まっている
入院一時金は入院日数に関わらず一律で支給されるため、資金計画を立てやすいだろう。
入院当初の慌ただしいときにも、経済的な安心感をもたらす。
これは、事後にまとめて支給される入院給付金とは、異なる側面があるといえる。
追加で保障を強化できる
医療保険だけでは保障が足りない場合などに、入院一時金を追加しておけば、安心につながる。
たとえば、現在加入している医療保険が、入院5日目以降にならないと給付されない場合、その期間を埋める意味で入院一時金が役立つはずだ。
ライフステージの変化に合わせる
結婚や出産などで家計的にリスクが高まったり、貯蓄が必要になるタイミングで、安い保険料で必要最低限の保障を得られるだろう。
このように、さまざまな状況に合わせて、入院一時金の必要性は考えられる。
個々の生活に合わせた検討が必要となるだろう。
一時金タイプの医療保険のメリット・デメリット
入院一時金がメインとなっている医療保険のメリット、デメリットをそれぞれ考えてみよう。
また、入院一時金が受け取れないケースはどんな場合なのかも解説する。
入院一時金のメリット
メリットは、入院一時金が短期入院を得意としている点や、現在の保険を維持したままで不足分を補填できる点、保険料が安く抑えられる点だろう。
短期入院に強い
入院一時金は、入院期間が短い場合にこそ効果があるだろう。
急なケガや病気での短期入院に対して、一定の給付を受けることができ、入院期間に関わらず安心感を得られる。
現在の保険を解約せずに補完できる
既存の医療保険が不十分だと感じた場合でも、この入院一時金タイプを追加することで補完ができる。
既存の保険を解約することなく、入院時の費用不足を補填し、全体的な保障を向上させることができる。
保険料を抑えられる
入院一時金を中心とした限定的な保障であるため保険料は安くすむ。
必要なリスクに対して適切に組み合わせることで、費用対効果を最大化できるだろう。
入院一時金のデメリット
一方でデメリットとして、長期入院への対応力の弱さ、入院回数に制限のある商品がある点、他の保障を組み合わせないと不安な点があげられる。
長期入院に弱い
一時金だけだと、入院期間が長期にわたる場合にはあまり効果はないだろう。
がん治療や精神疾患など、長期の治療が必要な状況に対しては、他の包括的な医療保険が求められる。
入院の回数制限がある商品がある
保険商品によっても異なるが、通算限度20回までと規定があるものや、180日に1回の支払限度がある場合がある。
このため、複数回の入院が必要になるときは、制限に注意する必要がある。
他の保障と組み合わせないと不安
単独では包括的な保障が得られないため、他の保険と組み合わせて利用することが不可欠だ。
入院一時金はあくまで、限定的なリスクや不足している保障をカバーするものであり、トータルで考えるときは、他の商品との組み合わせが必須となるだろう。
入院一時金が受け取れないケース
入院一時金が受け取れないケースは、各社の医療保険によって変わってくる。
たとえば、ネオファースト生命「入院一時金給付保険 ネオdeいちじきん」は、以下のときは支払い対象にはならないとしている。
- 精神障害または泥酔の状態を原因とする事故の場合
- 美容上の処置
- 正常分娩
- 疾病を直接の原因としない不妊手術
- 人間ドック検査入院
このように、入院や事故の原因によっては支給されないケースがある。
予定していた一時金が受け取れなかった、ということのないように、事前に保険会社や約款を確認しておく必要があるだろう。
- 参考:ネオファースト生命「入院一時給付保険 ネオdeいちじきん」
自分に適した保険の選び方
一時金タイプの医療保険が自分に適しているのかどうか、自身のライフプランと目的に合った保険を見つけることが大切だ。
ライフプランを考える
ライフプランとは、将来の目標や家族構成、収入などを踏まえた、人生設計のことだ。
将来のリスクを把握するために、まずはライフプランを考えよう。
たとえば、以下の観点について、自分一人で、あるいは配偶者と一緒に検討してほしい。
- 結婚や出産の予定がある場合は、出産育児費用や育児休業中の収入減少などを想定する必要がある。
- 子どもの教育費は、公立か私立か、大学まで進むのかなどによって、必要な金額が大きく異なる。
- 仕事や収入の変化は、退職、転職、昇進など、さまざまな要因によって起こりうる。
- 貯蓄は、万が一の際にすぐに使える現金をどれくらい用意しておきたいのかを検討する。
- 持病や家族の病歴がある場合は、その病気やケガに関する保障が充実した保険を選ぶ必要がある。
どのタイミングで、どれだけの資金が必要かを具体的に計画することが大切だ。
そのうえで、すでに加入中の医療保険で必要な保障をカバーできるか検討し、追加の一時金の必要性を判断しよう。
加入目的を明確にする
ライフプランを検討した上で、加入目的を明確にしよう。
医療保険には、もともと入院給付金や手術給付金、通院給付金など、さまざまな保障がある。
どの保障が、どのくらい必要なのかを検討すべきだ。
たとえば、以下のような加入目的が考えられる。
- 入院時の経済的負担を軽減したい場合、入院給付金や入院一時金を充実させる必要がある。
- 手術時の高額な費用を補償したい場合、手術給付金を充実させる必要がある。
- 通院治療の費用を補償したい場合、通院給付金を充実させる必要がある。
- がんの保障を充実させたい場合、がん保障を充実させる必要がある。
目的を明確にし、その目的に適した医療保険を選ぶことで、無駄な保障を避け、必要な時に必要な保障を受けることができるだろう。
既存の医療保険だけで、入院時の負担をカバーできるのであれば問題ない。
それで不足する場合は、一時金を追加する必要があるだろう。
無理のない範囲で検討する
保険料は、保障内容や年齢、健康状態などによって異なる。
保険料を抑えたい場合は、保障内容を減らすか、払込期間を延長するなどの検討が必要となる。
一時金タイプの医療保険は、保険料も低額で、大きな負担になることはないだろう。
ただそれでも、長い期間にわたって支払いは続くため、家計に大きな影響のない範囲で設定する必要がある。
途中で解約しても解約返戻金は出ない場合が多いので、極力解約することのないよう支払い続けられるようにしたい。
無理なく支払い続けることで、長期的な安心感を得ることができる。
まとめ
本記事では、医療保険の一時金について、必要性やメリットデメリット、自分に適した保険の選び方について解説した。
思わぬ病気やケガで入院した時、公的医療保険が治療費の大部分を負担してくれる。
ただ、差額ベッド代などは公的医療保険ではまかなえず、自己負担になってしまう。
そういったものの備えとして、医療保険で入院給付金や一時金などを準備しておくことをおすすめする。
また、医療保険の一時金タイプはその特徴と幅広い保障内容から、自身のライフスタイルやニーズに合った選択が可能だ。
しかし、保険内容は難しいうえに、自分にはどのくらい保険金が必要なのかわからない方も多いだろう。
そんな時には、保険のプロに相談してはどうだろうか。
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