- 30代に必要な生命保険の種類について理解したい
- 30代で生命保険を見直す際のポイントが知りたい
- 生命保険を活用した税金対策の方法を知りたい
30代を迎えると、結婚してパートナーと一緒に生活するようになったり、出産によって家族が増えたりするなど、人生における重要なライフイベントが多く発生する。
もちろん、転職や昇進などの仕事面における転機が訪れる人もいるだろう。
このようなライフステージの変化は、現在加入している生命保険を見直すまたとない機会である一方、忙しさから後回しにしてしまいがちだ。
そこで本記事では、30代で生命保険を見直す際のポイントを詳しくまとめた。
状況別で必要な生命保険の具体的な種類・商品と、あわせて覚えておきたい生命保険料控除の仕組みも解説しているので、ぜひ参考にしてほしい。
どう見直す?30代に必要な生命保険とは
はじめに、30代に必要な生命保険を以下の3パターンに分けて解説しよう。
- 独身の場合
- 結婚して子どもがいない場合
- 結婚して子どもがいる場合
実際、これらのパターン分けをしても具体的な状況はさらに細かく分けられるため、一例として参考にして欲しい。
独身の場合
30代で独身の場合は仕事が順調で、自身のキャリア形成を最優先している人が多いのではないだろうか。
人によっては就職のタイミングで医療保険や死亡保険に加入しているかもしれないが、その前提は抜きにして、男性の場合は病気に対する備えを、女性の場合はがんに対する備えをするとよいだろう。
医療保険としておすすめなのが、オリックス生命の「医療保険キュア・ネクスト」だ。
この保険は、病気やけがによる入院を一生涯保障してくれるもので、七大生活習慣病の保障も手厚いのが特徴である。
約1,000種類の手術も保障の範囲となっているため、安心感も大きいだろう。
終身型の掛け捨て保険になるが、保険料の払込期間は60・65歳・終身払から選べる。
保障内容もシンプルで、保険料も割安だ。性別に関係なく、働き盛りのビジネスパーソンは多忙な生活スケジュールになることが多く、食生活も乱れがちだ。
無理が祟って病気にかかるリスクに備えておいて損はないだろう。
がん保険としておすすめなのが、花咲く生命の「はなさくがん保険」だ。
この保険は、上皮内新生物に対しても同額の保障を受けられるのが大きな特徴である。
また、初めてがんと診断確定されたときにまとまった額を受け取れるため、今後の治療なども安心して臨めるだろう。
保険期間は終身となっており、終身払いまたは60歳から80歳まで、5年刻みで払込期間を設定できる。
女性の場合、乳がんや子宮頸がんなど、特有のがんに罹患するリスクは避けられない。
これらの発症は30代にも十分みられるため、医療保険とは別で備えておいたほうが安心だ。
結婚して子どもがいない場合
30代は結婚のピーク時期とも言えるなか、子育てできる余裕があるか悩む人や、子どもをもうけない選択をする人もいるだろう。
もちろん、将来的に子どもを産みたい希望があるが、現在は夫婦2人の時間を楽しんでいる人もいるはずだ。
このような結婚して子どもがいないパターンにおいては、妊娠する前に医療保険に加入しておくことと、将来を見据えて個人年金保険への加入の検討をおすすめしたい。
医療保険に関しては、はなさく生命の「はなさく医療」がおすすめだ。
この保険は、病気やけがによる入院・手術、生活習慣病などへの手厚い保障はもちろん、女性限定の充実した保障が最大の特徴である。
女性特有の病気などで入院した際、日帰り入院でも最高10万円の一時金を受け取れたり、入院・手術の保障を手厚くできたりする。
女性特有のがんに対する一時金の保障や、定期的な乳がん・子宮頸がん検診の受診による早期発見もサポートしている。
女性の場合、妊娠が発覚してから医療保険に加入しようとすると、ほとんどの確率で子宮系の疾患に対する不担保特約がついてしまう。
何かがあった際に保障を受けられなくなるため、女性の場合は結婚を機に医療保険の見直しまたは加入がおすすめだ。
個人年金保険に関しては、住友生命の「たのしみ未来」がおすすめだ。
この保険は、保険料の払込期間や据置期間などをライフプランに合わせて自由に設定できる。
加入には告知書の提出も不要で、医師からの診査も不要であるため、簡単に加入できるのも特徴的だ。
30代から長期にわたって積み立てられると、期待利回りも大きくなりやすい。
30歳男性・保険料払込期間35年・年金受取期間10年の場合における年金受取率は108.2%と試算されているため、選択として悪くないだろう。
子どもをもうけない選択をした場合であれば、老後を見据えた資産形成を早めに取り組むほうがよい。
期待利回りもよくなり、安心した日々を過ごせる確率も上がるだろう。
結婚して子どもがいる場合
30代で結婚して子どもがいる場合は、自身の身に万が一のことが起きた場合に備えて死亡保険と就業不能保険への加入を検討しよう。
死亡保険としておすすめなのが、メットライフ生命の「スーパー割引定期保険」だ。
この保険は、健康な人ほど保険料が割り引かれ、保険金額と保険期間を自由にカスタマイズできるのが大きなメリットである。
独身や結婚して子どもがいない場合、死亡保険の必要性は高くない一方、子どもがいる場合、遺された家族が路頭に迷わないようにするためにも、死亡保険の加入は必須だ。
特に、子どもが独立するまでの期間を定期保険としてカバーするのが効果的であるため、保険金額・期間をカスタマイズできる商品を選ぶとよいだろう。
就業不能保険としておすすめなのが、SBI生命の「働く人のたより」だ。
保障範囲は、あらゆる病気やけがをバランスよく保障する「全疾病型」、がん・心筋梗塞・脳卒中のみを保障する「3疾病型」、がんのみを保障する「がん保障型」からタイプを選べる。
精神疾患によって働けなくなった際も保障されるため、病気による職場の長期離脱があった際の収入減少をカバーできる就業不能保険は、子どもができた場合に検討してもよいだろう。
特に、個人事業主の場合は傷病手当金が支給されないため、働けなくなったときのリスクヘッジが欠かせない。
ほかにも、専業主婦・主夫の家庭においても、一家の大黒柱が働けなくなった際の影響度は大きいため、就業不能保険も検討してみてほしい。
30代で生命保険を見直す時のポイント
ここでは、30代で生命保険を見直す際のポイントについて、以下3つの観点から紹介しよう。
- 家族の状況に合わせて必要な保障内容を検討する
- 保険加入の目的を満たす商品を選ぶ
- 新規加入以外の方法も検討する
新卒から働き始めて10年程度経過した30代においては、独身で仕事をバリバリこなす人もいれば、結婚・出産を経て家族が増えた人もいるだろう。
マイホームを購入して、住宅ローンの返済がスタートしている人もいるため、状況は千差万別だ。
新卒で企業に就職すると、ある程度の人が就職を機に医療保険や死亡保険などに加入するものの、加入以後、契約内容を見直したことがある人はほぼいないのではないだろうか。
結婚を機に保険に加入したものの、それっきりという人もいるだろう。
生命保険に加入することは大切だが、いざという時に本当に効果を発揮してこそ意味がある。
保障内容が乏しかったり、条件が合わずに保障を受けられなかったりしては本末転倒だ。
「保険に入っておいてよかった」と思えるよう、以下で紹介するポイントを踏まえ、現在の生命保険を見直してみてほしい。
家族の状況に合わせて必要な保障内容を検討する
いわゆる「ライフステージの変化」に合わせた保障内容の検討が、最も重要なポイントだ。
- 結婚
- 同居
- 出産
- マイホームの購入
- 転職・退職
- 独立起業
死亡保険を例にみても、独身の場合、必要に応じて自身の葬式費用を保障する程度であり、加入しない人が大半だろう。
結婚しても、子どもがいなければお互い働いているのが通常であるため、パートナーに先立たれた際の経済的な影響は限定的だ。
死亡保険に加入してもある程度の保険金が出れば十分だろう。
しかし、子どもが生まれれば話が違うのは先ほど解説したとおりで、子どもの数によって必要な生活費・教育費も異なる。
マイホームを購入して住宅ローンを返済し始めれば、死亡保険の考え方も変えるべきだろう。
ほかの生命保険も同様であり、家族の状況やライフステージを起点に必要な保障・保険は何か、どの程度の保障が必要であるか検討することが最も重要だ。
保険加入の目的を満たす商品を選ぶ
保険を見直す際に気をつけたいのが、目的と手段を間違えないようにすることだ。
要するに、保険加入の目的を満たせる商品を適切に選ぶのが大切である。
生命保険には、条件に該当する際に保険金を支払う「保障」に特化した商品と、満了期間まで保険料を支払い、満期を迎えて保険金を受け取る「貯蓄」に特化した商品がある。
現在加入している保険について、保障が必要なのか、貯蓄を目的としているのか、その前提は必ず明確にしておこう。
この点に関しては、掛け捨て型にするか、返戻金があるタイプにするかの議論にも共通する。
保険を選ぶ際に重要なのは、備えたいリスクを明らかにして、各リスクに対して最も効率よく対策できる方法を選ぶことだ。
将来に備えて貯蓄したい場合は新NISAを使えば解決できる場合もあるため、まずは現在加入している保険の目的を言語化してみてほしい。
新規加入以外の方法も検討する
保険の見直しは、既存の契約内容よりも優れた商品を探すだけでなく、特約の追加や部分解約などの方法もあることは覚えておこう。
保険に新規加入する場合、既存の保険に加入したタイミングよりも健康上のリスクは確実に上がっているため、保険料が思ったより高くなる場合もある。
加入時の健康状態をもとに診査されるのはやむを得ないため、同じ保障内容でも現在の保険のほうが割安な場合もあることは覚えておいてほしい。
そのため、保障が不足すると感じるなら特約の追加でカバーできないか検討してみよう。
逆に、既存の契約内容では保険金額が多すぎるなら、保険金額を抑えて保険料を下げることもできるはずだ。
保険の見直しや新規加入にもやり方はあるため、さまざまな選択肢のなかから最適なプラン・保障内容を探してみてほしい。
なお、いつ保険を見直すかによって重視するべきポイントは異なる。
年代別の保険の見直し方を解説した以下の記事も参考にしていただくと、より30代に必要な視点への理解を深めることができるはずだ。
30代の見直しの際にも必見!生命保険を利用した税金対策
生命保険に加入した人なら誰でも実践できる税金対策があるのはご存じだろうか。
「生命保険料控除」と呼ばれる仕組みだが、企業に勤める会社員の場合、年末調整で人事担当から配布される資料に必要事項を記入することで税制優遇を受けられるものだ。
保険に加入しているにもかかわらず、年末調整で申告していない人は今までかなりの金額を損しているため、以下で紹介する内容はぜひ把握しておいてほしい。
制度の概要や対象となる保険の種類と計算方法、実際の節税効果について一つずつ解説しよう。
生命保険料控除制度の概要
生命保険料控除とは、一年間に支払った生命保険料のうち、一定額を所得金額から差し引ける制度だ。
つまり、課税対象となる所得(課税所得)を圧縮できるため、算出される所得税と住民税を下げられるというものである。
生命保険料控除を導入することで国民に対する自助努力を促し、上限はあるものの、保険料を支払った分だけ税金を抑えられるというメリットをつけたと言える。
生命保険料控除は自ら申告しなければ適用されないため、会社員の場合は年末調整で一年間に支払った保険料を申告し、個人事業主の場合は確定申告に記載しなければならない。
申告を怠っても罰則はないが、控除を受けられない分の課税所得が増えるため、本来払わなくてよい税金を払うことになるのだ。
生命保険料控除が使える保険の種類と控除額の求め方
生命保険料控除には3つの種類・控除枠があり、それぞれで対象となる保険の種類は以下のとおりである。
- 一般生命保険料控除
- 定期保険、終身保険、収入保障保険、学資保険など
- 介護医療保険料控除
- 医療保険、介護保険、がん保険、就業不能保険など
- 個人年金保険料控除
- 個人年金保険など
控除額の計算方法は一年間に払い込んだ保険料によって異なり、所得税の控除額の計算方法は下表のように分かれている。
払込保険料 | 控除額の計算方法 |
---|---|
〜20,000円 | 払込保険料の全額 |
20,001〜40,000円 | (払込保険料×1/2)+10,000円 |
40,001〜80,000円 | (払込保険料×1/4)+20,000円 |
80,001円〜 | 上限値の40,000円 |
住民税の控除額の計算方法は下表のとおりだ。
払込保険料 | 控除額の計算方法 |
---|---|
〜12,000円 | 払込保険料の全額 |
12,001〜32,000円 | (払込保険料×1/2)+6,000円 |
32,001〜56,000円 | (払込保険料×1/4)+14,000円 |
56,001円〜 | 上限値の28,000円 |
控除額の計算は先ほどの3種類それぞれに対して計算でき、最大控除額は所得税が12万円、住民税は7万円となっている。
そのため、複数の生命保険に入っている場合も併用でき、所得税と住民税で最大額の設定に違いがある点も押さえておこう。
生命保険料控除による具体的な節税効果
ここでは、生命保険料控除の具体的な節税効果について、具体例を挙げながら見ていこう。
- 定期保険の年間払込保険料は10万円
- がん保険の年間払込保険料は12万円
- 個人年金保険の年間払込保険料は6万円
上記の場合、定期保険は一般生命保険料控除、がん保険は介護医療保険料控除、個人年金保険は個人年金保険料控除に該当する。
定期保険とがん保険の払込保険料は上限の8万円超及び56,000円超となっており、それぞれ控除額は上限の4万円、28,000円である。
個人年金保険の場合、それぞれの控除額は以下のように計算できる。
- 所得税:(60,000円×1/4)+20,000円=35,000円
- 住民税:上限の28,000円
つまり、控除額の合計は以下のとおりだ。
- 所得税:40,000円+40,000円+35,000円=115,000円
- 住民税:28,000円+28,000円+28,000円=70,000円(最大額の上限)
最後に、所得税と住民税額の算出だが、課税所得によって所得税率が異なるため仮に15%とすると、「115,000×0.15=17,250円」の節税効果がある。
住民税の場合は自治体によって異なるが、一般的には10%となっていることが多いため、「70,000×0.1=7,000円」の節税効果を見込める。
控除額はあくまで課税所得から差し引ける額であり、同額分の節税効果があるわけではない点には注意が必要だ。
30代での生命保険の見直しは、不足している保障を補うことが大切
本記事では、30代で生命保険を見直す際のポイントについて詳しく解説した。
30代ではさまざまなライフステージを迎えるため、その状況に合わせて適切な保険を選ぶことが最も大切な考え方である。
既に入っている保険では保障内容が不足していることが多く、結婚を機に加入した保険も出産時には見直しが必要だ。
保険を見直す際は、改めて保険加入の目的を明確にして、備えたいリスクに最適化した保険選びが重要である。
また、保険を新たに加入するだけでなく、特約の追加や部分解約によっても見直しはできるため、さまざまな選択肢からニーズに合う保険選びをしよう。
あわせて、生命保険料控除も活用して税制優遇を受けられるようにすべきだ。
30代に必要な生命保険も具体的に紹介したが、本記事で紹介したポイントを踏まえて自身に最適な保険を選ぶことがもっとも大切である。
ただし、数ある保険のなかから自分に合う保険を選べるか不安な人は、保険のプロに相談するとよいだろう。
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