- 糖尿病の治療にどれくらいの金額がかかるのか知りたい
- 糖尿病網膜症のレーザー治療に生命保険が適用できるのか知りたい
- 糖尿病網膜症のレーザー治療に生命保険を利用する際の注意点が知りたい
この記事では、糖尿病の治療にかかる費用、糖尿病網膜症への生命保険の適用と注意点について解説する。
糖尿病とは血糖値が高い状態が続き、悪化すると腎臓病や失明、神経障害などにつながる病気だ。
この病気の患者数は、国内におよそ1,000万人にのぼるともいわれ、なかでも糖尿病網膜症に悩まされている人は多い。
糖尿病網膜症の治療には、レーザー治療があるが、その医療費は保険でまかなえるのだろうか?
糖尿病に備えて、医療保障に手厚い保険の加入を検討している人は、ぜひ参考にしてほしい。
糖尿病の治療にはどれくらいの費用がかかるのか
ここでは糖尿病とその治療にかかる費用について解説する。
初期の糖尿病患者には自覚症状がないため、この病気にかかっていることを知らずに過ごし、重症化する場合もある。
糖尿病は慢性化しやすく、治療は長期にわたるため、医療費がおよぼす家計への負担は大きくなる。
健康保険などの公的医療保険により医療費は軽減されるが、費用のなかには、適用対象外になるものもあるので注意が必要だ。
糖尿病に備えるために、病気や医療費への正しい理解を持とう。
糖尿病とは?
初期段階では自覚症状がないため、手足のしびれや便秘などはあるが、患者自身は特別な症状と考えないことが多い。
そのままにしておくと、口の渇き・多飲・多尿という症状がみられ、腹痛や意識障害・昏睡状態に陥る場合もある。
さらに糖尿病は、さまざまな合併症を引き起こすこともある。
- 糖尿病網膜症:白内障・緑内障などの眼科疾患の原因となるほか、硝子体出血・牽引性網膜剥離・虹彩血管新生などにより失明する恐れもある。
- 糖尿病神経障害:胃腸障害、発汗障害、起立性低血圧、末梢のしびれ、神経痛、不随意運動、黒内障などの症状がある。
- 糖尿病性腎症:徐々に体がむくむネフローゼ症候群という病態になり、その後は腎不全になるため、治療をしなければ死に至る恐れがある。
※ネフローゼ症候群:強度の全身倦怠感・皮膚の蒼白化や無気力・食欲不振・腹水・胸水・血尿などを起こす症状。 - 血管合併症:下記の疾病は糖尿病の有名な合併症であり、糖尿病である場合は、これらの疾患は通常よりも重症化し治療が難しいことが多い。
- 虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)
- 脳梗塞
- 閉塞性動脈硬化症
- 皮膚合併症:糖尿病性リポイド類壊死症をはじめとするさまざまな皮膚病や皮膚感染症を起こす症状。
※糖尿病性リポイド類壊死症:
足のスネの部分に斑点ができた後、橙色に変色し、悪化すると腫瘍になる症状 - 下肢合併症:末梢血管での血液循環が低下し、血行異常が生じる症状。症状が進展すると糖尿病性壊疽(足趾壊疽)のため、下肢を切断しなければならないこともある。
※壊疽(えそ):皮下組織や筋肉組織が壊死する状態 - その他:免疫不全・創傷治癒遅延・肝機能障害などを引き起こす場合もある。
糖尿病の発症率
このように糖尿病は恐ろしい病気だが、厚生労働省による調査結果によれば、発症率は17.0%と高い。
また60歳を超えると、平均値を上回る値になる。
年齢 | 「糖尿病」と指摘された人の割合 |
---|---|
全体平均 | 17.0% |
20~29歳 | 2.0% |
30~39歳 | 6.2% |
40~49歳 | 6.7% |
50~59歳 | 12.0% |
60~69歳 | 22.5% |
70歳以上 | 23.2% |
初期段階では自覚症状がないため、上記の調査で回答した以上の人が、実際には糖尿病になっているかもしれない。
健康診断の血液検査で、下記の値を超えると「糖尿病」である可能性が高いので、その場合には精密検査に行くことをおすすめする。
- 朝の空腹時に血液検査をしたときの血糖値(早朝空腹時血糖値):126mg/dL以上
- 時間を定めず血液検査をしたときの血糖値(随時血糖値):200mg/dL以上
糖尿病の医療費
糖尿病の医療費やその負担感について、糖尿病ネットワークの調査結果を紹介する。
- 1ヶ月の医療費の自己負担額
- 全体
- 1万円以上=50.6%、1.5万円以上=17.2%
- インスリン療法を受けている人
- 1万円以上=72.6%、1.5万円以上=25.5%
- 全体
- 医療費の負担感
- 全体
- 「重い負担」または「大変重い負担」と回答=69.4%
- インスリン療法を受けている人
- 「重い負担」または「大変重い負担」と回答=82.0%
- 全体
糖尿病の初期段階では食事療法や運動療法、場合によっては経口血糖降下薬を用いる。
しかし効果がない場合や非常に血糖値が高い場合は、インスリン療法が必要になるため、費用負担が大きくなる。
上記のアンケート結果によれば、インスリン療法に対して、82%の人が「重い負担」または「大変重い負担」と回答している。
さらに入院することになれば、医療費の負担は一層大きくなる。
- 教育入院を2週間した場合:157,591円(3割負担)
※教育入院:病状把握や治療方針の決定のほかに、糖尿病を正しく理解し、自己管理(食事、運動など)ができるようになることを目的とする - 足の壊疽と閉塞性動脈硬化症で25日間入院した場合:437,290円(3割負担)
※閉塞性動脈硬化症:足の動脈硬化が進み血管が詰まる、または細くなって血行障害が起きる症状
公的医療保険で費用がまかなえる範囲
健康保険などの公的医療保険により、糖尿病治療にかかる医療費は、患者が3割を負担すればよい(6歳〜69歳)。
しかし医療費の自己負担は3割であっても、家計におよぼす医療費の負担は。決して軽くはない。
また自宅で家族とは別に糖尿病食を作る費用や、体質改善のためにジムに通う費用は、公的医療保険の対象外だ。
さらに入院の場合では、以下の費用も自己負担となる。
- 差額ベッド代
- 糖尿食の自己負担分
- 先進医療や自由診療にともなう費用
- 入退院時や通院時の交通費
- 入院中の消耗品代、ほか
入院している間は収入が途絶える個人事業主の場合には、その収入保障もされない。
糖尿病網膜症のレーザー治療に生命保険は適用できるか
ここでは、糖尿病網膜症について解説する。
この合併症は、糖尿病性神経障害や糖尿病性腎症にならぶ、糖尿病三大合併症のひとつだ。
この病気は失明のリスクがあるため、内科で血糖値を下げる前に、眼科受診が望ましい場合が多い。
ここでは、糖尿病網膜症へのレーザー治療の内容、この治療に対する医療保険の適用について説明する。
さらにはこの病気に対する、アクサ生命の医療保険“スマート・ケア ウィズユー”での保障についても紹介する。
糖尿病網膜症のレーザー治療とは
糖尿病網膜症とは、糖尿病による高血糖が原因で網膜の毛細血管がつまり、網膜内での血液の循環が悪くなる状態だ。
この状態が続くと網膜の組織が酸素不足に陥り、眼底出血、あるいは硝子体出血を起こす場合がある。
このような症状を抑えるために、酸素不足の状態にある網膜に網膜光凝固術(レーザー治療)を行う。
この治療は、公的医療保険の適用対象にはなるが、片眼1回あたり約30,000円〜48,000円ほどの費用がかかる。
医療保険や医療特約から保険金が支払われるのか?
レーザー治療は、公的医療保険が適用できるものの、経済的負担は決して軽くはない。
医療保険や生命保険の医療特約に加入していると、手術を受ければ保険金が受け取れるが、レーザー治療はどうだろうか?
手術給付金は、すべての手術で給付されるというわけではない。
自分が受けた手術が、加入している保険の給付対象に入っていなければ、保険会社から手術給付金は支払われない。
現在加入している保険の保障対象に、レーザー治療が入っているか確認しておいた方がよいだろう。
アクサ生命“スマート・ケア ウィズユー”での保障例
レーザー治療を行った場合に、どのくらい給付金が受け取れるかを、アクサ生命「スマート・ケア ウィズユー」を例に紹介する。
この医療保険はレーザー治療も保障対象としており、この治療を受けると、以下の給付金が受け取れる。
- 手術を受けたとき:1回につき50,000円
- 入院したとき:1日につき5,000円
限定告知型終身医療保険であるため、糖尿病のため通院中であっても、以下の三つの項目がすべて「いいえ」であれば加入できる。
- 過去2年以内に、病気やケガで入院したこと、または手術を受けたことがあるか?
- 現在ガン・悪性新生物・上皮内新生物(上皮内ガン)・慢性肝炎・肝硬変で、医師の診察・検査・治療・投薬を受けているか?
※悪性新生物には肉腫・白血病・悪性リンパ腫・多発性骨髄腫を含む - 最近3カ月以内に、医師の診察・検査により入院、または手術をすすめられたことがあるか?
レーザー治療に医療保険・医療特約を適用する際の注意点
さまざまな規定が保険ごとにあるため、保険金が受け取れると思っていても、実際には受け取れない場合もある。
このため現在加入中の保険や、新たに加入を検討している保険の内容を確認しておく必要がある。
ここでは、レーザー治療に医療保険や医療特約を適用する際に、注意すべき点を解説する。
さらに医療費負担を軽減するための社会保障制度も紹介する。
医療費を抑えるために、この社会保障制度と保険とを組み合わせることも検討しよう。
日帰り入院は支払対象かを確認する
医療保険や医療特約によっては、入院しても入院日数が短いため、入院給付金が支払われないものもある。
このため入院給付金が支給されるのは、入院何日目からか?という点は、必ず確認しておこう。
先に紹介したアクサ生命の保険商品は、日帰り入院でも支給される。
新たに保険に加入する場合は、このような日帰り入院から入院給付金が支給される保険商品を選ぶようにしよう。
支払制限の内容を確認する
入院給付金には、支払日数に上限がある。
他の病気治療のため、すでに入院給付金の通算支払日数が超えている場合は、それ以上の入院給付金は支払われない。
新たに保険に加入する場合は、入院給付金の支払日数の上限が高い保険商品を選ぶようにしよう。
※アクサ生命「スマート・ケア ウィズユー」の入金給付金の支払限度:入院1回あたりの日数:60日まで、通算入院日数:1,095日まで
また今回紹介したアクサ生命の保険は、糖尿病でも加入できる限定告知型保険だが、この種の保険には注意が必要だ。
※限定告知型保険は、引受基準緩和型保険や選択緩和型保険とも呼ばれる。
限定告知型保険では、保険に加入から一定期間は、受け取れる保険金額が削減される場合が多いので注意しよう。
先述のアクサ生命の保険では、保険に加入から1年間は、手術給付金と入金給付金はともに既定の半額しか支払われない。
医療費負担を軽減してくれる社会保障制度も活用する
レーザー治療では、手術費用とは別に、治療前の検査費用や薬代などがかかる。
日帰り手術も可能だが、病状によっては入院することもあるため、さらに多くの費用がかかることもある。
このため、下記のような医療費負担を軽減してくれる社会保障制度の活用も検討しよう。
- 介護保険制度
- 糖尿病性神経障害・糖尿病性腎症・糖尿病性網膜症は特定疾病であるため、40〜64歳でも保障対象になる。
- 高額療養費制度
- 外来や入院で同一月内にかかった医療費の自己負担額が、一定の金額を超えた場合、あとから払い戻される。医療費が高額になることが事前にわかっている場合には、あらかじめ「限度額適用認定証」を提示すれば、限度額までの支払いですむ。
- 障害年金
- 以下の場合には年金対象に該当する可能性がある。
- 糖尿病による眼・肢体・心臓・腎臓の障害がある場合
- 治療の難しい糖尿病にかかっている場合
- 以下の場合には年金対象に該当する可能性がある。
- 身体障害者手帳
- 糖尿病により眼・腎臓・肢体の障害があり、都道府県が認定し手帳発行をすれば、各種の支援や福祉サービスなどが利用できる。
- 心身障害者等福祉手当
- 居住する都道府県・市町村によっては、身体障害者手帳や療育手帳を持っている人に、医療費助成や手当が支給されることがある。
- 難病医療費助成制度
- 糖尿病自体は難病に指定されていないが、指定難病やその治療の影響で糖尿病になった場合は、医療費の自己負担分が助成される。
- 小児慢性特定疾患医療費助成制度
- 糖尿病の診断を受けている児童の医療費の自己負担分が、世帯所得に応じて軽減される。
- 特別児童扶養手当
- 障害認定基準や所得制限など法律に定める支給要件を満たせば、糖尿病の児童を養育している保護者に、手当が支給される。
なお、持病のある方に向けた保険加入のポイントや糖尿病でも加入できる保険については以下の記事でも解説している。適宜参考にしていただきたい。
糖尿病網膜症のレーザー治療に生命保険は適用されるかは保障内容による
この記事では、糖尿病網膜症に対するレーザー治療への生命保険の適用について解説した。
糖尿病は治療費が高額になりやすく、さまざまな合併症を引き起こすが、なかでも糖尿病網膜症に悩まされている人は多い。
この網膜症の治療にはレーザー治療があり、医療保険や医療特約が適用できるが、注意すべき点も多い。
自分が病気になったときに守ってくれる保険を選ぶうえで、疑問や不安があれば、保険のプロに相談することをおすすめする。
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