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生命保険料控除とは?対象となる保険の種類やメリット・デメリットを解説

この記事で解決できるお悩み
  • 生命保険料控除がどのようなものか知りたい
  • どの保険が所得控除対象になるのか確認したい
  • 保険料控除のメリットやデメリットを知りたい

保険料を支払う際、税控除を活用することで保険料を抑えることが可能となる。

ただ、種類が多すぎて、活用方法がわからないという方もいるのではないだろうか。

本記事では、生命保険料控除に関する基礎知識とその種類、およびメリットとデメリットについて詳しく解説を行う。

保険料を少しでも抑えたいという方には、ぜひ本記事を役立ててもらいたい。

目次

どの種類の保険が対象?生命保険料控除の基本的な知識

生命保険料控除の基本的な知識 生命保険ナビ

生命保険料控除とは、生命保険や介護医療保険、個人年金保険に加入している人が、払い込んだ保険料の一部を所得から控除できる制度のこと。

所得から控除できるということは、節税の効果があるということだ。

ここではまず、控除について基本的な知識を理解しよう。

生命保険料控除とは何か

生命保険料控除とは、1年間に支払った生命保険料の金額に応じて、一定額を所得から差し引くことで、所得税と住民税の負担を軽くできる制度である。

控除額は、保険の種類や保険料の額によって異なる。

通常の会社員であれば、年末調整のときに、控除証明書と一緒に申請することで、12月の給与支払いのタイミングで税金が還付されるのが一般的である。

節税効果が大きい生命保険料控除をうまく使うことで、日々の家計の節約や将来の生活に備えるための貯蓄にまわすことができるだろう。

詳細は後述するが、控除対象は、以下の3種類である。

  • 生命保険
  • 介護医療保険
  • 個人年金保険

なお、契約日によって、控除額が異なるので注意が必要だ。

厳密には、2011年12月31日以前の締結(旧制度)と、2012年1月1日以降の締結(新制度)によって、区分や控除額が変わってくる。

この違いを理解し、最大限に控除を活用するためには、個々の状況に合わせた計画が必要となる。

控除の金額の計算方法

控除の金額は、前述の旧制度、新制度によって算出方法が変わってくる。

それぞれの算出式は以下の通りとなる。

旧制度の控除金額算出

2011年12月31日より前に締結した生命保険(旧制度)の控除額は、所得税、住民税それぞれ、以下の算出式で計算することができる。

なお、「年間保険料」とは、その年の1月1日から12月31日までに支払った保険料の合計から、配当金や剰余金を差し引いた金額をいう。

所得税

年間保険料 所得税における控除金額 
25,000円以下支払った保険料の全額
25,000円超 50,000円以下(支払った保険料×1/2) +12,500円
50,000円超 100,000円以下(支払った保険料×1/4) +25,000円
100,000円超一律 50,000円
参考:公益財団法人 生命保険文化センター「税金の負担が軽くなる「生命保険料控除」」国税庁「No.1140 生命保険料控除」

住民税

年間保険料 住民税における控除金額
15,000円以下 支払った保険料の全額
15,000円超 40,000円以下 (支払った保険料×1/2) +7,500円 
40,000円超 70,000円以下 (支払った保険料×1/4) +17,500円 
70,000円超一律 35,000円 
参考:公益財団法人 生命保険文化センター「税金の負担が軽くなる「生命保険料控除」」国税庁「No.1140 生命保険料控除」

新制度の控除金額算出

2012年1月1日よりあとに締結した生命保険(新制度)の控除額は、所得税、住民税それぞれ、以下の算出式で計算することができる。

所得税

年間保険料 所得税における控除金額
20,000円以下支払った保険料の全額 
20,000円超 40,000円以下(支払った保険料×1/2) +10,000円 
40,000円超 80,000円以下(支払った保険料×1/4) +20,000円
80,000円超一律 40,000円
参考:公益財団法人 生命保険文化センター「税金の負担が軽くなる「生命保険料控除」」国税庁「No.1140 生命保険料控除」

住民税

年間保険料 住民税における控除金額
12,000円以下支払った保険料の全額 
12,000円超 32,000円以下 (支払った保険料×1/2) +6,000円 
32,000円超 56,000円以下 (支払った保険料×1/4) +14,000円 
56,000円超一律 28,000円
参考:公益財団法人 生命保険文化センター「税金の負担が軽くなる「生命保険料控除」」国税庁「No.1140 生命保険料控除」

控除金額の限度額

新旧両方の制度の保険がある場合、それぞれで算出したうえで、合計することができる。

また、生命保険、介護保険、個人年金保険の3種類それぞれで上限額は所得税4万円、住民税2.8万円と設定されている。

ただ、控除額合計の上限は、所得税12万円、住民税7万円と決まっていることは認識しておこう。

生命保険料控除を受ける際の注意点

控除を受ける際には、以下の点に留意する必要がある。

手続きのタイミング:年末調整や確定申告で申請が必要

会社員であれば、年末調整の手続きの中で申告を行う必要がある。

保険会社発行の控除証明書を添付して、記載した申告書と一緒に提出しよう。また、自営業者であれば、控除証明書を確定申告と合わせて、手続きすることになる。

確定申告は、翌年2月16日から3月15日の期間であり、期限を守り正確な申告をするよう心がけよう。

保険の対象を確認:控除対象外となる保険がある

生命保険料控除が、すべての種類の保険に適用されるわけではないため、事前に確認することが重要だ。

たとえば、企業が提供する財形保険や、住宅ローンと同時に契約する団体信用生命保険などは対象外となる。

また、身体の障害に基づいて支払われる傷害特約や災害割増特約なども、控除対象から外れる。

控除を受ける前に、契約した保険が対象となるかどうかを確認しよう。

対象期間の理解:暦年(1月1日から12月31日まで)が控除対象

控除対象期間は、暦年、つまり1月1日から12月31日までの期間に支払った保険料が対象となる。

もし今年中に翌年の保険料を前払いした場合、前払いした保険料は当年中の支払いとして計算されることになる。

正確な支払い期間と保険料を理解したうえで、手続きを進めよう。

適切に計算し申請することが、節税の効果を最大限に享受できることにつながる。

所得控除が適用される保険の種類

所得控除が適用される保険の種類 生命保険ナビ

控除が適用される保険は、以下の3種類である。

  • 生命保険
  • 介護医療保険
  • 個人年金保険

それぞれについて、詳しく解説しよう。

生命保険での所得控除対象

生命保険のうち、生存または死亡が原因で一定金額の保険金等が支払われる契約にかかる保険料が、所得控除の対象になる。

具体的には、以下の保険が該当する。

  • 定期保険:指定期間中に死亡した場合に保険金が支払われる保険
  • 終身保険:加入後生きている限り一生涯、保障が継続する保険
  • 変額個人年金保険:保険料で資産運用を行い、運用実績によって受取額が変動(増減)する保。

また、2011年以前に契約された医療保険もここに含まれる。

なお、保険金の受取人が本人または配偶者、一定の親族(6親等内の血族または3親等内の姻族)でなければ、適用されない点は注意しよう。

介護医療保険での所得控除対象

介護医療保険は、2012年以降の新制度で所得控除の対象となった保険である。

疾病等により保険金等が支払われる保険契約のうち、医療費の支払事由によって保険金等が支払われる保険契約にかかる保険料が、所得控除の対象になる。

たとえば、以下のような保険が該当する。

  • 医療保険
    • 疾病やケガにより医療費が発生した場合に支払われる保険
  • 介護保険
    • 高齢者や要介護者への介護サービスに関連する費用をカバーする保険
  • 所得補償保険
    • 収入が減少した場合に所得の一部を補償する保険

生命保険と同様、受取人が本人か配偶者、一定の親族でなければ適用されない。

個人年金保険での所得控除対象

年金を給付する保険契約のうち、一定の要件を満たす場合、個人年金保険料控除を受けることができる。

  • 年金受取人が契約者本人または配偶者
  • 年金受取人と被保険者が同一
  • 保険料の払い込み期間が10年以上で定期払い(一時払いでの払い込みはNG)
  • 年金受取開始年齢が60歳以上で、年金受取期間が10年以上
  • 税制適格特約が付加されている

要件を一つでも満たさない場合は、個人年金保険ではなく、生命保険の所得控除を受けることになる。

生命保険、介護保険、個人年金保険の3種類それぞれで、上限額は所得税4万円、住民税2.8万円と設定されている。

保険の種類や支払った保険料、税種別(所得税、住民税)によって控除額が変わってくるため、自身の保険契約がどの種類に該当するか確認し、必ず控除を受けるようにしよう。

生命保険料控除のメリット・デメリット

生命保険料控除のメリットとデメリット 生命保険ナビ

控除を受けるうえでは、税制上の特典を利用して保険に加入することによる経済的な利益と、一定の制約やリスクについて考える必要があるだろう。

以下にその詳細を説明しよう。

より経済的な保険契約が可能

控除額分の税金が軽減されるため、同等の保障をより低いコストで得ることができるのは大きなメリットだ。

たとえば、年収500万円の人が年間5万円の一般生命保険料を支払っている場合、控除額は59,000円(所得税32,500円、住民税26,500円)となる。

  • 所得税:(50,000×1/4) +20,000円=32,500円
  • 住民税:(50,000×1/4) +14,000円=26,500円

最終的な減税額は、仮に所得税率が10%とすると所得税軽減額は約3,250円、住民税は一律10%のため、2,650円が軽減され、合計約5,900円の恩恵を受けることができる。

家族構成などによって税率は変わってくるが、控除額合計に対して税率を掛けた分が節税となり、家計において効果は大きいだろう。

保険料の立て替え問題

保険料の払い込みが遅れても、通常は猶予期間が設けられており、その期間に払い込めば、保険契約が失効することはない。

払込猶予期間内までに払えないと、契約は失効することになるが、解約返戻金がある場合、その返戻金を使って保険料を立て替えるという、振替貸付制度が自動で適用される。

万が一に備えての保険契約が不用意に途切れることのないよう、できるだけ継続させることを目的としているのが、立て替え制度である。

そして、立て替えにより保険料の払い込みに充当された金額は、保険料を払えなくてもその年の生命保険料控除の対象となる。

ただ、立て替えはあくまで利息が発生する契約者への貸付制度の位置づけであり、後日、金利分も合わせて返済する必要がある。

また、後日返済した分は控除の対象とはならないことも注意しよう。

フレキシブルな選択を制限する可能性

控除を最大限に活用するには、一般の生命保険、介護保険、個人年金保険の3種類の保険にそれぞれ加入し、控除の上限まで保険料を支払う必要がある。

たとえば、1種類の保険に対する所得税の控除を年間4万円の上限まで受けるとすると、年間に8万円超の保険料を支払うことで、最大控除額を適用できるようになる。

これが、3つの異なる種類の保険に加入すると、保険料の合計は24万円超必要となる(8万円×3)

このように、控除を最大限に受けるためには、多額の保険料を支払う必要があるのだ。

ただし、控除のために多くの保険に加入することは、本来必要のない保険にまで入る可能性があるということを意味する。

控除を意識しすぎて、自身や家族の実際のニーズに合わない保険に加入してしまっては、本末転倒だろう。

無駄な支出が増えてしまっては意味がない。

保険選択においては、ライフスタイルやニーズに合わせて、バランスを考えながらフレキシブルに必要な保険を選択できることが重要だ。

控除を活用する際も、必要な保険を選びつつ、上限額を考慮しながらも、無理に多くの保険に加入することなく、自身に合った最適な保険プランを見つけるようにしたい。

生命保険料控除は、保険料の負担を軽減し、経済的リスクに備えることができ、メリットは大きい。

ただし、控除を受けるためには一定の条件を満たす必要があるため、デメリットも十分理解しておこう。

生命保険料控除の対象となる保険の種類を知って適切な節税対策を!

まとめ 生命保険ナビ


本記事では、生命保険料控除の基礎知識と控除対象となる保険の種類・控除のメリットとデメリットについて解説した。

生命保険料控除は効果的な節税対策の一つだ。

自身が加入している生命保険を確認し、年末調整や確定申告で忘れず申請して適切に節税するようにしたい。

ただ、知識や経験が不足している中で、一人ですべて調べながら保険選択をするのも大変だろう。

保険に関する疑問や不明点がある場合、保険のプロに相談することも積極的に検討してみてはどうだろうか。

とはいえ、保険のプロは数多く存在し、自分にとって最適な担当を見極めることは難しい。

「生命保険ナビ」では、全国の保険のプロの中から、あなたの条件や意向に合った担当者が選べるサービスを提供している。

無料で活用できるため、保険について相談したい事項があれば、是非利用してみてほしい。

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執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。お客様と保険のプロを結ぶマッチングサイト「生命保険ナビ」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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