「新NISAで1800万円を使い切ったら、その後どうすればいいの?」
「5年で使い切るべきって本当?」
そんな疑問を持つ方は少なくありません。
新NISAは非課税で運用できる画期的な制度ですが、満額に達した後の選択肢や、自分に合った投資ペースは意外と知られていません。
この記事では、新NISAの枠を使い切った後に何が起きるのか、追加投資の選択肢、そしてあなたのライフスタイルに合った活用法まで、わかりやすく解説します。
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【結論】新NISAで1800万円を使い切ったらどうなる?
結論からお伝えすると、新NISAの1,800万円を使い切っても、そのまま非課税で運用を続けられます。焦って売却する必要はありません。
ただし、追加で投資したい場合は「売却して枠を再利用する」か「課税口座を使う」かの選択が必要になります。それぞれの特徴を見ていきましょう。
使い切っても非課税のまま運用を続けられる
新NISAの大きな特徴は、非課税保有期間が無期限という点です。
つまり、1800万円の枠を使い切った後も、保有している資産はずっと非課税のまま運用できます。
旧NISAでは「つみたてNISAは20年」「一般NISAは5年」という期限がありました。期限が来ると、ロールオーバー(翌年の非課税枠に移管)するか、課税口座に移すか、売却するかを選ぶ必要がありました。
しかし新NISAでは、この制限が撤廃されています。
【具体例で見る非課税メリット】
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 投資元本 | 1,800万円 |
| 将来の評価額 | 3,000万円 |
| 売却時の利益 | +1,200万円 |
| 通常かかる税金 (約20%) | 約240万円 |
| 新NISAなら | 0円 |
「枠を使い切ったら終わり」ではありません。むしろ使い切った後こそ、複利効果が本領を発揮します。
30歳で投資を始めて50歳で1,800万円を使い切ったとしても、60歳、70歳、80歳と、ずっと非課税で保有を続けられるのです。
追加投資するには「売却して枠を再利用」か「課税口座」を使う
1,800万円を使い切った後も追加投資を続けたい場合、主に2つの選択肢があります。
| 選択肢 | 特徴 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 売却して 枠を再利用 | 翌年以降に枠が復活し、非課税で再投資できる | 非課税メリットを最大限活かしたい人 |
| 課税口座で追加投資 | 上限なく、いつでも追加投資できる | 投資機会を逃したくない人 |
どちらを選ぶかは、投資の目的や資金の状況によって変わります。
詳しくは後述の「新NISAで1800万円を超えたら追加投資はどうする?」で解説します。
「5年で使い切る」が正解とは限らない
「新NISAは5年で使い切るべき」という意見を目にすることがあります。
年間360万円×5年で1,800万円に到達する最短ルートとして注目されていますが、全員に当てはまるわけではありません。
たしかに、早く元本を積み上げるほど複利効果が働く期間が長くなります。
しかし、以下のような点を考慮せずに進めると、かえって失敗するリスクがあります。
- 毎月30万円の投資資金を継続的に確保できるか
- 急な出費(医療費・冠婚葬祭など)に対応できる余裕があるか
- 市場が30〜40%下落しても、慌てずに保有し続けられるか
「とにかく早く使い切ろう」と無理をした結果、途中で資金が足りなくなったり、値下がり時に不安で売却してしまったりする人は少なくありません。
大切なのは、自分のライフプランに合わせて無理なく続けることです。
詳しくは後述の「そもそも新NISAは5年で使い切るべき?」で解説します。
新NISAの生涯投資枠1800万円の仕組みとは?
ここでは、新NISAの基本的な仕組みを整理しておきましょう。
制度をしっかり理解することで、自分に合った投資戦略を立てやすくなります。
新NISAの生涯投資枠と年間投資額
新NISAでは、生涯を通じて非課税で投資できる上限が1,800万円と定められています。
この枠は「買付価格(簿価)」で管理されるため、購入後に値上がりしても、使った枠は購入時の金額のままです。
| 項目 | つみたて投資枠 | 成長投資枠 |
|---|---|---|
| 年間投資枠 | 120万円 | 240万円 |
| 生涯投資枠 | 1800万円 (併用時) | 1200万円まで |
| 非課税 保有期間 | 無期限 | 無期限 |
| 投資対象 | 金融庁指定の投資信託 | 上場株式・投資信託等 |
| 買付方法 | 積立のみ | 積立・一括どちらも可 |
つみたて投資枠と成長投資枠は併用できるため、年間最大360万円まで非課税投資が可能です。
枠の使い方には以下のパターンがあります。
| 使い方 | 生涯で投資できる上限 |
|---|---|
| つみたて投資枠のみ | 1,800万円 |
| 成長投資枠のみ | 1,200万円 |
| 両方を併用 | 1,800万円 (成長投資枠は1,200万円まで) |
つみたて投資枠だけで1,800万円を使い切ることもできますが、成長投資枠だけでは1,200万円が上限となる点に注意しましょう。
新NISAでよくある3つの誤解
新NISAの仕組みは少し複雑なため、勘違いしやすいポイントがいくつかあります。
ここでは、特に多い3つの誤解と正しい仕組みを整理しておきましょう。
誤解1:「今年使わなかった枠は、翌年に上乗せできる」
「今年は80万円しか投資できなかったから、来年は残りの40万円を繰り越して160万円投資できる」と思っていませんか?
残念ながら、年間投資枠は翌年に繰り越せません。使わなかった分は12月末で消滅し、翌年はまたゼロからスタートです。つみたて投資枠なら翌年も上限は120万円のままで、前年の残り40万円が加算されることはありません。
「余裕がある年にまとめて投資しよう」という計画は成り立たないため、毎年コツコツ投資するのが基本となります。
誤解2:「売却すれば、すぐに枠が空いて再投資できる」
「持っている投資信託を売って、別の商品に買い替えたい」と思ったとき、売却後すぐに再投資できると思っていませんか?
じつは、売却しても枠が復活するのは翌年以降です。
【2026年に売却した場合】
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 2026年7月 | 100万円分の投資信託を売却 |
| 2026年中 | まだ枠は復活しない (再投資不可) |
| 2027年1月以降 | 100万円分の枠が復活 (再投資可能に) |
同じ年のうちに「売却→すぐ再投資」はできないため、商品の入れ替えには1年以上のタイムラグが生じます。
「今すぐ有望な銘柄に乗り換えたい」という場面では、課税口座を使うか、翌年まで待つかの判断が必要です。
誤解3:「値上がりしたら、その分だけ枠を多く使っている」
「100万円で買った投資信託が150万円に値上がりした。ということは、150万円分の枠を使っている?」と考えていませんか?
枠は「購入時の金額(簿価)」で管理されるため、値上がりしても値下がりしても、使っている枠は買ったときの金額のままです。
| 状況 | 評価額 | 使用中の枠 |
|---|---|---|
| 購入時 | 100万円 | 100万円 |
| 値上がり後 | 150万円 | 100万円 (変わらない) |
| 売却して復活する枠 | ー | 100万円 (売却額ではない) |
この仕組みを理解しておくと、「枠がいくら残っているか」の計算で混乱しなくなるでしょう。
新NISAの上限達成後にやるべき3ステップ
1800万円を使い切った後は、「増やす」から「守る・活かす」へとフェーズが変わります。
ここでは、上限達成後にやるべき3つのステップを紹介します。
ステップ1:今の運用状況を確認する
まずは、現在の保有資産を「見える化」しましょう。
証券会社のアプリやウェブサイトで、以下の項目を確認できます。
| 確認項目 | チェックポイント |
|---|---|
| 保有商品の内訳 | 投資信託・株式・ETFなど、何をいくら持っているか |
| 損益状況 | 各商品の含み益・含み損はどれくらいか |
| 資産全体に 占める割合 | NISA・課税口座・預貯金のバランスは適切か |
| 投資目的との 整合性 | 老後資金・教育資金など、目的に合った運用になっているか |
現状を把握することで、「このまま保有を続ける」「一部を入れ替える」「取り崩しを始める」など、次のアクションが明確になります。
ステップ2:リバランスを検討する
リバランスとは、値動きによって崩れた資産配分を元に戻すことです。
たとえば、「株式50%・債券50%」で投資を始めても、株式が値上がりすると「株式70%・債券30%」のように配分が偏ることがあります。株式の比率が高くなるほど、値動きのリスクも大きくなるため、定期的な確認が大切です。
新NISAでは売却しても翌年に枠が復活するため、旧NISAに比べてリバランスがしやすくなりました。
ただし、頻繁な売買は複利効果を損なう可能性もあります。年に1回程度の確認で十分でしょう。
リバランスの方法としては、2パターンあります。
【リバランスの方法】
| 方法 | 内容 | 枠を使い切っている場合 |
|---|---|---|
| 売却して 調整 | 値上がりした資産を売り、他を買い増す | 翌年の復活枠を活用 |
| 追加投資で 調整 | 比率の低い資産を買い増す | 課税口座を活用 |
「売却して調整」はすぐに配分を戻せますが、NISA枠を使い切っている場合は翌年まで再投資できません。一方、「追加投資で調整」は枠の制約を受けずに対応できますが、追加の資金が必要になります。
自分の状況に合わせて使い分けましょう。
ステップ3:出口戦略を立てる
投資は「いつ、どのように取り崩すか」まで考えてこそ完結します。
特に老後資金として運用している場合、出口戦略を早めに立てておくことが大切です。
【代表的な取り崩し方法】
| 方法 | 内容 | 特徴 |
|---|---|---|
| 定額 | 毎年同じ金額を取り崩す (例:年120万円) | 計画が立てやすいが、相場下落時に資産が早く減る |
| 定率 | 年初残高の一定割合を取り崩す (例:年4%) | 資産が長持ちしやすいが、受取額が変動する |
たとえば、残高3,000万円を定率4%で取り崩す場合、初年度は120万円。残高が増えれば受取額も増え、減れば受取額も減るため、資産の枯渇リスクを抑えられます。
退職が近づいてきたら、株式中心からバランス型ファンドや債券へ、徐々にシフトしていくことも検討してみてください。
【コピペOK】年1回点検チェックリスト
毎年1回、以下の項目を確認する習慣をつけましょう。
年末年始や誕生日など、決まった時期に行うのがおすすめです。
- NISA口座の保有商品と損益を確認した
- 資産配分が当初の目標から大きくずれていないか確認した
- 今後1~3年で使う予定のお金を把握した
- 投資目的と現在の運用方針に矛盾がないか確認した
- 必要に応じてリバランスや商品の見直しを検討した
すべてにチェックがつけば、その年の点検は完了です。
大きな変化がなければ、基本的には「何もしない」で問題ありません。
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新NISAで1800万円を超えたら追加投資はどうする?
「枠を使い切っても、まだまだ投資を続けたい」という方のために、1,800万円を超えた後の追加投資について詳しく解説します。
選択肢は大きく2つあります。
| 選択肢 | 概要 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 【A】 売却して 枠を再利用 | 保有資産を売却し、翌年に復活した枠で再投資 | 非課税メリットを最大限活かしたい人 |
| 【B】 課税口座で 追加投資 | 特定口座などで上限なく投資を継続 | すぐに追加投資したい人 |
それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
選択肢A:売却して翌年に枠を再利用する
新NISAでは、保有資産を売却すると、その購入時の金額分だけ翌年以降に枠が復活します。これは旧NISAにはなかった大きな特徴です。
たとえば、100万円で購入した投資信託を150万円で売却した場合、翌年以降に復活する枠は購入時の100万円です。売却益の50万円分は復活しませんが、非課税で利益を確定できるメリットがあります。
【枠復活のタイムライン例】
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 2025年12月 | 取得価額300万円の投資信託を450万円で売却(利益150万円) |
| 2026年1月 | 300万円分の非課税枠が復活(利益分は復活しない) |
| 2026年中 | 復活した枠で再投資(年間上限360万円以内) |
【メリット・デメリット】
| メリット |
|---|
| 非課税のまま投資を続けられる ポートフォリオの見直しができる ライフイベントに合わせて柔軟に対応できる |
| デメリット |
|---|
| 翌年まで枠が復活しない 年間360万円の上限は変わらない 短期売買を繰り返すと長期投資のメリットが薄れる |
選択肢B:課税口座で追加投資する
課税口座(特定口座・一般口座)を使えば、投資額の上限なく追加投資ができます。
利益に対して約20%の税金がかかりますが、いつでも自由に投資できる点がメリットです。
特定口座の「源泉徴収あり」を選択すれば、確定申告の手間も省けます。NISA口座と課税口座を上手に使い分けることで、資産運用の幅が広がるでしょう。
【メリット・デメリット】
| メリット |
|---|
| 投資額に上限がない 売却後すぐに再投資できる 損益通算で税金を減らせる |
| デメリット |
|---|
| 運用益に約20%の税金がかかる NISA口座との損益通算はできない 税金の分だけ複利効果が弱まる |
損益通算とは
複数の投資で利益と損失が出た場合、相殺して税金を減らせる仕組みです。
たとえば、課税口座でA株から50万円の利益、B株から30万円の損失が出た場合、課税対象は差し引き20万円となります。
特定口座で「源泉徴収あり」を選んでおけば、確定申告は原則不要です。
迷ったときの判断基準
どちらを選ぶか迷ったときは、以下の判断基準を参考にしてみてください。
| 「売却して枠を再利用」がおすすめな人 |
|---|
| 非課税メリットを最大限活かしたい 保有商品を入れ替えたい 翌年まで待つ余裕がある |
| 「課税口座で追加投資」がおすすめな人 |
|---|
| 今すぐ追加投資したい 投資資金に余裕がある 投資機会を逃したくない |
正解は一つではありません。
自分の状況に合わせて柔軟に選択することが大切です。
そもそも新NISAは5年で使い切るべき?
「新NISAは5年で使い切るべき」という意見を目にすることがあります。
年間360万円×5年で1,800万円に到達する最短ルートとして注目されていますが、本当に全員がそうすべきでしょうか。
結論からいえば、人によります。
まずはメリット・デメリットを比較してみましょう。
| 5年で使い切る | 長期間かけて使い切る | |
|---|---|---|
| 複利効果 | 早く元本が積み上がり、長く運用できる | 運用期間が短くなりがち |
| リスク | 短期集中のため影響が大きい | 時間分散でリスクを軽減 |
| 必要資金 | 毎月30万円(年間360万円) | 毎月5万円〜(自分のペースで) |
| 投資の 自由度 | 6年目以降は枠がない | 枠に余裕がある期間が長い |
5年で使い切るメリット
5年で1,800万円の非課税枠を使い切る最大のメリットは、複利効果を早くから活かせることです。
元本が早く積み上がれば、その後の運用期間が長くなり、利益が利益を生む複利効果がより大きく働きます。
仮に、年利5%で運用した場合のシミュレーションを見てみましょう。
| 投資期間 | 毎月の 投資額 | 投資完了後 | 30年後の 資産額 |
|---|---|---|---|
| 5年で 使い切り | 30万円 | 25年間運用 | 約6600万円 |
| 15年で 使い切り | 10万円 | 15年間運用 | 約4600万円 |
| 30年で 使い切り | 5万円 | 運用のみ | 約4100万円 |
- シミュレーションは一定の利回りを想定した概算であり、実際の運用成果を保証するものではありません。
このように、同じ1800万円を投資しても、早く投資を完了するほど30年後の資産額に差が出る可能性があります。
5年で使い切るデメリット
一方で、5年で使い切ることにはリスクもあります。
- 資金面のハードル
-
5年で使い切るには毎月30万円、年間360万円の投資資金が必要です。この金額を5年間継続できる方は限られます。
無理をして投資に回した結果、生活資金が足りなくなっては本末転倒です。
- 暴落時のダメージ
-
短期間に大きな資金を投じるため、市場が下落したときの影響が大きくなります。投資を始めた直後に30〜40%の暴落が起きると、数百万円単位の含み損を抱えることに。
精神的なストレスに耐えられず、安値で売却してしまう人も少なくありません。
- 6年目以降の制約
-
枠を使い切った後に追加投資したくなっても、すでに非課税枠はありません。
売却して翌年に枠を再利用するか、課税口座を使うかの選択になります。
【簡単診断】5年で使い切るべきかチェック
以下の質問に「はい」の数が多いほど、5年で使い切る方法が向いています。
- 毎月30万円以上の投資資金を確保できる
- 生活費の6か月分以上の預貯金がある
- 5年以内に大きな支出の予定がない
- 市場が30~40%下落しても動揺しない自信がある
- 投資経験がある程度あり、リスクを理解している
- 「はい」が4つ以上
→ 5年で使い切る方法を検討してもよいでしょう - 「はい」が2〜3つ
→ 10〜15年でじっくり使い切る方法がおすすめ - 「はい」が0〜1つ
→ 無理せず自分のペースで。月3〜5万円からでも十分です
大切なのは、「最短で使い切ること」ではなく「長く続けられること」です。
自分の収入や生活スタイルに合った投資ペースを選びましょう。
【ライフイベント別】NISAの使い切りパターン
投資ペースは年齢やライフステージによって異なります。
ここでは、年代別におすすめの考え方を紹介します。
| 年代 | 主な ライフイベント | おすすめの 投資スタンス | 月額の目安 |
|---|---|---|---|
| 30〜40代 | 住宅購入 子育て | 無理せずコツコツ | 3〜5万円 |
| 40〜50代 | 子育て一段落 収入安定 | ペースを上げて 積極的に | 5〜15万円 |
| 50〜60代 | 退職準備 取り崩し意識 | リスクを抑えて 守りへ | 状況に応じて |
30~40代:教育費や住宅など10年以内に大きな支出がある人
この年代は、住宅ローンの返済や子どもの教育費など、大きな支出が続く時期です。
投資に回せる金額が限られる方も多いでしょう。
おすすめは、無理のない金額でつみたて投資枠を活用しながら、まずは生活の土台を固めることです。毎月5万円の積立でも、20年後には1,200万円になります。
この年代で意識したいポイントは2つあります。
- 教育資金など中期的に必要なお金は、投資とは別に現金で確保しておく
- 投資は「余ったお金」ではなく「先取り」で習慣化する
すべてを投資に回してしまうと、必要なときに元本割れしてしまう可能性もあります。
焦らず、長く続けることを優先しましょう。
40~50代:子育てが落ち着き収支が安定してきた人
子育てがひと段落し、収入も安定してきたこの時期は、投資に力を入れやすいタイミングです。
退職までの期間が10〜20年程度あれば、つみたて投資枠と成長投資枠の両方を活用し、投資ペースを上げることも選択肢に入ります。
ただし、老後の生活設計を考え始める時期でもあるため、以下の点を明確にしておくと投資方針がぶれにくくなります。
- 何のために投資するのか(老後資金、趣味、住み替えなど)
- いつまでに、いくら必要か
- どの程度の値下がりまで許容できるか
目的と期限が決まれば、毎月いくら投資すべきかも自然と見えてきます。
50~60代:退職が近づき取り崩しを意識し始めた人
退職が視野に入ってきたこの時期は、「増やす」から「守る・使う」へと意識を切り替えていく段階です。
具体的には、リスクの高い商品から値動きの穏やかな商品へ、数年かけて徐々にシフトしていきます。
- 株式100%のファンド
→ バランス型ファンド(株式+債券) - 新興国中心
→ 先進国中心 - 成長重視
→ 安定・配当重視
一度に入れ替えるのではなく、毎年少しずつ調整するのがポイントです。
また、退職後の取り崩し方法も考え始めておきましょう。
運用を続けながら「年初残高の3〜4%を取り崩す」定率方式なら、資産を長持ちさせることができます。
新NISAの投資シミュレーション(5年・15年・30年)
具体的な数字を見ることで、投資のイメージがつかみやすくなります。
ここでは、投資期間や利回りの違いによって、資産がどのように変化するかをシミュレーションしてみましょう。
シミュレーションの前提条件と注意点
以下のシミュレーションは、次の前提条件で計算しています。
- 投資元本:1800万円
- 想定利回り:年3%・5%・7%(複利計算)
- 信託報酬などの手数料は考慮していない
- 税金は非課税(NISA口座内)として計算
重要なのは、これはあくまで「概算」であるということです。実際の運用では、毎年一定の利回りが続くわけではありません。
シミュレーションは「イメージをつかむため」と考え、結果を鵜呑みにしないようにしましょう。
5年・10年・30年のシミュレーション結果
1800万円を一括投資した場合の資産推移を見てみましょう。
| 経過年数 | 利回り3% | 利回り5% | 利回り7% |
|---|---|---|---|
| 5年後 | 約2086万円 | 約2297万円 | 約2524万円 |
| 10年後 | 約2419万円 | 約2932万円 | 約3540万円 |
| 20年後 | 約3251万円 | 約4776万円 | 約6966万円 |
| 30年後 | 約4368万円 | 約7782万円 | 約1億3700万円 |
- 将来の成果を保証するものではありません。
30年後を比較すると、利回り3%と7%では約9300万円の差があります。
ただし、利回り7%を期待できる商品はリスクも高いことを忘れてはいけません。
利回りより大切なのは「続けられる設計」
シミュレーションを見ると「利回りを高くしたい」と思うかもしれません。
しかし、利回りが高い商品はリスクも高くなります。
長期投資において最大の敵は、暴落時に「怖くなって売ってしまうこと」です。
大切なのは、どんな相場でも「売らずに続けられる設計」にすることです。
以下のサインが出ていたら、投資方針の見直しを検討しましょう。
- 値動きが気になって眠れない
→ リスクを下げる(債券比率を増やす、バランス型に変更) - 生活費を切り詰めて投資している
→ 投資額を減らす - 暴落のニュースを見ても特に気にならない
→ 今のペースで継続してOK
相場は自分ではコントロールできませんが、投資額やリスクの取り方は自分で決められます。
無理のない範囲で、自分に合ったペースを見つけることを優先しましょう。
新NISAを5年で使い切る場合の商品選びの注意点
5年という短期間で1,800万円を投資する場合、商品選びがその後の運用成果を大きく左右します。
ここでは、避けるべき失敗パターンと、リスクを抑えながらリターンを狙う戦略を紹介します。
新NISAで失敗しやすい4つのパターン
まずは「やってはいけないこと」を押さえておきましょう。
せっかくの非課税メリットも、以下のような運用をしてしまうと台無しになりかねません。
- 1. 1つの銘柄に集中投資
-
「この銘柄は絶対に上がる」と思って1つの株に集中投資するのは危険です。どんなに優良な企業でも、業績悪化や不祥事で株価が急落することはあります。分散投資が基本です。
- 2. 高コストの商品を選ぶ
-
投資信託の信託報酬は、年0.1%と年1.5%では長期間で大きな差になります。同じ指数に連動する商品なら、コストが低いものを選びましょう。
- 3. テーマ型ファンドに偏る
-
「AI」「メタバース」など話題のテーマに投資するファンドは魅力的に見えます。しかし、テーマの流行が終わると急落することも少なくありません。コア資産としては不向きです。
- 4. 短期売買を繰り返す
-
「下がりそうだから売って、上がりそうだから買う」を繰り返すと、タイミングを外して損をするケースが多いです。長期保有を前提に、売買回数は最小限に抑えましょう。
おすすめはコア・サテライト戦略
では、どのように商品を選べばよいのでしょうか。
おすすめは、資産を「守りのコア」と「攻めのサテライト」に分けて運用する「コア・サテライト戦略」です。
| コア資産 | サテライト資産 | |
|---|---|---|
| 配分の目安 | 7〜9割 | 1〜3割 |
| 役割 | 安定した成長を目指す土台 | リターンを積極的に狙う |
| 商品例 | 全世界株式ファンド 先進国株式ファンド バランス型ファンド | 個別株 新興国株式 高配当株 |
コア資産は、長期で安定した成長が期待できる商品で固めます。
全世界株式や先進国株式のインデックスファンドは、1本で数千銘柄に分散投資できるため、初心者にも扱いやすいのが特徴です。値動きを抑えたい場合は、株式と債券を組み合わせたバランスファンドも選択肢に入ります。
サテライト資産は、コアで土台を固めたうえで、より高いリターンを狙うための「攻め」の部分です。個別株や新興国ファンドはコア資産より値動きが大きくなりますが、その分リターンも期待できます。
初心者の方は、まずコア資産だけで始めて、値動きに慣れてきたらサテライトを加えるのがおすすめです。最初から無理に両方を持つ必要はありません。
つみたて投資枠・成長投資枠の使い分け
コア・サテライト戦略を実践するなら、新NISAの2つの投資枠をうまく使い分けましょう。
| つみたて投資枠 | 成長投資枠 | |
|---|---|---|
| 向いている商品 | インデックスファンド | 個別株・ETF等 |
| コア/サテライト | コア資産向き | 両方可能 |
つみたて投資枠は金融庁指定の商品に限定されており、高コスト商品やレバレッジ型は除外されています。初心者でも安心して選べます。
成長投資枠では、つみたて投資枠と同じインデックスファンドを購入することもできます。
「コア資産をもっと増やしたい」「つみたて投資枠の年間120万円では足りない」という場合は、成長投資枠で同じファンドを積み増すのも有効な方法です。
まとめ
この記事では、新NISAで1,800万円を使い切った後の選択肢と判断基準について解説してきました。
- 1800万円を使い切っても、非課税運用はずっと続けられる
- 追加投資には「枠の再利用」と「課税口座」の2つの選択肢がある
- 5年で使い切ることが必ずしも正解ではない(無理のないペースが大切)
大切なのは、「早く使い切ること」ではなく「自分に合ったペースで長く続けること」です。そして、1,800万円を使い切った後こそ、定期的な点検やリバランス、出口戦略の設計が重要になってきます。
とはいえ、「追加投資すべきか」「リバランスのタイミングは」「取り崩しはいつから始めるか」といった判断は、年齢や収入、家族構成、リスク許容度によって最適解が異なります。
「自分にとってのベストがわからない」と感じたら、資産運用の専門家に相談してみるのも一つの方法です。客観的な視点から、あなたの状況に合った運用プランを一緒に考えてもらえます。
まずは無料相談で、今の運用状況を整理するところから始めてみてはいかがでしょうか。
FAQ
新NISAの1800万円に関して、よくある質問にお答えします。
出典一覧
- 金融庁「NISAを知る:NISA特設ウェブサイト」
- 金融広報中央委員会「知るぽると:2024年からNISA制度はどう変わる?」
- 三井住友銀行「Money VIVA:【2024年改正】NISAの上限額・限度額はいくら?」
- 三菱UFJモルガン・スタンレー証券「2024年からのNISAよくある誤解10選」

