- 資産が3億円あればリタイアできるのか知りたい
- リタイア後に必要な生活費をどのように見積もればいいのか分からない
- リタイアを目指す資産運用の適切な戦略と相談先が知りたい
資産3億円あればリタイアできるのだろうか。
大卒の会社員が一生かけて稼ぐ「生涯年収」の平均は約3億円と言われている。つまり、手元に「資産3億円」がある状態とは、一般的なサラリーマンの一生分の収入をすでに確保していることを意味する。
ただし生涯年収の大部分は税金や社会保険料、日々の生活費に消えるため、定年まで勤めても「資産3億円」が手元に残ることはまずない。資産3億円を保有しているということは、一般的な水準からすれば極めて恵まれた経済的基盤を持っていると言える。
これだけの資産があれば、リタイアは十分に現実的な選択肢だ。例えば3億円を年利3%で保守的に運用するだけでも税引前で年間900万円、税引後でも約720万円(月額約60万円)の運用収益を生み出すことができ、平均的な生活水準であれば元本を減らさずに暮らすことも可能だ。
ただし、生活水準の際限ない向上や想定外のインフレ、不適切な資産運用で大きな損失を出すといったリスクには注意が必要だ。3億円という資産を活かし切れるかどうかは、生活費の見積もりと資産運用の計画次第だろう。
本記事では3億円でリタイアするための計画の立て方や資産管理、資産運用で専門家に相談する重要性について解説する。
資産3億円でリタイアするとどんな生活が送れるのか

資産3億円でリタイアする場合、どのような生活ができるか気になるところだろう。
3億円は十分にまとまった資産だが有限だ。3億円でリタイアする場合、現実的に持続可能な生活を送ろうとすると、どのような生活水準になるのか気になるところだろう。
- 資産3億円でリタイアはできるのか
- 資産3億円で早期リタイアした後の生活は?
- インフレや予期せぬ支出にはどう対応する?
この3つの観点から、3億円でリタイアした場合に実際に送れる生活について考えてみよう。
資産3億円でリタイアはできるのか
リタイアに必要な額を求める方法として以下の2つがよく使われる。
- 年間支出×リタイア後の年数
- 年間支出の25倍の資産
「1年にかかる生活費×リタイア後の年数」は単純に生涯、必要になる支出がいくらになるのかを計算した式だ。
「年間支出の25倍の資産」はアメリカで有名な年間4%の運用益で生活費を賄えるという考え方から用いられる計算法だ。
総務省統計局の家計調査(2025年平均)によると、1世帯当たり1か月平均の消費支出は単身世帯で173,042円、二人以上世帯で314,001円となっている。年換算では単身世帯が約207.7万円、二人以上世帯が約376.8万円だ。
| 月の消費支出 | 年換算 | |
|---|---|---|
| 単身世帯 | 173,042円 | 2,076,504円 |
| 二人以上の世帯 | 314,001円 | 3,768,012円 |
なお、上記は主に日々の消費に関する支出(消費支出)であり、税・社会保険料などの非消費支出は含まれていない。老後資金を見積もる際は別途考慮が必要だ。
この数字を用いて、まず①の「年間支出×リタイア後の年数」で試算してみよう。
厚生労働省の「令和6年簡易生命表」によると、日本人の平均寿命は男性81.09歳、女性87.13歳だ。また同資料では65歳時点の平均余命が男性19.47年(到達年齢84歳台)、女性24.38年(到達年齢89歳台)となっている。夫婦の場合どちらかが長生きする可能性が高いことを踏まえ、余裕をもって90歳まで生きた場合を想定した。
| 単身世帯 | 二人以上世帯 | |
|---|---|---|
| 30歳で引退 | 124,590,240円 | 226,080,720円 |
| 40歳で引退 | 103,825,200円 | 188,400,600円 |
| 50歳で引退 | 83,060,160円 | 150,720,480円 |
この中で、一番リタイア資金が必要な2人以上の世帯が30歳で引退したとしても約2億2,600万円程度だ。
インフレなども考慮すると支出は増える可能性もあるが、3億円用意できれば平均的な支出におさめれば、リタイアは十分、達成できそうだ。
ただし、リタイアする期間が長いほど必要な額は増えインフレなどの不確定要素の影響も強く受けてしまう点には注意したい。
次は「年間支出の25倍の資産」を使って試算してみよう。
| 単身世帯 | 二人以上世帯 |
|---|---|
| 51,912,600円 | 94,200,300円 |
年に4%の資産運用ができれば、運用益で生活費を賄えるという「4%ルール」を用いた場合に必要な額は単身世帯で約5,191万円、二人以上世帯で約9,420万円程度となった。
この4%ルールはアメリカで考えられたもので米国のインデックスが平均7%成長に対し、物価上昇率が3%を差し引いて求められた考え方のため、日本でそのまま当てはまらないという批判はある。
しかし、3億円もあれば仮に投資元本の3%、2%以内の支出に抑えたとしても十分に足りるはずだ。仮に年利3%で3億円を運用した場合、税引前で年間900万円、税引後でも約720万円の運用益が得られる計算となり、平均的な支出水準であれば元本を減らさずに生活できる。
平均的な支出で生活するなら3億円は十分にリタイアできる資産と言えるだろう。
資産3億円で早期リタイアした後の生活は?
総務省統計局の家計調査(2025年平均)によると、消費支出は単身世帯で月173,042円、二人以上の世帯で月314,001円ほど平均でかかるとされている。
3億円でリタイアが可能かどうかは、この平均的な支出をもとに計算して可能と結論づけた。
3億円は平均的な生活を送るだけであれば十分すぎる資産だ。資産運用と組み合わせれば、ゆとりのある暮らしも可能だろう。しかし、それだけに生活水準が際限なく上がりやすい点には注意が必要だ。高級車やタワーマンションなど大きな支出を重ねれば、3億円でも想像以上に早く資産は減っていく。
またリタイア生活をする場合、仕事をしないわけだからキャリア形成が止まってしまう。
再就職も離職期間が長引くほど難しくなってしまうだろう。
そのため現役で働いている人よりも慎重に支出を管理する必要がある。
なお、30代・40代など60歳未満でリタイアする場合は国民年金保険料の負担も見落としやすい。日本年金機構によると、国民年金保険料(月額)は令和7年度17,510円、令和8年度17,920円となっている。例えば30歳でリタイアした場合、60歳までの30年間で1人あたり年額約21万円、合計約630万円の保険料負担が発生する。夫婦であれば単純に倍近くかかる。3億円の規模から見れば致命的な額ではないが、生活費に加えてこうした制度的コストも織り込んでおきたい。
リタイア生活で会社や労働から解放される。
しかし、限られた資産をいかに使っていくのか、自由になった時間でどのように過ごしていくのかはリタイア前に十分に検討しておこう。
インフレや予期せぬ支出にはどう対応する?
日々の支出以外にも、リタイア生活ではインフレや予期せぬ支出に対応しなければならない。
- インフレ対策
- 資産運用で対処する
- 予期せぬ支出
- 流動性の高い資産を生活費とは別に確保しておく
インフレはリタイア生活の大きなリスクの一つだ。総務省統計局の消費者物価指数(CPI)では、2025年平均の総合指数(2020年=100)は111.9となり、前年比+3.2%の上昇だった。長期のリタイア計画では「物価が数%動く」だけでも必要資金が大きく変わるため、資産の目減りを防ぐには株式や不動産、コモディティなどに一部、資産を変えておくのが望ましい。
資産運用でリタイア後の資産を守ることで、資産寿命を延ばすことができる。
ただしリタイア生活者の場合、資産を増やすための運用よりも守る運用を心がけたい。
予期せぬ支出に関しては、流動性の高い資産を生活費とは別に確保しておきたい。
例えば生活費を払う口座とは別に日本円の預貯金口座、いつでも解約できる外貨建MMFなどすぐに支払い、換金できる資産を持っておこう。
また、老後の予期せぬ支出として医療・介護も意識しておきたい。厚生労働省によれば、令和5(2023)年度の国民医療費は48兆915億円、1人当たりでは38万6,700円とされる。また介護分野でも、介護給付費等の費用額累計は令和6年度で約11兆9,381億円と前年比+3.7%増加している。長寿化と物価上昇が重なる局面では、こうした支出が家計に与える影響が大きくなりやすい。
想定外の支出に対応するためにも、ゆとりをもった資産配分と支出が大切だ。
資産3億円でリタイアするための計画の立て方

資産3億円を用意してもリタイア生活がうまくいくかどうかは計画次第だ。
たしかに3億円あればリタイア生活は十分に可能だが、あくまで平均的な支出を想定した場合の話だ。
リタイア後に全く節約をせずに無駄遣いばかりしたり、お金がかかる趣味を続けたり、大きな買い物をしたりすれば3億円も底を尽きてしまうだろう。
家や教育費など大きな支出があれば、それらも考慮しなければならない。
本当にあなたが送りたいリタイア生活を3億円で営めるのかどうかについて、リタイア前に具体的に考えてみる必要がある。計画を立てる際には以下の3つを参考にしてほしい。
- 生活費などの必要資金の見積り方法
- 3億円を用意する前の資産管理
- 3億円でリタイアした後、資産運用をどうするか
リタイア生活前の計画の立て方の参考にしてみてほしい。
生活費など必要資金の見積もり方法
- 年間支出×リタイア後の年数
- 年間支出の25倍の資産
生活費などの必要資金を見積もるために、先に紹介した2つの条件を使って、自分の支出をもとに計算してみよう。
日本人の平均的な支出をもとに計算した場合は、リタイアは十分に可能という結論が出た。
しかし、条件次第で支出が平均的な額ではおさまらないことも十分あるだろう。
例えば、「年間支出×リタイア後の年数」で試算した場合、同じ「二人以上世帯」でもリタイアする年齢によって必要資金には大きな差が出る。30歳でリタイアする場合の必要資金は約2億2,608万円だが、50歳でリタイアする場合は約1億5,072万円となり、その差は約7,536万円にのぼる。いつリタイアするかによって必要資金は大きく変動するのだ。
以下の条件次第で必要資金は大きく変わってしまう。
- リタイア生活で必要な支出
- リタイアする時期
- 年金や退職金の有無
特に年金はリタイア後の収支を左右する重要な要素だ。厚生労働省の発表では、令和8年度の老齢基礎年金(満額・1人分)は月額70,608円、標準的な厚生年金(夫婦2人分の基礎年金を含む)は月額237,279円とされている。生活費のすべてを資産取り崩しで賄うのではなく、「年金で賄える部分」と「資産で補う不足分」に分けて考えると、資金計画がより現実に近づくだろう。
自分がどのような条件でリタイア生活をするのか整理して、自分自身が必要になる生活費と必要な資金を見積もってほしい。
資産3億円を用意する前の資産管理
リタイアする前に最低限、以下の点で資産を管理したい。
- 資産の棚卸し
- 資産配分の見直し
- リスク管理
3億円分の資産が用意できたら、まず資産の棚卸しをしよう。
自分が開いている銀行口座や証券口座、不動産など資産全体を把握しよう。
資産には預貯金や株式、債券、投資信託など様々あるだろうが、特定の資産に偏っていないかを確認してほしい。
例えば3億円の資産のうちほとんどがリスクの高い株式になっていたら安心してリタイア生活を送れないだろう。
逆に全て日本円建ての預貯金ではインフレや為替リスクに弱くなる。
リタイア生活を計画的に行うためにもリスク管理を行いバランスよく資産を持ちたい。
3億円でリタイアした後、資産運用をどうするか
リタイア後3億円をどのように運用するかについても計画をたてておきたい。
資産運用のやり方次第で資産を守ることも増やすこともできる。全て日本円建ての預貯金にして取り崩していくだけでは、インフレに対処できない。
また一方的に貯金を切り崩していくだけのリタイア生活では資産が減っていく一方だ。
想定利回り4%程度で運用できれば、年間支出の25倍の資産があればリタイアできるという有名な考え方がある。
アメリカで考案された考え方なので、必ずしも日本でのリタイア生活に当てはまるとは限らないが一つの目安にはなるだろう。
全て預貯金だけで資産を取り崩すリタイア生活もできるが、一方的に資産が減り続け資産がいつ底をつくか不安になるだろう。
無理のない想定利回りで資産3億円を運用できれば、リタイア生活を持続可能な形にできるはずだ。
安定した資産である債券に一部投資してインカムゲインが入ってくる仕組みをつくる、一部を株式にしてインフレ対策をするなど、リタイア後の運用戦略を考えよう。
その際にはリスクは取りすぎず無理のない低リスクな計画を立ててほしい。
資産3億円でリタイアしたら資産はどう管理するべきか

3億円というまとまった資産が用意できても安心はできない。リタイアするのに3億円は十分な額ではあるが、資産管理のやり方を間違えれば、資金が底をつくことになりかねない。
特にリタイアしてしまうと再就職なども年を経るごとに難しくなることが予想される。
リタイアするからこそ資産を管理し守る姿勢が大切だ。
- 資産寿命を延ばす
- 分散投資の重要性
- 定期的なポートフォリオの見直し
以上3つの観点から、リタイア後の管理について解説する。
資産寿命を延ばす
リタイア後は資産寿命を延ばすことが重要だ。資産寿命を延ばすための方法として以下の3つを意識してほしい。
- インフレに負けないポートフォリオ
- 取り崩し方を工夫する
- 働く期間を延ばす
預貯金のままだとインフレで資産が目減りしてしまう恐れがある。
そのため、インフレに強い株式や不動産、コモディティなどの預貯金以外の資産を持つようにしたい。
なお、実際のリタイア世帯の家計を見ると、消費支出だけでなく税・社会保険料などの非消費支出もかかる。総務省の家計調査(2024年平均)によると、65歳以上の夫婦のみ無職世帯では実収入252,818円に対し消費支出256,521円・非消費支出30,356円で毎月約34,058円の不足が生じている。単身無職世帯でも実収入134,116円に対し消費支出149,286円・非消費支出12,647円で毎月約27,817円の不足となっている。年金等の収入だけでは足りない部分を資産で補う構造を踏まえて、取り崩し計画を立てたい。
次に意識したいのが資産の取り崩し方だ。資産の取り崩し方には大きく分けて以下の2つがある。
| 概要 | メリット | デメリット | |
|---|---|---|---|
| 定額取り崩し | 毎月一定の額を取り崩す | 定額で取り崩すので生活の計画がたてやすい | 資産の減りが早い |
| 定率取り崩し | 毎月、資産に対して一定の割合を取り崩す | 資産が長持ちする | 取り崩せる額が変動してしまう |
資産寿命を延ばすには、定率での取り崩しが有利だ。定率取り崩しの場合、仮に運用中の資産が下がっている場合、取り崩す額を減らすことになるため運用中の資産の目減りを減らすことができる。
しかし、定額取り崩しの場合、運用中の資産が下がっていても関係なく資産を減らしてしまうことになる。
ただし、定額取り崩しの方が生活の目処は立てやすいため運用状況、資産残高に応じて適宜、取り崩しを工夫したい。
また、働く期間を延ばして収入を得ることでも資産寿命を延ばすことができる。
例えば資産の目減りが不安ならばリタイアする時期を遅らせれば、必要な生活費は減らせる。
セミリタイアのような形で一定の収入源を確保しながら、無理のない働き方を続けるのも資産寿命を延ばす際に有効だ。
分散投資の重要性
資産を守る運用では、分散投資がおすすめだ。例えば、預貯金だけで全ての資産を持つのは日本円に集中投資しているのと同じことだ。
円安やインフレが進めば同じ3億円でも実質的な価値は大きく目減りしてしまう。
特定の資産クラスを過度に保有するのもリスクが高い。
例えば、株式をいくら分散投資させても株式全般が大きく下げてしまう状況ならば資産価値は目減りするだろう。
複数の資産クラスをバランスよく持つことで、どのような市況でも目減りしづらいポートフォリオがつくれる。
例えばレイ・ダリオが個人投資家向けに提唱したオール・シーズンズ戦略などが参考になるだろう。
- 長期米国債
- 40%
- 株式(S&P500)
- 30%
- 中期米国債
- 15%
- 金
- 7.5%
- コモディティ
- 7.5%
また、公的年金の運用も分散投資の参考になる。GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は、2025年度からの第5期でも国内債券・外国債券・国内株式・外国株式を各25%とする基本ポートフォリオを採用している。個人のリスク許容度によって最適配分は変わるが、「1つの資産に偏らない」設計思想は、長期のリタイア資金でも有効だ。
定期的なポートフォリオの見直し
ポートフォリオは一度作ったら終わりではない。長いリタイア生活の中で特定の資産が増えたり、減ったりしてバランスが悪くなることも考えられる。
見直しせずに放っておくと歪な資産配分になってしまうため注意が必要だ。
また市況次第で資産を守る適切な資産配分が変わることもあるかもしれない。
そのため、定期的にポートフォリオの見直しを行おう。
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資産3億円でリタイアするなら専門家に相談しよう
この記事では資産3億円でリタイアできるかどうかについて解説した。平均的な支出で生活するなら3億円あればリタイア生活は十分可能だ。
しかし、ライフスタイルや支出、資産運用のやり方次第では3億円というまとまった資産でも目減りしてリタイア生活を続けるのが難しくなるかもしれない。
そのため具体的なリタイア後の支出や、資産寿命を延ばすための工夫を考える必要がある。しかし、専門知識と経験がなければ難しいだろう。
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資産3億円のリタイアに関するQ&A
出典一覧
- 総務省統計局「家計調査報告(二人以上の世帯)-2025年(令和7年)12月分及び2025年平均-」
- 厚生労働省「令和6年簡易生命表の概況」
- 総務省統計局「消費者物価指数(CPI)2025年」
- 厚生労働省「令和8年度の年金額改定について」
- 日本年金機構「国民年金保険料」
- 総務省統計局「家計調査年報(家計収支編)2024年(令和6年)結果の概要」
- 厚生労働省「令和5(2023)年度 国民医療費の概況」
- 厚生労働省「令和6年度 介護給付費等実態統計の概況」
- GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)「基本ポートフォリオ」
- 総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)2024年(令和6年)平均結果の概要」

