- 新NISAで始める投資の基本原則とリスク管理の方法について知りたい
- つみたて投資枠の適切な利用法や注意点を理解したい
- つみたて投資枠で実践するべき投資戦略が知りたい
2024年2月に日経平均が史上最高値を更新し、日本でも投資熱が高まっている。
新NISAの制度が改定されたこともその理由のひとつだろう。
新NISAのつみたて投資枠は長期投資を目的としたものだが、正しい使い方を理解しないまま投資を進めて後悔する人もいるかもしれない。
この記事では、つみたて投資枠の適切な利用法や投資戦略の考え方を解説する。
投資で失敗することのないよう、新NISAをうまく使って投資戦略を慎重に進めよう。
後悔する前に知っておきたい新NISAのつみたて投資枠の基本
ここではまず、2024年からスタートした新NISAの基本やメリットとともに、リスク管理の考え方を正しく理解しよう。
投資の基本原則とは
投資は将来のお金を増やすための有効な手段だが、必ずしも利益が出るとは限らない。
投資にはリスクが伴い、損失を被る可能性があることを忘れてはならない。
そのうえで、投資の基本原則「長期的な視点」「分散投資」「積立投資」について説明しよう。
長期的な視点
長期的な視点は、投資家が市場の短期的な変動や一時的な価格の変化に左右されず、投資を長期的な視点に基づいて行うことを指す。
通常、時間の経過とともに市場は変動するが、長期投資を続けることで継続的なリターンをもたらすことが、過去からの実績を見てもわかる。
したがって、投資家は投資先を選ぶ際に、将来の成長性や企業の基本的な強みに焦点を当てつつ、感情に左右されず投資を続けるべきである。
分散投資
分散投資は、投資先を異なる資産クラスや業種、国などに広げることを指す。
これにより、特定の資産クラスや産業のリスクに対するリスクヘッジとすることができる。
たとえば、株式、債券、不動産などの異なる資産クラスへの投資を組み合わせることで、ポートフォリオ全体のリスクが分散され、安定性が増す。
積立投資
積立投資は、定期的に一定の金額を積み立てていく手法だ。
市場の変動に左右されず、機械的に淡々と買い続けることで、リスクを分散することができる。
また、市場での平均取得単価を抑えることができ、市場の変動にも柔軟に対応することができる。
これらの原則を忠実に守ることで、投資リスクを最小限に抑えつつ、着実な資産の成長を期待することが可能となる。それを実際に可能とするのが、新NISAである。
新NISAつみたて投資枠を始めるメリット
新NISAで投資を始める具体的なメリットは、以下の3点となる。
複利効果による資産増加
新NISAは非課税期間に制限がないため、生涯何十年も非課税のまま投資を続け、複利効果で増やすことができる。
複利効果とは、投資で得た利益を元本に組み込んで再投資を行い、資産をどんどん増やすことができる仕組みのことだ。
大きな節税効果
新NISAを使った投資で得た利益がすべて非課税となるため、税金を気にすることなく、資産を最大限に増やすことができる。
インフレリスクへの対策
インフレとは、物価が上昇しお金の価値が下がることで、インフレが起こると同じ金額でも買えるものが少なくなる。
日本では、この数年急激なインフレが進んでおり、貯蓄をしていてもほとんど利息が付かないのもあり、日本円の価値が目減りしている。
長期間かけて新NISAを活用することで、インフレリスクから資産を守ることができるだろう。
つみたて投資枠で後悔しないためのリスク管理の重要性
投資の基本原則に従って新NISAを使って取引を行ったとしても、投資にはリスクが存在することを忘れてはいけない。
たとえば、以下のようなリスクが考えられる。
- 価格変動リスク
- 投資対象の価格変動によるリスク
- カントリーリスク
- 投資先の国や地域の政治・経済情勢悪化によるリスク
- 為替リスク
- 為替レート変動によるリスク
- 流動性リスク
- 投資対象を柔軟に取引できず発生するリスク
これらのリスクを極力抑え、回避軽減するために、リスク管理が必要となる。
上で説明した投資の基本原則「長期的な視点」「分散投資」「積立投資」の実行こそが、リスク管理の有効な対応方法である。
つみたて投資枠で後悔しない情報収集と投資計画の立て方
投資の基本を理解し、リスク管理を正しく認識したうえで、新NISAでの取引を行うことになるが、事前に情報収集を十分に行おう。
投資の基本知識はもちろん、新NISAの制度内容や取引可能な投資商品についてなどは、把握しておく必要がある。
金融機関のウェブサイトや金融情報サイトでは、投資に関する様々な情報を無料で提供している。
ニュースや解説記事だけでなく、投資信託やETFの比較ツール、ランキングサイトなども活用できるだろう。
ただ、無料で入手できる情報もさまざまあるが、必ずしもすべてが正しいとは限らない。
情報源の信頼性も同時に確認しておく必要はあるだろう。
投資の基本知識を身につけたら、投資計画を立案することになる。
以下のステップを参考にしてほしい。
- 投資の目的を明確にする
- リスク許容度を把握する(どの程度の損失なら受け入れられるか)
- 投資対象を選ぶ(国内株式、海外株式、投資信託、ETFなど)
- 投資金額を決める(毎月の積立額や一括投資額)
- 投資期間を決める(短期、中期、長期)
- 実行に移す
新NISAつみたて投資枠によくある誤解と後悔しないための対策法
新NISAのつみたて投資枠で取引できる対象商品は、金融庁が投資に適していると定めた投資信託に限られており、2024年1月30日現在で281本ある。
投資初心者でも扱いやすいものがほとんどだが、それ故、誤解することもある。
ここでは、よくある誤解と対策について解説する。
過度な成長期待とリアルなリターンのギャップ
つみたて投資枠でラインナップされている商品はいずれも長期投資に適したものであり、短期間で劇的に資産を増やすものではない。
2024年2月末の時点で、日経平均が史上最高値を更新しており、米国市場も堅調であることから、多くの投資信託は順調に値上がりしているのは確かだ。
だが、これがこの先ずっと続く保証はない。
長期の株式市場は、ほとんどが緩やかな右上がりのトレンドではあるが、短期的には上下動を繰り返すのが普通だ。
今は上昇している相場もすぐ下落する可能性はある。
このタイミングで焦って、大金を一度につぎ込んでしまっても、すぐに値下がりして含み損をかかえることもある。
そもそもつみたて投資枠での投資は、短期間で大きく資産を増やす手法ではなく、10年以上の長期間かけて積立投資を続け、平均5%程度の成長率を期待するという手法である。
長期的な視点で資産運用を続け、将来の資産形成を実現する、という考え方が重要だ。
つみたて投資枠で後悔したくないなら積立投資を実践するべき
積立投資を長期間継続することで、投資商品の購入単価を平均化するのが、ドルコスト平均法と呼ばれる手法だ。
毎月一定の金額を積立投資することで、市場の価格変動リスクの軽減を狙った方式のことである。
毎月10,000円ずつの積立投資を例に説明しよう。
ある投資信託を買い付ける際の毎月の購入結果が以下だったとすると、
4月:投資信託の基準価額が10,000円のとき、10,000円で10,000口を購入
5月:投資信託の基準価額が20,000円に値上がりしていたので、 10,000円で05,000口を購入
6月:投資信託の基準価額が5,000円に値下がりしたので、10,000円で20,000口を購入
(基準価額はその月ごとに変動しているとする)
毎月定額10,000円を支出しているが、基準価額が変動しているため、購入した口数は毎月異なっているのはわかるだろう。
4-6月の3か月間で30,000円支出したのに対し、買った投資信託は合計35,000口となるため、購入単価は30,000円÷35,000口 = 約8,571円となる。
単価が低い時に多くの口数を買い、単価が高くなったときは少なく買うことで、平均購入単価を抑えられる手法が、ドルコスト平均法である。
さらに、長期の積立投資では、これに複利効果も加わり、資産を効率的に増やすことが可能となる。
複利効果とは、投資で得た利益を元本に再投資することで、雪だるま式に資産を増やすことができる仕組みのことだ。
つまり、長期の積立投資では、平均購入単価を抑え、複利によってさらに大きな資産形成を目指すことが可能となる。
つみたて投資枠で後悔したくないなら市場変動への適切な対応も欠かせない
市場が下落したときは、冷静に判断することが重要だ。
急激な市場変動に対する恐れから、短期の損失を避けるために投資を控えたり、焦って売却し損失を確定してしまうことがある。
しかし、市況が変動しても、着実な積立投資を続けるべきだ。
たとえば、2008年のリーマンショックは世界的な金融危機となり、短期的には大きな下落だったが、2−3年後には市場は復調して、その後さらに多くの国で経済成長を遂げている。
下落したときも積立投資を続けていれば、購入単価が低いので、たくさんの量が購入できており、その後の復調で大きく利益を上げているはずだ。
定期的にポートフォリオを見直し、必要に応じて調整を行うことで、市場の変動にも柔軟に対応できる。
新NISAつみたて投資枠で後悔しないための商品選択と分散投資の戦略
つみたて投資枠では、金融庁が厳選した約280の投資信託から選ぶことになるが、投資商品のリスクについての考え方を確認しておこう。
そのうえで、投資信託の選定基準とポートフォリオ構築のポイントを順に説明する。
後悔をしないために知っておくべき投資信託の選び方
投資信託は、多くの投資家から集めた資金を専門のファンドマネージャーが管理し、株式、債券、不動産などのさまざまな資産に分散投資する仕組みの商品のことだ。
資産分類ごとにリスクやリターンは異なるため、自分のリスク許容度にあった商品構成の投資信託を選ぶ必要がある。
リスクが高い投資は、高いリターンが期待できる反面、損失を被ったり元本を大きく下回る可能性も高くなる。
一方で、リスクが低い投資は、元本を割るリスクも低いが、利益も限定的だ。資産分類ごとにリスクの低い順から並べると、以下のようになるだろう。
つみたて投資枠で扱える投資信託は、主に以下の3つに分類される。
- インデックス型投資信託(インデックスファンド)
- 日経平均株価や米国S&P500など、株式指数に連動する運用を目指す投資信託。個別株よりもリスクが低い。
- バランス型投資信託(バランスファンド)
- 国内外の株式や債券に分散投資する投資信託。リスクを抑えながら、安定的なリターンを目指す。
- アクティブ型投資信託(アクティブファンド)
- 株式指数より大きな利益を目指す投資信託。インデックスファンドよりもリスクが高いが、高いリターンも期待できる。
投資信託を選定する際は、以下のポイントを参考にしてほしい。
信託報酬
投資信託を保有するあいだ、継続的にかかる手数料が信託報酬である。
信託報酬は日々控除されるものであり、できるだけ低いほうがいい。
とくに長期投資する際は、極力コストを抑えるべきだ。
運用成績
過去の実績が良い投資信託を選ぶ。
運用利率は5%程度を基準に考えるといいだろう。
純資産残高
投資信託の規模を表す金額となるため、ある程度の規模はあったほうがいい。
目安は30億円以上であり、これを下回ると償還となる可能性も出てくる。
100億円以上あると安心だろう。
つみたて投資枠におけるポートフォリオ構築のポイント
投資計画に合わせて、ポートフォリオを構築していこう。
ポートフォリオとは、投資家が保有する複数の金融商品の組み合わせのこと。
リスクとリターンのバランスを考慮しつつ、ライフステージによってもどのような組み合わせにすべきか変わってくるだろう。
たとえば、20代であればまだリスク許容度が高い時期でもあり、成長性の高いリスク資産の割合を多めにすることができる。株式80%、債券20%などの割合とするとよいだろう。
40代になると、リスク資産の割合を徐々に下げ、60-70%程度にするのが一般的となる。
さらに年齢が上がり60代になってくると、リスク許容度も下がってくる可能性が高い。
株式などのリスク資産は30-50%程度にとどめ、残りは債券などの安定資産中心とする。
また、運用期間も短くなってくるので、短期の値動きに左右されにくい資産を選択するのがポイントとなるだろう。
年代を例にポートフォリオ構築の考え方を説明したが、同じ年齢でも家族構成や資産状況、性格など考え方は千差万別なはず。
自分に最適なポートフォリオを考えてみてほしい。
なぜつみたて投資枠で後悔しないためには分散投資が有効なのか
分散投資の利点を最大限に生かした商品が投資信託だ。
TOPIXを対象にしたインデックスファンドであれば、日本株式に広く分散投資していることになり、個別株投資のような特定銘柄に依存するリスクを回避できる。
また、バランスファンドであれば、国内海外の株式や債券、不動産に分散していることになる。
このように、複数の銘柄や資産に分散投資することで、特定の銘柄や資産に集中するリスクを軽減できる。
複数のインデックスファンドを組み合わせたり、バランスファンドを効果的に活用することで、分散投資の効果を得やすくなるだろう。
また、国や地域の分散も重要であり、世界経済に幅広く分散して投資することを前提とするべきだろう。
このように分散投資は、リスクを軽減し、安定的に運用するための有効な手段といえる。
新NISAつみたて投資枠で後悔したくなければ誰に相談するべき?
新NISAのつみたて投資枠を使うことで、効率的な資産形成が可能となることはご理解いただけただろうか。
ただ、新NISAの仕組み自体が複雑で理解に時間がかかるのと、投資には常にリスクが伴うため、専門知識が必要となってくるのも事実である。
そこで、つみたて投資枠を活用した投資における専門家の重要性と、自分に合った専門家を見つける方法について解説しよう。
専門家への相談の必要性
新NISAは、長期の資産形成を考えているすべての人にとって、非常に有益な制度だが、投資対象の選定やポートフォリオの構築には専門知識が必要となってくる。
そんなときは、投資の専門家に相談するのもいいだろう。
専門家は、以下の点について重要な役割を果たしてくれるはずだ。
老後の資産形成に関する知識と経験
専門家は、新NISAを活用した資産形成や投資に関する深い知識と経験を持っているため、最適な投資戦略をアドバイスすることができる。
リスク管理
専門家は、投資におけるリスクを正しく理解し、リスクを回避または軽減するための方法を助言してくれる。
時間と手間の削減
専門家は、常に投資のための情報収集や分析を行っており、必要に応じてあなたに提供してくれるはずだ。
なお、専門家とは、証券会社のコンサルタントや銀行員、IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)などのことをいう。
証券会社では、株式、投資信託や債券などの金融商品を販売しているため、その商品に関する情報を得ることができる。
また、IFAは、資産運用やポートフォリオ管理に関する全般的なアドバイスを受けることができるだろう。
IFAの役割と選び方
新NISAのつみたて投資枠の活用に関する相談は、IFAに任せることをおすすめしたい。
IFAは特定の金融機関に属していないため、顧客の立場に立った客観的なアドバイスを提供することができる。
IFAに相談する具体的なメリットは、以下の通りだ。
客観的なアドバイス
IFAは、金融機関の方針や利益に縛られることなく、顧客目線でかつ客観的なアドバイスを受けられる。
幅広い商品
IFAは、老後の資産形成に限らず、幅広い金融商品のなかから、あなたに合った商品を提案してくれる。
長期的な視点
IFAは、あなたの長期的な目標に沿った資産形成プランを提案してくれる。
IFA検索サービス「資産運用ナビ」の活用法とメリット
自分に最適なIFAを見つけるために、「資産運用ナビ」という資産運用相談サービスを利用することができる。
「資産運用ナビ」公式ウェブサイトから、希望条件を入力すると、全国のIFAの中から、あなたにぴったりな資産運用アドバイザーを見つけ出してくれる。
このサービスは、日本全国にいるIFAを対象としていて、料金はかからず何度でも相談することができる。
上手に「資産運用ナビ」を活用して、自分に最適なIFAを見つけ出し、新NISAの活用を効果的に進めてほしい。
新NISAつみたて投資枠で後悔しないためには適切な商品選択と配分を!
本記事では、新NISA投資における基本的な知識とリスク管理の方法について、解説した。
また、つみたて投資枠を使った投資においてよくある誤解と対策を確認したうえで、つみたて投資枠における適切な投資選択と資産配分の重要性も詳しく説明した。
なお、新NISAを活用した資産運用に関する疑問や不安があれば、専門家からアドバイスを受けることをおすすめする。
とくにIFAは、中立的な立場からあなたに最適なアドバイスを長期にわたって提供してくれるはずだ。
IFA検索サービス「資産運用ナビ」を活用し、あなたに合ったIFAをみつけてほしい。