- 資産管理会社が何かわからない
- 資産管理会社を設立するための最低必要資産額について知りたい
起業家や有名芸能人等が自身の収入や運用全般を資産管理会社を設立して管理するケースはよくあるが、実際のところ資産いくら以上あれば設立できるのだろうか。
本記事では、そもそも資産管理会社とは何か、という基本的な内容も含めて解説する。自分自身に合った資産運用方法を見つける際の参考にしてみてほしい。
資産管理会社とは
富裕層が資産運用を行う際に設立することが多いとされる「資産管理会社」とは一体どのようなものなのだろうか。
ここでは資産管理会社の基本的な役割や必要性について解説する。
資産管理会社の基本的な役割と業務内容
資産管理会社を設立する目的は、創設者の資産を適切に運用、保守、管理を行うことである。
資産の成長だけでなく節税や相続対策などを通して文字通り資産を管理する会社であるため、一般的な企業が行うような事業活動は行わず、資産管理に特化しているケースが多い。
資産管理会社の必要性
そもそも資産管理会社を設立する必要があるのか疑問に感じるケースもあるだろう。結論からいえば、必要かどうかは運用方法や利益規模によって変化する。
たとえば個人がつみたてNISAを活用して投資信託の運用を行い、毎月1万円を積み立てるような場合は必要ないといえるだろう。なぜならつみたてNISAは長期投資で、いますぐ利益が出るわけではなく、運用規模も大きくないからだ。
通常の法人設立と同様に、資産管理会社の場合も設立や維持管理にコストが発生する。上記の場合は利益よりもコストが大きくなると考えられるため、資産管理会社を設立するメリットは少ない。
一方で投資信託だけでなく個別株や債券、不動産等さまざまな資産を運用し、運用総額も数千万円や数億円以上になる場合、資産管理会社を設立するメリットは大きい。
なぜなら元手資金が大きいと利益額も大きくなる傾向があり、個人名義のままでは所得税負担が非常に重くなる可能性があるためだ。
資産管理会社の設立方法
資産管理会社の設立は、一般的な法人設立の場合と同様の方法で行う。
あらかじめ定款作成や認証を行ったうえで、法務局で設立登記手続きを行う。法務局での手続きが完成し、登記事項証明書や印鑑登録証明書の発行が可能になれば、税務署や年金事務所、都道府県税事務所、役所等で開業届や青色申告承認申請書等の必要な申請を行う必要がある。
定款には事業内容を定める必要がある。資産管理会社が営む可能性がある内容を盛り込むため、現時点で主に取り組んでいない項目があっても基本的には問題ない。
資産管理会社の場合は「有価証券の投資」や「不動産の売買、仲介、斡旋、賃貸及び管理」などが考えられる。事業内容は設立する本人の投資戦略や運用内容によって変わる。
後々のトラブルを防止するために自分1人で判断するのではなく、税理士やIFA等の専門家に相談しながら定めることをおすすめする。
資産管理会社で運用を行うべきなのか
資産管理会社の仕組みは理解できても、そもそも会社を通して運用する必要があるのか疑問に感じるケースもあるだろう。個人で運用を続けるか、資産管理会社を設立して法人名義で運用を行ったほうがいいのか悩むケースも少なくない。
ここからは資産管理会社で運用を行うメリットや、どの程度の資産規模から設立を検討するべきかについて解説する。自分に合った方法なのか検討する際の参考にしてほしい。
資産管理会社で運用を行うメリットとは
個人名義ではなく資産管理会社で運用するメリットにはどのようなものがあるのだろうか。
節税効果が期待できる
ビジネスや投資によって収入が発生すると、個人は所得税として申告する必要がある。分離課税ではなく総合課税の場合は、累進課税制度によって最大45%の税率が適用される。
一方で資産管理会社の場合は資本金の規模によって変わるが、普通法人の実効税率は約23%となっている。利益が大きくなるほど資産管理会社で運用するほうがメリットが大きい。
長期的な損益通算が可能
資産運用はリスクがつきもので損失を計上することも少なくない。個人の雑所得の場合は損益通算が認められていないため厳しいが、そうではない場合は個人も青色申告書を提出すれば最長3年間の繰越控除が認められている。
たとえば今年100万円の損失を出し、来年100万円の利益を計上した場合、繰越控除が適用されて来年の課税所得は差し引きゼロとなる計算だ。その年の損失を翌年以降の利益と相殺できるため、長期的な節税効果が期待できる。
これが法人の場合は最長10年となり、個人の場合よりも7年長い。年単位で損失を計上する機会がある場合は、資産管理会社を設立したほうがメリットは大きい。
相続資産の整理ができる
資産管理会社に資産を集約することで、将来的に相続が発生した場合もスムーズに手続きがしやすいメリットがある。株式や債券、不動産、土地などを法人名義にすることで、複数の相続人に分割する必要があっても、会社の株式を分割すれば良いからだ。
一方で個人名義の資産を相続する場合は、手続きや管理が非常に複雑で困難になる。名義をそのままの状態で株式を発行して分割するようなことができないためだ。
たとえば不動産を相続した場合、相続分に応じて権利の持ち分を分割する必要がある。名義変更に伴い、登記移転手続きを行う必要があるため、費用もかかる。将来的に不動産の売却や有効活用をしたい場合は複数に分かれた所有者の合意が必要となるため、手続きが全く進まない可能性も考えられる。
個人資産の相続にはこのようなデメリットがあるため、遺産相続等のトラブルを防止するためにも資産規模が大きいほど、資産管理会社の設立は必要といえるだろう。
資産管理会社で運用を行うのに適した資産はいくら?
資産運用の利益等による年間課税所得が800万円を超えると、資産管理会社を設立するとメリットがあると言われている。なぜなら課税所得が800万円を超えると、個人にかかる所得税率よりも法人税率のほうが安くなる傾向があるためだ。
もちろん「いくら以上でなければ資産管理会社を設立してはいけない」といった決まりや正解は存在しない。
資産管理会社の設立や維持管理にもコストが発生するため、自身の運用手法や利益の状況、資産規模等を総合的に考慮して、費用対効果の部分で適切かどうか判断することをおすすめする。
資産管理会社での運用は自分自身に合った運用方法なのか
個人での運用、資産管理会社での運用、それぞれメリットデメリットが存在し、どちらの方法が正しいというわけではない。どちらの運用形態をとる場合でも、それが自分自身に合った方法なのか常に確認することが重要だ。
- 課税所得が800万円以内の場合は個人で運用する
- 課税所得が800万円を超えたので資産管理会社を設立する
- 将来の相続トラブルを軽減したいので、資産管理会社で資産を集約する
上記以外にもさまざまな考え方が存在する。自身の投資目標や出口戦略等を改めて確認し判断しよう。自分のみで判断するのが困難な場合は、積極的に専門家の力を借りることをおすすめする。
あなたの資産を成長させる方法
資産運用を行う目的は、当然ながら自己資産を成長させるためである。せっかく投資を行っても大切な資産が目減りしては意味がない。ここではリスクを軽減して自身の資産を成長させるための考え方や方法を解説する。
ポートフォリオの見直し
一度構築したポートフォリオは定期的に見直すことをおすすめする。なぜならライフステージや市場動向など、資産を取り巻く環境は常に変わる可能性があるからだ。
家族構成で考えても、独身の場合、結婚した場合、子供が産まれた場合、子供の人数などによってとるべき戦略は異なる。
独身時代に資産運用を開始し、その後結婚して子供が産まれた場合、以前構築したポートフォリオが適切であるか改めて確認してみよう。
自分に合った運用方法を見つける
運用方法に共通の正解はない。自分に合った運用方法を見つけるためには下記3点の理解が欠かせない。
- 投資目標
- いつまでにいくら構築したいのか
- 出口戦略
- いつ利益確定するのか、資金を引き上げて撤退する可能性はあるのか
- リスク許容度
- どのくらいリスクをとれるのか
これらはライフステージや市場動向、政治経済情勢等によって変わることもあるので随時アップデートすることが重要だ。
専門家とともに資産管理を行う
自分の資産を正しく管理するためには、専門家の助言やサポートを受けることも非常に重要である。自身の資産のバランスや傾向、運用検討商品の詳細、ポートフォリオの内容や見直しの必要性など、確認しなければならないポイントは多い。
これらを一般投資家が全て自分自身で行うのは容易ではなく、時間や手間もかかる。資産管理の効率化のためにも専門家の力は積極的に活用しよう。
あなたの資産を専門家に委託するメリット
資産運用を自分ではなく外部の運用のプロに任せる場合もある。
運用のプロとして中立的な立場で資産運用の提案やアドバイスを行うIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)も有名だが、彼らに任せるメリットはどこにあるのだろうか。
専門的な知識と技術を活用するメリット
一般投資家が金融のプロレベルの知識や経験を身につけるのは膨大な時間やコストがかかる。IFAに依頼することで、これらの時間や手間を省けるので資産運用や管理の効率化をはかることができる。
IFAは専門的な知識や技術はもちろんだが、弁護士や税理士等の外部の専門家と連携することも少なくない。自分に合った専門家を一人ずつ探し出すのは容易ではなく、時間がかかる。
これもIFAと連携することで、さまざまな専門家がバックアップしてくれると考えると心強いといえる。
安心の資産管理
インターネットをはじめ世の中の投資に関する情報は玉石混交で見極めるのは容易ではない。
そのため、運用のプロで金融知識にも詳しい専門家の力を活用し、無駄なリスクを回避して資産運用や管理をすることが必要である。
個別のニーズに対応
IFAは特定の金融機関に属さず独立的な立場で資産運用の提案やサポートが可能なので、顧客一人一人のニーズに寄り添った対応ができるのが強みだ。
自身の資産や運用状況、投資目標等と照らし合わせて、資産管理会社を設立すべきかどうか相談できるだけでなく、設立後もどのように経営すればいいのか解決策を提示してくれる。
また、投資戦略と同じように、あなたに最適なIFAも投資の経験値や目標、資産状況によって異なる。検索プラットフォーム「資産運用ナビ」などを活用し、自身の条件にあったアドバイザーを探すことも忘れないようにしよう。
まとめ
今回は資産管理会社での運用に関するメリットや運用を始める際には資産がいくら必要なのかについて解説した。
資産管理には専門的な知識が必要であるため、IFAに相談することをおすすめする。IFAはお金の専門家であり、資産管理会社の設立からその後の資産運用まで幅広く相談に乗り、専門的な視点から解決策を提示してくれる。
また、投資家の投資経験や投資意向によって、最適なIFAの選択肢も異なる。自身の条件にあったIFAを見つけるには、「資産運用ナビ」などの検索プラットフォームの活用もおすすめである。
無料相談もできるので、長期的な資産形成のパートナーとなる、信頼できるIFAが見つかるはずだ。
資産管理会社の設立に悩んでいる方や運用に関する疑問や不安がある方は、以下のボタンから無料相談に申し込んでみてほしい。