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新NISAの様々な活用方法

今年も残すところ2ヶ月を切ったが、来年からいよいよ多くの個人投資家が待ち望んだ新NISAが始まる。

既に新NISAの活用方法については多くの専門家やインフルエンサーが情報を発信しているが、仕事などをしながら資産形成をする個人投資家にとっては、従来のNISAで行っていた「つみたて投資」を引き続き実践するということが最適解であるとする声が多い。

筆者自身もその点について異論はない。しかし、自己責任のもとにおいて自身のお金を同時に充てる訳だから、それ以外の投資法を選んではいけない、ということではなく、そこは自分がやりたいようにやればいい。

今回は「つみたて投資」以外の投資法をいくつか紹介していく。

目次

新NISAの特徴のおさらい

 ここで改めて新NISAの特徴を現行のNISAと比較するかたちで確認をしよう。

通常は株式投資や投資信託への投資で得た売却益や配当などについては、20.315%(所得税、復興特別所得税、住民税の合計)がかかるが、NISA口座を経由して投資をした場合は、この課税がなされることはない、ということがNISAの特徴である。この点は現行のNISAも新NISAも変わらない。

 新NISAでは年間非課税投資枠が大幅に増え、現行NISAのうち一般NISAに該当する新NISAの成長投資枠は2倍の240万円、つみたてNISAに該当する新NISAのつみたて投資枠は3倍の120万円となっている。

しかも、現行のNISAは一般NISAとつみたてNISAのどちらかを選ばなくてはいけなかったが、新NISAでは成長投資枠とつみたて投資枠を併用することが出来る。

 さらに新NISAでは新規投資期間と非課税投資期間はともに恒久化され、しかも投資枠内であれば一度投資していた資産を売却したうえで、再利用することも可能となった。あえて新NISAに難点があるとすれば、現行NISAにあるジュニアNISAがなくなることぐらいだろうか。

 一点注意しておきたいのは、NISA口座で損失が生じた場合は、一般口座や特定口座の利益と損益通算できないということだ。

IPOで値上がりを狙う

 つみたて投資以外の投資法として最初に紹介するのはIPO投資だ。意外と思われるかもしれないが、非課税口座を活用して投資をする場合、実は合理的な考え方としては、利益が大きく出る可能性があるものを選ぶというものがある。

たとえば、成長投資枠を活用して100万円をIPO株に投資したとしよう。1年間で10%値上がりした場合、10万円の売却益課税されないまま、そのまま利益として手元に残る。

一方で、配当利回りが高い株式に投資をしたとしても、どれだけ高配当であったとしても年間で10%も配当が出ることはほとんどないため、短期間に限ればIPO投資をするメリットは十分感じることが出来るだろう。

 しかも、新NISAでは投資した株を売却すれば、投資上限内においては翌年にはその投資金額分の枠が復活するため、先の例で言えば再び100万円分を他の投資に振り向けることが可能となる。

 ただし注意すべき点もある。IPO銘柄のなかには値動きが非常に激しくなったり、初値が公募価格を大きく下回るものもある。また、そもそもIPOに応募しても、実際に抽選に当たる確率は非常に低い。

そのため、IPO銘柄への投資のみを新NISAの活用方法として考えてしまうと、なかなか新NISAを活用して投資を始めることができなくなることにも留意したい。

優良割安株を狙う

 2つ目は優良割安株を狙う方法だ。現行の一般NISAでは非課税期間が最大で10年だったが、新NISAでは無期限となるため、株価が上昇するまでじっくりと保有することが可能となる。

証券取引所に上場する4,000近い銘柄の中には、業績がしっかりと伸びているにもかかわらず株価が上昇せず、割安なまま放置されているものが散見される。たとえば、営業利益が毎年10%以上伸び続けているにも関わらず、PBR(株価純資産倍率)が1倍を下回るような銘柄だ。

最近では東証がPBR1倍割れの企業に対して改善要請を出したこともあり、増配や自社株買いなどの株主還元策を発表した企業も多く見られ、既に割安に放置されてきた企業の一部は一気に買い上げられている。それでも、未だにプライム銘柄では900近い銘柄のPBRは1倍を下回っている。

 このような状況下でも依然としてPBRが1倍を下回っている企業は現時点では投資家から期待をされていない可能性が高いため、目先は株価上昇の期待が薄いかもしれないが、今後も日本で株主還元の流れが強くなっていくというシナリを描くのであれば、現時点でPBRは1倍割れにもかかわらず、業績はしっかりしている有料割安株を長期で保有することは1つの投資法といえるだろう。

高配当、優待銘柄を狙う

 そして、最後に紹介するのは高配当、優待銘柄を狙うということだ。

日本証券業協会が2021年12月に発表した「証券投資に関する全国調査」によると、個人投資家に株式を購入した理由を尋ねたところ、「配当がもらえる」と答えたのが48.3%、「株主優待が受けられる」と答えたのが36.6%と上位を占めた。

 株式に投資が出来る成長投資枠は生涯上限枠が1,200万円である。仮に全額を配当利回り4%の高配当銘柄に投資をした場合、1年間で受け取る配当の金額は48万円となる。

従来の一般口座であれば、ここから約20%の96,000円が税金としてとられてしまう。しかし、NISAであればこの10万円弱が手元に残ることになる。たとえば、年金生活者からすれば十分魅力的であろう。また、株価の変動で一喜一憂するよりも、優待や配当を楽しみにしながら、長期で資産運用をするという考え方もあっていい。

 投資は自己責任であり、投資をするのは自分自身のお金である。様々な活用方法が世の中には溢れているが、自分の人生設計やライフスタイルにマッチした投資法をなるべく早く見つけ出して欲しい。

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※本コラムは情報提供を目的としたものであり、個別銘柄の推奨や、金融商品の紹介、周旋を行うものではございません。

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執筆者

森永 康平のアバター 森永 康平 株式会社マネネCEO / 経済アナリスト

証券会社や運用会社にてアナリスト、ストラテジストとして日本の中小型株式や新興国経済のリサーチ業務に従事。2018年6月に金融教育ベンチャーの株式会社マネネを設立。
現在は経済アナリストとして執筆や講演をしながら、国内外複数のベンチャー企業の経営にも参画。

著書は『スタグフレーションの時代』(宝島社新書)や父・森永卓郎との共著『親子ゼニ問答』(角川新書)など多数。

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