- 30代から老後に向けた資産運用を始めるメリットを理解したい
- 資産を効率的に増やす具体的な方法が知りたい
- 30代に適した投資額や運用戦略を相談できる先を探している
結婚や子どもの誕生、社内での昇進など、ライフステージの変化が目まぐるしい30代にとって、退職後の生活をイメージすることはなかなか難しいかもしれない。
しかし、30代など早いうちから老後資金の準備を進めておくことで、将来的にいくつかのメリットが享受できる。
そこで本記事では、30代が退職後を見据えて始める資産運用に焦点を当て、適切な投資額やリスク管理に関する具体的な戦略を探求し、資産を着実に増やすための方法を提供する。
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なぜ30代から退職金運用を考えるべきなのか
30代になると、結婚や子どもの誕生、社内の昇進など大きくライフステージが変化する人が多い。
収支も大きく変化するなかで、「今の貯蓄でこの先大丈夫なのだろうか」、「同世代はどれくらい貯蓄しているのだろう」と気になることも多いのではないだろうか。
ここでは、30代の平均貯蓄額や、今から退職金運用について考えておくべき理由について解説していく。
30代の平均貯蓄額
金融広報中央委員会の調査によると、30代の貯蓄状況は下記の通りとなっている。
金融資産保有額 | 割合(%) |
---|---|
金融資産非保有 | 26.7 |
100万円未満 | 15.1 |
100~200万円未満 | 9.8 |
200~300万円未満 | 6.5 |
300~400万円未満 | 6.0 |
400~500万円未満 | 3.2 |
500~700万円未満 | 8.6 |
700~1,000万円未満 | 6.1 |
1,000~1,500万円未満 | 6.0 |
1,500~2,000万円未満 | 3.6 |
2,000~3,000万円未満 | 3.4 |
3,000万円以上 | 2.4 |
無回答 | 2.7 |
平均額 | 515万円 |
中央値 | 150万円 |
30代は平均貯蓄額が515万円である一方、中央値は150万円となっており、大きく乖離があることが分かる。
中央値とは、データの数値を小さい方から順番に並べたときにちょうど真ん中に来る値のことである。
30代ではすでに1,000万円以上の資産を築いている人もいる一方、まったく金融資産を保有していない人が26.7%にものぼることから、貯蓄ができている人とそうでない人に大きく差が開いているといえる。
30代から退職金運用を考えておくべき理由
ライフステージが大きく変わる30代は、退職金運用についても考え始めたいタイミングだ。
「まだ退職金を受け取るまで何十年も時間がある」と思うかもしれないが、退職金運用は早く考えておくことでいくつかのメリットがある。
それぞれくわしく解説していこう。
長生きのリスクに退職金運用で備えるため
人生100年時代といわれる現在、資産運用に取り組むことはもはや必要不可欠ともいえる。
もし受け取った退職金をそのまま取り崩すだけであれば、自分の寿命よりも先にお金の寿命が尽きてしまうリスクがある。
医療が日々進化する現在では、今の30代が老後を迎える頃にはさらに平均寿命が伸びている可能性もある。
より退職金を有効活用するためには、資産運用で「守りながら増やす」という取り組みを行うことが重要だ。
退職金運用のために今から経験値を積むため
とはいえ、まったく資産運用の経験がない人が、老後にいきなり資産運用に取り組むのはリスクが高い。
もし損失を負ってしまうと、老後の暮らしぶりに大きな影響を与えてしまうことも考えられる。
しかし、今から資産運用のノウハウを身につけていれば、いざ退職金運用に取り組むことになった場合も適切な投資判断を下せる期待がある。
適切な退職金運用に取り組むためには、30代の今から資産運用に取り組んで経験値を積んでおくことがおすすめだ。
年代別の退職金運用方法について、より詳しく知りたい人は下記の記事を参考にするといいだろう。
退職金運用を見据える30代が知っておきたい基礎知識
30代から退職金運用について考えるためには、退職金の相場や仕組みについて知っておく必要がある。
ここからは、退職金の平均額や受け取り方の種類について解説していこう。
退職金はどれくらい受け取れる?
退職金というと、どれくらいの金額を受け取れることをイメージしているだろうか。
退職金の算出方法は企業によって異なっているが、勤続年数や基本給によって算出されることが一般的だ。
ここでは、参考程度に定年退職時のモデル退職金や、30代で中途退職した場合の退職金について確認していこう。
ケース①定年退職した場合
各企業ではモデル退職金を定めており、入社後に平準的な昇進を経た場合の退職金が定められている。
下記表は、中央労働委員会と東京都産業労働局の調査をもとに、企業規模・最終学歴別のモデル退職金をまとめたものである。
最終学歴 | モデル退職金(千円) | |
---|---|---|
大企業 | 中小企業 | |
大学卒 | 26,487 | 10,918 |
短大・高専卒 | 11,286 | 9,832 |
高校卒 | 20,103 | 9,940 |
大学卒の場合、大企業の場合は約2,650万円の退職金が受け取れるのに対し、中小企業の場合は約1,100万円の退職金で、およそ1,550万円も差があることが分かる。
このように、定年時に退職金をもらえるかは、自分の最終学歴や企業規模によって大きく異なる。
およその金額を把握するためには、勤務先の退職金規程を確認してみよう。
ケース②30代で退職した場合
新卒から入社して10年、15年を迎えて、転職を検討している人もいるかもしれない。
ライフステージの変化によって退職を考えている人もいるだろう。
中途退職の場合は、会社都合か自己都合かによって退職金の金額が大きく異なる。
下記表に、大卒者の場合のモデル退職金をまとめている。
大卒者の退職金平均額
大企業 | 中小企業 | |||
---|---|---|---|---|
会社都合 | 自己都合 | 会社都合 | 自己都合 | |
10年(32歳) | 310万2,000円 | 179万9,000円 | 149万8,000円 | 112万1,000円 |
15年(37歳) | 577万9,000円 | 387万3,000円 | 265万8,000円 | 212万9,000円 |
大企業に10年勤め、転職を機に退職する際は、約180万円の退職金を受け取れることとなる。
もちろんこれは目安程度であるため、くわしくは勤務先にて確認することがおすすめだ。
退職金の受け取り方は3種類ある
退職金というと、退職時に一括で受け取るイメージがあるかもしれないが、実は分割で受け取ることも可能だ。
たとえば、2,000万円の退職金がある場合、10年に分けて200万円ずつもらうといった方法である。
この年金形式での受け取りは、運用益が加わることによって受取総額が増えるメリットがある。
退職金を一気に使ってしまう心配がないのも嬉しいポイントだ。
また、一括受取と年金受取を併用して受け取ることも可能である。
どの受取方法を選べるかは企業によって異なるため、詳細は勤務先にて確認してみるとよいだろう。
退職金は必ず受け取れるわけではない
退職金運用について考えるとき、注意したいのが「退職金は必ず受け取れるわけではない」ということだ。
退職金制度は法律で義務付けられたものではないため、企業によっては退職金制度を設置していないところもある。
下記表は、厚生労働省の調査をもとに退職金制度の有無の結果をまとめたものだ。
従業員数 | 退職給付(一時金・年金)制度がある企業 | 退職給付(一時金・年金)制度がない企業 |
---|---|---|
1,000人以上 | 90.1% | 8.8% |
300~999人 | 88.8% | 11.1% |
100~299人 | 84.7% | 15.1% |
30~99人 | 70.1% | 29.5% |
計 | 74.9% | 24.8% |
上記調査では、約25%の企業が退職金制度がないと答えており、4社に1社が退職金制度がないことが分かる。
退職金制度がない企業は決して珍しい存在ではないため、自分の勤務先の退職金制度の有無について改めて確認しておくと安心だ。
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30代におすすめの退職金運用の方法
30代から退職後を見据えた資産運用に取り組む際にぜひ活用したいのが「NISA」と「iDeCo」の制度だ。
それぞれくわしく紹介していこう。
NISA
NISAとは、株式や投資信託の運用で得た利益が非課税となる制度である。
通常は20.315%の税金がかかるため、非課税の恩恵が大きい制度だ。
NISAは2014年からスタートした制度だが、2024年1月に大きな改正が行われている。制度の概要は下記の通りだ。
つみたて投資枠 | 成長投資枠 | |
---|---|---|
年間投資枠 | 120万円 | 240万円 |
非課税期間 | 恒久化 | |
非課税保有限度額 | 1,800万円(内、成長投資枠は最大1,200万円) | |
対象となる金融商品 | 現行つみたてNISAと同様 | 株式、投資信託、ETF(※一部対象外あり) |
新しいNISAではつみたて投資枠と成長投資枠を併用できるため、年間360万円まで非課税で投資することができる。
また、非課税期間が無期限化されたことから、生涯非課税で投資できるのも嬉しいポイントだ。
そのため、30代から資産運用を始めても、老後を迎えるまで非課税のまま保有することができる。
証券会社によってはワンコインから積立投資ができる場合もあるので、まずは少額投資から始めてみるのもよいだろう。
iDeCo
iDeCoとは、「個人型確定拠出年金」と呼ばれる私的年金制度である。
iDeCoでは、毎月の掛金を自ら選んだ金融商品で運用し、その運用成果を将来年金として受け取ることができる。
公的年金以外の収入源を用意できるので、「老後に収入が減少するのが不安」という人はぜひ活用したい制度だ。
また、iDeCoは掛金を全額所得控除できるのも大きなメリットだ。たとえば、毎月5,000円拠出した場合、年間6万円を所得から控除できる仕組みである。
現在納めている所得税や住民税の負担を軽減できるため、資産形成に取り組みながら税負担を軽減できるメリットがある。
退職金運用を見据えた30代は誰に相談するべき?
30代から退職後を見据えた資産運用に取り組む場合は、金融のプロへ相談することがおすすめだ。
ここからは、30代の資産運用で気をつけたいポイントや、おすすめの相談先について紹介していこう。
30代の資産運用は適切なリスクコントロールが重要
退職後を見据えた資産運用では、投資意向に合わせて適切にリスクをコントロールすることが大切だ。
たとえば、「5年後にマイホームを購入するので、なるべくリスクを抑えたい」という人が、運用資産のすべてをハイリスクな株式で運用するのは適切とはいえない。
反対に、「老後に向けた資産運用なので、積極的にリスクをとりたい」と考えている人が、低リスクの債券ばかりで運用するのも適切ではない。
より自分に合ったポートフォリオを組むためには、金融商品の特徴を踏まえた上で各資産を配分することが重要だ。
プロと一緒に適切なポートフォリオを考えよう
とはいえ、「どうやってポートフォリオを組んだらいいか分からない」、「自分の投資意向がよく把握できない」という人もいるだろう。
初めて資産運用に取り組む場合は、金融のプロへ相談することがおすすめだ。
プロへの相談は、金融商品を紹介してもらえるだけでなく、ライフプランや運用計画を一緒に考えてもらえるメリットがある。
運用意向を丁寧にヒアリングした上でポートフォリオを提案してくれるので、初心者でも安心して資産運用に取り組むことが可能だ。
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退職金運用を見据えた30代の資産管理に専門家の力を
ライフステージが変化しやすい30代では、収支が大きく変化することも珍しくない。
そんなときに併せて考えておきたいのが、退職金運用についてだ。
実際に退職金を受け取るのはまだまだ先だが、今からライフプランを考えたり、運用のノウハウを身につけたりしておくことで、より適切な退職金運用に取り組むことができる。
また、自分のライフプランに合ったポートフォリオを組むためには、プロのアドバイスを受けることもおすすめだ。
ぜひ「資産運用ナビ」を活用して、資産運用のパートナーとなるようなアドバイザーを探してみよう。