- 地方公務員の平均退職金額が知りたい
- 地方公務員におすすめな退職金運用の方法を知りたい
- 退職金運用における注意点を理解したい
地方公務員としての勤務を経て退職金を受け取る際、多くの方がその賢明な運用方法を模索することだろう。
本記事では、地方公務員の退職金の平均額や運用方法、さらに運用に際しての重要な考慮事項を解説する。
地方公務員向けに退職金運用の基本から専門的なアドバイスまでを網羅したので、受け取った退職金を賢く増やし、安定した将来を築くための一助となるはずだ。
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地方公務員の退職金の基本と平均額
地方公務員の退職金の基本と平均額について以下の3つを解説する。
- 地方公務員の退職金計算方法
- 平均退職金額の推移とその背景
- 勤続年数や年齢による退職金の変動
地方公務員の退職金の計算方法
地方公務員の退職金は地方自治法の第24条第2項・第3項の規定により、各地方自治体の条例で定めることが義務付けられている。
たとえば宮城県の退職金は以下の計算式で求められる。
退職金計算方法の例として、以下の条件でシミュレーションする。
- 宮城県の一般行政職
- 大学卒
- 勤続年数10年
- 行政職3級で退職
- 自己都合退職
退職時の給料月額
令和5年4月1日時点、大学卒・一般行政職の勤続10年目の平均給料月額は、「職員の平均給与月額、初任給等の状況」によると264,982円だ。
勤務期間に応じた支給率
勤続年数10年目の勤務期間に応じた支給率は、「退職手当退職手当支給区分・支給率早見表」によると5.022だ。
調整額
行政職3級で退職した場合の調整月額は、「退職手当の調整額に関する区分表」によれば21,700円だ。
調整額は「調整月額×60ヶ月」で求めるが、自己都合退職かつ勤続年数が「10年〜24年」の場合、合計額の1/2となることには注意が必要だ。
このことを踏まえて調整額を計算すると、「調整月額21,700円×60ヶ月×1/2=調整額651,000円」となる。
以上の情報をもとに計算すると退職金の額は以下になる。
地方公務員の平均退職金額の推移とその背景
総務省のデータをもとに、勤続25年以上に限定し、全地方公共団体の1人当たり退職金の推移を56歳・58歳・60歳の年齢別にまとめた。
56歳 | 58歳 | 60歳 | |
---|---|---|---|
昭和63年度(1988年度) | 2,573万円 | 2,668万円 | 2,340万円 |
平成5年度(1993年度) | 2,800万円 | 3,022万円 | 2,639万円 |
平成10年度(1998年度) | 2,953万円 | 3,086万円 | 2,791万円 |
平成15年度(2003年度) | 2,860万円 | 2,910万円 | 2,742万円 |
平成20年度(2008年度) | 2,684万円 | 2,723万円 | 2,613万円 |
平成25年度(2013年度) | 2,462万円 | 2,489万円 | 2,425万円 |
平成30年度(2018年度) | 2,125万円 | 2,141万円 | 2,133万円 |
令和3年度(2021年度) | 2,117万円 | 2,137万円 | 2,121万円 |
参考:総務省「令和4年地方公務員給料実態 第1 調査結果の概要 P59
1998年度をピークに退職金は減少しており、2021年度はピーク時の3割減となっている。
退職金が減少している背景は、民間企業の退職金が減っており官民格差を是正するためだ。
民間企業が苦しいのに、公務員が多額の退職金を受け取っていると批判する方は一定数いる。
そのような批判を避けるために、公務員の退職金を減額し、官民格差の是正を図っている。
勤続年数や年齢による地方公務員の退職金額の変動
勤続年数や年齢による退職金の変動を以下の表にまとめた。
自己都合 | 11年未満の勧奨 | 11年以上〜25年未満の 勧奨 | 25年以上の勧奨 | |
---|---|---|---|---|
20歳未満 | 9万円 | – | – | – |
20歳〜24歳 | 22万円 | – | – | – |
25歳〜29歳 | 45万円 | 72万円 | – | – |
30歳〜34歳 | 90万円 | 197万円 | 282万円 | – |
35歳〜39歳 | 179万円 | 367万円 | 664万円 | – |
40歳〜44歳 | 321万円 | 412万円 | 907万円 | 1,384万円 |
45歳〜49歳 | 576万円 | 447万円 | 1,449万円 | 1,837万円 |
50歳〜51歳 | 705万円 | 558万円 | 1,344万円 | 1,994万円 |
52歳〜53歳 | 773万円 | 212万円 | 1,297万円 | 2,076万円 |
54歳 | 869万円 | 916万円 | 1,169万円 | 2,123万円 |
55歳 | 897万円 | 354万円 | 1,272万円 | 2,164万円 |
56歳 | 1,025万円 | 559万円 | 1,243万円 | 2,177万円 |
57歳 | 1,095万円 | 1,470万円 | 1,282万円 | 2,188万円 |
58歳 | 1,149万円 | 652万円 | 1,282万円 | 2,197万円 |
59歳 | 1,261万円 | 731万円 | 1,193万円 | 2,200万円 |
60歳 | 485万円 | 457万円 | 2,375万円 | 2,535万円 |
61歳〜64歳 | 105万円 | 416万円 | 1,963 | 2,226万円 |
65歳以上 | 549万円 | 549万円 | – | – |
参考:総務省「令和4年 地方公務員給与の実態 第9表の1 団体区分別、職員区分別、退職事由別、年齢別退職者数及び退職手当額 P383・384」
基本的に年齢が上がり、勤続年数が長くなるにつれて退職金の額は増えていく。
一方で自己都合退職してしまうと、退職金の額は大きく減ってしまう。そのため自己都合退職を考えている方は注意が必要だ。
職業別の退職金運用について、より詳しく知りたい人は下記の記事を参考にするといいだろう。
地方公務員におすすめの退職金運用の基本戦略
退職金運用の基本戦略として以下の3つを解説する。
- 退職金運用の重要性と基本原則
- 安定した投資先とその選択方法
- 分散投資の重要性
退職金運用の重要性と基本原則
多くの方にとって退職金は老後生活の大切な資金となるため、近い将来必ず使うお金だ。
そのためリスクを取った値動きの激しい運用するのではなく、含み損を抱えにくい運用する必要がある。
ここでは退職金運用の重要性について以下の2つを解説する。
平均寿命が伸びている
日本人の平均寿命は年々伸びている。下記の表は1955年・1990年・2020年の男女別に平均寿命をまとめた表だ。
男性 | 女性 | |
1955年(昭和30年) | 63.60歳 | 67.75歳 |
1990年(平成2年) | 75.92歳 | 81.09歳 |
2022年(令和4年) | 81.05歳 | 87.09歳 |
1955年と2020年を比べると、平均寿命は20年近く伸びていることがわかる。
人生100年時代と言われるように、今後も平均寿命が延びる可能性は高い。
長生きすればするほど老後に必要なお金は増える。
そのため少しでも退職金を長持ちさせるために運用することが必要となる。
退職金が減少している
解説してきたように退職金は年々減少している。
ピークの1998年と比べると2021年度の退職金は、およそ600万円〜700万円も減っている。
平均寿命が伸びているにもかかわらず、老後資金に必要な退職金は減少している。
豊かな老後を送るためにも、退職金を運用して、少しでも老後資金を増やすべきだろう。
安定した投資先とその選択方法
退職金はあまりリスクの高い運用をするべきではない。
ただどのような投資先が低リスクなのかわからない方もいるだろう。
ここでは安定した投資先として以下の3つを紹介する。
ここでいう安定しているとは、以下3ついずれかを意味する。
- 元本割れしない
- 値動きが落ち着いている
- 投資先が破綻する可能性が低い
投資先 | 概要 |
---|---|
銀行預金 | 元本割れしない 金融機関が破綻しても「1,000万円+利息」は保証される 利率は低いためインフレに負ける |
債券投資 | 株式よりも値動きが小さい・発行体によりリスクは異なる 日本国債であれば破綻の心配はほとんどない 安全性が高いほど利率は低くなる |
投資信託 | 投資対象が分散されている 破綻の可能性は低い 元本割れの恐れはある |
銀行預金は元本割れの可能性がない一方で、利率が低いためインフレに負ける恐れがある。
債券投資は比較的値動きが落ち着いているため、安定した投資先といえる。ただ発行体によっては、株式以上に値動きが激しく、破綻し投資資金を回収できないケースもある。ただ日本国債のように信用度の高い発行体の債券であれば、破綻の可能性は非常に低い。
投資信託は元本割れの恐れがある。ただ購入する商品や相場状況によっては、インフレ率以上の利回りになる可能性がある。
基本的にはこれら3つの投資先を組み合わせるのがおすすめだ。
ただ投資初心者が自分で組み合わせを考えるのは難しいため、専門家のアドバイスを受けることを推奨する。
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分散投資の重要性
退職金を運用するなら分散投資がおすすめだ。
分散投資は複数の投資対象に投資する方法と、購入タイミングを分散する方法の2つの意味がある。
分散投資は集中投資と比べて以下の特徴がある。
- 値動きが安定する
- 長期運用することで元本割れのリスクが低くなる
- 短期間で大きなリターンは得られない
これらの特徴があるため分散投資は、退職金の運用にぴったりだ。
特に分散投資を長期で行うことにより、元本割れのリスクは低くなることはデータで証明されている。
金融庁の資料によると「国内外の株式と債券に20年間積立投資を行った場合」には、元本割れすることはなかった。
過去のデータのため未来を保証するものではないが、長期で分散投資を行えば、元本割れのリスクを減らせる効果はあると言える。
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地方公務員の退職金運用における注意点
地方公務員が退職金運用において注意するべき点を以下3つ解説する。
- 運用をはじめる前に確認するべきポイント
- 退職金運用におけるリスクと対策法
- 定期的な見直しとリバランスの重要性
運用をはじめる前に確認するべきポイント
運用を始める前に以下3つのポイントを確認しよう。
- すぐに使うお金と投資資金を分ける
- 運用期間
- リスク許容度
用途の決まっているお金と投資資金を分ける
退職金を運用する場合、用途の決まっているお金と投資資金に分けよう。
用途の決まっているお金とは、直近の生活費や住宅の建て替え費用など使い道が決まっており、かつすぐに必要となるお金のことだ。
用途が決まっているお金は必要となる時期や金額が明確で、資産運用で万が一元本割れしてしまうと、ライフプランが狂ったり生活ができなくなったりする恐れがある。
投資は用途が決まっていないしばらく使う予定のないお金で行おう。
運用期間
次に運用期間を決めよう。資産運用は適切な分散で長期間を行うと、元本割れしにくくなるというのは先述の通りだ。
長期間とは具体的に15年〜20年以上を指す。
つまり65歳で退職金を受け取った方が運用を始める場合、75歳〜80歳まで資産運用をということだ。
15年〜20年より運用期間が短くなる場合、元本割れのリスクが高まる。
今後のライフプランを考えたうえで、何年運用期間を設けられるのかシミュレーションしよう。
リスク許容度
最後にリスク許容度を確認しよう。リスク許容度とは投資家ごとに耐えられる損失額のことだ。
100万円の損失を耐えられる方もいれば、1円の損失でもパニックになってしまう方もいる。
資産運用を始める前にはリスク許容度を見極め、それにあった運用手法を行うことが必要だ。
リスク許容度は以下の要素から判断できる。
リスク許容度が高い方 | リスク許容度が低い方 | |
---|---|---|
投資経験 | あり | なし |
年齢 | 若い | 年配 |
資産額 | 多い | 少ない |
年収 | 高い | 低い |
扶養家族の有無 | なし | あり |
上記の表を参考に自身のリスク許容度が高いのか、または低いのかを判断してほしい。
退職金運用におけるリスクと対策
退職金優遇に向ける1番のリスクは、投資資金が元本割れしてしまい、お金を使う時期に必要なお金を用意できなくなることだ。
このリスクの対策として以下のことを行おう。
- 用途の決まっているお金と投資資金を分ける
- 運用期間を15年〜20年以上設ける
- 分散投資を実践する
上記の対策を行えば、元本割れによって必要なお金が用意できなくなるという事態は避けられるだろう。
定期的な見直しとリバランスの重要性
退職金運用においては定期的な見直しとリバランスも重要だ。退職金運用を継続するためには、定期的な運用手法の見直しが欠かせない。
資産運用を始めてみると、自分が思ったよりもリスク許容度が高くない、運用に回せるお金はもっと少なかったというケースは珍しくない。
定期的に運用手法を見直すことで、より自分に合った運用手法を見つけられる。
またリバランスは投資の退職金運用のリスクを下げるうえで重要だ。
世界経済や相場状況によっては、事前に決めた資産割合と保有資産割合にズレが生じてくる。
仮に「定期預金20%+債券50%+株式投資信託30%」という資産割合で、運用すると決めたとしよう。
直近1年の債券市場が不調で、資産の保有割合が「定期預金20%+債券30%+株式投資信託50%」となったとする。
基本的に債券の保有割合が減り、株式投資信託の割合が増えると、資産の値動きが大きくなりやすい。
そのためリスク許容度の低い方にとっては、安心して資産運用を行うことが難しくなってしまう。
このような場合は債券を追加で購入するまたは、株式投資信託を売却するかのどちらかを行い、資産の保有比率を訂正する「リバランス」を行う。
地方公務員は退職金運用の相談をどこにするべき?
地方公務員は定年まで勤めると2,000万円近い退職金を受け取れるため、余裕資金の一部を運用に回したいと考える方も多いだろう。
ただこの記事で紹介してきたように、退職金運用を成功させるためには、確認すべきポイントが多く投資初心者の方にはハードルが高い。
投資初心者が退職金運用を成功させるためには、専門家からアドバイスをもらうことが重要だ。
ここでは以下の3つについて解説する。
- 退職金運用における専門家の重要性
- 信頼できるアドバイザーの見分け方
- 「退職金ナビ」の活用方法とメリット
退職金運用における専門家の重要性
退職金運用を専門家に相談すると、正しい知識をもとに資産運用が行える。
資産運用を成功させるためには、以下のような知識が必要だ。
- 投資商品の知識
- 世界経済の状況
- 政府の方針
- 投資している資産の市場状況
上記の知識を投資初心者が1から学ぶのは非常に時間がかかる。
専門家に運用相談することによって、正しい知識をもとに資産運用が行える。
信頼できるアドバイザーの見分け方
ただどのような専門家が信頼できるアドバイザーなのかと、疑問を持つ方も多いだろう。
見分け方の1つの方法として、自分の希望にあった商品や運用提案がされているかをチェックしよう。
専門家によっては、組織の指示やノルマを優先して提案を行う場合がある。
その場合、投資家の意向に反した商品や運用提案が行われる。
そのような専門家の提案に従っても、退職金運用が成功する確率は非常に低い。
信頼できるアドバイザーか見分けるためには、提案された内容が本当に自分の意向に沿っているのか確認することが大切だ。
「退職金ナビ」の活用方法とメリット
信頼できるアドバイザーと出会いたい方は「退職金ナビ」を活用するのがおすすめだ。
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少しでも退職金運用に興味のある方は、「退職金ナビ」を活用して信頼できるアドバイザーに資産運用の相談をして、有益なアドバイスを受けてほしい。
地方公務員の退職金運用は豊かなセカンドライフへの第一歩
地方公務員の退職金は、勤続年数や地域によって異なる。
老後生活を安心して過ごすためにも、退職金運用の重要性は高い。
退職金の運用には安定性と成長性を考慮した投資戦略が求められる。
退職金の運用に関する疑問や不安があれば、専門家からアドバイスを受けることを推奨する。
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