- 年収ごとに資産運用に回すべき金額の目安が知りたい
- 運用を始める前に何を準備するべきか知りたい
- 安定的な資産運用を行いたい
資産運用はいくらから始めればよいのか分からないという疑問をお持ちの方もいるのではないだろうか。
資産運用にはリスクが伴うため、過剰な金額を回すべきではない。
しかし、資産運用に回す金額が少ないと得られるリターンも小さくなってしまう。
リスクを抑えつつリターンを得るためには、自分の資産状況や年収に合った資産運用額を決める必要がある。
こちらの記事では、運用金額を決める際の考え方や実際に資産運用を始める前に準備すべきことを解説する。
資産運用に回す金額を決めかねている方に役立つ内容となっているので、ぜひ参考にしてみてほしい。
年収から見た運用金額の決め方
資産運用に興味を持っており、いざ始めようと思っても金額はいくらで設定しようか迷っている方もいるだろう。
まずは、運用金額の決め方や考え方について解説する。
資産の分類と余剰資金額の把握
運用金額の決め方としてまず意識すべきは、現在の保有資産を分類して余剰資金を把握することだ。
資産を以下のように分類することで、資産運用に回せる資金を明確に分けることができる。
- 生活資金(生活費の6カ月分)
- 1~3年以内に使う予定の資金
- 上記以外=余剰資金
余剰資金であれば、資産運用に回しても生活に支障が出るリスクは低い。
無理のない投資計画を立てるためにも、余剰資金を把握することは欠かせない。
例えば、現在の貯蓄が500万円で毎月の生活費が20万円、1~3年以内に使う予定の資金が200万円の場合は以下のようになる。
- 生活資金(生活費の6カ月分)
- 120万円
- 1~3年以内に使う予定の資金
- 200万円
- 上記以外=余剰資金
- 180万円
つまり、180万円を資産運用に回せる。
余剰資金を把握するためには、毎月の収入と支出を記録して収支状況を管理しなければならない。
あわせて、開設している銀行口座を把握して残高を合計する作業も必要だ。
資産運用を行う金額で迷っている方は、まずは自分の資産状況を正確に把握することから始めよう。
自分のリスク許容度と運用目標の明確化
資産運用には元本割れのリスクが伴うため、自分のリスク許容度の把握と運用目標を明確にすることが欠かせない。
リスク許容度とは、損失に対してどの程度耐えられるかを図るものだ。
自分のリスク許容度を正しく理解するためには、以下のようにさまざまな要素を勘案する必要がある。
- 年齢
- 年収
- 資産状況
- 家族構成
- 投資経験や知識のレベル
一般的に、若くて収入が安定している人はリスク許容度が高い。
長い運用期間を確保できるうえに安定収入が見込めるため、短期間で損失が出ても回復を待つ余裕があるためだ。
上記の要因のほかにも。損失が発生したときにパニック状態に陥る感情的な面も、リスク許容度に含まれる。
少しでも損失が発生すると不安に苛まれてしまう人は、リスク許容度は低いといえる。
運用目標とは、資産運用を通じて達成したい具体的な目的だ。
具体的には「〇年後までに〇万円貯めたい」という目標を明確にすることで、適切な資産運用の方法を採れる。
なお、運用目標は現実的で達成可能な範囲である必要がある。
非現実的な目標を立てるとリスク許容度を無視したハイリスクな方法を採らざるを得ず、投機的な行動をしてしまう恐れがある。
資産運用を始める際には、自分のリスク許容度と運用目標を冷静に考えてみよう。
年収毎の運用に回すべき金額の目安
一般的に、年収が高いほど資産運用に回せる金額も増える。
また、保有している金融資産額が多いほど資産運用に回せる金額も増える。
国税庁の「令和4年分 民間給与実態統計調査」によると、年代別の平均年収は以下のとおりだった。
年代 | 平均年収 |
---|---|
19歳以下 | 124万円 |
20~24歳 | 273万円 |
25~29歳 | 389万円 |
30~34歳 | 425万円 |
35~39歳 | 462万円 |
40~44歳 | 491万円 |
45~49歳 | 521万円 |
50~54歳 | 537万円 |
55~59歳 | 546万円 |
60~64歳 | 441万円 |
65~69歳 | 342万円 |
70歳以上 | 298万円 |
55~59歳の年代がピークになっている。
20代や30代の方は、今後資産運用に回せる金額が増えると考えられる。
ただし、30代や40代になると子どもの教育費用や住宅費用が必要になり、支出が増えやすい点には留意する必要がある。
生活費によって資産運用に回せる金額は左右されるが、目安として年収の10%程度を資産運用に回すとよいだろう。
例えば、20~24歳の人は年間約27万円(月額換算で約2.2万円)程度が資産運用に回せる金額だ。
金融広報中央委員会の調査によると、単身世帯と二人以上世帯の預貯金の平均額は以下のとおりだった。
単身世帯
世帯主の年齢 | 保有している預貯金合計 (万円) |
---|---|
20歳代 | 110 |
30歳代 | 183 |
40歳代 | 266 |
50歳代 | 397 |
60歳代 | 280 |
70歳代 | 372 |
二人以上世帯
世帯主の年齢 | 保有している預貯金合計 (万円) |
---|---|
20歳代 | 339 |
30歳代 | 142 |
40歳代 | 232 |
50歳代 | 223 |
60歳代 | 458 |
70歳代 | 378 |
資産運用に回せる金額は毎月の支出をはじめ個々の状況によって変わるため、一概には言えない。
そのため、当面の生活を支える資金と1~3年度に使う予定があるお金を取り分けて、余剰資金があれば資産運用に回すとよいだろう。
どの年収の人でも安定して資産を増やすコツ
資産運用を実際に始めたあとは、できるだけ安定して資産を増やすために意識すべきことがある。
以下で、投資初心者でも手軽に実践可能な、安定して資産を増やすコツを解説する。
分散投資の実践
資産運用を通じて安定して資産を増やすためには、分散投資が効果的だ。
分散投資とは、さまざまな種類の資産に分散して投資することを指す。
特定の資産に集中して投資するのではなく、株式や債券、不動産などバランスよく購入してリスクを分散し、安定的なリターンを目指す投資手法だ。
また、株式や債券の中でもさらに銘柄を分けて分散することで、より分散効果が大きくなる。
なお、分散投資には投資する資産だけでなく「地域」「業種」「購入するタイミング」を分散させることも意味する。
例えば、日本だけでなくアメリカやヨーロッパに幅広く投資したり、毎月定額購入してタイミングをずらしたりする手法がある。
分散投資を実践することで、ある資産のパフォーマンスが悪化しても、他の資産でカバーできる可能性がある。
保有資産全体の損失を抑えるために、分散投資は有意義だ。
さらに、各資産の値動きは異なるため、分散投資を行うことでポートフォリオ全体のリターンが安定するメリットが期待できる。
値動きの大きい資産(株式や不動産)と値動きの小さい資産(債券や預貯金)を保有すれば、リスク許容度に応じたポートフォリオを構築できるだろう。
定期的に一定額を購入する方法をドルコスト平均法という。
ドルコスト平均法を実践すると、資産の購入価格を下げて価格変動のリスクを軽減できる。
積み立て購入の設定をすれば誰でも簡単にドルコスト平均法の恩恵を受けられるため、実践してみよう。
ただし、分散投資を行ったからといって必ず元本割れを防げるわけではない点に注意しよう。
リーマンショックやコロナショックのように市場全体が大打撃を受けるとすべての資産が下落するケースがあるため、分散投資はリスクを完全に排除できるわけではない。
長期投資を前提とした複利運用の実行
資産運用を行う際には、長期投資を意識することと複利効果を最大限得られるように工夫することが大切だ。
一般的に、運用期間が長くなるほど元本割れのリスクが軽減され、リターンが安定する。
複利運用とは、運用で得た利益を元本に加えて再投資することだ。
元本に利息が加わって雪だるま式に増えていく仕組みのことを指しており、運用期間が長くなるほど複利効果が大きくなる。
つまり、長期的な投資を実践すれば複利効果を自然と最大限活用でき、効率よく資産を増やせる。
短期的な値動きに一喜一憂して売買を繰り返すのでなく、購入した金融商品を保有し続けることで安定したリターンを得られる。
具体的な方法としては、毎月(毎週または毎日でも構わない)一定額を積立投資に回し、放置する方法が考えられる。
運用中の資産は必要になるまで取り崩さない意識を持てば、自然と長期投資を実践できる。
安定して資産を増やすためには、長期投資と複利運用が欠かせない。
「購入した金融商品を保有し続ける」というのは一見地味だが、着実かつ効率よく資産を増やす方法だ。
定期的なポートフォリオの見直しとリバランスの実行
安定して資産を増やすためには、定期的なポートフォリオの見直しとリバランスの実行を行う必要がある。
ポートフォリオの見直しとは、定期的に自分の資産配分を確認して、当初の投資方針から大きな乖離が生まれていないかチェックすることだ。
各資産のパフォーマンスは時間とともに変動するため、当初の資産配分から乖離が生まれている可能性がある。
例えば、資産運用を開始したときは「株式30%・債券70%」のポートフォリオを組んでいたものの、株式が好調な相場が続くと「株式50%・債券50%」というバランスになるケースがあり得る。
見直しをしたときに「自分にとってリスクが大きい」と感じたら、資産を売買して当初の配分に戻すリバランスを行おう。
先ほどのケースであれば、株式の一部を売却して債券を買い増しすると良い。
定期的なポートフォリオの見直しとリバランスを行うことで、自分の投資方針を守れる。
また、当初の計画を着実に実行することで、リスク許容度の範囲に収まる資産運用を行えるだろう。
ただし、リバランスを行う際には売買コストがかかるため、頻繁に行う必要はない。
1年~2年に1回程度の頻度で行えばよいだろう。
年収から見たリスク許容度に合ったおすすめの運用プラン
リスク許容度に応じて、具体的におすすめできる3つの運用プランを紹介する。
あくまでも一例ではあるが、これから資産運用を始める方は参考にしてみてほしい。
リスク許容度が大きい人:配当金重視
リスク許容度が大きい人は、高配当株式や不動産投資信託(REIT)に投資することで安定的な配当収入を得ることを検討しよう。
高配当株式に関しては、日本の高配当株を含めた投資信託を購入するか、個別株式を購入する方法がある。
投資信託であれば、金融機関によっては100円から購入できるため、手軽な金額で始めたい場合は投資信託を活用しよう。
高配当株を含めた投資信託と不動産投資信託(REIT)にそれぞれ毎月一定額を積み立て投資すれば、安定した配当を得られる。
長期的には年率4%~7%程度のリターンが期待できるだろう。
リスク許容度が中程度の人:複数の資産クラスを組み合わせる
リスク許容度が中程度の人は、複数の資産クラスをバランスよく組み合わるのがおすすめだ。
株式・債券・REIT・コモディティ(金や銀)など、複数の資産クラスを組み合わせることでリスクを分散しつつ安定的なリターンを目指せる。
投資信託の中には、株式と債券に50%ずつ投資するものや不動産への投資も含んでいるものがある(バランス型ファンドと呼ばれる)。
加えて、コモディティへ投資する投資信託を購入すれば、長期的には年率3~5%程度のリターンが期待できるだろう。
リスク許容度が小さい人:債券への投資を重視
リスク許容度が小さい人は、値動きが小さく比較的安全な資産である債券への投資が中心となる。
国債や格付けが高い社債など、信用力の高い債券に投資することで安定的な利子収入を得られる。
日本国内の債券だけでなく、外国の債券も含めるとリターンを高めることが可能だ。
金利変動リスクや為替変動リスクがあるが、元本割れリスクは株式と比較すると低いため、安心して投資できるだろう。
債券へ投資した場合、長期的には年率1~2%程度のリターンが期待できる。
ただし、債券は比較的安全とはいえ、発行体が破綻するリスクはゼロではない点に注意しよう。
資産運用の相談先はどこが良い?
資産運用をはじめるにあたって相談したいことがあれば、お金や資産運用に詳しい専門家に頼るとよいだろう。
特に、初心者の方はわからないことが多く不安を感じる場面があるはずだ。
専門家と相談すれば、不安を払しょくして資産運用をスタートできるだろう。
資産運用における専門家の重要性
資産運用は自分の大切な資産をリスクにさらすことを意味するため、慎重な判断が求められる。
「自分の大切な資産を失いたくない」と思うのは当然の心理なので、保守的な考えになってしまうのも無理はない。
しかし、リスクを負わなければリターンを得られないのも確かだ。
投資の世界には「ハイリスク・ハイリターン」「ローリスク・ローリターン」という言葉があるが、相応のリスクを負わなければリターンは得られないことを意味する。
自分のリスク許容度や購入が向いている金融商品をアドバイスしてくれるのが、資産運用の専門家だ。
現在の状況をヒアリングしたうえで最適な方法を提示してくれるため、非常に頼りになる。
IFAの役割とメリット
資産運用の専門家の中でも、特におすすめの相談相手がIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)だ。
IFAは、独立した立場から相談者の資産運用に関する悩みや不安を解消することが主な役割だ。
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自分の年収を踏まえて最適な金額で資産運用を行おう
資産運用へ回す金額は、自分の年収や資産状況などを鑑みる必要がある。
リスク許容度を把握したうえで、生活に悪影響が出ない範囲で行うべきだ。
資産運用を通じて安定的に資産を増やすためには、分散投資と長期投資を行うことが欠かせない。
また、複利効果を意識して短期間で売買しないことを心掛けることも大切だ。
こちらの記事ではリスク許容度に応じておすすめ運用プランを紹介したが、あくまでも一例に過ぎない。
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「自分のリスク許容度を把握しきれない」「自分に合った金融商品がわからない」という方は、資産運用の専門家からアドバイスを受けることをおすすめする。
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