- 資産3,000万円でセミリタイアすることは可能なのかどうか知りたい
- セミリタイアして本当に老後資金が足りるのかわからない
- セミリタイアにおすすめの運用方法が知りたい
現在の仕事を退職し、パートやアルバイトで自分の好きな仕事をして「労働収入」を得つつ、資産運用による「配当収入」で生活費をカバーするセミリタイアに憧れる方は多い。
ただ、セミリタイアを実現できる必要な資金額を明確に知っている方は少ないのではないだろうか。
そこで今回は3,000万円でセミリタイアできるかどうかについて、わかりやすく解説していく。
シュミレーションなどの具体的な数値を算出し、いつまで仕事を続けるべきかなど具体的に紹介している。
セミリタイアを検討している方、リタイア後の老後資金の心配がある方はぜひ最後までご覧いただきたい。
3,000万円でセミリタイアは可能か?
まずは、セミリタイアに必要な資産はどの程度なのかを考えてみよう。
3,000万円の資産でセミリタイアが可能かどうかを、年代別のシミュレーションを通して具体的に検証していく。
セミリタイアは資産3,000万円でできる
3,000万円でセミリタイアは可能である。
しかし、資金面で何の憂いもなく問題ないというわけではない。
リタイアした後に資金繰りが厳しくなってしまっては良くないので、あらかじめ「本当にセミリタイアが可能かどうか」について具体的に計算しておくのが望ましい。
ここでいうセミリタイアは、早期リタイアという単語とは別だ。早期リタイアは完全に仕事をしないことを指す。
労働収入を絶った状態で、貯金や年金、資産運用から得た配当金などを使って暮らしていくイメージだ。
その一方でセミリタイアは、現在の仕事を退職した後で、好きな仕事や楽しい仕事などをパートやアルバイトもしながら労働収入を得て暮らすことを指す。
ちなみにセミリタイアは、1990年に大橋巨泉さんが使った単語である。
広辞苑には2022年の時点では掲載されていないものの、仕事以上に生活もプライベートも充実させたいというQOLを重視するような現代で徐々に使われるようになった。
資産3,000万円でセミリタイアした場合のシミュレーション
もし3,000万円でセミリタイアした場合のシュミレーションを、40代と50代に分けて紹介していく。
大まかな流れとしては、65歳の年金受給開始年齢までの生活費を算出し、3,000万円とどれぐらいの差があるかを算出していく。
40代が資産3,000万円でセミリタイアした場合
まず40代でセミリタイアした場合を考えていこう。
40歳で退職し、65歳の年金受給開始まで生活費を月20万円で暮らした場合は、月20万円×12ヶ月×25年=6,000万円が必要になる。
保有額の3,000万円を引くと、残り3,000万円を労働収入で賄わなければならない。
セミリタイアをして40歳から60歳まで20年間働く場合は、3,000万円÷20年÷12ヶ月=12.5万円を稼がなければならない。
保険料などの税金や諸経費を引いて、大体月15万円を稼げば、月20万円の生活水準でリタイアできる。
次に45歳でリタイアして65歳まで月20万円の生活を20年間続けた場合は、20万円×12ヶ月×20年=4,800万円が必要となる。
ここから手持ちの3,000万円を引くと不足額は1,800万円だ。
セミリタイアをして45歳から60歳まで15年間働いて稼ぐ場合の金額は、1,800万円÷15年÷12ヶ月=月10万円と算出される。
諸経費を引く前の月収は約12万円程度となり、セミリタイア後にこれ以上稼げていれば暮らしていけるといえる。
50代が資産3,000万円でセミリタイアした場合
50代でセミリタイアした場合を計算していく。
50歳でセミリタイアして月20万円の生活を続けた場合は、年金受給開始まで20万円×12ヶ月×15年=3,600万円が必要だ。
もし月に30万円の生活を続けた場合は、30万円×12ヶ月×15年=5,400万円の生活費が必要となる。
これらの生活を賄うために3,000万円を使えば、月20万円の生活は600万円、月30万円の生活は2,400万円不足することが分かる。
それぞれを残り60歳まで働くとして賄う場合は、月20万円の生活は600万円÷10年÷12ヶ月=5万円で、月30万円の生活は2,4000万円÷10年÷12ヶ月=20万円となる。
手取りで計算すれば、月6.5万円、25万円をそれぞれ稼がなければならない。
月20万円の生活であればアルバイトでも問題なく達成できる数字であるが、30万円の生活の場合はパートやアルバイト収入ではなかなか達成しづらい水準となっている。
つまりまとめると、3,000万円でセミリタイアした場合、以下のような条件付きで65歳までは暮らせるといえる。
- 40歳なら月15万円の仕事
- 45歳なら月12万円の仕事
- 50歳なら月6.5万円の仕事
50代で3,000万円あれば余裕を持ってセミリタイア可能
もし50代でリタイア後、65歳まで年間180万円(月15万円)をアルバイトや副業で稼いで貯めるとすると、15年で2,700万円のプラスとなる。
既に保有する3,000万円と合わせて5,700万円となり、以下のように月20万円の生活であれば年金支給前に2,100万円の余裕を持たせてリタイアできることがわかる。
15年分の生活費
- 月20万円で15年
- 3,600万円
- 月30万円で15年
- 5,400万円
資産3,000万円でセミリタイアしても老後資金は足りる?
前述したように50代で3,000万円でリタイアしても年金支給開始時点で、残りは2,100万円保有できており、年金開始前に生活は破綻しないことがわかった。
ただその後の年金開始後の生活はどうだろうか。
セミリタイア後の老後生活をシミュレーション
年金が14万円程度受給できたとして、老後生活をシミュレーションしていこう。
年金額は厚生労働省が発表した「令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」での令和2年度の年金受給者の平均受取額は14万6,145円(厚生年金)を参考にした。
また公益財団法人生命保険文化センターが発表した老後の生活費は、最低限なら月22.1万円、ゆとりある生活は月36.1万円となるので、今回は毎月の生活費を28万円と仮定して計算していく。
その場合、年金を14万円もらうので毎月の不足分14万円、年間168万円の支出をカバーしなければならない。
もし65歳時点で、2,100万円を用意できていた場合は77歳(12.5年)まで持つ。
ただし90歳まで生きると仮定した場合、残り12.5年分を用意しなければ老後の生活は破綻する。
つまり12.5年×年間336万円=4,200万円が不足するのだ。
必然的に収入を増やすか、資産運用して貯金額を増やすなどの対応が必要となってくる。
- 出典:厚生労働省年金局「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 出典:生命保険文化センター「平成28年度 生活保障に関する調査」
運用の開始時期とリターンの関係性
では資産運用する場合、どれぐらいのリターンを目指せば何年で不足額を補えるのかをシミュレーションしていこう。
65歳時点で2,100万円の余裕が出ることがわかっているので、50歳から2,100万円で運用し始めるとする。
必要利回りと達成年数は以下の通りとなる。
- 利回り2%で運用したら36年で
- 利回り3%で運用したら24年で
- 利回り4%で運用したら18年で
- 利回り5%で運用したら14.5年で
上記の利回りを出し続けられれば、それぞれ50歳から運用2.5%以上出し続けられれば、77.5歳での資産が枯渇するタイミングまでに用意できることがわかる。
もし年金受給開始前の65歳までに用意しておきたいなら、50歳から利回り4%〜5%程度を目指せばよい。
セミリタイアにおすすめの資産運用法
ここまでの主張に基づき、3,000万円の金融資産を持つ方がセミリタイアをする場合の資産運用法を検討する。
以下は、一般的なアドバイスであるため、実際に運用を行う際はご自身の状況やリスク許容度に合わせてアレンジしていただきたい。
基本的なアドバイス
セミリタイア後の資産運用では、安定性、効率性、流動性を優先することが重要だ。
すなわち、リスクとコスト(手数料や税金)を小さく抑え、コツコツと確実に資産を増やすことが大切である。
また、急な資金需要にも対応できるよう、現金化のしやすさも考慮すべきだろう。
これらの観点からセミリタイア後は、キャピタルゲインよりインカムゲイン重視の手法をおすすめする。
理由は以下の3つだ。
- 配当金や利子収入などで定期的なキャッシュフローを得ることで、資金を柔軟に活用できる
- インカムゲインで得た収入を再投資すれば、複利効果を期待できる
- インカムゲインを重視する投資は、キャピタルゲインを追求する投資と比べてリスクが低い
投資の基本である「長期・分散・積立」でリスクをコントロールすることや、リスクを取りすぎないための「リバランス」も重要となる。
おすすめの金融商品
これらを踏まえ、以下の金融商品をおすすめする。
- インデックスファンド
- 低コストで効率的に市場平均リターンを目指す、長期投資に適した商品
- 高配当株式
- 安定した配当を出す企業の株式を保有し、配当収入を得る
- 株価の値動きも比較的安定しているため、長期保有に向いている
- 不動産投資信託(REIT)
- 商業施設やオフィスビルなどからの安定的な賃料収入を得られる
- 高配当ETF
- 複数の高配当株に分散投資するETF(上場投資信託)を利用することで、リスク分散と配当収入を得る
- 個人向け国債
- 安全性が高く、安定した収入を得られる
これらの商品を、目指すリターンやリスク許容度に応じて配分していく。年齢が上がるにつれ、リスク資産の割合を減らしていくことも忘れてはならない。
資産3,000万円でセミリタイアを目指すなら誰に相談するべきか
ここまでの検討で、理論的には3,000万円でもセミリタイアが可能であることを、十分ご理解いただけたのではないだろうか。
しかしこれを実現していくには、個人の状況に合わせた調整と、資産を積み上げ拡大する運用が必要となる。これは、何から始め、どのように実践すべきなのだろう。
ひとつの答えは、専門家の助けを借りることである。セミリタイアを目指すなら、専門家のアドバイスが鍵となるからだ。
セミリタイアの実現に専門家が必要である理由
セミリタイアへの道筋は、人によって大きく異なる。たとえば、会社員が現在の仕事を縮小する場合と、フリーランスが新分野でアルバイトをする場合とでは、社会保障の内容や金額に大きな違いがある。
一般的な仮定をもとにした計画では、年金受給額の見込みが甘くなり、赤字続きになってしまうかもしれない。
運用においては、リスクを取りすぎたり、保守的になりすぎたりもあるだろう。
セミリタイア後の生活を豊かなものにするためには、現在と将来の自身を見据えるだけでなく、税金や社会保障を勘案した包括的な計画が必要だ。
この時に大きな力となるのが、IFAという専門家の存在なのである。
資産運用の強い味方「独立系ファイナンシャルアドバイザー(IFA)」
IFA(独立系フィナンシャルアドバイザー)は、特定の金融機関に属さずに、投資や資産運用のアドバイスをする専門家である。
運用に関する知識のみならず、税務や保険、相続などにも詳しい。
だから、ワンストップで「お金の悩み」が相談できる。
所属機関を持たないIFAは、販売ノルマに縛られることもない。
クライアントの状況に合わせて資産運用プランを立案し、最適な商品売買のサポートができる。
長期的な付き合いができる点も、IFAの良い点だ。
「セミリタイアを目指す」という長期戦での最適なパートナーになってくれる。
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IFA探しにおいては、実績、信頼性、人物像の確認が重要だ。
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候補者の詳しい情報はサイト上に掲載されているので、候補者を比較できる点も安心である。
資産3,000万円でセミリタイアするなら計画的な資産運用を
「3,000万円でセミリタイアすることは不可能ではない」ということが、今回のシミュレーション結果でお分かりいただけたのではないだろうか。
しかし、今回算出したのは生活費のみだ。個々人で生活費は上下し、独身と夫婦、子持ち夫婦で必要資産額は大きく変化する。
さらに生活費以外で急な出費があった時にカバーできない可能性もあるので注意しておこう。
リタイア後の生活が破綻しないために、リタイア前にあらかじめ資産運用を行ってまとまった資産を形成しておいたり、節約して生活費を抑えたりするなどの工夫が必要となる。
特に毎月の生活費が高いとリタイアが遠のいてしまうので、資金を枯渇させないように固定費を下げつつ、必要であれば地方へ引越しを行うなども視野に入れておこう。
まずは自分の生活費をシミュレーションし、いくら必要なのかを算出した上で、資産運用を始めてみてはいかがだろうか。
しかし、具体的にどのような資産運用を行ったら良いか悩んでいる人も多いだろう。
そんな時は、「資産運用ナビ」を活用して、資産運用アドバイザーに相談をしてはいかがだろうか。
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