- クレジットカードのキャッシング枠とは何か知りたい
- キャッシング枠を設定するメリットが知りたい
- キャッシング枠を設定する際の注意点が分からない
クレジットカードには「キャッシングサービス」が付帯しているものが多い。
これは、全国のATMで現金を引き出せる便利なサービスだ。
しかし、キャッシングは無限に使えるわけではなく、カードごとに「キャッシング枠」が設定されている。
どれくらいのお金を引き出せるのか、クレジットカードに付けるべき機能なのかといったことを知りたい人もいるはずだ。
そこで本記事では、クレジットカードのキャッシング枠について解説する。
キャッシング枠を設定するメリットや注意点も紹介するので、キャッシングサービスに興味がある人は参考にしてほしい。
クレジットカードのキャッシング枠とは
クレジットカードで現金の借り入れができるキャッシングサービスには、「キャッシング枠」が設定されている。
キャッシング枠とはいわば「現金を借り入れできる限度額」のことだ。
ショッピング枠との違い
クレジットカードにはキャッシング枠の他に、「ショッピング枠」や「ショッピング残高枠」といった限度額が設定されている。
それぞれの違いは以下の通りだ。
キャッシング枠 | キャッシングサービスで借り入れられる現金の上限額 |
---|---|
ショッピング枠 | クレジット決済(一括払い)で使える上限額 |
ショッピング残高枠 | クレジット決済(一括払い以外・リボ払いや分割払いなど)で使える上限額 |
クレジットカードの総利用枠が100万円の場合、ショッピング枠も同じ100万円になる。
一方でキャッシング枠やショッピング残高枠は個別に設定され、総利用枠を下回るのが一般的だ。
たとえば次のようなケースがある。
- 総利用枠…100万円
- ショッピング枠…100万円
- キャッシング枠…50万円
- ショッピング残高枠…60万円
この場合、キャッシング枠で50万円を使うと、ショッピング枠もしくは残高枠で利用できるのは50万円となる。
さらに、ショッピング枠で100万円分買い物をした場合、キャッシング枠と残高枠は特定の期間になるまで一切利用できない。
上記を見れば分かるように「総利用枠=キャッシング枠」とはならない。
また、キャッシング枠やショッピング枠の合計が総利用枠になるわけでもないので注意しよう。
カードローンとの違い
カードローンとはローン(借り入れ)専用のサービスである。
これは、全国のATMなどでカードローン専用のカードやキャッシュカードを利用して現金を借り入れできるサービスを意味する。
一方、キャッシングサービスとはクレジットカードに付帯した借り入れサービスのことだ。
カードローンとキャッシングの大きな違いは、借り入れ可能金額と金利にある。
カードローンの方がキャッシングよりも借り入れ可能金額が多く、金利が低い傾向にある。
特に銀行のカードローンは消費者金融などの他サービスに比べて金利が抑えられている。
定期的に現金の借り入れを必要とする人の場合は、カードローンも検討してみよう。
クレジットカードのキャッシング枠を設定するメリット
クレジットカードのキャッシング枠を設定すると、次のようなメリットがある。
- 気軽にお金を借りられる
- 海外でも現金を引き出せる
それぞれ詳しく解説する。
気軽にお金を借りられる
キャッシュレス決済中心の生活になると、現金を持ち歩くことが少なくなる。
しかし、全ての店舗でクレジットカードを使用できるわけではなく、現金払いにしか対応してない場合もある。
現金払いのみの店舗を避ければいい話に思えるかもしれない。
ただ、どうしても行きたいお店だったり、近くにそのお店しかない場合には必ず現金が必要だ。
そこでクレジットカードのキャッシング枠が設定されていると、そんな困った状況でも気軽に現金を借りられるので便利だ。
たとえばキャッシング枠を10,000円使って現金を借りたとしよう。
一括払いで借り入れ、金利18%と仮定すると利息は148円になる(10,000円×18%(0.18)×365日×30日で計算)。
利息が148円ならあまり大きな負担にならないので、気軽にお金を借りることができるのだ。
海外でも現金を引き出せる
クレジットカードで利用できるキャッシング枠の多くは、海外でも現金を引き出すことができる。
たとえば、イオングループが発行しているクレジットカードのキャッシング枠は、Visa・Mastercard・JCBのマークがある海外ATMでキャッシングを利用可能となる。
金利については国内でのキャッシングと変わらないので、大きく損をすることもない。
ただし、海外ATMによって手数料が異なるので、事前にチェックしておく必要はある。
クレジットカードのキャッシング枠を設定する注意点
クレジットカードのキャッシング枠を設定する際の注意点は、以下のとおりだ。
- 審査基準が高くなる
- ショッピング枠が減る
- 利用すると利息がかかる
- ポイントが貯まらない
それぞれ詳しく解説する。
審査基準が高くなる
クレジットカードのキャッシングサービスは、貸金業法の「総量規制」の対象になる。
総量規制とは「年収の3分の1以上は貸し付けてはいけない」というルールだ。
そのため、クレジットカードを申し込む際にキャッシング枠を設定すると、カードの審査基準が高くなる可能性があるので注意しよう。
クレジットカードの審査通過に不安が少しでもある人は、キャッシング枠を0円で設定してほしい。
ちなみに、クレジットカード発行後でもキャッシング枠は設定可能だ。
ショッピング枠が減る
キャッシング枠を利用すると、ショッピング枠が減るので注意してほしい。
たとえばクレジットカードの総利用枠とショッピング枠が100万円、キャッシング枠が50万円だとする。
キャッシングで50万円を借りた場合、ショッピング枠の利用可能額は50万円に減ることになる。
そのため、クレジット決済を使いたくてもショッピング枠の利用可能額がゼロになるケースもある。
買い物を楽しみたい場合は、キャッシング枠を利用しない方がいい場合も多い。
本当にお金を引き出すべきなのか、きちんと考えてから利用するようにしてほしい。
利用すると利息がかかる
クレジットカードのキャッシング枠は、利用時に利息がかかるサービスだ。
利息とは、金利によって生じる金額のことであり、借り入れ金額によって変化する。
たとえば金利18%でキャッシング枠を200,000円利用し、分割返済(リボ払い)10回で返済すると、返済シミュレーションは次のようになる。
返済回数 (支払日) | 返済金額 | 利息 | 元金 |
---|---|---|---|
1回目(6/4) | 23,288円 | 3,288円 | 180,000円 |
2回目(7/4) | 22,219円 | 2,219円 | 160,000円 |
3回目(8/4) | 21,973円 | 1,973円 | 140,000円 |
4回目(9/4) | 21,726円 | 1,726円 | 120,000円 |
5回目(10/4) | 21,479円 | 1,479円 | 100,000円 |
6回目(11/4) | 21,233円 | 1,233円 | 80,000円 |
7回目(12/4) | 20,986円 | 986円 | 60,000円 |
8回目(1/4) | 20,740円 | 740円 | 40,000円 |
9回目(2/4) | 20,493円 | 493円 | 20,000円 |
最終回(3/4) | 20,247円 | 247円 | 0円 |
上記のケースでは返済総額は214,383.5円となり、合計で14,384円の利息がかかる。
このように借入金額が多く、借入期間が長いほど利息が多くなるので注意しよう。
ポイントが貯まらない
クレジットカードのキャッシング枠を利用しても、原則としてポイントは貯まらないので注意してほしい。
たとえば、三井住友カード(NL)でクレジット決済を使うと通常還元率0.5%でポイントが貯まる。
対象のコンビニ・飲食店でのスマホのタッチ決済なら最大7%ポイント還元される高還元のクレジットカードだ。
※対象のコンビニ・飲食店でのスマホのVisaのタッチ決済・Mastercard®タッチ決済でポイント最大7%還元
※最大7%内訳(通常ポイント0.5%+スマホのタッチ決済利用6.5%)。
※商業施設内の店舗など、一部ポイント加算の対象とならない店舗あり
※iD、カードの差し込み、磁気取引は対象外
※一定金額(原則1万円)を超えると、タッチ決済でなく、決済端末にカードを挿して支払い必要な場合あり
その場合、支払い分はタッチ決済分のポイント還元の対象外となる
上記、タッチ決済とならない金額の上限は、利用店舗によって異なる場合あり
※ポイント還元率は利用金額に対する獲得ポイントを示したもので、ポイントの交換方法によっては、1ポイント1円相当にならない場合あり
※Google Pay™ で、Mastercard®タッチ決済は利用不可、ポイント還元も受けられないので注意
しかし、キャッシングサービスはいくら利用してもポイントが還元されない。
ポイントを沢山貯めたい人は、キャッシングサービスを極力利用せず、クレジット決済を使うように心がけよう。
キャッシング枠が多いクレジットカード3選
それでは、キャッシング枠の多いクレジットカード3選を紹介する。
カード名 | プロミスVisaカード | ACマスターカード | Tカード プラス (SMBCモビット next) |
---|---|---|---|
券面画像 | |||
年会費 | 無料 | 無料 | 無料 |
国際ブランド | Visa | Mastercard | Mastercard |
ポイント 還元率 | 0.5〜10.0% | 0.25% | 0.5〜1.5% |
ポイントの種類 | Vポイント | キャッシュバック | Tポイント |
家族カード | なし | なし | なし |
ETCカード | 年会費無料 | なし | 無料 |
スマホ決済電子マネー | iD Google Pay Apple Pay PiTaPa WAON | Apple Pay Google Pay | iD Google Pay Apple Pay |
海外旅行傷害 保険 | 最高2,000万円 (利用付帯) | なし | なし |
国内旅行傷害 保険 | なし | なし | なし |
その他の 保険 | なし | なし | ショッピング保険 |
申し込み 条件 | 満18歳以上の プロミス会員の方 (高校生は除く) | 安定した収入と返済能力を有する方で、アコムの基準を満たす方 | 年齢満20歳以上74歳以下の安定した定期収入のある方 |
クレジットカードごとの特徴やメリットを見ていこう。
プロミスVisaカード
プロミスVisaカードは三井住友カードが発行しているクレジットカードだ。
発行元は三井住友カードだが、カードローンのプロミスと提携している。
カードローンの利用限度額は最大500万円だ。
厳密に言えばこのカードで使えるのはカードローンであって、キャッシングサービスではない。
ただ、クレジットカードのキャッシングと同じように借り入れができる。
プロミスVisaカードは消費者金融系のクレジットカードながら、他の三井住友カードと同じポイント還元率で使えるのが特徴だ。
通常0.5%還元、特約店で使用すればタッチ決済で5.0%、スマホタッチ決済で7.0%還元される。
ポイントをしっかり貯めたい人は検討してみよう。
ACマスターカード
ACマスターカードはアコムが発行するクレジットカードだ。
クレジット決済に加えてカードローンも付帯しているため、緊急で現金が必要になったときも安心できる。
クレジットカードの最大利用限度額は300万円なので、必然的にキャッシング枠も多くなりやすい。
また、アコムのカードローン機能も付帯しており、カードローンの限度額は500万円だ。
合計すると利用限度額は800万円となり、高額な買い物にも対応可能となっている。
ポイント還元率は0.25%と低いが、キャッシング・カードローンの限度額を重視する人は検討してみよう。
Apple Pay・Google Payにも対応しているので、スマホタッチ決済を使いたい人も申し込んでほしい。
Tカード プラス(SMBCモビット next)
Tカード プラス(SMBCモビット next)は三井住友カードが発行しているクレジットカードだ。
SMBCモビットを提携した消費者金融系のクレジットカードであり、ショッピング枠は最高80万円と控えめになっている。
キャッシング枠も低めになる可能性が高いが、カードローン機能の利用限度額は最大800万円になっている。
Tカード プラス(SMBCモビット next)は三井住友カードのVポイントではなく、Tポイントが貯まるのが特徴だ。
クレジット決済によって0.5%貯まり、さらに店舗ごとの提示ポイントも獲得できる。
そのため、利用する店舗を選べば常に1.5%の還元率でTポイントを獲得することもできる。
「Tポイントをガンガン貯めたい」という人は検討してみよう。
クレジットカードのキャッシング枠によくある質問
最後に、クレジットカードのキャッシング枠についてよくある質問をまとめた。
キャッシング枠はどうやって決まるのか?
クレジットカードのキャッシング枠は、カード会社独自の審査によって決まる。
ただし、総量規制の対象になるため、キャッシング枠が年収の3分の1を上回ることはない。
総量規制の対象になるのはカード会社や消費者金融なので、銀行は対象外だ。
年収の3分の1以上の借り入れが必要な人は、銀行カードローンに申し込もう。
ただ、銀行では独自に総量規制のような借入金額の上限を定めているところも多い。
借入条件を事前に確認することを忘れないでほしい。
キャッシング枠の平均はどれくらいなのか?
結論から書けば、キャッシング枠の平均に関する調査データはない。
そのため、一概には言えないのだが、クレジットカードを発行したばかりの時は「10〜50万円」で設定されることが多い。
ただし、クレジットカードを申し込む際にキャッシング枠を0円で設定すれば、キャッシング枠が設定されることはない。
キャッシング枠は何度も利用できる?
クレジットカードのキャッシング枠は枠内であれば何度でも利用できる。
キャッシング枠が50万円の場合、10,000円の借り入れは50回行えることになる(借り入れ金額は自分で設定可能)。
また、借り入れ金額を返済すればその分のキャッシング枠が回復する。
そのため、キャッシングは何度でも利用できるサービスと言える。
キャッシング枠で借りたお金を返済しないとどうなる?
キャッシング枠で借りたお金を返済しないでいると、支払い日の翌日から遅延損害金という罰金のようなものがかかる。
遅延損害金の利率は、年利20%前後で設定されるのが一般的だ。
たとえば10,000円の借り入れをし、支払い日の翌日から数えて15日間支払いが遅れた場合、次のように遅延損害金が発生する。
延滞日数が長くなるほど遅延損害金は膨れ上がっていく。
支払い忘れを起こしたら、速やかに遅延損害金を含めた金額を返済しよう。
上記の金額を見て「大したことないのでは?」と思った人もいるかもしれない。
しかし、支払いが遅れることは遅延損害金以外にもデメリットがあるのだ。
支払い延滞が長期になると、「クレヒス」に傷がつく。クレヒス(クレジットヒストリー)とは信用取引情報のことであり、クレジットカードの利用・支払いや金融機関からの借入・返済といった情報を指す。
クレヒスは信用情報機関によって管理されており、カード会社を含めて金融機関はクレジットカードの申込者や利用者のクレヒスを照会できる。
支払い延滞が長期になれば金融事故として処理・記録され、いわゆる「クレヒスに傷がある状態」になってしまう。
そうなると新しくクレジットカードを発行できなくなったり、カードを強制解約されるケースもあるので注意してほしい。
キャッシング枠は0円でも設定できる?
クレジットカードのキャッシング枠は、0円でも設定できる。
キャッシングサービスを利用する予定がない人なら、キャッシング枠を0円で設定するとクレジットカードの審査に通過しやすくなる。
カードを発行する際に使えるテクニックとして覚えておこう。
キャッシング枠を理解してクレジットカードを上手に活用しよう!
本記事では、クレジットカードのキャッシング枠について解説した。
クレジットカードのキャッシング枠は設定しておくと便利なサービスだ。
ただ、不要な人は0円として設定することでクレジットカードの審査に通りやすくなる。
また、キャッシング枠を利用するとショッピング枠が圧迫されるので、あくまでも計画的に利用しよう。