IFA法人のなかにはセグメントを細かく分けて、超富裕層に特化したサービスを展開しているケースもある。
IFA法人への転職を希望している人のなかには、超富裕層をターゲットにしたい人もいるのではないだろうか。
この記事では、超富裕層向けのIFA業務に興味がある人に向けて、IFAの預かり資産額をもとに顧客の資産階層を考察しつつ、超富裕層向けにサービスを展開しているIFA法人をまとめた。
超富裕層向けのIFA法人に転職するポイントとおすすめの転職エージェントもまとめたので、IFA法人への転職を検討している人はぜひ参考にしてほしい。
超富裕層に対応しているIFAは存在する?
そもそもIFAとは「Independent Financial Advisor:独立系ファイナンシャルアドバイザー」の略で、特定の金融機関に所属しておらず、金融商品仲介業者の登録を受けたIFA法人に所属して活動している。
顧客に対して特定の金融機関や証券会社の金融商品を提案するのではなく、ニーズを本当に満たす商品を個別具体的に提案できるのがIFAならではの特徴だ。
IFAの概要は上記のとおりだが、結論として、超富裕層を顧客にIFA業務を遂行している人がいるのは事実である。
全体のIFAに対してどれほどの割合であるかは定かではないが、いわゆる資産家が顧客になる事例は事実ベースで存在するのだ。
超富裕層に該当するのは総資産額5億円以上
野村総合研究所がまとめた、2021年の国内における純金融資産保有額別の世帯数と資産規模は下表のとおりであった。
資産階層 | 保有資産規模 | 世帯数 |
---|---|---|
超富裕層 (資産額5億円以上) | 105兆円 | 9.0万世帯 |
富裕層 (資産額1億円以上5億円未満) | 259兆円 | 139.5万世帯 |
準富裕層 (資産額5,000万円以上1億円未満) | 258兆円 | 325.4万世帯 |
アッパーマス層 (資産額3,000万円以上5,000万円未満) | 332兆円 | 726.3万世帯 |
マス層 (資産額3,000万円未満) | 678兆円 | 4213.2万世帯 |
そもそも、超富裕層に該当するのは総資産額が5億円以上であり、2021年においては9.0万世帯が該当している。
なお、超富裕層の世帯数はほぼ毎年増加しており、統計調査を開始した2005年時点では5.2万世帯だった。
前回調査の2019年においては8.7万世帯で、2年間で約3,000世帯増加している状況である。
IFAの預かり資産額の割合
アドバイザーナビ株式会社が現役IFA218名に対して行ったアンケート調査では、IFAの預かり資産額は以下のとおりであった。
- 〜1億円:15%
- 〜3億円:16%
- 〜5億円:18%
- 〜10億円:21%
- 〜20億円:9%
- 〜30億円:8%
- 〜40億円:4%
- 〜50億円:3%
- 〜100億円:4%
- 100億円以上:2%
預かり資産額だけで見ると、最も多いのが5億円以上10億円未満の21%であった。
預かり資産額が10億円に満たないIFAの割合は70%で、IFAのなかでも資産規模の差が想像以上にあることがわかる。
預かり資産額だけでは顧客が何名いるかわからないという前提はあるものの、少なくとも10億円以上の預かり資産額であれば、超富裕層が顧客の一人であるケースも想定されるだろう。
少なくとも、預かり資産額が上位10%となる40億円以上であれば、超富裕層を顧客にIFA業務をしている可能性が比較的高いと考えられる。
つまり、IFAの10人に1人は超富裕層の顧客を獲得していると推測できる。
この割合に対して多い・少ないのどちらを抱くかは人によって異なるが、超富裕層を顧客に仕事ができるのは極めて稀なケースではないと言えるだろう。
IFAが扱う資産階層の割合
先ほどのアンケート結果をもとに、IFAが扱う資産階層についても推測できそうだ。
ここでは、一人のIFAが抱える顧客の数を5・7・10名と仮定した場合の顧客一人当たり資産額を算出した。
その結果は下表のとおりである。
預かり資産額 | 割合 | 顧客数:5名 | 顧客数:7名 | 顧客数:10名 |
---|---|---|---|---|
〜1億円 | 15% | 2,000万円/人 | 1,428万円/人 | 1,000万円/人 |
〜3億円 | 16% | 6,000万円/人 | 4,285万円/人 | 3,000万円/人 |
〜5億円 | 18% | 1億円/人 | 7,142万円/人 | 5,000万円/人 |
〜10億円 | 21% | 2億円/人 | 1億4,285万円/人 | 1億円/人 |
〜20億円 | 9% | 4億円/人 | 2億8,581万円/人 | 2億円/人 |
〜30億円 | 8% | 6億円/人 | 4億2,857万円/人 | 3億円/人 |
〜40億円 | 4% | 8億円/人 | 5億7,142万円/人 | 4億円/人 |
〜50億円 | 3% | 10億円/人 | 7億1,428万円/人 | 5億円/人 |
〜100億円 | 4% | 20億円/人 | 14億2,857万円/人 | 10億円/人 |
100億円以上 | 2% | 20億円/人〜 | 14億2,857万円/人〜 | 10億円/人〜 |
上記の割合はあくまでも参考値であり、実際の顧客数はIFAによって千差万別だ。
平準化した場合の顧客一人当たりの資産額額を見てみると、預かり資産額が1億円未満の場合は、顧客のほとんどがマス層であると考えられる。
預かり資産額が1億円以上3億円以下の場合、マス層またはアッパーマス層がボリュームゾーンで、一部に準富裕層がいてもおかしくなさそうだ。
預かり資産額が30億円までのぼると、平均値としては超富裕層の顧客がいても不思議ではないことが推測できる。
平均値ベースで超富裕層が顧客になる可能性を推測した場合、IFAのなかで預かり資産額が上位20%ほどであれば、資産額が5億円以上の超富裕層が顧客になり得そうだ。
一般的なIFAの対象顧客について詳しく知りたい方は、下記の記事を参考にしてほしい。
超富裕層を対応しているIFA法人の紹介
国内の超富裕層は9.0万世帯あるとの推計だが、IFA法人のなかには、超富裕層をターゲット顧客にしている場合もある。
ここでは、超富裕層に対応しているIFA法人3社を紹介しよう。
- ヴァスト・キュルチュール
- アセットバンク
- 5バリューアセット
IFAへの転職を検討している人のなかでも、超富裕層を顧客にしたいと考えているのであれば、これら3社は詳細にチェックしておいたほうがよいだろう。
ヴァスト・キュルチュール
「ヴァスト・キュルチュール株式会社」は、大阪市中央区に本社を構えるIFA法人だ。
会社概要は下表のとおりである。
設立 | 2019年2月 |
---|---|
本社所在地 | 〒541-0047大阪市中央区淡路町2-1-13 弘栄ビルディング8階 |
資本金 | 500万円 |
支店 | 大阪/東京 |
雇用形態 | 正社員または業務委託契約 |
提携業者 | 楽天証券 マネックス証券 東海東京証券 あかつき証券 |
ヴァスト・キュルチュールは、プライベートバンクの発祥地であるスイスに本店を構える金融機関で経験を積んだプライベートバンカーが創業している。
「ウェルス・マネジメント」に重きを置いており、超富裕層を対象に、資産運用と財産の管理、保全、承継など、さまざまな要望に合わせてテーラーメイドの解決策を提案する点が特徴だ。
ほかにも、フィランソロピーにも注力しており、社会課題の解決に取り組む団体・個人に必要な資金が届く、永続的な資金循環モデルの構築も掲げている。
ヴァスト・キュルチュールでは中途採用を募集しており、雇用形態は正社員または業務委託契約から選べるが、詳細は直接問い合わせないとわからない。
リモートワークも可能であるため、気になる人は問い合わせてみてほしい。
アセットバンク
「アセットバンク株式会社」の会社概要は下表のとおりだ。
設立 | 2019年5月 |
---|---|
本社所在地 | 〒541-0059大阪市中央区博労町2-6-7 東邦ビル301A |
資本金 | 1000万円 |
支店 | 大阪/東京 |
雇用形態 | 掲載なし |
提携業者 | SBI証券 楽天証券 東海東京証券 三田証券 |
アセットバンクは、IFA有価証券の運用を中心に、顧客の資産の総合的な解決策の提案及びインフラ整備を最も重要なミッションに掲げている。
有価証券の運用だけでなく、会社や不動産、アート、ワイン、スーパーカーなどのコレクションを含めた総合的なソリューションをカバーしているのが大きな強みだ。
アセットバンクのWebサイトには採用情報について記載がないため、現在採用活動をしているか定かではない。
興味のある人は、お問い合わせフォームから確認してみるとよいだろう。
5バリューアセット
「5バリューアセット株式会社」の会社概要は下表のとおりだ。
設立 | 2020年12月 |
---|---|
本社所在地 | 〒530-0011大阪市北区大深町4-20 グランフロント大阪タワーA29階 |
資本金 | 1億円 |
支店 | 大阪/東京/名古屋 |
雇用形態 | IFAの採用なし (東京オフィスにおける営業アシスタント業務は募集中) |
提携業者 | 東海東京証券 楽天証券 マネックス証券 |
社名からもわかるように、5バリューアセットでは、以下5つのバリュー(価値)を大切にしている。
- チームワーク
- 誠実さ
- 席になる企業市民
- 個人の尊重
- 顧客重視
常に自分自身の行動をバリューと照らし合わせて、正しい行動をし続けることに重きを置いているようだ。
「顧客への誠意あるアドバイス」を実践するべく、業界トップレベルのリサーチに強みがあるのは大きな特徴と言えるだろう。
5バリューアセットにおいてはIFA業の採用をしていないため、興味のある人は定期的にWebサイトを確認して募集状況に変化がないか確認するとよいだろう。
超富裕層向けのIFA法人に転職する際のポイント
超富裕層向けのIFA法人の一部を紹介したが、国内にはさまざまなIFA法人がある。
IFAへの転職を希望する人のなかには、超富裕層向けのIFA法人に転職したい人もいるだろう。
ここでは、超富裕層向けのIFA法人への転職を成功させるポイントを、3つの観点から解説する。
- 金融を含むさまざまな知識を身につける
- IFA法人に一度転職して経験を積む
- 転職エージェントを利用する
IFA業界の情報収集は簡単ではないため、以下で紹介する内容も参考にしながら効率よく転職活動を進めていこう。
金融を含むさまざまな知識を身につける
超富裕層をターゲットにIFAとして活動していくには、より広範囲な知識の習得が欠かせない。
先ほど解説したアセットバンクの例からもわかるように、超富裕層に対しては、いわゆる金融商品だけでなく、さまざまな提案をする機会があるのが実情だ。
- 不動産
- アートやワイン、スーパーカーのコレクション
- 相続
- M&A
- 事業承継
- ベンチャー投資
超富裕層になると、資産のポートフォリオを分散させる方法も多岐にわたる。
アッパーマス層や準富裕層などの資産階層では選択肢に上がらないアセットクラスへの投資も視野に入るのだ。
このような背景を踏まえると、あらゆる業界・分野に対して深い知識がなければ、超富裕層からニーズを的確に聞き出せたとしても、ソリューションの提供段階でつまずきかねない。
適切な提案ができなければ顧客との信頼関係構築はもちろん、長期的な関係性を築くのは難しいだろう。
IFA法人に一度転職して経験を積む
超富裕層向けのIFA法人に転職するためには、一度IFA業界で経験を積むというのも効果的だ。
証券会社からIFAに転職する流れが最も一般的であるが、いきなり超富裕層をターゲットにしたIFA法人に応募しても、スキルを不安視される可能性が高い。
そのため、まずは経験を積むために、大手IFA法人などへの転職を目指してもよいだろう。
IFA業界で経験と実績を積めば、さらなる転職によって超富裕層向けのIFA法人で働けるかもしれない。
仮に、大手のIFA法人に転職できれば、その間に携わる顧客のなかに超富裕層がいる可能性もゼロではない。
やや遠回りかもしれないが、着実に実績を積むことで、さらなる転職時は自信を持って行動できるだろう。
転職エージェントを利用する
超富裕層向けのIFA法人への転職を実現させたいなら、転職エージェントを利用するのがおすすめだ。
そもそも、自分一人の力で全国各地のIFA法人の顧客ターゲットを調べること自体に相当苦労するだろう。
転職エージェントを利用すれば、希望条件を満たす求人情報をキャリアコンサルタントが紹介してくれる。
転職先との面接日程の調整や条件交渉もサポートしているのが一般的であるため、転職活動にかかる手間の相当部分を省けるだろう。
転職活動にまとまった時間を割ける人も限られるため、効率よく転職を実現させたいのであれば、転職エージェントを使わない手はない。
次の章では、おすすめな転職エージェントを3つ紹介しているので、気になったサービスをぜひ使ってみてほしい。
超富裕層向けのIFA法人に転職するには?
超富裕層向けのIFA法人に転職したいなら、転職エージェントの利用はもはや必須といえるだろう。
効率よく求人を探せるのは、転職エージェントを利用する最も大きなメリットである。
また、転職成功に向けたアドバイスももらえるため、自信を持って転職活動に臨めるだろう。
ここでは、特におすすめしたい転職エージェントを3つ紹介する。
- 金融転職
- ビスリーチ
- IFA転職
以下でそれぞれの特徴を解説するので、超富裕層向けのIFA法人に転職したい人はぜひ参考にしてほしい。
金融転職
「金融転職」は、金融業界への転職に特化した転職エージェントだ。
業界に精通したキャリアコンサルタントとのカウンセリングを経て、条件を満たす求人の紹介を受けられるのはもちろん、面接日程の調整や条件交渉もしてくれる。
IFA業界も広義の金融業界であり、金融転職もIFA法人の求人を扱っている点が大きな特徴だ。
ただし、IFA業界に特化していないため、超富裕層向けのIFA法人については求人情報が限定的な可能性は否定できない。
そのような場合は後述する「IFA転職」の利用がおすすめだ。
ビスリーチ
「ビズリーチ」は、登録時に経歴を詳細に入力しておくと、プロフィールをみた企業の採用担当者からスカウトを受けられるのが大きな特徴だ。
ビズリーチはハイクラス・高年収な求人を多数扱っているため、転職成功者の多くが年収アップを実現している。
一度登録しておき、スカウトがあった企業の詳細を確認するという形で転職活動を進める方法がおすすめだ。
ただし、ビズリーチは総合型の転職エージェントであり、取り扱うIFA法人の数が限定される可能性が高い。
この点も含めて、最もおすすめしたいのが次に紹介する「IFA転職」だ。
IFA転職
「IFA転職」は、IFA業界への転職活動に特化した転職エージェントである。
キャリアコンサルタントはIFA経験者であるため、日々の疑問や不安点もその場で解決できるだろう。
キャリアコンサルタントからヒアリングを受けたうえで、希望条件にあうIFA法人を紹介してもらえるのは当然だが、転職後の業務中に抱いた疑問や相談ごとに対応している点も大きな特徴である。
「IFA転職」なら超富裕層向けのIFA法人に関する情報を網羅しているため、転職成功の確率を高められるだろう。
利用は無料なので、まずはキャリアコンサルタントに相談することから始めてみよう。
まとめ
資産額が5億円以上の個人を超富裕層と呼び、2021年時点では9.0万世帯存在するようだ。
IFAの預かり資産額を見ると、上位10〜20%ほどに入れば、顧客のうち一人が超富裕層である可能性が高いと推測でき、そこまで稀ではないこともわかった。
超富裕層を顧客ターゲットにしたIFA法人が存在するのは事実である一方、転職活動を成功させるのは簡単ではない。
超富裕層向けのIFA法人への転職を実現させたいなら、IFA業界の転職に特化した転職エージェントである「IFA転職」を利用しよう。
「IFA転職」なら、IFAを経験するキャリアコンサルタントが転職前後を幅広くサポートしてくれる。
条件を満たす求人の紹介もしてくれるため、超富裕層向けのIFA法人への転職を検討している人は、「IFA転職」を利用してみよう。