- がん保険のメリットや利用時の注意点を知りたい
- がん保険でどこまでの保障が受けられるのか知りたい
- がん保険の選び方に困っている
あなたがもしもがんになった時、莫大な医療費を長期間にわたって支払うことになるかもしれない。
そこで必要となるのが「がん保険」だ。
しかし、その具体的な保障内容や自分に適したがん保険の選び方がよくわからない、という人も多いのではないだろうか。
そこで本記事では、がん保険を利用するメリットを説明後、保障内容や加入条件、そして保険を選ぶポイントについて解説する。
この記事を参考にして、万が一がんになってしまった際にも、安心して治療に専念できるようにしてほしい。
保障対象はどこまでか?がん保険を利用するメリットとは
日本人の2人に1人がかかると言われるがんは、私たちにとって身近なリスクの一つである。
その対策として利用されるがん保険の具体的なメリットについて、あなたは理解しているだろうか。
本章ではがんに関するデータを説明後、がん保険を利用するメリットや注意点を解説する。
がんに治療に必要な費用
そもそもがん保険とは必要なものなのだろうか。その答えは、患者数や治療費用など、がんに関するデータを理解することで見えてくる。
国立がん研究センターによれば、2019年でがんと診断された日本人の人数は99万9,075人となる。
また、日本人が生涯でがんに罹患する確率は男性で65.5%、女性で51.2%であり、日本人の2人に1人以上はがんになる計算だ。
保障の必要性が高い病気であることが理解できる。
では、がんの治療にはどれくらいの費用がかかるのだろうか。
下の表は、厚生労働省の2つの資料をもとにがんで入院した際にかかる費用の平均値を示したものになる。
「患者調査」および「社会医療診療行為別統計の概況」を参照している。
傷病名 | 平均入院日数 | 1日あたりの費用 | 入院費 |
胃の悪性新生物<腫瘍>(胃がん) | 10.2日 | 7万4,913円 | 76万4,112円 |
結腸及び直腸の悪性新生物<腫瘍>(腸がん) | 17.4日 | 7万9,713円 | 138万7,006円 |
肝及び肝内胆管の悪性新生物<腫瘍>(肝臓がん) | 4.7日 | 7万2,689円 | 34万1,638円 |
気管、気管支及び肺の悪性新生物<腫瘍>(肺がん) | 15.9日 | 7万4,216円 | 118万34円 |
乳房の悪性新生物<腫瘍>(乳がん) | 5.4日 | 8万3,169円 | 44万9,112円 |
なお、資料内で1日あたりの費用は点数として表記されている。点数とは医療行為の価格を決める単位であり、1点=10円として計算した。
また、入院費は1日あたりの費用と平均日数と掛け合わせることで算出し、小数点は第一位以下を切り捨てとした。
上記表から、がんで入院した場合は最低でも30万以上の費用がかかることが分かる。がん治療の際、健康保険が適用される保険診療以外の費用は全額自己負担となる。
個室へ部屋を移動させた時の差額ベッド代や日用品費、家族が見舞いに来る交通費などがこれに該当する。
自己負担金額を少しでも抑えるためには、がん保険を利用することが必要不可欠なのだ。
がん保険を利用するメリット
がんに備える必要性については、ここまでの説明で理解できたと思う。
では、がん保険に加入することで具体的にどういったメリットを得られるのだろうか。
がん保険を利用するメリットとしては、がんに罹患した場合に様々な給付金を受け取ることができる点と、長期間にわたるがんの治療に備えることができる点が挙げられる。それぞれ詳しく解説しよう。
がん保険には、がんへの保障に特化した給付金が多数存在する。主に以下のようなものがある。
- 診断給付金
- 治療給付金
- 入院給付金
- 手術給付金
- がんに関する手術を受けた際に受け取れる給付金
- 先進医療給付金
- 高度な技術を必要とする、健康保険対象外の医療を受けた際にもらえる給付金
上記以外にも給付金は存在するが、主に診断給付金と治療給付金、入院給付金をメインの保障内容にしたがん保険が多い。
それぞれの特徴については、後の章で解説を行う。また、がん治療は長期化しやすい。
前述した通り、平均入院日数は長くても18日程度だが、がんは他の部位に転移しやすく、入退院を繰り返す可能性が高いのだ。
治療が長引いて費用が嵩む時に、がん保険は闘病生活の心強い支えとなってくれるだろう。
がん保険を利用する際の注意点
がん保険を利用する際に注意すべき点としては、免責期間の存在が挙げられるだろう。
免責期間とは、保険に加入してから保障が開始されるまでの期間のことを指す。待機期間と呼ばれることもあり、90日程度に設定される場合が多い。
では、なぜ免責期間が設定されているのだろうか。それは、がんの持つ特徴が関係している。がんは多くの場合自覚症状がないまま進行する。
そのため、がんを発症していることに気づかずがん保険に加入し、直後にがんが発覚するというケースがあるのだ。
もし免責期間がないと、加入直後でがんを発症した人にも保険金の支払いをしなければならず、他の加入者と公平性を保てなくなる。
こういった事態を予防するために、免責期間が設けられているのだ。免責期間中にがんを発症した場合は、保障を受けることができず、保険の契約も無効になってしまう。
健康状態には十分気をつけておこう。
がん保険の保障対象と加入条件
ここまでの説明で、がん保険への加入を検討し始めたという方もいるだろう。
そこで気になるのが、具体的な保障内容や保険の加入条件だ。
ここでは、がん保険の保障対象や加入条件について解説する。
がん保険の保障対象はどこまでなのか
がんには悪性新生物と上皮内新生物の2種類が存在する。両者の違いは一体どんなものになるのだろうか。
上皮内新生物とは、上皮細胞と間質細胞の間に存在する基底膜を破って浸透していないがんのことだ。
簡単に言えば、体の表面で進行が止まって転移もほぼしていないがん、ということになる。
内部にがんが広がっていないため、悪性新生物と比べて簡単に取り除くことが出来る。
がん保険は主に悪性新生物を対象としているものが多く、上皮内新生物に対する保障が少ない、もしくは対象外としている保険もある。
例えば、ライフネット生命のがん保険「ダブルエール」では、がんと診断されると診断一時金が給付される。
しかし、診断されたがんが上皮内新生物だった場合は、もらえる一時金が50%になってしまう。対象となるがんの種類で、保障される金額が変わることは意識しておくべきだろう。
がん保険の加入条件とは
がん保険へ加入する際は、他の生命保険と同じく告知を行って審査を受ける必要がある。
告知とは、自分の現在の健康状態や既往歴を保険会社へ申告することである。
なぜ告知が必要なのかと言うと、免責期間と同様に保険加入者の公平性を担保するためだ。加入直後に保険金を支払う人が続出しないようにしているわけである。
がん保険はがんへの保障に特化した保険であり、告知項目もがんに関係しているものが多い。
そのため、他に持病を抱えていても加入できる可能性が高い。
例えば、アフラックの『「生きる」を創るがん保険 WINGS』は、「入院している、もしくは直近3ヶ月以内で入院をすすめられたことがあるか」という告知項目以外は、全てがんや関連の病気に対するものとなっている。
つまり、入院していなければ他の病気を患っていても加入可能である。
がん保険は、他の保険と比べて加入の敷居は低いと言えるだろう。
がん保険の必要性
がん保険は他の生命保険と比べて加入しやすく、治療費用が高額な悪性新生物への保障が手厚い。
このような観点からも、がんに罹患した際の医療費の負担に不安を抱える人を中心に、がん保険の必要性は極めて高いと言える。
例えば、チューリッヒ生命が販売する「終身ガン治療保険プレミアムZ」の「あんしんプラン」に30歳男性が加入する場合、月額保険料2,050円で7種類の給付金を受けることができる。
がん診断給付金は最大75万円まで、また各種治療や手術毎に10万円程度の給付金が支給される。
がん治療に備えるには、うってつけの保険と言えるだろう。
このように、がんの治療費を賄うためには、効果的にがん保険を利用することが欠かせないのである。
保障対象を知って、自分に適したがん保険を選ぶポイント
ここまでの説明で、がん保険の必要性や具体的な保障内容についてご理解いただけただろう。
しかし、一口にがん保険と言っても、保険会社やそれぞれの商品ごとに保障内容は異なる。また、加入者のライフステージによっても必要な保険は変わるだろう。
では、自分に最適ながん保険を選ぶには、どのような点に気をつければ良いのだろうか。
以下のような流れで決めていくと、選びやすくなるだろう。
- どの給付金を重視するか決める
- 保険期間や保険料の支払い期間を決める
- 複数の保険会社を比較する
各ポイントを抑え、自分に最適ながん保険を選べるようにしてほしい。
どの給付金を重視するか決める
まずは、がん保険の保障内容を設定する必要がある。特に重要なのがどの給付金を重視すべきか、ということだ。
前述した通り、がん保険には様々な給付金が存在し、診断・治療・入院の3種類をメインとするものが多い。
以下の表にそれぞれの内容や特徴をまとめたので、確認して欲しい。
給付金の種類 | 内容 | 特徴 |
診断給付金 | がんと診断された時に、まとまった一時金を受け取ることができる。 受け取りは、初回のみもらえるタイプと毎年1回ずつもらえるタイプがある。 | すぐに保険金が請求できるため、早い段階でがんに備えることが可能 もらえる給付金額はがんの進行度合いなどに関わらず、一定 |
治療給付金 | 抗がん剤や放射線治療など、特定の治療を受けた際に給付金が受け取れる。 受け取りは、1回治療を受けるたびに○万円、といった形になる。 | 治療毎に保険金が受け取れるため、治療が長引いても安心して受けることができる 治療以外では給付金が出ない |
入院給付金 | がんによる入院時に、給付金が受け取れる。 受け取りは、日額○円、といったように日数で決まる。支払限度日数を超えた分は、支払いがされない。 | 入院日数に応じて保険金が受け取れるため、入院が長引いても安心できる 入院がないがん治療が続く場合は、保障が不十分になる可能性もある |
自分ががん保険で何に備えたいのかを明確にすると、給付金も決めやすくなる。
例えば、早いうちからがんに備えたい場合は診断給付金、特定の治療を安心して受けたい場合は治療給付金を優先するという形だ。
また、上記の給付金だけでなく、先進医療など他に備えたいものがある場合は、特約を付加することも検討しよう。
保険期間や保険料支払い期間を決める
保障内容が定まったら、次は保険期間や保険料の支払い期間を決めていくと良い。
がん保険の保険期間には、生涯保障の終身型と期間限定保障の定期型の2種類が存在する。定期型の方が保険料は安いため、日々の負担を抑えたい場合にはおすすめだ。
一方、長期間保障がほしい場合は終身型を検討するべきだろう。また、保険料の支払い期間による違いも理解しておこう。
がん保険の保険料の支払い方法は、保障期間中に保険料を支払い続ける「終身払い」が一般的である。
ただ、契約時に一回で保険料を支払い終える「一時払い」や満期までの保険料を保険会社に一括で預ける「全期前納払い」など、1回で支払いを終える方法もある。
最終的に支払う保険料は、終身払いよりも一時払いや全期前納払いの方が安くなる。会社の手続きが少なく、手数料が節約できるからだ。
ただし、1回の支払いに必要な保険料は一時払いや全期前納払いの方が高くなるため、自分の経済状況に合わせて選択するべきだろう。
複数の保険会社を比較する
がん保険は、多くの保険会社で販売されている。そのため、必ず複数の保険会社を比較する必要がある。
例えば、太陽生命「がん保険」とアクサダイレクト生命「アクサダイレクトのがん終身」を比較してみよう。
前者は、がんだけでなく脳卒中や急性心筋梗塞などの重篤な症状で入院した場合も保障を受けることが可能だ。また、最大2,000万円となる診断一時金がメインの保障となっている。
後者は、診断・手術・治療給付金が全て備わった保険だが、その分一時金の最大金額は200万円となっている。
また、3年間がんにならなければ5万円もしくは10万円が支給される「がん無事故給付特約」があるのも特徴的だ。
このように、同じ種類の保険であっても商品ごとに保障内容は異なる。
理想のがん保険を見つけるためには、複数の保険会社の内容を比較・検討することを忘れないでほしい。
がん保険を選ぶときには保障対象をしっかり確認しよう!
本記事ではがん保険を利用するメリット、保障対象や加入条件、そして保険を選ぶポイントについて解説した。
がん保険は、入院が長期化したり先進医療など高額な医療費がかかるがん治療にとっては欠かせないものである。
しかし、保障の対象範囲はあらかじめ定められているため、がん保険に加入していても適用外になるケースもある。
また各々の健康状態や既往症によって加入が制限される場合もあるので注意が必要だ。
がん保険を選ぶ際に大切なのは、保障範囲や加入条件、さらには保険料や受け取れる保険金などを比較しつつ、自身のライフスタイルや経済状況に最も適したものを選ぶことだ。
それでも、自分にふさわしい保険を見つけるのは簡単ではないだろう。
そんな時は、保険のプロに相談することをおすすめする。
一人一人に合ったアドバイスをもらうことで、あなたに必要ながん保険を見つけることができるはずだ。
また、保険のプロは数多く存在し、その中から自分にとって最適な担当を見つけるのは難しいだろう。
マッチングサイト「生命保険ナビ」を使えば、自身の条件に合った保険のプロを簡単に見つけることができる。無料で利用できるので、ぜひ活用してほしい。