- 定期死亡保険の概要を知りたい
- 自分が加入するべき保険がわからない
- 定期死亡保険の保険料をどれくらいにすればいいか知りたい
死亡保険には定期保険(定期死亡保険)と終身保険の二種類の保険が存在する。
どちらにもメリットとデメリットがあり、保険の目的によって、選ぶべき保険は異なる。
本記事では、定期死亡保険の概要、保険料の適正な金額や抑える手段、そして終身保険との比較まで説明する。
死亡保険の選択に悩んでいる人は参考にしてほしい。
定期死亡保険の概要
定期死亡保険は、保険の対象者(被保険者)が亡くなったときに、遺族が死亡保険金を受け取れる生命保険だ。
生命保険には「掛け捨て型保険」と「貯蓄型保険」の二種類があり、定期死亡保険は前者に、終身保険は後者に属する。
定期死亡保険は、貯蓄型保険と比べて保険料が安く、契約の満期時には保険内容も見直せるため加入している人は多い。
しかしどのような保険商品にも長所・短所があり、定期死亡保険にも注意すべき点がある。
ここでは定期死亡保険を検討するうえで、理解しておくべき保険の概要や、この保険のメリットとデメリットを説明する。
定期死亡保険とは
この保険では、契約時に定めた期間中に被保険者が亡くなった場合、死亡保険金が給付される。
貯蓄性のない掛け捨て型保険であるため、保険契約が終了しても満期保険金はなく、特約も含めすべての保障がなくなる。
また契約途中に解約しても、多くの定期死亡保険では、解約返戻金もない。
保険期間中に万一のことがなければ保険会社としては支払が発生しないため、契約者から受け取った保険料の多くを、収益が期待できる投資で運用する。
この運用益により定期死亡保険の保障は、貯蓄型保険と比較して、手厚くなる。
定期死亡保険の種類
定期死亡保険には、下記の三種類がある。
それぞれ特徴が異なるため、自分の保険の目的を考えて、選択すべきである。
保険の種類 | 内容 |
平準定期保険 | 定期保険の中でもっとも基本的な保険商品。一般的に死亡定期保険といえば、この保険をいう。 契約時に取り決めた保険期間中に亡くなった場合に、死亡保険金が一括で支払われる。 保険期間中の保険料は一定。満期を迎えると自動更新ができるものもあるが、更新時点の年齢で保険料が再設定される。 |
収入保障保険 | 契約時に取り決めた保険期間中に亡くなった場合に、死亡保険金は年金形式で支払われる。 保険金を年金形式で、遺族に継続的に渡したい場合に向いている。 保険金は一時金として受け取ることも選択できるが、年金形式での総額よりも、保険金総額が少なくなることが多い。 保険期間中の保険料は一定だが、契約満期に近づくにつれて、保障総額(死亡保険金の総額)は減っていく。このため平準定期保険と比較して、保険料は割安になる。 |
逓減定期保険※ | 契約時に取り決めた保険期間中に亡くなった場合に、死亡保険金が一括で支払われる。年金形式での支払いはない。 保険期間中の保険料は一定だが、契約満期に近づくにつれて、保障総額(死亡保険金の総額)は減っていく。このため平準定期保険と比較して、保険料は割安になる。 この保険は、「平準定期保険」と「収入保障保険」の両方の特徴を併せ持つ。 |
メリットとデメリット
定期死亡保険は、契約時に取り決めた契約期間を過ぎると保障がなくなるため、契約更新か新たな保険契約を結ばなければならない。
これは契約満了時に、保険内容を見直せるというメリットがある反面、保障が一生涯ではないというデメリットもある。
定期死亡保険のもつメリットは、場合によっては欠点になることもある。
またライフステージの変化によっても、これまでメリットだったことが、不満な点に変化することもあるだろう。
現時点での自分の保険目的を踏まえて、以下の表から、メリットとデメリットのいずれが大きいかを考えてほしい。
メリット | デメリット |
貯蓄型保険と比べて、保険料が安い。つまり同じ保険料であれば、貯蓄型保険よりも保障が厚いといえる ライフステージに応じて、保険内容の見直しがしやすい | 一生涯の保障を確保できない 貯蓄性がない 契約が満期になっても、多くの場合、満期保険金がない 契約期間中に保険を解約した際も、多くの場合、解約返戻金がない。 契約満期での保険更新の際、同一の保障内容であれば、契約者年齢が上がっているため保険料も上がる |
また、以下の記事では死亡保険を含む生命保険について、基本情報をおさらいしている。改めて概要を整理しておきたいという方がいればチェックしていただきたい。
定期死亡保険の保険料の相場
ここまでの説明で、定期死亡保険が自分の保険目的に合っていると感じた方は、保険料についても考えなければならない。
保険料は、保険期間中を通して収入への負担を生じさせるため、可能な限り金額を抑えたい。
しかし保険料を抑えるということは死亡時に遺族が受け取る保険金も少なくなることを意味するため、保険料を抑えすぎて、十分な保障が得られなければ、保険の意味はなくなってしまう。
ここでは、金額の相場を知るため、保険料の統計調査結果を紹介する。
さらに保険料の構造を解説し、料金を抑える方法を説明する。
保険料を決める要素とその詳細
適正な保険料を考えるうえで、保険会社が保険料をどのようにして算出するのかを理解することは重要だ。
このため保険料の構造を、以下に解説する。
- 純保険料:保険料のうち将来の保険金などの支払いにあてる部分。「予定死亡率」と「予定利率」の二つを用いて計算する。
- 予定死亡率
- 過去の死亡統計をもとに、性別・年齢別の死亡者数を予測し、将来の支払いに必要な保険金額の算出に用いる。死亡統計値は、厚生労働省が5年ごとに発行する「完全生命表」と、毎年発行される「簡易生命表」を用いる。
- この統計値から、日本人全体の平均寿命が延びると、死亡率が全体的に下がるため保険料も総じて下がる。
- 予定利率
- 保険会社が保険料の運用で得られることを見込んだ予定利回り。この予定利率で算出した利益額を、純保険料から差し引く。
- 予定利率は市中金利の影響を受けやすく、金利が下がると予定利率も下がる。かつて金利が高かった時代では、高い予定利率が設定されて割引率も高くなり、保険料も安かった。現代は低金利時代のため予定利率(割引率)は低く設定されている。
- 予定死亡率
- 付加保険料:保険会社の事業運営にかかる費用。主に以下の費用を織り込んだ予定事業費率を用いて算出。
- 保険会社の利益
- 販売経費(保険会社の社員人件費、代理店手数料など)
- 契約の締結・保険料の収納・契約の維持管理に必要な諸経費など
ネット保険では、上記の「付加保険料」内に含まれる人件費や実店舗に伴う固定費などのコストが低いため、保険料も安い。
しかしコールセンターなどのサポートが充実していなければ、「安物買いの銭失い」になるので、気をつけなければならない。
各保険会社の保険料から考える年齢別の適正額
自分の適正な保険料を検討するための参考データとして、世帯主の年齢別に、年間で払い込む保険料の統計値を以下に紹介する。
世帯主年齢 | 年間払込保険料 |
全体平均 | 37.1万円 |
29歳以下 | 21.5万円 |
30~34歳 | 26.2万円 |
35~39歳 | 38.2万円 |
40~44歳 | 34.8万円 |
45~49歳 | 37.5万円 |
50~54歳 | 43.2万円 |
55~59歳 | 43.6万円 |
60~64歳 | 38.4万円 |
65~69歳 | 43.6万円 |
70~74歳 | 33.7万円 |
75~79歳 | 31.4万円 |
80~84歳 | 28.6万円 |
85~89歳 | 35.8万円 |
90歳以上 | 25.6万円 |
35〜39歳の年齢層で平均値を超えるが、これは結婚・出産で経済的責任が増し、子どもの教育費を備え始める時期だからだろう。
45歳〜69歳の期間でも平均値を常に上回るが、家族への経済的責任に加え、老後への貯蓄を行っている時期だからと考えられる。
85〜89歳でもう一度保険料が上昇するが、相続税対策のため、終身保険に加入した影響と思われる。
この表から、各世代で予想されるライフイベントや必要性に応じて、必要な保障内容に対応した保険料を考えるべきといえる。
保険料を抑えるための具体的な方法
死亡保険の保障は減ることになるが、死亡保険金を抑えることができれば保険料も下げられるので、自分の保険金額が適正な金額かを確認してみよう。
以下の内容を確認し、自分が亡くなったときに給付されるものがあれば、その金額を死亡保険金額から差し引ける。
確認項目 | 説明 |
団体信用生命保険 | 自分が亡くなったときには、ローンの残金を保険会社が保険金で支払って完済してくれる 民間の金融機関の多くでは、この保険の加入が、住宅ローンの契約の前提になっている |
遺族年金 | 国民年金や厚生年金の被保険者が亡くなったとき、遺族に支給される公的年金 |
死亡退職金 | 自分が亡くなったときに、勤めていた会社から遺族に支給される 生命保険と同じく、「みなし相続財産」として扱われ、税制優遇がある(非課税枠内であれば相続税が課税されない) 勤務先の企業に退職金制度がない場合は、企業側は死亡退職金を支給する義務はない |
保険契約に付けている特約も、必要のないものや、他の保険と保障内容が重複しているものを外せば、さらに保険料は下がるだろう。
以下のような保険の重複がないか確認し、重複した内容があれば、保険内容を見直すべきだ。
- 医療保険を個別に契約している一方で、生命保険に医療特約や傷害特約をつけている。
- 子どもの教育費のために学資保険を契約している一方で、その分も含めた死亡保険金額を設定している。または生命保険の定期特約をつけている。
※定期特約:生命保険の契約期間のうち一定期間内で亡くなった場合に、一定額の保険金が主契約の死亡保険金に、加算され支払われる
定期死亡保険と終身保険との違い
終身保険でも、定期死亡保険と同じく、被保険者が亡くなったときに遺族が死亡保険金を受け取れる。
定期死亡保険の死亡保障は、契約時に取り決めた保険期間内に限られるが、終身保険では被保険者が亡くなるまで保障が続く。
これだけを聞けば終身保険の方が、定期死亡保険と比較して優れているように感じるかもしれないが、この保険にも欠点はある。
ここでは終身保険の概要や長所・短所を説明する。さらに定期死亡保険、終身保険、それぞれ適した人物像についても解説する。
終身保険とは
この保険では、被保険者が生前に保険料の払い込みを完了していれば、亡くなるまで死亡保障が得られる。
保険会社は、必ず支払いが発生する死亡保険金のため、保険料の一部を貯蓄しておく必要があるので「貯蓄型保険」に分類される。
保険を解約したときには、貯蓄している保険料を解約返戻金として、受け取ることもできる。
また急に金銭が必要になった場合には、保険会社から借り入れができる「契約者貸付制度」が利用できる。
この制度では、保険会社が貯蓄している解約返戻金を担保にして借り入れを行うため、保険を解約しなくてもすむ。
定期死亡保険との違い
終身保険は、定期死亡保険よりも、保険料が高い。
また生涯を通じて一定の保障額を約束する終身保険は、ライフステージに応じた経済的責任の変化に対応できない面もある。
例えば、経済的責任は子どもが生まれたときに増すが、独立したときには減る。
契約時に定めた終身保険の死亡保険金額は、生涯変わらないので、この保険金額では不十分な期間や多すぎる場合もある。
一方で定期死亡保険は、契約満期を迎えたときの生活状況に応じて、保険の見直しができる。
それぞれの保険に適している人
ここまで述べたように終身保険は、定期死亡保険の特徴と異なる点が多いため、それぞれの保険に適した人物像も異なってくる。
各保険について、向いている人物像をそれぞれ以下に整理した。
定期死亡保険、終身保険のいずれを選択すべきか、迷ったときの参考にしてほしい。
定期死亡保険に適している人物像 | 終身保険に適している人物像 |
とにかく保険料を抑えたい人 ライフステージに合わせて、保険内容を見直したい人 個人事業主(会社員と比較して遺族年金など公的保障が少なく、死亡退職金もないため、少額の保険料で手厚い保障が必要)など | 生涯にわたる安心感(保障)が欲しい人 遺産相続時の節税効果を活かしたい人 終身保険の貯蓄性を有効利用したい人(契約者貸付制度など)など |
定期死亡保険のメリットは保障の見直しのしやすさと保険料の低さ
本記事では、定期死亡保険の概要と保険料の相場、終身保険との違いを説明した。
この保険の長所は、比較的低価格で高い保障が得られることだ。そして、自己のライフステージに必要な保障額などから、最適な契約期間や保険料を考えることが重要だ。
しかし多くの保険商品から最適なものを選び出すには、豊富な知識と膨大な時間が必要となるため、一人で見つけ出すのは難しい。
最適な保険を短時間で選び出すために、一人一人に合ったアドバイスを与えてくれる生命保険のプロに相談することも必要だろう。
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