- 返戻率が何に影響するのかがわからない
- 返戻率が高い保険を選ぶべきか判断がつかない
- 返戻率の高い生命保険のランキングを知りたい
生命保険には、万が一のときの保障だけでなく、満期保険金が受け取れる商品や保険を解約した際に解約返戻金が戻ってくる商品など、さまざまな種類が存在する。
将来に向けた資産形成といった貯蓄を目的として保険に加入する場合は、返戻率は重要な指標の一つだ。
しかし、「返戻率の高さだけで選んでいいのか」「どの保険が返戻率が高いのかランキング形式で知りたい」という方も多いだろう。
本記事では、返戻率の正しい理解と活用法、返戻率でみる生命保険ランキングについて詳しく解説する。
これから保険選びをするあなたに、最適な選択を導くヒントを提供する。
生命保険の返戻率とは何か?
ここでは、返戻率に関して以下の3点を解説する。
- 返戻率の定義
- 返戻率が高いとはどういうことか
- 返戻率の算出方法
それぞれ見ていこう。
生命保険の返戻率の定義
返戻率とは、支払った保険料に対して、保険期間が満了した際に受け取る満期保険金額や解約した際に受け取る解約返戻金などの割合のことを指し、主に以下の商品で重要視される。
- 終身保険
- 養老保険
- 個人年金保険
- 学資保険
これらの商品は貯蓄性がある商品であるため、資産形成目的で加入されることも少なくない。
返戻率は、その保険がどれだけ資産形成に適しているかを判断するための指標ともいえるのだ。
生命保険の返戻率が高いとはどういうことか
返戻率は、100%未満だと元本割れ、100%を超えると支払った保険料よりも満期保険金や解約返戻金などの方が多いということを表している。
返戻率が高いというのは、それだけ支払った保険料に対して手元に返ってくるお金が多いということだ。
元本割れしない商品に加入するためには、返戻率が100%を超えているものを選択すると良い。
生命保険の返戻率の算出方法
返戻率は、以下の計算式に則って算出される。
例えば、受け取った金額が215万円、支払った保険料の総額が200万円だったとしよう。
このケースでは、返戻率は215万円÷200万円×100=107.5%となる。
保険会社によっては、会社HPの保険料シミュレーション等で返戻率が確認できる場合がある。
シミュレーションを使って複数社の商品の返戻率を比較して検討することがおすすめだ。
返戻率が高い生命保険のランキング
ここでは、以下の3点について解説していく。
- 2023年度返戻率ランキングトップ5の生命保険
- 返戻率が高い生命保険の特徴と魅力
- 保険選びのポイント
それぞれ見ていこう。
2023年度返戻率が高い生命保険ランキングトップ5
2023年度返戻率ランキングトップ5の生命保険(個人年金保険)は、以下の商品だ。
- 住友生命「たのしみワンダフル」
- 明治安田生命「年金かけはし」
- 第一生命「しあわせ物語」
- 日本生命「ニッセイ みらいのカタチ 年金保険」
- 富国生命「みらいプラス」
それぞれの商品の特徴と返戻率を比較してみたい。
商品の特徴
会社名 | 商品名 | 特徴 |
住友生命 | たのしみワンダフル | 月額保険料が15,000円以上の場合、受取率がアップする |
明治安田生命 | 年金かけはし | 告知がないため健康状態が悪くても加入できる |
第一生命 | しあわせ物語 | 29歳以下の場合は3,000円から加入できる |
日本生命 | みらいのカタチ 年金保険 | 加入後でも、年金の開始時期を60歳から65歳へ変更したり、年金の受取期間を10年から15年に変更したりすることが可能 |
富国生命 | みらいプラス | 年金の受取開始年齢を1歳刻みで設定できる |
どの商品も保険料の払込満了後に年金が一定期間(5年・10年・15年など)受け取れるという点には変わりはない。
しかし、保険会社によってより低額な保険料で加入できたり、加入した後であっても年金の開始時期や受取期間を変更できたりするなど、それぞれ特徴が異なる。
近年は定年延長などの影響で、いつまで働くか明確に決めてないという人も多いのではないだろうか。
そのような場合に、年金の受取時期を変更できる制度があれば、ライフプランに応じて柔軟に対応可能となる。
返戻率だけでなく、契約内容が柔軟に変更可能かという点にも着目して商品を選ぶことがおすすめだ。
返戻率
会社名 | 商品名 | 返戻率 |
住友生命 | たのしみワンダフル | 約109.7% |
明治安田生命 | 年金かけはし | 約105.9% |
第一生命 | しあわせ物語 | 約105.4% |
日本生命 | みらいのカタチ 年金保険 | 約105.3% |
富国生命 | みらいプラス | 約104.5% |
上記の返戻率は、30歳男性が65歳から10年間年金が受け取れる契約に加入した場合のものである。
5社全て返戻率が100%を超えているため、支払う保険料総額よりも年金で受け取れる総額の方が多くなることがわかる。
ただ、返戻率は加入時の年齢や支払う保険料、年金の受取開始時期などによって変動する。
実際に個人年金保険に加入する際には、さまざまなパターンで試算し、比較することが重要だ。
もし年金の受け取りを開始する前に解約してしまうと、支払った保険料総額よりも解約返戻金額の方が下回るケースが多い点には注意してほしい。
個人年金保険は、老後資金に備えるための大切な資産だ。ゆとりある老後生活を送るためにも、無理のない保険料で継続しよう。
返戻率が高い生命保険の特徴と魅力
返戻率が高い生命保険の特徴と魅力としては、資産形成におけるリスクが少ないことである。
保険料の払い込みが満了してから解約などをすることによって、元本割れのリスクを大幅に減らすことが可能だ。
また、死亡保障を兼ね備えている商品も多い。保険料の払込期間中に万が一のことが起きても、保障が受けられる点も魅力といえる。
一方、投資で資産形成を行う場合は、大きく元本割れする可能性もある。
元本割れのリスクを限りなく減らし、着実に資産形成していきたい方は生命保険の活用がおすすめだ。
生命保険選びのポイント
保険を選ぶ際には、以下の3つのポイントを意識しよう。
- 加入目的を明確にする
- 保険でいくら準備するべきか考える
- 返戻率を比較する
まず、保険への加入目的を明確にすることが大切である。自分に万が一のことがあったときのためなのか、将来の老後資金に備えるためなのか、加入目的によって選択すべき保険は違うのだ。
まずは生命保険の保障内容について理解し、必要な保障が何であるのかを把握することから始めると良いだろう。
加入目的が明確になったら、保険で準備すべき金額を考えよう。
万が一のときには、残された家族に対して遺族年金が支払われる。
老後資金としては、国民年金や厚生年金などの公的年金が支払われる。
ただ、受け取れる金額は、実際に必要と考えられる金額に足りないケースも多いはずだ。
万が一のことがあった場合や老後生活に向けて必要と考えられる金額を試算し、国から受け取れるお金を踏まえて、足りない部分を保険で備えるようにしよう。
また、資産形成を主の目的として保険に加入するのであれば、返戻率も比較する必要がある。
先述のとおり、返戻率は加入時の年齢や支払う保険料などによって変動する。
複数の商品を比較し、より返戻率が高い商品に加入することが大事だ。
これらを意識して、自分にあった保険を選んでほしい。
解約返戻金がある生命保険で注意すべきポイント
解約返戻金がある保険に加入する際に、注意すべきポイントは3つある。
- 早期解約はしないこと
- 返戻率を上げる方法
- 解約返戻金を受け取る際に税金がかかることがある
それぞれ解説していく。
生命保険の早期解約はしないこと
貯蓄性のある商品に加入する際に、一番気をつけなければならないのが早期解約をしないことである。
早期解約をすることで、支払った保険料よりも解約返戻金額の方が低い「元本割れ」の状態となってしまうケースがあるからだ。
保険には、契約管理や保険料の収納など、さまざまなコストがかかっている。
そのため、早期に解約すると「解約控除」といって解約返戻金から差し引かれることで、元本割れの状態となってしまう。
また、終身保険に加入する場合は、保険期間が経過するにつれて返戻率が上昇していくことが多い。
貯蓄性のある商品のメリットを活かすためにも、無理なく払い続けられる保険料で加入し、早期解約を防ごう。
生命保険の返戻率を上げる方法
返戻率を上げる方法としては、主に以下の2つが挙げられる。
- 払込終了までの期間を短くする
- 保険料の払込回数を減らす
払込終了までの期間を短くすることで、返戻率が上がることが多い。
例えば終身保険の場合、決められた期間(10年や60歳までなど)まで保険料を払い込む有期払いや、終身にわたって払い込む終身払いがある。
有期払いは短期間で一生涯の保険料を払い込むため、終身払いに比べて保険料が高い。
しかし、早期に払い込みを終えることで保険会社が運用できる金額が多くなることから、返戻率が高くなりやすいのだ。
また、返戻率を上げる方法として、保険料の払込回数を減らすのも一つの手だ。
保険料の払込方法には、以下の4つがある。
払込方法 | 払込回数 |
月払い | 年12回 |
半年払い | 年2回 |
年払い | 年1回 |
一括払い | 保険期間を通じて1回 |
同じ保障内容であっても、保険料の払込回数が減るにつれて保険料は安くなっていく。
そのため、返戻率が上がる要因となるのだ。
例えば、同じ保障内容・払込期間で払込方法のみを変更し、どれだけ返戻率に差がつくか比較してみよう。
保障内容・払込期間
30歳男性、死亡保険金額300万円、60歳払込終身
保険料・返戻率
毎回の支払保険料 | 払込満了までの払込総額 | 解約返戻率※ | |
月払い | 6,669円 | 2,400,840円 | 107.5% |
半年払い | 39,678円 | 2,380,680円 | 108.4% |
年払い | 78,543円 | 2,356,290円 | 109.5% |
出典:オリックス生命「保険料シミュレーション(終身保険ライズ)」
上記を見るとわかるとおり、払込回数が少なくなるほど払込満了までの払込総額が少なくなっていく一方で、解約返戻率は上がっていくのだ。
このような仕組みも念頭におきながら、貯蓄型の保険に加入する場合は保険料の払込期間や払込方法を判断しよう。
生命保険の解約返戻金を受け取る際に税金がかかることがある
解約したことによって解約返戻金を受け取る際には、税金がかかることがある点には注意しなければならない。
解約返戻金は、契約者(保険料の支払いを行う人)に支払われるため、一時所得となり所得税の課税対象となるのだ。
一時所得は総合課税であることから、他の所得と合計した金額によって、所得税の税率が変わってくる。
一時所得は、以下の計算式によって算出される。
課税対象となるのは、上記で算出された金額の1/2だ。
例えば、解約返戻金額が300万円、支払った保険料の総額が230万円だったとしよう。
この場合、(300万円−230万円−50万円)×1/2=10万円が課税対象となるのだ。
このように、返戻率が高い商品に加入した場合は、解約時に税金がかかるケースがあることは覚えておこう。
返戻率が高い生命保険のランキングはあくまでも参考程度に
本記事では、返戻率の概要から、返戻率でみる生命保険(個人年金保険)ランキングまで紹介した。
返戻率は、資産形成目的で保険に加入する場合に重要な要素の一つである。
しかし、保険に加入する際には、それ以外にも保険料や保険金額と契約内容とのバランスなど、さまざまな観点を複合的に判断して選ぶ必要がある。
ただ、保険には膨大な数の商品が存在するため、どの保険へ加入すべきなのか悩む方も多いだろう。
加入する保険に悩んだ際には、ランキングを参考に返戻率の高い保険を選んでみよう。
しかし、必要な保障は個人のライフステージやニーズによって異なるため、返戻率の高さだけで保険を選ぶべきではない。
そこでおすすめなのが、保険のプロへの相談だ。
数ある商品の中から、返戻率だけでなくその商品の特徴などを踏まえて、加入すべき保険の選び方をより具体的にアドバイスしてくれる。
一方で、保険のプロは全国にいるため、自分に合った保険のプロを見つけられるか不安な方もいるはずだ。
その際には「生命保険ナビ」を活用してほしい。
「生命保険ナビ」では、あなたの条件や意向にあった保険のプロを選べるサービスを提供している。
どの保険が自分にとって最適なのか、自信を持って選びたい方は「生命保険ナビ」のサービスをご利用いただきたい。お申し込みはこちらから。