- 生命保険に加入する必要性が知りたい
- 生命保険の基本的な種類や保障内容が知りたい
- 自分に適した生命保険に加入するためのポイントが知りたい
生命保険は怪我や病気などの万が一の際に生活費を保障してくれるものである。
加入を検討するにあたり、まずは保障内容について知っておきたいという人は多いはずだ。
そこで本記事では、生命保険に加入する必要性や保障内容について解説する。
また、自分に最適な生命保険を選ぶためのポイントも説明する。
生命保険の保障内容について知りたいという方には、ぜひ参考にしてほしい。
生命保険の保障内容とは?何のために加入するものなのか
生命保険文化センターが2021年12月に公表した「生命保険に関する全国実態調査」によると、生命保険の世帯加入率は89.8%であった。
85歳以上を除くすべての年齢階級で、加入率は70%を超えており、生命保険は日々の生活に密接に関わっているといえるだろう。
特に、世帯主の年齢別にみると「30~34歳」「40~44歳」「65~69歳」では90%を超えており、結婚や出産、老後といった節目のタイミングにおける加入率が相対的に高い水準になっていると考えられる。
では、生命保険はどのようなリスクに対して備えられて、どのような目的で加入するのだろうか。
本章では、生命保険の仕組みや保障ジャンル、生命保険を活用するべき人の特徴について解説する。
生命保険の仕組み
生命保険は「相互扶助」といわれる仕組みで成り立っている。「相互扶助」とは、互いに助け合うことを意味する。
つまり、大勢の人が支払ったお金を、万が一のことが起こった保険加入者の誰かに支払う形で助け合うシステムである。
一般的に、生命保険を契約すると、契約者は契約時に決められた所定の金額を、保険料として支払う。
契約者が支払った保険料は、保険会社が将来の保険金として確実に支払えるように積み立てておく。
契約後、万が一のことが生じた場合は、保険会社は積み立てていた準備金の中から保険金を支払う。
このように、お互いが助け合いながらリスクをカバーし合うモデルが生命保険である。
では、生命保険で受けられる保障や、生命保険を準備しておきたい人の特徴をそれぞれ解説する。
生命保険で保障されるリスク
生命保険は、いわゆる経済的な損失が生じやすいリスクに対して保障が受けられる。
一般的に、以下のリスクに対して備えられるので、確認しておきたい。
- 病気のリスク
- 病気やけがによる治療費の確保および収入が減少した場合の補てん
- 死亡のリスク
- 死亡した場合の身辺整理資金や遺族への生活費の補てん
- 介護のリスク
- 介護時の費用や施設入所費、家族への生活費の補てん
こうしたリスクは、自分を含めた家族の生活スタイルが大きく変わるリスクが高い。
また、蓄えていた貯金や資産を、切り崩してしまう可能性もある。
たとえば、世帯主が亡くなった場合、これまであった収入がなくなってしまうので、生活水準を下げるか、生活を維持するために貯蓄を切り崩さないといけなくなる。
そのため、配偶者や子どもに大きな負担がかかってしまうだろう。
こうしたリスクによる経済的な損失を回避するために保険に加入しておくと良い。
具体的に、それぞれのリスクには以下の保険で備える。
- 病気のリスク
- 医療保険・がん保険・特定疾病保険
- 死亡のリスク
- 終身保険・定期保険・収入保障保険・養老保険
- 介護のリスク
- 就業不能保障保険・介護保険
また、教育資金や老後資金など、将来の生活で必要になる資金をあらかじめ準備しておける保険もある。
教育資金の準備を目的にしている保険は「学資保険」、将来の老後資金は「個人年金保険」が該当する。
このように、リスクに対して備えられる保険も1つではなく数種類あるので、どのような目的で保障を準備するべきなのか、きちんと考えておく必要があるだろう。
では、生命保険を準備しておくべき人の特性や特徴について、解説する。
生命保険を利用すべき人の特徴
生命保険に加入すべき人の特徴としては「経済的な損失を自己資産でまかなえない人」「自己資産で経済的な損失をカバーすると家計の圧迫や生活苦に陥る可能性がある人」「目的をもって貯蓄や資産形成をしている人」が挙げられる。
治療費や介護費、遺族の生活費の確保など、経済的な損失を自己資金でまかなうことが難しい場合であれば、保険に加入する必要があるだろう。
また、自己資金でまかなえたとしても、生活の基盤が崩れてしまう可能性があるなら、保険を備えておく方が安心できる。
たとえば、病気の治療で仕事を休業して療養した場合、治療費は自己資金でまかなえたとしても、休業している間は収入が減少する。
収入が減少していると、これまでと同じ生活水準が維持できなくなり、家計が圧迫される可能性が高まるだろう。
最後に、教育資金や住宅購入資金、老後資金といった目的をもって貯蓄や資産形成している場合も保険に加入する必要性は高い。
治療費や収入が減少した分を自己資金から補てんする場合、それまでの貯蓄や資産形成をいったん中断するか、もしくは切り崩すリスクが高まる。
そのため、教育費や住宅購入資金、老後資金などの準備ができなくなり、ライフプランにも影響を与えてしまうだろう。
以上から、さまざまな経済的リスクをカバーするためにも、生命保険に加入しておくと良いだろう。
生命保険の種類と保障内容
生命保険は自分や家族の暮らしを守るための備えだが、種類によって保障できる内容や特徴が大きく異なる。
そのため、どのような保障が必要かを自身で考えて、さまざまな保険の種類の中から組み合わせて準備する必要がある。
本章では、保険種類で代表的な「死亡保険」「医療保険」「学資保険」の3つを取り上げ、それぞれの特徴や保険料を支払う方法、また保障期間といった基本的な内容について解説する。
死亡保険
生命保険文化センターが2023年3月に公表した「生活保障に関する調査」によると、死亡保険に加入している人の割合は、全体で79.8%となった。
男性は77.6%で、女性は81.5%と、傾向としては女性の割合が高くなっている。
死亡保険は、病気や事故などの事由によって亡くなった場合、もしくは高度障害状態に該当した場合に保険金が支払われる。
高度障害状態は、両目の視力や言語機能などが永久に失われている状態である。
具体的には、以下の状態に該当した場合が、高度障害状態に該当する。
番号 | 状態 |
---|---|
1 | 両目の視力を全く永久に失ったもの |
2 | 言語またはそしゃくの機能を全く永久に失ったもの |
3 | 中枢神経系または精神に著しい障害を残し、終身常に介護を要するもの |
4 | 胸腹部臓器に著しい障害を残し、終身常に介護を要するもの |
5 | 両上肢とも、手関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの |
6 | 両下肢とも、足関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの |
7 | 1上肢を手関節以上で失い、かつ、1下肢を足関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの |
8 | 1上肢の用を全く永久に失い、かつ、1下肢を足関節以上で失ったもの |
また、同じ死亡保険でも保障される期間や解約返戻金の有無によって、保険種類が異なる。
一般的に、死亡保険には以下の3つの種類がある。
- 終身保険
- 一生涯の死亡保障
- 解約返戻金あり
- 定期保険
- 一定期間の死亡保障
- 解約返戻金なし
- 養老保険
- 一定期間の死亡保障
- 解約返戻金あり
終身保険は、死亡保障が一生涯続くので、身辺整理資金として活用されやすい。
また、解約返戻金があるので、教育資金や老後資金といった、先々の資金を準備する目的でも契約される商品でもある。
定期保険は解約返戻金がない分、保険料が割安なので、手頃な保険料で保障を備えたい場合に適した商品である。
一定期間の間しか保障が受けられないので、子どもが経済的に独立するまでの期間や、配偶者が公的年金を受けるまでといった、手厚い保障が必要な期間だけ準備する保険として使われやすい。
養老保険は、定期保険と同じく保障は一定期間だが、満期を迎えると満期保険金が受け取れる商品である。
将来的にお金を受け取れる保険なので、将来の老後資金を準備しながら保障を持ちたい場合に適した商品といえる。
いずれの保険も、保険料は月払い、半年払い、年払いのいずれかで保険料を支払う。
また、商品によっては契約時に保険料をあらかじめ保険会社に先預けする「前納」や、保険料を契約時に一括で支払う「一時払い」も選ぶことができる。
どのような支払い方法が適しているかは、個別の商品や資産状況によっても異なるので、保険の専門家に相談してみると良いだろう。
医療保険
医療保険は病気やけがで入院した場合に保険金が支払われる。
病気やケガの種類を問わず保障されるので、病気全般の治療に必要な費用をカバーできる。
主契約の保障内容としては、入院給付金や手術給付金で構成されている。
保険会社によって、主契約に大きな違いはない。
一方、特約は保険会社の特徴が大きく異なるので、医療保険を選ぶ場合は、どのような特約が付加できるかも確認しながら検討すると良い。
医療保険も、保障が一生涯続く商品と、一定期間のみ保障が受けられる商品に分かれる。
また、保険料は掛け捨てのタイプと、解約返戻金があるタイプがある。
死亡保険と同じく、どちらのタイプが適しているかは、個別の商品や資産状況によっても異なる。
そのため、保険の専門家に相談して決めると良い。
学資保険
学資保険は、子どもの進学に必要となる教育資金を、前もって保険を使って準備する商品である。
学資金として保険からお金を受け取れるタイミングは商品によって異なる。
子どもが18歳になったタイミングでのみ支払われる場合もあれば、12歳や15歳といった、進学の節目で分割して受け取れる商品もある。
日本生命の「ニッセイ学資保険」で以下の条件をもとにシミュレーションすると、返戻率は104%となった。
- 契約者:30歳男性
- 被保険者:0歳
- 学資年金開始年齢:18歳
- 保険料払い込み期間:学資年金開始時まで
- 基準保険金:100万円
- 分割保険金:合計200万円
- 払込保険料総額:288万3600円
- 受取総額:300万円
- 返戻率:104%
このように、払い込んだ保険料の総額よりも増えて学資金を支払ってもらえる点がメリットである。
学資保険も死亡保険と同じく、保険料は月払い、半年払い、年払い、前納、一時払いのいずれかを選んで準備できる。
一般的に、月払いなどの分割払いより、一括して支払う一時払いのほうが返戻率は高くなる。
そのため、資産状況もみながらどの方法で準備すると良いか、専門家の意見も参考にしながら検討すると良いだろう。
自分に合った保障内容の生命保険を選ぶには
年齢や世帯の状況、また資産の保有状況によって、どのような生命保険を選ぶべきか異なる。
つまり、自分に適した生命保険の種類や形は、1人ひとり違ってくる。
適切な保険を選ぶためには、以下のポイントを踏まえて準備すると良いだろう。
- 自分に必要な保障内容を考える
- 保険期間や保険料を適切に設定する
- 若くて健康なうちに加入する
それぞれのポイントについて解説しよう。
自分に必要な保障内容が何かを考える
まずは、自分が置かれている世帯の状況を踏まえて、どのようなリスクに対して備えておくべきかを考えることが重要である。
独身の場合、配偶者や子供がいる場合など、世帯の状況でどの保障を優先すべきか変わってくる。
独身の場合は、公的医療保険では補えない治療費や身辺整理資金の確保が必要とされるが、配偶者や子どもがいる世帯では、病気の治療が長引いた場合の収入補てんや、貯金などを切り崩して家計を圧迫させないように生活費の補てんが必要になる。
必要な保障によって、準備するべき保険商品も異なるので、どのような保障が必要かよく把握しておく必要があるだろう。
まずは、保険の専門家にライフプランを依頼して、現時点、もしくは将来的に生じる可能性があるリスクへの備えが何か、確認してもらうと良い。
保険期間や保険料を適切に設定する
必要な保障が分かれば、保険期間や保険料とのバランスを考えると良い。
収入が低い若年層や、老後生活に入って年金生活を迎えた場合は、保険料が高額になりすぎないように、適切な範囲で保険を準備する必要がある。
そのため、保険料も家計を圧迫しない程度に準備できるか、検討しておくことが望ましい。
また、年齢の途中で保険料が上がるタイプの保険では、将来的に保険料を拠出できずに途中で解約をしてしまう可能性もある。
そのため、必要な期間は保険料が上がらずに保障を準備できる商品を中心に検討すると良いだろう。
いくら保障内容が良くても、保険料を支払い続けないと保障は継続できないので、保障と保険料のバランスを見ながら準備すると良いだろう。
なるべく若くて健康なうちに生命保険に加入するようにする
少しでも最適な保険を安く加入できるように、若くて健康なうちから加入を検討すると良い。
一般的に、生命保険は年齢が高くなると健康リスクや死亡リスクが高くなるので、保険料が高くなる。
また、健康状態が悪いと目当ての保険商品に加入できない場合もある。
実際に、はなさく生命の医療保険で同じ保障条件でシミュレーションすると、各年代で保険料が異なる結果となった。
年代 | 20歳男性 | 30歳男性 | 40歳男性 | 50歳男性 | 60歳男性 | 70歳男性 |
---|---|---|---|---|---|---|
保険料 | 1,269円 | 1,464円 | 2,064円 | 3,229円 | 4,789円 | 6,649円 |
保障内容 | ・入院給付金:5,000円 ・1入院あたりの支払日数の限度:60日 ・入院支払日数無制限特則の適用:3大疾病入院無制限 ・手術給付金の型:手術2型 ・放射線治療給付金:5万円 ・保険料払込期間:終身 ・先進医療特約:付加 ・保険料払い込み免除特約:3大疾病入院3型で付加 |
年齢が若くて健康だと、必要な保障をより数多く、自由に選択できるので、より自分に見合った保障内容を準備しやすい。
自分に必要な保障内容を理解して生命保険を選ぼう
本記事では、生命保険に加入する必要性や保障内容、最適な保険を選ぶためのポイントについて解説した。
生命保険は、相互扶助の精神で成り立つ仕組みで、さまざまなリスクに対して備えることができる。
約9割の世帯で加入している結果からも、独身や既婚といった世帯の属性や、年齢を問わず必要性が高いので、加入するべきだろう。
さまざまな種類があるので、契約する人の資産や世帯状況によって備えるべき保障も異なる。
しかし、なるべく若く健康なうちから生命保険に加入しておけば、最適な保険を割安な価格で準備できるだろう。
そのためにも、複数の会社の保険を比較しながら検討すると良い。
とはいえ、こうした保険選びは自分自身でできるものではない。
少しでも疑問や不安があれば、専門的なアドバイスを受けられる保険のプロに相談することをおすすめする。
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