- 資産形成方法としての個人年金保険のメリットとデメリットを理解したい
- 自分に適した個人年金保険の選び方が分からない
- 個人年金保険を資産形成に活用する方法を知りたい
高齢化社会と生活の長期化に伴い、公的年金だけでは経済的に安定した老後生活を送ることが難しくなってきている。
そこで資産形成の方法として注目されているのが個人年金保険である。
では、実際に個人年金保険を活用した資産形成はどのように行うべきなのだろうか。
そこで本記事では、個人年金保険で資産形成を行うメリットとデメリット、自分に適した個人年金保険の選び方、そして資産形成方法の具体例を解説する。
個人年金保険を資産形成に利用したいと考えている方は、ぜひ参考にしてほしい。
個人年金保険で資産形成を行うメリット・デメリット
個人年金保険を活用して資産形成を行う場合、どのようなメリットがあるのだろうか。
また反対に、どのようなデメリットに注意する必要があるのだろうか。
個人年金保険を使いこなすためにも、まずは商品の特徴や役割、他の資産形成方法との違いを詳しく理解しよう。
個人年金保険の役割と特徴
あなたの資産形成において、個人年金保険にはどのような役割が期待できるのだろうか。
そもそも個人年金保険とは、国が用意する公的年金とは別で、老後に備えることができる年金保険である。
契約時に定めた年齢に達すると年金を受け取ることができるほか、万一被保険者が年金を受け取る前に死亡した場合は遺族に対して死亡給付金が支給される。
自身の老後資金を準備するための運用という役割だけではなく、万一の際に給付金が支給されるという死亡保険のような側面を持っているのが大きな特徴だ。
日本では、国民皆保険制度のもとで対象者の公的年金への加入が義務付けられている。
老後や死亡・高度障害等の万一の際、互いに支え合うという考え方によって構築された制度であり、国民年金の場合は国内に居住する20歳以上60歳未満のすべての人が加入しなければならない。
また、会社員の場合は厚生年金保険にも加入し、保険料は会社と折半して支払う形が一般的である。
一方、個人年金保険は公的年金と異なり加入は任意である。また、商品によって保険料や予定利率、受け取れる年金額や年齢等は異なる。
個人年金保険の加入率は年代によってばらつきがあるが、最も多い50代では約4人に1人が加入している。任意加入でありながら、特に老後生活が近づく世代ではその重要性を認識している人が多いと言えるだろう。
個人年金保険と他の資産形成方法との違い
資産形成の方法は個人年金保険以外にも数多く存在する。
保険といっても個人年金保険だけでなく死亡保険や医療保険、がん保険、損害保険等、さまざまな種類があるが、大きく分けて投資と保険について比較検討する人も多いのではないだろうか。
投資には株式や債券、投資信託、不動産等を活用する方法があり、金融商品の選定は自身で行うこともできるが、金融のプロに任せて運用してもらうことも可能である。
たとえば、投資信託は一般投資家が資金を拠出し、プロのファンドマネージャーが集めた資金をもとに運用して得られた利益を配分する。
専門的な金融知識や経験がなくても手軽に資産運用を始められる手段として注目を浴びることも多い。
また、国が用意しているNISAを活用すれば、本来は約20%かかる運用益に対する税金が課されないなどのメリットがある。
なお、NISAは2024年に大きく制度が変わり、「新しいNISA」の本格的なスタートには大きな注目が集まっている。
投資で得る利益は自身が用意した資金規模に左右される。例えば年10%の利益が発生する場合、元手資金が100万円だと10万円の利益だが、1000万円あれば利益は100万円になる。
また、投資手法によってリスク・リターン値もさまざまだ。
積立投資で100万円の資金が急に1000万円になることはほとんどない。
個別株や暗号資産等への投資で資金が10倍・20倍となるケースもあるが、高いリターンを狙う場合は相応のリスクも受け入れる必要がある。
一方で保険の最大の特徴は万一の際の保障受けられることだ。たとえば、月5,000円の保険料で5,000万円の保険金が支給される死亡保険に加入したとする。
極論だが加入後すぐに被保険者が死亡した場合、ほとんど保険料を支払っていなくても5,000万円の保険金が支給される。これは一般的な投資にはないメリットだ。
そして、個人年金保険をはじめとする「貯蓄性のある保険」に加入すると、万一の保障に備えながら資産運用もできる。
また、金融商品の選定や実際の運用は保険会社が行う。
人件費や諸経費のことも考えると支払った保険料が全て運用に回るわけではないが、守りを固めながら将来に向けた資産運用ができる点は魅力的といえるだろう。
個人年金保険で資産形成を行うメリット・デメリット
個人年金保険のデメリットの1つに、途中解約すると元本割れリスクが高いため、引き出しにくいという点が挙げられる。
しかし、手軽に資金を引き出すことができないからこそ、貯金が苦手な方でも老後資金を貯められるというメリットもある。
また、保険料をただ支払うだけでなく、最大4万円が控除される生命保険料控除の対象となる点も見逃せない。
さらに個人年金保険の資産運用は保険会社が行うため、加入者自身が商品の選定や運用管理を行う必要はない。
相場の状況に一喜一憂する必要がないのも大きいだろう。
一方で、繰り返しにはなるが短期間で解約すると元本割れリスクが高い点は要注意だ。個人年金保険では支払った保険料が全額運用に回るわけではない。
人件費や諸経費、保険金の支払い準備等に充てる必要があり、それらを差し引いた分が運用に回る。
途中解約すると解約返戻金が想定よりも少ない可能性もあるため、できる限り途中解約をしない形で運用することが大切だ。
確かな資産形成のために!自分に適した個人年金保険の選び方
ここまでは基本的な特徴を解説してきたが、一口に個人年金保険といっても商品の種類は非常に豊富だ。
自分に合ったものを選びたいと思っても、何を意識すればいいのかわからないという方も多いだろう。
そこで続いては、多くの加入検討者が悩むであろう3つのポイントに絞って個人年金保険の選び方を解説する。
「入るプランを間違えた」などと後から加入した個人年金保険の内容を後悔することのないよう、一つ一つ確認していこう。
個人年金保険の保険料の支払い方法を比較する
個人年金保険を含めて各種保険に加入する際に最も気になるポイントの1つは保険料の支払いかもしれない。
保険料を払い込む期間や金額によって負担感は変化するが、加入後しばらくは固定費として支払いが発生し続けるものなので無視できない。
保険料の支払い方法は一般的に月払い、半年払い、年払い、加入時に全額払い込む一時払いの4種類が存在する。
保険料総額は支払い方法によって変化し、まとめて払うタイプの年払いや加入時の一括払いを選択すると割安になることも少なくない。
無理して保険料を支払い、途中で資金繰りが悪化して自身が意図しない形で解約せざるを得ない状況になれば本末転倒だ。
そのため保険料の支払い方法は自身の支払い余力と相談のうえで決めることをおすすめする。
割安になるという理由のみで年払いや全額一時払いの選択はおすすめできない。
食費や水道光熱費、住居費、通信費等を含めて私たちは日々さまざまな支払いを行っている。
そのような中で保険料負担が過度に重くなると他の項目の支払いが困難となるおそれがある。
個人年金保険の年金の受け取り期間を比較する
年金の受け取り方法は大きく分けて一括と年金形式の2種類が存在する。
一括で受け取ると使い込んでしまうリスクがあるため、自身のニーズや価値観、考え方等を総合的に考慮して判断しよう。
年金の受け取り方によって課税方法が変化する点も注意しよう。
一括で受け取る際は一時所得となるが、年金形式で受け取ると雑所得扱いとなる。
いずれも総合課税で給与や事業所得等と合算したうえで課税金額が計算される。
個人年金保険の定額型と変額型を比較する
個人年金保険には「定額個人年金保険(定額型)」と「変額個人年金保険(変額型)」がある。
定額型の最大の魅力は、契約時に将来受け取れる年金額を把握できることだ。
契約時に決められた予定利率で運用され、万一契約者にとって不利な相場状況となったとしても、もらえる年金額が保証されるのは最大のメリットといっても過言ではないだろう。
低リスクで運用でき将来の生活設計も立てやすいがインフレに弱いデメリットもある。
将来受け取れる年金額が決まっている点は嬉しいが、価値まで保障されているわけではない。
そのため、今後インフレが発生して物価が上昇すると年金価値が目減りする可能性がある。
一方で変額型は通常の投資の場合と同じように、契約者自身が選んだ金融商品を運用して実績によって年金額が変わるものだ。
定額型のように将来受け取れる年金額が分からないデメリットがある一方で、運用状況次第では、もらえる年金額が大きく増える可能性もある。
受け取れる年金額が固定されるわけではないため、インフレに強いメリットもあるのが大きな特徴だ。
個人年金保険を利用した資産形成で実践するべき戦略
個人年金保険を利用する場合、どのように戦略を立てて資産形成を行えばいいのか。
ここでは個人年金保険を活用する際に意識したいポイントを3つ挙げる。
自分のライフプランに合わせて個人年金保険を活用する
個人年金保険は文字通り「私的年金」を構築するための手段である。
国民年金や厚生年金等の公的年金は基本的に65歳から受け取り開始となるが、個人年金保険も同様に60歳以降の受け取りが想定される。
場合によっては数十年単位で加入し、保険料も長期間にわたって払い込むことが想定される。
ただし、期間中に結婚や子育てなどでライフステージが大きく変化し、それに伴い家計の見直しをする必要性が出てくることも十分に考えられる。
また、自身のライフプランだけではなく、世界情勢の変化や金融危機等の発生により運用成績が著しく悪化する可能性もゼロではない。
そのため、加入期間中に起こり得る環境の変化もある程度見越したうえで活用することが非常に重要だ。
もちろん、ライフプステージの変化や起こり得るリスクの内容を完全に予測することは現実的ではない。
ライフプランに変更があることを前提に、個人年金保険の加入や活用も検討する必要があるということだ。
実際にどの程度の資産成長が見込めるのか、個人年金保険を活用した資産形成のシミュレーションなども活用しながら、戦略を立てることも重要となるだろう。
なお、個人年金保険は長期加入が前提だが、いざというときは途中で解約も可能だ。
その際、解約返戻金が保険料総額を下回る「元本割れ」のリスクには要注意だが、万一の際に引き出しが可能な点は見逃せないポイントである。
個人年金保険とiDeCoを併用した資産形成をする
個人年金保険とよく比較されることが多いのがiDeCo(個人型確定拠出年金)である。
どちらも私的年金の構築が目的の手法だが、資金に余力がある場合は併用もおすすめだ。
iDeCoの最大のメリットは掛金が全て所得控除され、運用益も非課税となることだ。
一方で一旦始めると原則60歳まで引き出しができないデメリットもある。
どの金融商品で運用を行うのか自身で選定して状況に応じて見直しを行う必要がある。
運用商品はしっかり決める必要があるが、非課税の恩恵がありインフレや景気動向の変化に対応しやすいのは大きなメリットだ。
個人年金保険とiDeCoを併用する際は、それぞれのデメリットや弱点を補う形で運用するのもおすすめだ。
例えば契約時に将来受け取れる年金額を把握できる定額型の個人年金保険に加入して守りを固めつつ、iDeCoで積極的にリスクをとって運用し、インフレの弱点をカバーするのも1つの方法だ。
個人年金保険を節税対策として活用する
個人年金保険の保険料は生命保険料控除の対象となる。
一定の要件を満たすと個人年金保険料控除の適用も受けられ、所得税は最大4万円控除される。
単に保険料を支払うだけでなく節税対策もできるのは嬉しいポイントだ。
個人年金保険を利用した資産形成には正解がない。
自身のライフプランやリスク許容度によって臨機応変に対応することが重要である。
個人年金保険での資産形成方法を理解して自分にあった商品を選ぼう
本記事では、個人年金保険で資産形成を行うメリットとデメリット、自分に適した個人年金保険の選び方を解説した。
また、実際の資産形成方法についても紹介した。
個人年金保険は、安定して資産形成が可能な点や税金の控除が受けられるメリットがある一方、インフレ下では資産価値の目減りを引き起こす可能性もある。
そのため、個人年金保険を利用した資産形成をする際には自分の生活状況を踏まえ、その適性や他制度との併用などを勘案すると良いだろう。
もしこれらの判断にまよったら、保険のプロに相談することも検討してみよう。
一人一人に合ったアドバイスをもらうことで、自分にとって適切な資産形成の手段を判断することができるはずだ。
また、全国の保険のプロから自分に合った担当者を探す際には「生命保険ナビ」の活用をおすすめする。
「生命保険ナビ」は、自身の条件に合った保険のプロを簡単に見つけることができるマッチングサービスである。
気になった担当者とは無料相談もできるので、是非活用してほしい。