- 医療保険の入院給付金をいくらに設定すべきかわからない
- 医療保険の入院給付金について知りたい
- 入院中にどれくらいの金額を自己負担する必要があるのか知りたい
少子高齢化が進む日本では、老後の生活に備え医療保険への加入を検討する人が増えてきている。
医療保険に加入すると、入院時にはあらかじめ決められた金額の入院給付金が支給される。
では、給付金の日額をいくらにするべきなのだろうか。
そこで本記事では、入院中の自己負担額の目安や適切な入院給付金の設定方法について解説する。
入院給付金の概要についても改めて解説するので、入院給付金の設定金額を悩んでいるという人には、ぜひ参考にして欲しい。
医療保険の入院給付金の概要
民間の医療保険に加入すれば、所定の条件に該当すれば入院給付金が支給される。
公的医療保険ではカバーできない治療費用や入院費用に備えたい場合は、民間医療保険の入院給付金が頼りになる存在となる。
多くの保険会社がさまざまな医療保険を販売し、多くの広告を打っているため、「入院給付金は入院したときにもらえるお金」というイメージを持っている方も多いだろう。
まずは、民間医療保険の入院給付金の概要について解説する。
入院給付金の定義
入院給付金とは、保険契約者が入院したときに受け取れる給付金だ。
一般的に医療保険のベースとなる保障で、「入院1日あたり〇円」「最大〇日まで保障」のように、契約内容に沿って給付金が支給される仕組みとなっている。
一般的に、入院給付金は長期的な入院に伴う医療費負担の増大に備えるものだが、近年は、日帰り入院から保障してくれる医療保険も増えている。
公的医療保険では保障されない先進医療の技術料や差額ベッド代、日用品などの費用を工面したい場合は、医療保険の加入を検討するといいだろう。
「もし入院したら費用を払えるか不安がある」「十分な貯蓄がないから、万が一のケガや病気に備えておきたい」と考えている方にとって、医療保険は頼れる存在といえる。
入院給付金を得るための条件
入院給付金は、ケガや病気で入院したときに保険会社から支払われる。
入院給付金を受け取れる事由となるのは、「ケガや病気の治療」を行うことを目的に入院したときだ。
基本的に、ケガや病気で入院することになったら、契約時に告知義務違反などをしていない限り「給付対象となる」と考えて差し支えない。
入院給付金を受け取れる条件は、各保険会社の医療保険によって異なる。
一般的に、1回あたりの入院給付金支払限度日数と一日あたりの給付金額を契約時に決定し、契約内容に即して支払われる。
医療保険の中には、生活習慣病や三大疾病など、特定の病気で入院した場合には「支払限度日数が無制限」となるものもある。
医療保険と一口に言っても、保障内容や契約者が選択できる範囲は保険ごとに異なるため、自分に合った保険を選ぶことが大切だ。
また、1日ごとに入院給付金ではなく一時金で給付金を支払うタイプの保険もある。
「入院日数に関係なく、医療費用に備えたい」と考えている場合は、一時金が支払われるタイプの医療保険を探すといいだろう。
入院給付金が保障対象外になる場合とは
入院給付金は、ケガや病気の治療を行う目的の入院が保障の対象だ。
そのため、単なる健康診断や美容目的の治療である入院では、入院給付金は支払われない。
出産に際する入院で、正常妊娠や自然分娩の場合も支払いの対象外となっている点には注意しよう(帝王切開や子宮外妊娠などは対象)。
ほかにも、支払事由の原因が保険契約前に発生している場合や、保険会社から「告知義務違反があった」と判断された場合も、入院給付金は支払われない。
入院給付金は、契約時に「入院〇日目から保障」「保障日数は〇日まで」という上限が決まっている。
もし上限を超えて入院した場合は、超過分については入院給付金が支払われない点に注意したい。
多くの入院給付金は「1回の入院」で区切って考える。
ただし、2回以上の入院をした場合でも、入院の原因が同じケガや病気と判断されたら「1回の入院」とみなされ、支払限度日数を超過する入院に対しては保障の対象外だ。
他にも、各保険会社の医療保険によって条件が設けられている。
契約前にきちんと内容を確認し、「どのような場面で保険金を受け取れるのか」を把握することが大切だ。
入院時の自己負担額の目安とは
民間に医療保険への加入を検討している方の中には「入院したら、どれくらいの費用が必要になるんだろう?」という疑問や不安を持っている方も多いだろう。
医療保険に加入するか判断する際には、「入院費用はいくらかかるのか」「貯蓄でまかなうことができるのか」を検討することが欠かせない。
以下で、入院時の自己負担額の目安について解説する。
公的医療保険の保障範囲
公的な医療保険で保障されるのは、保険医療機関である病院やクリニックなどで受ける治療だ。
また、医師の処方箋に基づいて保険薬局から薬を購入するときも、公的医療保険の保障に含まれる。
風邪をひいて医療機関を受診し、薬局で薬を処方してもらった経験は誰しもがあるだろう。
医療機関で医師の診察を受けたとき、薬を購入するときは公的医療保険が適用され、自己負担割合が原則3割となっている。
日本は国民皆保険を敷いているため、誰しもが何らか公的医療保険に加入している。
「国民健康保険」「健康保険組合」など名称は違えど、基本的に公的医療保険に加入しているため、一般的な医療機関において診療・治療を受ける場合は自己負担が抑えられている。
なお、公的医療保険の保障範囲はあくまでも「ケガや病気の治療」だ。
視力を高めるためのレーシック手術や、美容関連に関する処置を受けても公的医療保険の保障範囲外となっている。
入院費用で自己負担が必要な項目
入院したときも、点滴や医師の診療行為などは公的医療保険の対象となる。
しかし、以下のような支出は公的医療保険の保障範囲外で、全額自己負担となる。
- 差額ベッド代
- 先進医療の技術料
- 食事代
- 交通費
- 日用品・消耗品
特に、差額ベッド代は病院によって差があるものの、1日あたり1万円を超えるケースも少なくない。
備品が充実している個室を利用する場合は、1日あたり5万円近くすることもある。
他にも、着替えをはじめとした日用品・消耗品に関する費用も、治療とは関係ないため公的医療保険では保障されない。
入院日数が長引くほど費用がかさむため、もし「入院したらリモートワークできる個室を利用したい」「入院に備えられる十分な貯蓄がない」場合は、医療保険に加入して備えたほうが安心だ。
なお、詳しい医療保険の保障内容については下記の記事でも解説しているので、気になった方はぜひ参考にしてほしい。
入院費の自己負担額平均値
公益財団法人生命保険文化センターが行った「令和4年度 生活保障に関する調査」によると、令和4年から過去5年の間に入院した人の「直近入院日数」平均は17.7日だった。
また、入院に関して支払った自己負担額の平均は19万8,000円だった。
なお、支払った自己負担費用の割合は下記のとおりだ。
- 5万円未満:9.4%
- 5~10万円未満:26.5%
- 10~20万円未満:33.7%
- 20~30万円未満:11.5%
- 30~50万円未満:10.1%
- 50万円以上:8.8%
「入院したら、平均で20万円くらいの費用が必要になる」という、ざっくりとしたイメージを持っておこう。
もちろん、症状によっては入院日数が伸びる可能性もあり、病院の個室料金によってはさらに費用がかさむ可能性がある。
ケガや病気による入院は、いつ起こるかわからない。「不意のタイミングで、いきなり20万円近く飛んでしまうのは痛い」と感じる方は、医療保険に加入して備えるといいだろう。
適切な入院給付金の設定方法とは
「公的医療保険に加えて民間の医療保険も必要」と判断したら、次に「入院給付金をいくらに設定するべきか」を考える必要がある。
入院給付金を高く設定すると保険料も高くなってしまうため、闇雲に高い入院給付金を設定するべきではない。
逆に、入院給付金が低すぎると万が一の際に備えが不十分となることもある。
以下で、適切な入院給付金の設定方法や考え方について解説する。
貯蓄と公的医療保険の不足分を計算しておく
現在の貯蓄状況と公的医療保険で給付を受けられる内容を鑑みて、不足分を計算しよう。
すでに十分な貯蓄があり「いつ入院しても問題なく対処できる」という人の場合、そもそも民間の医療保険は必要ない。
十分な貯蓄がない人は、公的医療保険の給付内容を確認しよう。
保険診療であれば自己負担額を3割に抑えられることにくわえて、1カ月の医療費負担に上限を設ける「高額療養費制度」がある。
高額療養費性があるおかげで、例えば年収500万円の人であれば、1カ月の間にどれだけ保険診療を受けても「自己負担額が8万円~9万円程度」に抑えることが可能だ。
また、勤務先の健康保険に加入している場合、4日以上継続して就労できない状況に陥ったときに「傷病手当金」が支給される。
「給料の約3分の2」が支給される手当で、働けずに収入が得られないときの頼れる保障と言えるだろう。
これらの公的医療保険の給付内容を鑑みたうえで、「さらに民間の医療保険が必要」と判断したら、医療保険の加入を検討しよう。
入院給付金を決める際には、どの程度の保障があれば安心できるかを軸に考えればいい。
例えば、10日間の入院をした場合、受け取れる入院給付金は下記のとおりだ。
- 5,000円の場合:5万円
- 1万円の場合:10万円
- 1万5,000円の場合:15万円
「ある程度の貯金はある」という人の場合は入院給付金が5,000円で足りる可能性がある。
一方で、「もし明日入院することになったら、費用を賄えない」という人は、入院給付金を1万円にする塩梅だ。
保障対象となる傷病の入院期間を確認する
傷病や症状によって、入院期間は異なる。「どのような傷病で何日くらい入院するのか」という情報を知っておくことも大切だ。
公益財団法人生命保険文化センターが2020年9月1日~9月30日に退院した人を対象に行った調査によると、傷病別の平均入院日数は下記のとおりだ。
- 結核:59.5日
- 胃の悪性新生物:22.3日
- 結腸及び直腸の悪性新生物:16.4日
- 肝及び肝内胆管の悪性新生物:20.8日
- 糖尿病:30.6日
- 統合失調症等:570.6日
- アルツハイマー病:273.0日
- 心疾患:24.6日
- 脳血管疾患:77.4日
傷病によっては、1年以上にわたって入院していることもある。傷病や症状の度合いによって入院日数は異なるものの、「自分はどのような疾患に備えるべきか」を考えることも大切だ。
もちろん、正確に予測することは難しいが、普段の生活習慣や遺伝的な要素を鑑みてリスクが高い傷病や疾患を考えよう。
「自分は大丈夫」と思わず、客観的に見て分析することが大切だ。
保険料と家計のバランスを考える
保険料と家計のバランスを考えることも大切だ。
入院給付金日額が高ければ高いほど安心できるのは間違いないが、保障を手厚くすると保険料も高くなる。
保障を手厚くしすぎて保険料が高くなった結果、家計を圧迫するのは問題だ。
普段の生活の質を落としてしまうのは問題なので、保障内容だけでなく保険料に関しても注意を払おう。
そのため、普段の家計状況や収支状況についても意識を向けることが大切だ。
普段の支出管理を行い「保険料がいくらまでなら余裕をもって払える」と、経済的な余力を把握・イメージすることが欠かせない。
医療保険と一口に言っても、保険会社ごとに保障内容やカスタマイズ性が異なる。
同じような保障内容でも保険会社ごとに保険料が異なるため、事前に比較検討とシミュレーションを行おう。
多くの保険会社がある中でも、ネット保険は運営に関するコストを省いている関係から、安い保険料を実現している。
「できるだけ保険料を抑えたい!」と考えている方は、ネット保険の活用を検討しよう。
また、自分だけで最適な保険を選べない場合は、保険に詳しいプロフェッショナルに相談することも検討しよう。
家計状況や家族構成を踏まえて、備えるべきリスクや必要な保障額を分析してくれるため、有益なアドバイスを聞けるだろう。
まとめ
本記事では、入院中の自己負担額の目安や適切な入院給付金の設定方法について解説した。
医療保険に加入すると、入院した際には契約時にあらかじめ定められた金額の入院給付金が所定の期間に渡って支払われる。
これは入院中の自己負担額を賄うものであり、適正額は個人の貯蓄と公的医療保険の不足分をもとに決める必要がある。
そのため、一人で適切な入院給付金の金額を決める自信がないという人は、保険のプロに相談することも検討しよう。
一人一人に合ったアドバイスをもらうことで、必要な入院給付金の額も判断することができるはずだ。
また、保険のプロは数多く存在し、その中から自分にとって最適な担当を見つけるのは難しいだろう。
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