- がん保険の特約について理解したい
- どの特約が自分に必要なのかわからない
- 自分に適したがん保険を見つけたい
がん保険に加入している方や検討している方の中で、特約についてあまり把握できていない方は多いのではないだろうか。
本記事では、「特約をつけるべきなのか」また「どの特約を選べばよいのか」といった疑問に対して解説を行っていく。
また、自分に合ったがん保険の選び方についても述べるので、あなたががん保険に加入したり、見直す際の参考となれば幸いだ。
がん保険の特約とは
がん保険に限らず保険は主契約と特約の組み合わせで保障内容が決まる。
主契約とは保険の主たる契約で基礎・土台と言える部分だ。一方、特約は主契約に付加できる契約のことだ。
オプションと考えれば分かりやすいだろう。ただし、特約は基本的に単独での契約はできない。
料理で例えるならトッピングだけを頼めないのと同じだ。
がん保険加入の際には主契約以外にも特約でどのような保障を追加するべきかを考える必要がある。
自分に合ったがん保険の契約をするため、まずは以下の3つを押さえよう。
- がん保険の主契約
- がん保険の特約
- がん保険の特約の必要性
がん保険で納得のできる契約をするためには、主契約と特約、それぞれの関係と特約の必要性を理解することが必要だ。
がん保険の主契約
がん保険とは保障対象をがんに絞った保険のことだ。
保障の主な内容は、がんの入院日数の短期化に伴い以下の2種類が主流となっている。
- 治療給付金型・・・治療の度に給付金を受け取れる
- 診断一時金型・・・がんと診断されると給付金を受け取れる
この2つのうちのどちらかを主契約として選ぶことが多い。
例えば、SOMPOひまわり生命のがん保険「健康をサポートするがん保険 勇気のお守り」では「がん治療給付型」と「がん診断給付型」の2種類のうちどちらかをを最初に選ぶシステムだ。
FWDがんベスト・ゴールドのように主となる保障が診断給付金型のみの保険もある。
このような保障の土台となる契約が主契約だ。がん保険加入の際には、この2つのうちのどちらかを主な保障として選ぶことが多い。
長期間の治療に備えるなら治療給付金型、貯蓄が少なく最初にまとまった給付金を受け取りたいなら診断一時金型を選ぶと良いだろう。
しかし、がんの入院日数が短期化しているとはいえ「入院に備えて給付金は受け取りたい」「女性特有のがんにもっと手厚く備えたい」など、他にもがんに関する備えを充実させたいと考える方も多いのではないだろうか。
また診断一時金も治療給付金も両方、受け取れるようにできないかという人もいるかもしれない。
主契約だけでは備えられないリスクは多い。そこで活用するのが、特約というわけだ。
がん保険の特約
特約とは、主契約だけでは備えられない保障を付加できる契約のことだ。
がん保険はがんに特化した保険で、がんに備えるための特約が他の医療保険などに比べて充実している。
例えば、主契約で診断一時金型を選んだ人でも、治療給付金が都度おりる契約を特約でつければ、長期にわたる治療費も補うことができる。
他にも、がんによる入院費に備える特約をつければ入院にかかる費用の備えもできる。また、女性特有のがんが心配なら、女性のがんに厚く備える特約をつければよい。
ただし、特約に関しては以下の3点に注意してほしい。
- がん保険によって選べる特約の種類も数も違う
- 主契約を終了し特約だけを残すことはできない
- 特約をつけるほど保険料がかかる
がん保険の特約に限った話ではないが、特約は保険によって選べる種類も数も違う。
そのためがん保険の保障内容を細かく決めたい場合、特約についても事前に確認したほうが良いだろう。
また主契約だけを終了して特約だけを残すことはできないことも事前に押さえておきたい。
そして、特約で保障を広く手厚くするほど月々の保険料の負担は増えてしまう。
そのため本当に必要な特約に絞ってつけるようにしよう。
なお、医療保険に特約をつける形でがんのリスクに備える方法もある。どちらが良いか迷っている方がいれば、下記医療保険のがん特約についてまとめたこちらの記事を参考にしてほしい。
がん保険の特約の必要性
がん保険では主契約だけでは備えられないことが多い。
しかし、特約を組み合わせることで自分が本当に必要な保障を補うことができる。
また、特約がそれぞれ独立していれば不必要な保障を選ばずにすむ。がん保険で備えたいリスクは人それぞれだ。
人によって必要な保障があれば不要な保障もある。特約のおかげで必要な保障に対してのみ保険料を支払って備えられる。
また、特約があるからこそ不要な保障に対して保険料を負担せずにすむ。
特にがんは自由診療、先進医療を選ぶかどうか、まとまったお金を受け取るべきかどうか、入院に備えるかどうかなど人によって考え方が異なる上に、選択しなければいけないことが多い。
特約はがん保険を柔軟に活用するためには欠かせない。
がん保険ではどの特約を選べば良いのか?
がん保険には様々な特約がある。保険会社によって特約の名称、選べる種類、内容などは様々だ。
そのため、最終的には加入する保険ごとに特約を確認する必要がある。
しかし、代表的な特約は限られているので保険を選ぶ際の参考になるはずだ。
- がん診断給付特約
- 抗がん剤・ホルモン剤治療給付特約
- がん入院特約
- がん手術特約
- がん収入サポート特約
- がん保険料免除特約
- がん先進医療特約
- 外見ケア特約
- がん緩和療養(ケア)特約
- 女性がん手術特約・入院特約
- がん通院治療特約
特約の名称や内容など保険会社によって少しずつ違いはあるが、一つの例として参考にしてほしい。
がん診断給付特約
がん診断給付特約は、がんと診断された場合に給付金が受け取れる特約だ。
保険会社によっては、がん診断一時金特約などとなっていることもある。
例えば、SOMPOひまわり生命の「健康をサポートするがん保険 勇気のお守り」のケースで考えてみよう。
この保険は主契約を治療給付金型か診断一時金型を選ぶ。
その際に主契約を治療給付金型にした場合、この特約をつけるかどうか選ぶことが可能となっている。
治療の度に給付金を受け取るだけでなく、まとまった一時金も受け取りたい場合にこの特約をつける。
この特約は主契約を診断一時金にすると選べない。理由は主契約と保障内容が被ってしまうためだ。
まとまった給付金は目先のがんに関わる様々な出費の備えになり、特に貯蓄が少ない人の助けとなる。
一時金の額は特約次第だが50万円、100万円などから選べる。
保険選びの際には1年に1回が限度なのか、2年に1回が限度なのかも確認しておきたい。(「健康をサポートするがん保険 勇気のお守り」は年に1回)
抗がん剤・ホルモン剤治療給付特約
抗がん剤・ホルモン剤治療給付特約は、抗がん剤やホルモン剤治療を受けた場合に給付金を受け取れる特約だ。
「健康をサポートするがん保険 勇気のお守り」の場合、公的医療制度の対象となる抗がん剤やホルモン剤治療を受けると該当する月ごとに給付金を受け取れる仕組みだ。
例えば支払い事由該当月ごとに10万円が受け取れる。
このケースでは主契約で治療給付金型だと特約として選べない。
理由は治療給付金型の保障内容と本特約の内容が一部、被ってしまうためだ。主契約次第で選べない特約がでてくるのは他のがん保険でも同じだ。
診断一時金型の主契約を選んだ場合でも、治療が長期化してしまうことがある。
通院・在宅での治療が長引く抗がん剤、ホルモン剤の治療に備えたい場合におすすめだ。
がん入院特約
がん入院特約はがんによって入院したときに給付金を受け取れる特約だ。
例えば入院1日ごとに5,000円、10,000円などの給付金が受け取れる。がんは入院日数が短期化している傾向がある。
そのため入院保障を特約としてオプションで選べるようにしている保険が増えている。
診断と通院治療に特化した保険が増える中、入院にも備えたい人は、こちらの特約を検討しよう。
がん手術特約
がん手術特約は、所定の手術を受けた際にがん手術給付金を受け取れる特約だ。
この特約は入院給付金とセットで考える特約だ。保険会社によっては、がん特定手術特約など名称が異なる。
手術に応じて「入院給付金×10倍、20倍、40倍」などと表記されることが多い。
例えば入院給付金が1日5,000円で10倍の手術を受けたら50,000円が支払われる。
手術給付金が主契約に含まれていない場合は、この特約で備えると良い。
例えばプルデンシャル生命のがん保険では、新生物根治放射線照射で10倍、悪性新生物根治手術で40倍などと設定している。
がん収入サポート特約
がんによる収入減に備える特約が「がん収入サポート特約」だ。がんと診断されると自営業ならば廃業に追い込まれたり、会社員でも退職を余儀なくされたりすることがある。
収入減のリスクに備えるならこの特約がおすすめだ。
FWD生命の「FWDがんベストゴールド」はこの特約を取り扱っている。
契約に応じて月5万円〜15万円を12回受け取れる。収入減に備える特約は取り扱っていないがん保険が多いが、保険によってはこのような特約も選べる。
がん保険料免除特約
がんと初めて診断されたら保険料の払い込みが免除される特約だ。がんになったら収入が減って月々の保険料も家計の負担になってしまう。
しかし、がん保険料免除特約をつけておけば、がんに罹っても保険料を負担せずにすむ。
例えば、がんと診断されたら収入が途絶えてしまい貯蓄もないというケースなら、この特約をつけておくと安心だ。
がん先進医療特約
がん先進医療特約は、がんを原因とした先進医療を受けたときに給付金が受け取れる特約だ。
先進医療とは厚生労働省が認めた高度な医療技術のことで、がんや難病に対する新しい治療法や手術、検査などが含まれる。
先進医療は、公的医療保険の対象にするかどうか検討している段階なので、技術料は全額自己負担になる。
仮に保険診療対象の治療ならば治療費が100万円かかっても高額療養費制度で10万円以下の自己負担で済むことが多い。
しかし、保険診療対象外だと100万円を負担しなければならない。
SOMPOひまわり生命の「健康をサポートするがん保険 勇気のお守り」の「新がん先進医療特約」ならば、通算2,000万円までが保障され、1回の療養につき15万円のがん先進医療支援給付金まで受け取れる。
外見ケア特約
がんの治療をすると髪の毛などの体毛が抜けてしまうことがある。
帽子、かつら、ウィッグなどが必要になることもあるのではないだろうか。
実はこのような外見ケアにかかる費用に備えられる特約もある。
例として外資系の生命保険会社アフラックの「新がん保険」「スーパーがん保険」の外見ケア特約が挙げられる。
がん治療で頭髪に脱毛症状が生じたと診断されると10万円が支払われる。
また、顔や頭部に生じたがんの摘出や手指、足指の第一関節以上の切断ならば20万円が支払われる。
がん緩和療養(ケア)特約
緩和ケアとは、がんに伴う心身の辛さを和らげるための取り組みのことだ。がん緩和療養特約をつけておけば、
所定の緩和療法・ケアを受けた際に給付金を受け取れる。
例えばメディフィットがん保険では、緩和ケアにかかる費用を月額で最大24回を限度に保障できる特約が用意されている。
支払い事由は以下の通り。
- オピオイド鎮痛薬による薬剤治療または神経ブロックを受けられたとき
- 緩和ケア病棟入院料、緩和ケア診療加算、有床診療所緩和ケア診療加算が算定される入院
- 在宅患者診療・指導料が算定される在宅医療
緩和療法の費用に不安を感じている方は、こちらの特約を検討してみよう。
女性がん手術特約・入院特約
女性特有のがんに備えられる特約もある。例えば、女性がん手術特約は、女性の特定のがんの手術を受けたときに給付金が支払われる特約だ。
例えば、メディケアフィットがん保険ならば、この特約をつければ子宮摘出術や卵巣摘出術などの女性特有のがんに関する手術を受けると給付金を受け取れる。
保険会社によっては、女性特有のがん治療で入院した際に給付金が受け取れる特約を用意しているところもある。
どちらにしても、女性特有のがんに不安を感じている方におすすめの特約だ。
がん通院治療特約
がん通院治療特約は、がんで入院ではなく通院した場合に給付金が受け取れる特約だ。
がんの治療で入院日数が短くなり通院治療の方が長引いたり、治療費が負担になったりすることも多い。
通院治療に備えるなら、この特約がおすすめだ。例えばメディアケア生命のメディフィットがん保険ならば、がん通院治療給付金×通院日数を支払い日数も無制限で受け取ることができる。
自分に適したがん保険と特約の選び方
がん保険には様々な種類があり特約まで含めると選択肢が豊富で選ぶのが難しくなる。
保険を選ぶ際には特約の種類や数以外にも注目したいポイントがある。
自分に適したがん保険を選ぶ際には、以下の3つにも注目してみると候補を絞れるだろう。
- 保険料
- 保障内容
- 保障期間
保険料
がん保険に入る際には、家計に無理のない範囲の保険料におさまるようにしたい。
特約を増やしたり手厚くしたりすると、がんのリスクには対処しやすくなる。
しかし、特約を付けすぎたり、給付金の額を増やしたりすると、その分、保険料の負担が重くなる。
がん保険で本当に備えるべきところと、公的な保険や貯蓄で備える部分を区別し、本当に必要な特約にのみ絞ることで保険料を抑えることができる。
保険料と保障のバランスをとって無理のない範囲で契約をしよう。
がん保険は特約が豊富だが、実際にシミュレーションなので見積りを出してみて保険料と特約の内容が見合っているかどうかも契約の前に確認することをおすすめする。
保障内容
がん保険の保障内容は主契約と特約の組み合わせで決まる。
同じような名称の主契約、特約でも中身を確認してみると、保険会社それぞれに違いがあるはずだ。
例えば、上皮内がんが保障の対象になるのかどうか、診断給付金を受け取れる額や年に支払われる限度数など保険によって異なる。
また、がん保険によって選べる特約の数も種類も違う。
例えば収入サポート保障や外観ケア保障などは限られたがん保険にしか用意されていない。
一口にがん保険と言っても保障できる範囲も手厚さも違う。
主契約、特約それぞれの中身を確認し、複数のがん保険を比較することで、自分にとって納得のできるがん保険を見つけよう。
保障期間
がん保険で保障される期間についても確認しておきたい。
特にがん保険には一般的に免責期間と呼ばれる期間がある。契約がはじまってから90日間は保障されない。
しかも、その間も保険料も支払う必要がある。
ただし本記事でも紹介したSOMPOひまわり生命の「健康をサポートするがん保険 勇気のお守り」のように免責期間中に保険料を支払わなくて良いものも例外的に存在する。
また、免責期間がないアクサ生命の「治療保障のがん保険マイセラピー」のような保険もあるため、気になる方は確認してみると良いだろう。
また、がん保険にも他の保険と同様、定期型と終身型がある。定期型は保障期間が限られているが掛け捨てで目先の保険料を抑えられる。
その代わり更新の度に保険料が上がる。一方、終身型は目先の保険料はやや割高になるが保障が生涯にわたって続く。
家計の状況やライフプランにあわせて都合の良いタイプを選ぶと良いだろう。
がん保険には必要な特約を付けて自分に合った保障を準備する
本記事では、がん保険の特約の仕組みや種類、自分に適した特約を選択するためのポイントについて解説した。
がん保険の特約には、様々なニーズに合わせて保障内容をカスタマイズできるメリットがある。
ただ、主な特約だけでも10種類以上あり、また付加することで万一の際の備えが充実する一方で保険料は高くなる。
そのため、一人ひとりのライフステージに合わせ、自分に必要な保障内容と保険料のバランスを見極めて選ぶことが重要だと言える。
今回紹介した保険選びのポイントも参考に、あなたに合ったがん保険を見つけるようにしてほしい。
このように、何より重要なことは、各保険や特約の特徴を理解し、また自分自身の生活環境や経済状況、健康状態を考慮して加入する保険を判断することだ。
そのため、どの保険に入るべきかの判断に少しでも疑問や不安があれば、保険のプロに相談することも積極的に検討してほしい。
一人一人に合ったアドバイスをもらうことで、あなたに合った保険を見つけることができるはずだ。
また、保険のプロは数多く存在し、その中から自分にとって最適な担当を見つけるのは難しいだろう。
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