- 学資保険を利用するメリットが知りたい
- 学資保険を安心して利用できる各種制度の特徴が知りたい
- 自分に合う学資保険を選ぶ基準が知りたい
学資保険は、一定期間にわたり保険料を払い込み、時期が来た際に子どもの教育資金を保険金や祝い金として受け取ることが出来る貯蓄型の保険である。
確実に教育資金を貯蓄できる方法として人気が高いが、特に安心して使える理由には払込免除特約の存在がある。
これは、保険金を支払う契約者に万が一の事態が起こった際、保険料の支払いが免除されるというものである。
他にも生命保険料控除が適用されることからも、学資保険を利用する価値は高いと言える。
それぞれの制度について解説する。本記事では、改めてこの二つの制度について具体例を出しながら解説し、学資保険を利用するメリットをお伝えする。
また、自分に合う学資保険を選ぶポイントについても説明する。
学資保険のメリットを知って、安心して利用したいという人は、ぜひ参考にしてほしい。
学資保険のメリット・デメリット
学資保険は、教育資金を準備したい子育て世代に人気のある保険商品だ。
計画的に教育資金を積み立てられるなど、魅力の大きい学資保険だが、加入にあたって注意すべき点もある。
ここでは、学資保険とは何かについて解説するとともに、メリットとデメリットを紹介する。
学資保険とは
学資保険とは、子どもの教育資金を蓄えるための貯蓄型保険商品である。
毎月、保険料を積み立てることで、高校や大学の入学時に進学費用を受け取ることができるほか、年金形式で学費を受け取りできる商品もある。
また、契約者(おもに親)に万が一のことがあった場合、以降の保険料が免除される商品も多く、貯蓄機能に保障機能を付加させることも可能だ。
学資保険の契約例
次の条件で学資保険の契約例と、保険料の払込期間による返戻率(払込保険料に対する受取額の割合)の違いをみてみよう。
保険金受け取り内容
18歳(大学入学) | 19歳 | 20歳 | 21歳 | 22歳 |
---|---|---|---|---|
100万円 | 50万円 | 50万円 | 50万円 | 50万円 |
保険料の払込期間を18年(216回)と長く設定した契約例だ。
毎月の保険料を低く抑えられるが、積み立てた保険料の据え置き期間が短いため、返戻率は104.0%とあまり高くないことが分かる。
- 契約者 : 男性30歳(親)
- 被保険者 : 子ども 0歳
- 学資年金受取開始 : 18歳
- 祝金なし
- 保険料払込期間 : 18年(216回)
- 払込保険料総額 : 2,883,600円(毎月13,350円)
- 受取総額 : 300万円(返戻率104.0%)
保険料の払込期間を5年(60回)と短くした契約例をみてみよう。
毎月の保険料は増えるが、積み立てた保険料の据え置き期間が長いため、返戻率は108.9%とかなり高くなる。
- 契約者 : 男性30歳(親)
- 被保険者 : 子ども 0歳
- 学資年金受取開始 : 18歳
- 祝金なし
- 保険料払込期間 : 5年(60回)
- 払込保険料総額 : 2,752,850円(毎月45,881円)※端数調整あり
- 受取総額 : 300万円(返戻率108.9%)
このように、学資保険は保険料の払込期間が短いほど返戻率が高くなる。
家計とのバランスをみながら、できるだけ早く保険料の払込を終わらせることが返戻率を高めるポイントになることが分かるだろう。
また、商品によっては保険料の年払いや一時払い(一括払い)に対応している場合もあるので、まとまった資金がある場合は検討するのもよい。
学資保険のメリット
学資保険には次のとおり3つのメリットがある。
- 計画的に教育資金を準備できる
- 貯蓄性が高い
- 受け取り方法を選ぶことができる
これらのメリットについて詳しくみていこう。
計画的に教育資金を準備できる
学資保険は、保険料を月払いで納付するのが一般的だ。
このため、貯蓄が苦手な人でも計画的に教育資金を準備できる。
また、次のとおり保険料の払込期間(払込回数)を選べるため、家計に合わせて毎月の保険料を設定することが可能だ。
- 5年(60回)
- 10年(120回)
- 学資年金受給開始年齢まで(18歳まで)
※保険会社によって異なる
貯蓄性が高い
学資保険は、貯蓄性の高さもメリットの一つだ。例えば300万円の教育資金を、A社の学資保険と一般的な積立預金(金利0.002%)で準備する場合を比較してみよう。
積立額の比較(積立期間18年)
毎月の積立額 | 総積立額 | 差額 | |
---|---|---|---|
A社学資保険 | 13,230円 | 2,857,680円 | -88,560円 |
積立預金 | 13,640円 | 2,946,240円 | – |
毎月の積立額に大きな差はないが、18年間の積立額合計では88,560円と大きな差が出ることが分かるだろう。
受け取り方法を選ぶことができる
学資保険は、保険金の受け取り方法や受け取り時期を選ぶことができるため、教育資金の計画を立てやすくなることもメリットだ。
保険金受け取り方法の例(総受取額300万円の場合)
15歳 (高校入学) | 18歳 (大学入学) | 19歳 (大学2年) | 20歳 (大学3年) | 21歳 (大学4年) | 22歳 (満期保険金) | |
---|---|---|---|---|---|---|
受け取り方法① | 50万円 | 100万円 | 50万円 | 50万円 | 50万円 | – |
受け取り方法② | – | 50万円 | 50万円 | 50万円 | 50万円 | 100万円 |
学資保険のメリットを生かすには、加入前に進学予定を明確にしておくとよいだろう。
学資保険のデメリット
一方、学資保険には次のとおり2つのデメリットもある。
- 教育資金の準備以外に向かない
- 中途解約すると元本割れする可能性がある
これらのデメリットについて詳しくみていこう。
教育資金の準備以外に向かない
学資保険は、高校・大学の入学金や学費の支払い時に保険金を受け取りできるよう設計された保険商品だ。
原則として保険金の一部を引き出したり、一括で受け取ったりすることはできない。
このため、保険金を他の用途に使い難く、教育資金の準備以外に向かない点がデメリットといえる。
中途解約すると元本割れする可能性がある
学資保険は保険料の払込期間が5年〜最長で18年と貯蓄型保険商品の中では比較的短い。
このため、積み立てた保険料の運用期間も短くなるため、中途解約した場合は返戻率が100%を下回り、元本割れする場合が多い。
学資保険は高い貯蓄性が魅力であるが、中途解約によって元本割れしたのであれば本末転倒だ。
満期まで契約を継続できるよう、家計のバランスを考えて無理のない保険金額を設定することが大切だ。
学資保険は払込免除特約と生命保険料控除があるから安心できる!それぞれの特徴を詳しく解説
学資保険は、払込免除特約が付加できるほか、生命保険料控除の対象となるため、保障面と税制面で大きなメリットがある。
ここでは、払込免除特約と生命保険料控除の内容や、どれくらい得になるのかを解説する。
学資保険の払込免除特約とは
払込免除特約とは、学資保険の契約者(おもに親)に万が一のことがあった場合に、以降の保険料払込が免除される特約である。
払込が免除された場合でも保険契約は継続され、子どもが所定の年齢になると祝金や学資年金が支払われる。
一般的に、学資保険で払込免除特約が適用されるのは次のような場合だ。
- 契約者が亡くなった場合
- 契約者が高度障害状態となった場合
- 契約者が不慮の事故により180日以内に身体障害状態になった場合
学資保険はほとんどの場合、無料で払込免除特約が付加できるが、特約保険料が必要となる商品もある。
また、契約者の健康状態によっては、払込免除特約が付加できない場合もあるので注意が必要だ。
なお、学資保険の特約については以下の記事でもまとめているので、改めておさらいしたいという方はぜひ参考にしてほしい。
学資保険の生命保険料控除とは
生命保険料控除とは、1年間に支払った保険料のうち、一定の金額が所得から控除される制度のことだ。
生命保険料控除を申告することで、所得税と住民税が軽減される。
学資保険は、民間生命保険会社の生命保険に適用される「一般生命保険料控除」の対象となり、次の額が所得から控除される。
所得税の控除額
1年間に支払った保険料 | 控除額 |
---|---|
20,000円以下 | 支払った保険料全額 |
20,000円超 40,000円以下 | 支払った保険料×1/2+10,000円 |
40,000円超 80,000円以下 | 支払った保険料×1/4+20,000円 |
80,000円超 | 一律40,000円 |
住民税の控除額
1年間に支払った保険料 | 控除額 |
---|---|
12,000円以下 | 支払った保険料全額 |
12,000円超 32,000円以下 | 支払った保険料×1/2+6,000円 |
32,000円超 56,000円以下 | 支払った保険料×1/4+14,000円 |
56,000円超 | 一律28,000円 |
例えば、1年間に180,000円(月額15,000円)の保険料を支払っている場合の控除額は次のとおりだ。
- 所得税の控除額 : 40,000円
- 住民税の控除額 : 28,000円
ただし、生命保険料控除の申告によって上記金額が軽減されるされるわけではない。
軽減される金額は契約者の所得金額や配偶者の就業状況によって異なるが、概ねの目安は次のとおりとなる。
【算出条件】所得税率10%(※)、配偶者は専業主婦、年間の支払い保険料合計18万円(月額15,000円)の場合
- 軽減される所得税の目安 : 4,000円(控除額上限40,000円×10%)
- 軽減される住民税の目安 : 2,800円(控除額上限28,000円×10%)
※課税所得金額1,950,000円〜3,299,000円
軽減される税金は年間で6,800円程度だが、仮に保険料支払い期間が18年であれば、総額で概ね12万円程度の税金が軽減されることになる。
なお、生命保険料控除はサラリーマンの場合は年末調整、個人事業主の場合は確定申告で申告する必要がある。
自分に合った安心できる学資保険を選ぶには
自分に合う学資保険を選ぶには、次の点を考慮することが大切だ。
- 進学計画を立てる
- 無理のない保険料を設定する
- 返戻率の高い商品を選ぶ
進学計画を立てる
学資保険を選ぶ際は、まず子供の進学計画を立てることが大切だ。
「高校・大学は国公立、私立のどちらを目指すのか」「大学は自宅から通うのか」などの計画を立てることで、「いつ・いくらの資金が必要か」ということが明確になる。
なお、進学計画を立てたうえで学資保険選びに悩む場合は、保険の比較サービスやマッチングサイトを利用するのもよいだろう。
無理のない保険料を設定する
学資保険は高い貯蓄性が魅力だが、中途解約した場合は解約返戻率が100%を下回り、実質的に元本割れする可能性がある。家計の負担とならないよう、無理のない保険料を設定することが大切だ。
保険料負担が大きいと感じるようであれば、保険金額を低く設定し、不足する学費を預金で準備する方法もある。
また、学資保険は半年払いや年払いも選べるため、ボーナスを保険料の支払いに充てるのもよいだろう。
返戻率の高い商品を選ぶ
学資保険は商品によって返戻率が異なるため、同じ保険内容であれば返戻率の高い商品を選ぶことが大切だ。
返戻率とは、払込み保険料に対する受取金額の割合を示したものである。
学資保険の設計書に記載されているが、事前に保険会社のWebサイトでシミュレーションを行うこともできる。
注意したいのは、学資保険に医療特約などの特約を付加する場合だ。
特約部分は掛け捨てになるものが多く、特約を付加することで返戻率が低くなることもある。
- 解約しないで済むように保険料を設定する
- 保険金がいつ必要になるのかを考えておく
学資保険の特徴を理解して安心できる学資保険を選ぼう
本記事では、払込免除特約と生命保険料控除の説明を通して学資保険を利用するメリットについて説明を行った。
また、自分に合う学資保険を選ぶポイントについても解説した。
契約者に万が一の事態があっても、子どもに対して教育資金が用意できる払込免除特約は、学資保険を利用する際の大きなメリットだ。
また、保険料が控除されることで、税金対策にも活用できる。
途中で解約することのないよう、適切な保険料で学資保険を積み立てるようにしてほしい。
もし、保険料や保険金を受け取るタイミングの設定に迷ったら、保険のプロに相談することも選択肢に入れておこう。
一人一人に合ったアドバイスをもらうことで、自分に合った学資保険を選び、安心して利用することができるはずだ。
ただ、保険のプロは数多く存在し、自分にとって最適な担当なのかをすぐに見定めることもまた難しい。
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