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公的医療保険における所得区分とは?高額療養費制度について理解しよう

この記事で解決できるお悩み
  • 公的医療保険における所得区分という考え方がわからない
  • 公的医療保険と民間の医療保険の違いが知りたい
  • 自分に必要な医療保険を選ぶポイントが知りたい

日本では国民皆保険制度が採用されており、公的医療保険による保障が充実している。

制度の一つである高額療養費制度では、1ヶ月ごとの医療費の自己負担限度額が所得区分に応じて定められ、限度額を超えた分の費用が支給される。

こういった制度があれば、民間の医療保険に加入する必要はないと考える人もいるだろう。

果たして本当にそうなのだろうか。本記事では、高額療養費制度における所得区分ごとの限度額の違いを解説する。

その後、民間の医療保険の必要性を説明し、自分に最適な医療保険を選ぶポイントについても解説する。

医療保険について学びたいという人は、ぜひ最後まで読んで参考にしてほしい。

目次

公的医療保険の高額療養費制度とは

公的医療保険の高額療養費制度とは 生命保険ナビ

入院や通院でかかりすぎてしまった医療費の穴埋めをしてくれるのが、高額療養費制度である。

上限金額は所得区分によって変化するが、一体どのように決められているのだろうか。

本章では、高額療養費制度について解説する。

公的医療保険制度を知ろう

まず、高額療養費制度を含む公的医療保険制度について理解しておこう。

日本の公的医療保険の特徴としては、

  • 国民皆保険制度
  • フリーアクセス
  • 公費による費用

の補填の3点が挙げられる。

日本では国民全員が医療保障を受けることが可能であり、何かしらの公的医療保険へ加入する必要がある。

職業によって入る公的医療保険は異なる。

例えば、会社員は健康保険組合や全国健康保険協会、公務員は共済組合、自営業は国民健康保険にそれぞれ加入する。

また、かかる医療機関と医師を自分で選ぶことができるのも大きな特徴だ。

これをフリーアクセスと呼び、かかりつけ医の登録が必要な国との相違点となっている。

そして、保険者が費用を補うことによって、医療費が抑えられている。

どの保険者であっても7割〜9割の医療費を賄ってくれるため、自己負担額は半分未満となり、安心して治療を受けることができるのだ。

公的医療保険で支給される費用には様々な種類が存在する。

代表的なものは、以下の通りだ。

  • 入院時食事療養費、入院時生活療養費
    • 保健加入者の入院時の食事代や居住費が支給される
    • 入院時生活療養費は、65歳以上が対象となる
  • 高額療養費
    • 所得区分や年齢で定められた医療費の1ヶ月ごとの上限額を超えた費用が支給される
  • 傷病手当金
    • 被保険者が怪我や病気で働けなくなり、得られなかった収入を部分的に支給する
  • 出産育児一時金
    • 子どもが産まれた際に費用が支給される
    • 令和5年4月1日から、金額が42万円→50万円に引き上げられた
  • 出産手当金
    • 被保険者が産休中で働けず、得られなかった収入を部分的に支給する
    • 出産育児一時金との併用が不可で、どちらかを選択する必要がある
  • 埋葬料
    • 被保険者や被扶養者が死亡した場合、5万円が支給される

公的医療保険の保障は入院や出産、死亡時に至るまで広範囲となっている。

ただ、国民健康保険の加入者については、傷病手当金や出産手当金が利用できず、保障範囲が限られている。

高額療養費制度における所得区分とは

公的医療保険制度への理解が深まったところで、高額療養費制度について詳しく解説しよう。

高額療養費制度の年齢や所得区分毎の自己負担限度額を、以下の表にまとめた。

〜69歳

年収の額医療費の自己負担限度額(1ヶ月ごと)
1,160万円超25万2,600円+(1ヶ月にかかった医療費−84万2,000円)×1% 
770万円〜1,160万円16万7,400円+(1ヶ月にかかった医療費−55万8,000円)×1% 
370万円〜770万円80,100円+(1ヶ月にかかった医療費−26万7,000円)×1%
156万円〜370万円57,600円
156万円未満(住民税非課税世帯)35,400円
出典:厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ(平成30年8月診療分から)」

70歳〜

年収の額医療費の上限自己負担金額(1ヶ月ごと)
370万円〜1,160万円超え〜69歳までと同様の扱い
156万円〜370万円18,000円(年間上限額14万4,000円)
156万円未満(住民税非課税世帯)8,000円
出典:厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ(平成30年8月診療分から)」

例えば、1ヶ月で200万円の医療費がかかったとする。

70歳未満で年収1,000万円の人の上限金額は、16万7,400円+(200万-55万8,000円)×1%=18万1,820円になる。

このように、高額療養費制度は医療費による生活費の圧迫を防ぐ役割を果たしている。

高額療養費制度を利用する際のポイント

ただ、高額療養費制度も万能ではない。

自己負担限度額を超えた分の医療費を一度立て替えなくてはいけないというデメリットがある。

前述の年収300万円・1ヶ月の負担額が200万円の人の場合も、一度200万円を支払う必要がある。

その後、200万円ー57,600円=194万2,400円が払い戻されることになるのだ。

だが、条件次第で最初から支払う費用を自己負担限度額まで抑えることも可能となる。

そのためには、限度額適用認定証、またはマイナ保険証のどちらかを利用すれば良い。

限度額適用認定証は、自分が加入している協会けんぽ支部に「健康保険限度額適用申請書」を送付することで手に入る。申請から交付までには1週間程度かかる。

交付された限度額適用認定証と保険証を提出することで、医療費の支払いを自己負担限度額のみにすることができる。

ただ、健康保険証や限度額適用認定証は令和6年の秋で廃止予定となる。

それらの書類の代わりになるのが、マイナンバーカードだ。

マイナンバーを保険証の代わりにすることで、自分の健康状態の共有が簡単になるため、適切な医療処置を受けやすくなる。

また、限度額適用認定証の提出を省略できるなど書類手続きも簡単になる。

マイナ保険証の申し込みは、マイナンバーカードの取得ができれば、医療機関のカードリーダーやスマートフォン、セブン銀行のATMからできる。

詳細な申し込み方法については、こちらも参照してみてほしい。

限度額適用認定証やマイナンバー保険証があれば、高額療養費制度をより効果的に活用できる。

民間の医療保険を利用する必要はあるのか

民間の医療保険を利用する必要はあるのか 生命保険ナビ

日本では公的医療保険制度が充実しており、保険会社が提供する医療保険に加入しなくとも良いと考えている人も多いだろう。

果たして本当にそうなのだろうか。

そこで本章では、民間の医療保険の必要性について解説する。

2種類の医療保険の違い

公的医療保険と保険会社が販売する医療保険の違いは、どこにあるのだろうか。

それぞれの違いについて、以下の表でまとめた。

   公的医療保険 民間の医療保険
保険の目的怪我や病気に対する保障を備える公的医療保険の対象外費用に備える
保険にかかる費用無料保険料がかかる
加入条件の有無なしあり
事前審査が必要
加入方式強制加入任意加入
保障範囲保険診療内の費用を保障入院や手術など保険診療外の行為に対する保障もある
解約の可否できないできる

このように、公的医療保険で補いきれない部分を保障するのが、民間の医療保険の役割なのである。

民間の医療保険のメリット・デメリット

民間の医療保険にはどんなメリットとデメリットがあるのだろうか。

メリットとしては、「自分に合わせた保障内容を選ぶことができる」「保険料控除を受けることができる」という2点が挙げられる。

医療保険を販売している会社は多岐に渡る。

がんに対する保障に特化したものや女性特有の疾患への保障が手厚いものなど、自分が利用したい目的に応じて商品を選べるのは大きなメリットとなる。

また、医療保険を利用するには保険料を支払う必要があるが、支払った金額に応じて税金の控除を受けることができる。

これは生命保険料控除と呼ばれ、医療保険は「介護医療保険料控除」として利用することが可能だ。

生命保険料控除については以下記事で詳細に解説しているので、参考にしてほしい。

一方デメリットとしては、「数ある選択肢の中から適切な商品を選ぶのが難しい」「保険料を負担する必要がある」といった点が挙げられる。

医療保険の選択肢が多いということは、自分に合うものを多数の商品から選び取らなくてはならないとも言える。

さらに保険は定期的に新しい商品も出てくるため、それらの中から適切なものを選ぶ必要があるのだ。

また、選ぶ医療保険の種類によっては保険料が高額になることもある。

例えば、保障期間を長くする、がんを含む3大疾病に対する保障を手厚くする、などオプションを増やせばその分保険料も上昇する。

このように、どんな保障内容が必要なのか、自分で考えなくてはならないところに民間医療保険の難しさがあると言える。

民間の医療保険に加入するべきなのか

結論から言えば、「公的医療保険でカバーできない部分を民間の医療保険で補うべき」だと言える。

公的医療保険の保障範囲は幅広いが、以下の費用については保障範囲外となる。

  • 先進医療の手術代
    • 厚生労働省が定めた高度な技術を必要とする手術の費用
  • 差額ベッド代
    • 入院時に、個室や少人数の部屋を利用する際にかかる費用
  • 日用品費
  • お見舞いに来る家族の交通費
  • 逸失収入
    • 入院したことで、本来得られるはずだった収入がなくなり、実質的に負担する費用が増えること
    • 傷病手当金が使えない自営業者が特に意識すべき費用

特に先進医療や差額ベッド代については高額になりやすい。

貯蓄金額が十分でない場合は、これらの費用を民間の医療保険で賄う必要がある。

自分に最適な医療保険の選び方

自分に最適な医療保険の選び方 生命保険ナビ

前述した通り、民間の医療保険を利用する際には自分に最適な医療保険を選ぶことが重要となる。

最後の章では、自分に最適な医療保険を選ぶためのポイントを3点解説する。

どの疾病に備えたいか考える

まずは、医療保険でどの疾病に備えたいのかはっきりさせるといい。

一口に医療保険と言っても、対象としている疾病はそれぞれ異なる。

例えば、糖尿病や腎臓疾患など生活習慣病に対する保障金を複数回受け取れる保険がある。

一方で、入院や通院時だけでなく、死亡時に保険金が給付される死亡保険と医療保険を兼ね備えたものも存在する。

また、「生活習慣病への保障が手厚い」と表記されている保険でも、対象となっている病気の種類が違う場合もある。

どの病気への備えを手厚くしたいか考えることで、自分に最適な医療保険を見つけやすくなるだろう。

自分のライフステージに必要な保障内容を考える

次に、自分の年齢や生活状況から自分に適した保障内容を考えるといいだろう。

結婚や子どもの有無によって、手厚くすべき保障内容は変わってくる。

また、年齢の上昇と共に医療保険の内容を見直していく必要も出てくるのだ。

例えば、20代独身であれば収入が少なく、健康上のリスクも低いケースが多い。

この場合は、医療保険を必要最小限の保障内容にとどめ、保険料を抑えることを優先すべきだろう。

ただ、女性の場合は若いうちでも子宮頸がんや妊娠・出産など特有の疾患への保障を手厚くすべき場合もある。

また、50代になれば医療保険の見直しが必要になる。子どもに必要な費用が減少する一方、ケガや病気にかかるリスクが高まることで自身や妻(夫)の医療保障に必要な費用は増加するからだ。

先進医療に関する特約を追加するなど、保障内容を手厚くすることも検討すべきである。

自分の健康状態や生活状況を考えることで、必要な医療保険も見えてくる。

保険料が高額になりすぎていないか確認する

自分に必要な医療保険が理解できたら、保険料が高額になりすぎていないか確認するようにしよう。

例えば、チューリッヒ生命の終身医療保険「終身医療保険 プレミアムZ Lady」に30歳女性が加入する場合、月額保険料は1,414円となる。

ここに、付加できる特約を全て付けた場合、月額保険料は5倍以上の7,358円まで上昇する。

無闇に保障内容を手厚くしすぎると、家計への負担が大きくなりすぎるため、注意が必要だ。

公的医療保険と民間の医療保険を上手く併用することで、医療費を抑えることが可能になる。

本記事を参考に、2種類の医療保険を有効活用できるようにしてもらいたい。

まとめ

まとめ 生命保険ナビ

本記事では、高額療養費制度における所得区分ごとの限度額の違いや、民間の医療保険の必要性、さらに自分に最適な医療保険を選ぶポイントについて解説した。

高額療養費制度は、所得区分ごとに1ヶ月ごとの保険医療費の自己負担限度額を定める制度である。

マイナ保険証や限度額適用認定証を利用すれば限度額のみの支払いで済むので、事前に手続きしておこう。

また、公的医療保険でカバーしきれない費用については民間の医療保険で補う必要がある。

そして何より重要なことは、数ある保険商品の中から自分に必要な保障内容を備えた保険を選ぶことだ。

そのため、これらの判断に少しでも疑問や不安があれば、保険のプロに相談することも積極的に検討してほしい。

一人一人に合ったアドバイスをもらうことで、あなたに必要な保険を的確に判断することができるはずだ。

また、全国の保険のプロから自分に合った担当者を探す際には「生命保険ナビ」の活用をおすすめする。

「生命保険ナビ」は、自身の条件に合った保険のプロを簡単に見つけることができるマッチングサービスである。

気になった担当者とは無料相談もできるので、ぜひ活用してほしい。

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執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。お客様と保険のプロを結ぶマッチングサイト「生命保険ナビ」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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