- 医療保険で最低限必要な保障内容について知りたい
- 医療保険の保障は最低限で問題ないのかどうか把握したい
- 医療保険の役割や必要性を理解したい
将来の病気やケガに備える医療保険には、多くの人が加入していることだろう。
しかしながら、「コストはなるべく抑えたい」「最低限の保障だけで十分だろう」などと考えている方もまた多いのではないだろうか。
そこで本記事では、医療保険で最低限必要な保障内容やコストを抑える方法について解説していく。
医療保険への加入を検討している方、また既に加入している方で保険を見直したいと考えている方には、ぜひ参考にしてほしい。
医療保険の役割と必要性
「医療保険は必要ない」などと主張する人も一部に存在するが、医療保険は多くの人が加入する生命保険の代表的な商品だ。
生命保険文化センターがまとめた「2022(令和4)年度生活保障に関する調査」によると、医療保険に加入する人の割合は81.3%で、10人に8人ほどが加入している状況である。実態として、医療保険を必要だと考えている人が多数派を占めており、病気やケガに対するリスクに備えていることがわかる。
以下で、医療保険の基本的な役割や加入するメリット・デメリット、必要性を詳しく解説する。医療保険の加入を検討している人は、まずは前提となる知識を押さえて必要性を判断していこう。
医療保険の基本的な役割
医療保険が適用されるシーンは、病気やケガによる入院や通院時である。
- 病院に罹って特定の診断をされた場合の診断一時金
- 治療するための手術に伴う手術給付金
- 治療のために入院した際の入院日額給付金
- 特定の治療を行った際の給付金
- 退院して通院治療に切り替わった際の通院給付金 など
医療保険によって給付金が支払われるケースや条件、その金額はさまざまだが、何らかの理由で病院に罹った際に給付金が支払われ、経済的な安心感を得られるのが医療保険の大きな役割だ。
また、医療保険には先進医療特約をつけられるのがほとんどで、全額自己負担になる治療も給付金によって自己負担を実質ゼロにできる。
「経済的な余裕がないから最善の治療に取り組めない」という事態は避けたいもので、医療保険に加入しておけば、安心して治療に専念できるようになるのだ。
医療保険に加入するメリット
医療保険に加入するメリットは以下のとおりである。
- 貯金が乏しい人でも治療費を気にせず病気と向き合える
- 医療費が高騰しても給付金で経済的な負担を軽くできる
- ケガや病気に罹っても安心という精神的な余裕をもって生活できる
- 公的医療制度の改悪に備えられる
医療保険への加入は、経済的な余裕がない人ほど特におすすめしたい。なぜなら、ケガや病気で入院した際の費用を確実に賄える保証がなく、治療費を負担できないリスクが相対的に高いからである。
言い換えると、潤沢な資産がある人であれば、毎月保険料を支払って医療保険に加入する必要性はむしろ乏しいと言える。日本には高額療養費制度もあり、毎月の治療費(自己負担楽)は9万円前後に収まることが多い。
もしもの事態が起きた際、手元の資産で対応が難しい人ほど、医療保険に加入することで得られるメリットは大きいのだ。
医療保険に加入するデメリット
医療保険に加入するのは、メリットだけでなくデメリットもあり、以下の点は特に押さえておこう。
- 保険料を払い続けなければならない
- ケガや病気にかからなければ保険料が無駄になる
- あらゆる病気や治療に対応できるとは限らない
民間の保険に加入するからには、保険料の支払いは避けて通れない。そして、幸いにも健康で居続けられた場合には保険料は支払い損になる点もデメリットと言えるだろう。
医療保険は掛け捨て型にすることで保険料を安価に抑えられるため、最低限の保障を用意するという意味では、保険料と保障内容のバランスを慎重に見極めることが大切だ。
また、医療保険に加入したからと言って、あらゆる病気や治療法に対応できるわけではないことも覚えておこう。保険契約書には、給付金が支払われる条件が細かく記載されている。
場合によってはケガや病気に罹っても医療保険が使えないケースもあるため、医療保険に限った話ではないが、契約書の内容はしっかり確認しておこう。
医療保険に加入する必要性
「医療保険は不要である」と主張する人は、高額療養費制度を中心とした日本の公的医療制度の充実さを理由に挙げている。
公的保険が適用される場合、現役世代であれば自己負担は3割で済み、払いすぎた治療費は高額療養費制度で還付されるのは事実だ。
しかし、社会保険料が増え続ける国内の人口動態と財政状況を考えると、同じ仕組みが永続的に続くとは考えにくい。
また、入院した際には、公的保険が適用されない費用も多いのが実情だ。
- 差額ベッド代
- 入院時の食事代
- 入院中の日用品
- 先進医療の治療費
- 家族の交通費や食事 など
上記はすべて自己負担になり、公的保険とは別でカバーしなければならない。
医療保険は若いうちに加入したほうが保険料は抑えられ、今後も同じ社会保障制度が続く保証もないことや入院にかかる費用は多岐にわたることを踏まえると、医療保険の必要性は極めて高いのだ。
医療保険は最低限でも問題ない?
医療保険の必要性は高いものの、どの程度の保障が必要かは別問題である。
ケガや病気に罹る可能性は人それぞれであるし、経済的な事情やリスクに対する考え方も千差万別だ。
実際、現行の公的保険制度が充実しているのは事実であり、医療保険に手厚い保障が必要かと言われると必ずしもそうとは限らない。
ここでは、医療保険に最低限求めたい保障内容や選ぶ際のポイント、医療保険以外に最低限入っておきたい生命保険について解説している。
保険商品の比較をする際の参考にしてみてほしい。
医療保険に求めたい最低限の保障内容
生命保険文化センターがまとめた調査結果によると、過去5年間に入院した人の平均入院期間は17.7日だった。具体的な割合は以下のとおりである。
- 5日未満:19.8%
- 5〜7日27.5%
- 8〜14日:24.1%
- 15〜30日:17.8%
- 31日〜:10.8%
平均すると約18日であるが、割合を見ると14日以内の人が71.4%であることがわかる。一つの目安として、入院日数は2週間程度であると覚えておこう。
次に、過去5年間に入院した際の自己負担額は19.8万円だった。その内訳は以下のとおりである。
- 5万円未満:9.4%
- 5〜10万円未満:26.5%
- 10〜20万円未満:33.7%
- 20〜30万円未満:11.5%
- 30万円〜:18.9%
入院費用が20万円未満であった割合は69.6%という結果で、入院にかかる費用を見積もる際は、20万円程度を一つの上限と考えてくとよいだろう。
過去5年間に入院した人において、入院1日あたりの自己負担費用は平均20,700円であった。内訳は以下のとおりである。
- 5,000円未満:13.8%
- 5,000〜7,000円未満:8.8%
- 7,000〜10,000円未満:11.5%
- 10,000〜15,000円未満:23.3%
- 15,000〜20,000円未満:7.9%
- 20,000〜30,000円未満:16.0%
- 30,000円〜:18.7%
最も多い割合が10,000円〜15,000円で、同額までと回答した割合は合計56.4%であることから、入院時の日額給付の目安として参考になるだろう。
ここまで紹介した内容は入院の際に実際にかかった費用や期間であり、それぞれに対してどこまで保険をかけたいか検討するのがおすすめだ。
また、医療保険の保障内容について、こちらの記事ではより詳しく解説しているので、保険選びの参考にぜひ活用してほしい。
医療保険を選ぶ際のポイント
医療保険を選ぶ際は、以下の3つのポイントで各商品を比較するとよいだろう。
- 保険期間
- 入院時の保障
- 手術時の保障
前提として、医療保険は定期型と終身型の2タイプに分けられる。定期医療保険は10年更新型が多く、更新時の年齢に合わせて保険料が上がる傾向にある。
終身型の場合は、加入時の年齢によって保険料が一定額に固定されるのが特徴だ。
終身型は一度加入すると見直しがしづらい点はネックだが、早く入ると比較的安価な保険料で年齢を重ねても医療保険に加入できるのがメリットである。
定期型の場合はその逆で、ライフステージに応じて医療保険に入り直しやすいのがメリットだが、保険料は年齢を重ねるごとに上がってしまう点には注意が必要だ。
入院時の保障は、日額5,000円や10,000円などと決められている給付金がメインになる。
支払われる上限日数も決まっており、一般的には60日とされていることが多い。入院時に限らず、通院の際にも日額給付金が支払われる保険もあるため、必要に応じて検討しよう。
手術時の保障は、行った手術の内容に応じて一時金が給付されるのが一般的だ。ほかにも、入院給付金の日額に所定の倍率を掛けて一時金が支給される場合もある。
医療保険を検討する際は、入院時と手術時に支給される保険金の合計額を、先ほどの調査結果と照らし合わせてどの程度にするかをシミュレーションするとよいだろう。
医療保険以外の最低限入っておきたい保険
最低限入っておきたいのは医療保険だけではなく、死亡保険とがん保険に関しても必要性が高いため、あわせて加入を検討するのがおすすめだ。
死亡保険(狭義の生命保険)は、単身者の場合も、葬儀にかかる費用程度は保険で用意しておくとよいだろう。
一般的に200万円ほどの保険金があれば、葬儀にまつわる費用はカバーできる。遺された兄弟や親族に迷惑をかけないためにも、少額で死亡保険に加入しておくことをおすすめしたい。
がん保険に関しては、日本人の死因の第一位はがんであり、日本人が生涯にがんに罹患する確率は男性が約60%、女性が約50%とされており、リスクに備える必要性が高い。
しかも、がんの治療は長引くことが多く、先進医療によって高額な治療費がかかるケースも珍しくない。
一度がんに罹患してしまうと、加入できるがん保険はかなり絞られてしまうため、健康なうちにがん保険も加入しておくのがおすすめだ。
医療保険加入時の注意点とコストを抑える方法
医療保険に加入する際の注意点は以下のとおりだ。
- どのようなリスクにどの程度備えるか明確にする
- 保険料を下げることを目的にしない
- 「あると助かる」「ないと困る」を明確にする
本記事では最低限の医療保険に加入するための考え方やヒントを解説しているが、医療保険に加入することで、どのようなリスクを回避または軽減できるのか、必ず最初に言語化しておこう。
入院に備えたい場合と通院に備えたい場合では、リスクの備え方が異なる。手術給付金がいくらあると安心できるかも、人によってさまざまだ。医療保険に加入する際は、最初に目的を明確にしよう。
目的を明確にする際、くれぐれも気をつけたいのが「保険料を安く抑える」ことを目的にしないことだ。安価な保険料で医療保険に加入できたとしても、最低限の保障すら得られないようでは本末転倒である。
また、保険の加入時に気をつけたいのが、「あると助かる」保障と「ないと困る」保障の線引きだ。リスクに対して手厚く備えようと思うと、あれもこれもと特約をつけてしまいたくなる場合もあるだろう。
しかし、「あると助かる」保障がどの程度機能するかは冷静に考える必要がある。
費用対効果を冷静に見極め、最低限の保障を用意するなら「ないと困る」特約や給付金額の医療保険に加入しよう。
医療保険のコストを抑える方法
医療保険のコストを抑える方法をまとめた。
- 保険料を年払いでまとめる
- 終身型医療保険の場合は終身払いにする
- ネットで完結する医療保険に加入する
- 必要な保障だけをつける
医療保険は、保険料の支払い方法次第で総額を抑えることが可能だ。月払いよりも半年払い、半年払いよりも年払いのほうが保険料を割安にできるため、保険料によってはまとめて支払うのがおすすめである。
ほかにも、終身型医療保険の場合は、保険料の払込期間を終身払いにすると月々のコストを抑えられる。
終身型の場合、保険料の払込期間は終身払いと払い済み(65歳まで、20年間などと期間を定める方式)から選択できる。
終身払いにすることで長生きするほど保険料の支払い総額は増えてしまうが、月々のコストは抑えられるのだ。
さらに、代理店で対面契約せずネットで完結する医療保険にすれば、人件費が保険料に上乗せされない分、安価に保険を契約できるだろう。
繰り返しになるが、「ないと困る」保障だけを盛り込むことで、保険料の上昇を止められるのは言うまでもない。
自分に適した医療保険の選び方
最後に、自分に適した医療保険の選び方を紹介しよう。
- 医療保険に最低限求めたい保障内容を言語化する
- 保障が必要な期間を検討する
- 毎月の収支から医療保険の予算を検討する
- 求めたい保障内容と予算から医療保険を比較する
先ほどの内容とやや重複するが、まずは保険に求める条件をピックアップする必要がある。そのうえで、毎月の収支を見直し、医療保険にいくらまで支払えるか予算を設定しよう。
条件と予算が決まれば、あとは医療保険のシミュレーションサイトや一括比較サイトなどをもとに、条件を満たす保険商品を探せばぴったりな医療保険が見つかるはずだ。
もしも自分に適した医療保険が見つからない場合は、予算が極端に少ない可能性がある。
または、求める保障内容が思いのほか充実している可能性もあるため、条件を一つずつ緩和しながら最適な医療保険を探してみてほしい。
まとめ
本記事では、医療保険の役割や最低限必要な保障内容、加入時の注意点やコストの抑え方について詳しく解説した。
医療保険は病気やケガなどのもしもの時に助けとなる重要なツールの一つである。
そのため、自身のライフスタイルや健康状態にマッチしているかよく考え、適切な選択をする必要がある。
しかし、適切な選択には保障内容の理解など専門的な知識が必要となるため、専門家に相談することをおすすめする。
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