- がん保険を入るべきタイミングが知りたい
- がん保険が自分に必要なのか判断できない
- 自身に適したがん保険の選び方がわからない
本記事では、がん保険の必要性や最適な加入タイミング、さらにがん保険選びのポイントについて解説する。
がんの発症は、日本人の2人に1人以上といわれるほど身近なリスクであり、近年ではがん保険の加入率が増加している。
しかし、がん保険の必要性や、加入タイミングがわからないと思っている方も多いのではないだろうか。
また多くの保険会社が、がん保険を販売しているため、どれを選べばよいのか困っている方もいるだろう。
がん保険の加入を検討している方は、ぜひ参考にしてほしい。
タイミングを考える前に、がん保険は本当に必要なのか?
日本人の死亡原因に関する厚生労働省のデータを紹介する。
死因1位 | 死因2位 | 死因3位 | 死因4位 |
---|---|---|---|
がん (24.6%) | 心疾患 (14.8%) | 老衰 (11.4%) | 脳血管疾患 (6.8%) |
P10 図5「主な死因の構成割合(令和4年(2022))」より引用
がんによる死亡率は、ほかの死因と比べ非常に高く、この病気の恐ろしさを物語っている。
さらに、がんを発症すると転移や再発を繰り返すこともあり、長い時間をかけて治療することが必要になる。
「がんは日本人の国民病」とも呼ばれることもあり、その備えとして、がん保険に加入する人も多い。
ここでは日本人のがん発症率や、その治療費の目安、がん保険の加入率や必要性について解説する。
がんの発症率
国立がん研究センターでは、日本人が一生のうちに、がんと診断される確率を発表している。
男性 | 女性 |
65.5% | 51.2% |
冒頭で述べたように、一生のうちに2人に1人以上が、この病気の診断を受けていることになる。
また以下の生活習慣のある人は、さらにがんの発症率は高まるといわれている。
- 喫煙
- 過度な飲酒
- 肥満
- 身体活動量が少ない(運動が少ない)
- バランスの悪い食事
がんの治療にはいくらかかるのか?
国内最大規模の健康保険事業者である全国健康保険協会のデータによれば、がん治療の入院費用は1日平均78,525円かかる。
入院 | 入院外 |
---|---|
78,525円/日 | 43,155円/日 |
「表6 疾病分類(再掲,主要疾病)別,医療制度別,1日当たり診療費(入院、入院外)」
「 (0201-0210)悪性新生物<腫瘍>」の協会(一般)データを引用
(注意)上記リンク先のファイルはダウンロードされる。
※上記の値は平均値であり、年齢やステージ(がんの進行度)により医療費も高額になる。またがんが発症した部位によっても、治療や手術の難易度が変わるため、金額も変わる。
公的医療保険(健康保険)の利用で自己負担は3割になるので、実際の支払額は入院で23,557円/日、入院外では12,946円/日となる。
しかし、これらの費用とは別に、公的医療保険では負担してくれないものも多くあり、それらの費用も加算して考えなければならない。
- 入院・通院時
- 先進医療や自由診療での治療費
- 交通費
- 入院時
- 入院中の諸費用:
入院中の食費、差額ベッド代、診断書などの文書料、入院中に使う日用品、家族の交通費・宿泊費、お見舞いのお返し、など - 生活費:
収入が途絶えてしまう入院中の生活保障(個人事業主など)
- 入院中の諸費用:
がん保険の加入率
がんの治療にともなう上記費用を保障してくれる、がん保険の加入率を紹介する。
①がん保険・がん特約の加入率 | ②特定疾病保障保険・特定疾病保障特約の加入率※ |
---|---|
39.1% | 30.9% |
出典:公益財団法人生命保険文化センター「2022(令和4)年度生活保障に関する調査」(2023年11月調査)
P77 「<図表 II-35> ガン保険・ガン特約の加入率」全生保データより引用
P78 「<図表 II-37> 特定疾病保障保険・特定疾病保障特約の加入率 」全生保データより引用
上記①②を重複して加入する人もいる可能性があるため単純計算できないが、40%以上の人が、がん保障のある保険に加入していると思われる。
がん保険の必要性とは
がん保険は医療保険の一種であるため、がんによる入院や手術での医療費の保障は、一般の医療保険も行う。
一般の医療保険には、入院1回あたりの給付日数や通算給付日数に上限があるが、がん保険にはこの上限がない。
がんは再発や転移のリスクが高いため、他の病気以上に、入院日数や入退院の回数が多くなる傾向がある。
さらに抗がん剤や放射線など通院しながら行う治療も多いが、一般的な医療保険では通院での医療費は保障しない。
がん保険では、通院治療も保障する保険商品も多いため、一般的な医療保険とは別に、加入を検討すべき保険といえる。
最適な加入タイミングとは?がん保険に早期加入するメリット・デメリット
がんは高齢になれば発症リスクが高くなると言われているが、その具体的データとして、厚生労働省の調査結果を紹介する。
年齢層 | 人口10万人あたりのがん罹患人数 |
---|---|
0-4歳 | 19.5人 |
5-9歳 | 10.9人 |
10-14歳 | 12.0人 |
15-19歳 | 17.3人 |
20-24歳 | 32.4人 |
25-29歳 | 82.2人 |
30-34歳 | 145.1人 |
35-39歳 | 210.7人 |
40-44歳 | 308.1人 |
45-49歳 | 419.9人 |
50-54歳 | 549.3人 |
55-59歳 | 780.5人 |
60-64歳 | 1,154.8人 |
65-69歳 | 1,670.4人 |
70-74歳 | 2,166.4人 |
75-79歳 | 2,562.9人 |
80-84歳 | 2,760.0人 |
85歳以上 | 2,680.2人 |
P40 性別:総数、部位:全部のデータを引用
このデータから、がんは年齢を重ねるほど発症リスクが高まるため、がんへの備えは、早ければ早いほどよいといえる。
しかし、若い年齢でがん保険に加入することには、メリットとデメリットがある。
ここでは、このメリットとデメリットを解説し、それを踏まえ加入すべき時期を考えていく。
がん保険を早期に加入するメリットとデメリット
この保険に若いうちに加入した場合のメリットとデメリットを、以下に述べる。
メリット | デメリット |
---|---|
年齢が若いほど、がんの発症リスクが低くなるため、保険料が安くなる。 貯蓄が少ない若いときに、がんを発症しても保険が経済的に保障してくれる。 | 治療方法や制度の変化によって、保障内容が古くなる可能性があるため、定期的な保険の見直しが必要になる。 若いときは収入が少ないため、すでに生命保険や医療保険に加入していると、がん保険の保険料が負担になる。 |
若い頃は貯金が少ないからこそ「万一がんが発症したときの備えをもつべき」という意見もある。
一方で、若いうちは発症リスクが少ない病気であるために「その病気だけにしか保障しない保険は不要」という意見もある。
がん保険に加入すべき時期とは?
がん保険、がん特約のついた保険の加入率を、以下に紹介する。
年齢層 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
平均 | 38.0% | 40.0% |
20歳代 | 14.0% | 21.9% |
30歳代 | 42.9% | 46.4% |
40歳代 | 46.4% | 50.6% |
50歳代 | 45.5% | 49.2% |
60歳代 | 45.0% | 38.2% |
70歳代 | 30.0% | 27.3% |
P77 「<図表 II-36> ガン保険・ガン特約の加入率〔性・年齢別〕」全生保データより引用
上記の男性のデータでは30代から加入率が増え、50代でピークを迎えたのち、70代では平均以下に加入率は下がっている。
女性も30代から加入率が増えるが、40代でピークを迎えたのち、60代以降は平均以下まで加入率は下がっている。
男女ともこの世代は、結婚・出産を経て、住宅ローンの返済や子どもの教育費の準備などのために経済的責任が高くなる世代だ。
がん発症により経済的負担が、さらに加わることを回避したいと考えるこの世代こそが、がん保険に加入すべき世代だともいえる。
なお、いつがん保険に加入するかによって最適な保険商品は変化する。
年代別におすすめのがん保険についてまとめた記事もあるので、年代ごとのポイントを押さえる際にはぜひ活用してほしい。
自身に適したがん保険を選ぶためのポイント
日本人の国民病と呼ばれるがんに対して、多くの保険会社が、さまざまな保険商品を提供している。
このため、がん保険をどうやって選んだらよいか悩まれている方も多いのではないだろうか。
ここでは、がん保険を選ぶためのポイントを解説する。
がん保険を選ぶうえでの参考にしてほしい。
「がんの診断を受けた」ときのことを想像する
もし医者から、がんと診断されたら、あなたが最初に心配することは何だろうか。
入院中の生活に不安を感じるのであれば、快適な入院生活を送れるように「入院給付金」の手厚い保険を選べばよいだろう。
まとまったお金が必要と感じる人は、がんの診断があるともらえる「がん診断給付金」の手厚い保険がおすすめだ。
保険の役割は、保険加入者が抱える経済的不安を減らすことだ。
がんと診断されたときを想像して、不安に感じることを解決できる保険商品を選ぶべきだろう。
医師からの提案に応えられる保険を選ぶ
がんの治療法には、三大治療法と呼ばれるものがある。
- 手術(外科治療)
- 放射線治療
- 薬物療法(抗がん剤治療)
放射線治療や抗がん剤治療のなかでも、最新の治療方法には公的医療保険が医療費を負担してくれないものもある。
近年では第四の治療法として免疫療法、第五の治療法として光免疫療法が注目されているが、公的医療保険は対応していない。
公的医療保険が対応しない治療法には多大な費用が掛かる場合が多く、医師が提案しても、貯蓄がなければ即断できないだろう。
保険選びの際には、これらの治療法に対して保障があるかも確認しておいた方がよい。
がん治療は長期戦と心得ておく
がんは完治の判断が難しい病気であるため、治療が無事に終わったとしても、再発するリスクがある。
5年間を目安として、治療完了後その間に再発しなければ「がんが治癒した」とみなすこともある。
つまり一旦がんの診断があったら、最低5年間の療養が必要になるといえる。
この間は通院しながら治療を受けることになるが、その治療費も軽視できない。
このため、通院でのがん治療を行うと受け取れる「通院給付金」の内容は、重視すべき点だ。
がん保険には終身型と定期型の二種類がある
終身型のがん保険は、保険料も保障内容も生涯変わらないが、医療技術や制度の変化に対応できない側面がある。
一方で定期型では、保障は保険加入時に取り決めた満期までだが、保険料は割安だ。
また定期型では、保険が満期を迎えたときに、そのときの医療技術や制度に合わせた保障内容に見直すこともできる。
がん発症リスクが高まる高齢者では、定期型でも保険料が高くなることもあり、場合によっては加入できないこともある。
現役世代は満期ごとに保障内容を最新化できる定期型に加入し、保険の新規加入ができなくなる前に終身型に加入するという考え方もある。
経済的負担を考える
がん保険に加入する場合には、すでに加入中の保険の保険料と合算して、家計への負担を考えなければならない。
継続的に払い込む保険料の負担に耐え切れず、契約を途中で解約しては意味がない。
生命保険文化センターの調査報告による、世帯年収別の払込保険料の調査結果を紹介する。
世帯年収 | 年間払込保険料の 平均額※1 | 年収に占める 保険料の割合※2 |
---|---|---|
200万円未満 | 20.5万円 | 11.7% |
200~300万円未満 | 28.0万円 | 11.6% |
300~400万円未満 | 31.5万円 | 9.0% |
400~500万円未満 | 30.6万円 | 6.8% |
500~600万円未満 | 31.9万円 | 5.8% |
600~700万円未満 | 32.9万円 | 5.1% |
700~1,000万円未満 | 43.4万円 | 5.2% |
1,000万円以上 | 57.9万円 | 4.2% |
※1:P40「〈図表Ⅰ−54〉 世帯年間払込保険料(世帯年収別)」
全生保データより引用
※2:P42「〈図表Ⅰ−57〉 世帯年間払込保険料対世帯年収比率(世帯年収別)」
全生保データより引用
加入している生命保険や医療保険、およびその特約と重複する部分があれば、保障が手厚くない契約の見直しも検討したい。
がんのことが気になったら、その時ががん保険に入るタイミング!
本記事では、がん保険の必要性や最適な加入タイミング、さらにはがん保険選びのポイントについて解説した。
がん保険の特徴を理解し、自分自身のライフスタイルや経済状況に考慮のうえ、最適ながん保険を選びたい。
どの保険にすべきか迷ったときには、保険のプロに相談すれば、適切なアドバイスをもらえ、最適ながん保険が見つけられる。
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