- 生命保険の保障額がどれくらい必要なのか分からない
- 自分に必要な生命保険の保障内容が知りたい
- 生命保険の選び方について知りたい
生命保険の保障は、将来発生しうるもしものリスクに備えるための大切なツールだ。
しかし、あなたは「自分に本当に必要な保障内容や保障額」を理解しているだろうか。
いざというとき十分に保障が受けられない事態を避けるためにも、保障内容と保障額をしっかり理解した上で保険に加入したい。
この記事では、生命保険の保障についての基礎知識と、自分に合った保障内容・保障額の考え方を解説する。
また、それに基づいた保険選びのポイントを紹介する。ぜひ参考にしてほしい。
生命保険の保障内容
生命保険とは、保険会社へ保険料を払い込むことにより被保険者の死亡や病気、ケガなどが発生したときに経済的な保障を受けられる商品のことである。
一般的には、社会保険(公的保険)の保障範囲でカバーできない部分を補完する商品だ。
あなた以外の大勢の加入者が公平に保険料を負担し合い、集めたお金から保険金が支払われる仕組みとなっている。
生命保険の種類や必要性についてあらためて見ていこう。
生命保険の種類
生命保険は「被保険者が亡くなったときの保障」というイメージが強いが、病気、ケガ、介護などの死亡以外のリスクに備える商品も、原則として生命保険に分類される。
主契約となる生命保険の主な種類は、主に次の4つに分類される。
生命保険の種類 | 概要 |
---|---|
死亡保険 | ・被保険者の死亡や高度障害状態によって、死亡保険金(高度障害保険金)を受け取れる生命保険 ・収入保障保険や逓減定期保険などがある |
医療保険 | ・病気・ケガの治療や入院・手術にかかる費用を保障する生命保険 ・がん保険、所得補償保険、就業不能保険、特定疾病保障保険などがある |
介護保険 | ・被保険者が生命保険会社の所定の要介護状態に一定期間以上になったとき、一時金や年金が受け取れる生命保険 ・一定期間は180日継続としているケースが多い |
生存保険 | ・保健期間満期に被保険者が生きているとき、保険金や給付金を受け取れる生命保険 ・保険期間中に死亡(高度障害状態)になっても死亡保険金などを受け取れる養老保険がある ・個人年金保険、こども保険(学資保険)、貯蓄保険などがある |
また、生命保険には保険期間の長さや満期時の保険金の扱いについて、以下のように分けられる。
生命保険の型 | 概要 |
---|---|
終身保険 | ・保険期間が一生涯続くタイプの生命保険 ・亡くなるまで月々の保険料を安めに支払う商品と、60歳・65歳など一定の期間まで月々の保険料を高めに支払う商品がある ・途中で解約すると解約返戻金が出るものがある |
定期保険 | ・保険期間が10年・20年などで区切るタイプの生命保険 ・保険料が安い代わりに解約返戻金がほとんどない掛け捨て型が一般的である |
さらに保険商品は、主契約に加えて特約を付加することで保障範囲の拡大ができる。
例えば死亡保険に医療保障を付けたり、傷害特約を使って障害保険金を受け取れるようにしたりなどが挙げられる。
どのような特約が付加できるかは、生命保険会社や保険商品によって変わる。
生命保険の必要性
生命保険は死亡、病気、ケガ、介護など、いつ発生するかわからないリスクに備える商品である。
リスクが発生するとプライベート・仕事のいずれにおいても、金銭的・精神的に大きな負担としてのしかかってくる。
数十万円から数百万円、数千万円レベルのお金が必要になるケースも珍しくない。
生命保険の代わりに貯蓄で対応する方法もあるが、数百万円から数千万円貯まるまで非常に時間がかかるだろう。
生命保険なら、貯蓄が少ないときに病気やケガなどによる高額支出が発生しても、すぐに保障を受けることが可能だ。
また遺族年金やその他財産の他にも、500万円×法定相続人分の控除を適用できる死亡保険金を相続財産として残せるメリットがある。
個人年金保険や養老保険なら、保障を受けながら老後生活用資金の積立も行える。
公益財団法人 生命保険文化センター「2022年度生活保障に関する調査(2023年3月)」によると、生命保険の加入者は男性77.6%、女性81.5%と約8割を記録した。
年齢別の加入率だと、30代から増加し50代でピークを迎える。
数値から見ても、日本人の大半は生命保険を活用していることがわかる。
「自分の万が一に配偶者や子どもにお金を残したい人」や「病気やケガによって働けなくなったときの保障がほしい人」などに、生命保険は向いている商品だと言える。
逆に貯蓄がある場合や老後より今の生活にお金を使いたい場合は、生命保険が不要と考える人もいるだろう。
自分に合った保障内容とは
自分に合った保障内容は、ライフステージや家族構成、貯蓄状況、年齢によって変化する。
「公的保険制度や貯蓄でまかなえる部分」や「子どもの教育費用・マイホーム購入など将来にかかる資金」、「現在の収支」などを洗い出し、今後備えておくべきリスクや保険に回せる金額などを明確にしよう。
リスク面や金銭面がはっきりしたら、あなたが選ぶべき保険商品が見えてくる。
おすすめは「自身がどのライフステージに立っているか」を基準に選ぶことだ。
例えば独身で就職したばかりなら、死亡保障よりも病気やケガで働けなくなるリスクや、保険料の安さで検討する。結婚・出産が絡むライフステージなら、家族に残す死亡保険金が出る保険や学資保険などが候補に挙がるだろう。
求める保障・保険料と合致する保険会社や保険商品を探せたら、担当者と一緒に契約内容を決めていく。
主契約・特約の内容や保険料総額、払込方法などは、詳細な内容までチェックすることが大切だ。
生命保険で備えたい保障額
生命保険で備えたい保障額はいくらくらいがよいのか、公益財団法人 生命保険文化センターの調査結果などを基に解説する。
生命保険の保障額の平均は
生命保険の保障額の参考値として、普通死亡保険金の平均額を紹介する。
公益社団法人 生命保険文化センター「2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査(2021年12月)」によると、世帯主の全生保加入金額の普通死亡保険金額は、平均1,386万円となっている。死亡保険金額の分布は次の通りだ。
2015年 | 2018年 | 2021年 | |
---|---|---|---|
200万円未満 | 7.9% | 8.3% | 8.7% |
200~500万円未満 | 13.6% | 14.9% | 15.3% |
500~1,000万円未満 | 16.7% | 15% | 16.7% |
1,000~1,500万円未満 | 14.3% | 13.2% | 15.8% |
1,500~2,000万円 | 5.4% | 5.1% | 5% |
2,000~3,000万円未満 | 12.2% | 9.8% | 10.2% |
3,000~5,000万円未満 | 12.7% | 9.3% | 9.2% |
5,000万円~1億円未満 | 3.4% | 3% | 3% |
1億円以上 | 0.3% | 0.4% | 0.4% |
不明 | 13.6% | 21.1% | 15.7% |
死亡保険金の金額は、200〜1,500万円で約半分を占めていることがわかる。
次に世帯主の年齢別の死亡保険金(全生保)を見ると、30代後半から50歳にかけて死亡保険金が高くなっていた。
世帯年収別で見ると、年収が高くなるほど死亡保険金額の加入金額が高くなっている傾向が見られる。
このように生命保険の死亡保険金額は、収入が多い現役世代・収入が多い世帯ほど高く設定している。
さらに以下では、疾病入院給付金、がん保険・がん特約の入院給付金、介護保険・介護特約の介護給付金月額の数値も紹介する。
保障の種類 | 平均金額 |
---|---|
疾病入院給付金 | 日額9,800円 |
がん保険・がん特約の入院給付金 | 日額11,500円 |
介護保険・介護特約の介護給付金月額 | 月額7万6,000円 |
自分に必要な保障額はどれくらいなのか
自分に必要な保障額を考えるときは、死亡保険金なら「家族にいくら残せばよいのか」
を基準に考えよう。具体的には、葬儀などにかかるお金やその後の生活費だ。
自分が死亡した後の「遺族の収入(配偶者の収入や遺族年金など)・相続財産」と、「遺族の支出(生活費、葬儀費、住宅ローン、教育費など)」を明確にし、遺族の支出-遺族の収入の不足分を、必要保障額として設定するのが1つの目安になる。
公益社団法人 生命保険文化センター「2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査(2021年12月)」によると、世帯主に万が一があった場合に、残された家族のために必要と考える生活資金総額は5,691万円となっていた。
年間必要額は327万円なので、約9.1年分である。
しかし、小さい子どもがいる世帯は7,000〜8,000万円、高齢夫婦は3,000〜5,000万円と、子どもの有無や子どもの年齢、ライフステージによって必要と考える金額は大きく変わる。
世帯の事情や収入状況などを考慮しつつ、保障額を設定しよう。
保障額の設定のポイント
保障額の設定のポイントは、保障内容を決めるときと同じくライフステージや収支状況を明確にすることだ。
家族に残せるお金、現在の生活にかかるお金、将来的にかかるお金を計算し、不足分を算出しよう。
とくに結婚・出産・マイホーム購入・子どもの進学などに必要な費用は意識したい。
以下では、楽天生命が提供する「必要保障額シミュレーター」にて、死亡保険金における必要保障額のシミュレーションを行った。
- 30歳男性
- 会社員
- 手取り457万円(年収600万円)
- 配偶者手取り80万円
- 子ども2人(5歳・2歳、公立高校、私立大学予定)
- 生活費28万円
- 持ち家あり
- 預貯金400万円
- その他資産なし
項目 | 金額 |
---|---|
遺族支出 | 1億4,261万円 |
遺族収入 | 1億426万円 |
必要保障額 | 約3,765万円 |
保障内容と保障額から考える適切な生命保険選びのポイント
適切な生命保険を選ぶには、保障内容や保障額を基準に考えることが大切だ。
なぜ生命保険に加入するのか、支払う保険料とほしい保障額のバランスは取れているか、保険会社ごとの強み・弱みを理解しているかなどを、事前に検討しよう。
加入目的を確認する
生命保険選びでもっとも重要なのは、なぜ生命保険に加入するかを考えることである。
加入目的が曖昧だと、必要な保障内容や保障額が定まらず、自分の状況に合わない生命保険に対して保険料を払い続けるリスクがあるからだ。
家族に財産を遺したいなら死亡保障、一人暮らしで病気・ケガで働けなくなるリスクを考えたら医療保険や就業不能保険など、加入目的を満たす生命保険の種類を確認しよう。
また、保障を受けながら老後や教育資金の資産形成ができる、貯蓄機能付きの生命保険も選択肢の1つだ。
支払う保険料とほしい保障額のバランス
支払う保険料に対して、ほしい保障額が得られるかも生命保険選びのポイントである。
余計な保障を大量に付けると、ほしい保障額に対して保険料が過大になるリスクがある。
保険料や保障額のバランスを取りたいときに、見ておきたいポイントを以下でまとめた。
- 月々の支払いが安い終身保険か、一定の期間が終われば保険料の支払いが終わる定期保険か
- 定額保険なら、保険期間が長く保険料が一定になる「全期型」にするか、満期に更新するか選べるが更新だと年齢に応じて保険料が高くなる「更新型」にするか
- 月々の支払いが安い代わりに貯蓄機能がほぼない「掛け捨て型」にするか、保険料は高いが解約返戻金や満期保険金がもらえる「貯蓄型」にするか
- 不要な特約が付いていないか
- 必要な保障額や保険料を正確に算出するために、保険会社の担当者やFPなどの専門家に相談するかどうか
保険会社ごとの比較
生命保険の商品性や付けられる特約は、保険会社ごとに異なる。
医療保険の中でもがん保険医に力を入れている会社、投資型の保険を得意とする会社、死亡保険の保障と付けられる特約が豊富な会社などがあるので、あなたが加入したい保険商品に強い保険会社を選ぶのがよいだろう。
また保険料も保険会社ごとに異なるので、複数の保険会社を比較検討することが大切だ。
大手保険会社であれば、生命保険の基本となる死亡保険・医療保険・介護保険・生存保険は一通り揃っている。
迷ったときは、大手の保険会社を中心に選ぶとよい。
まとめ
本記事では、生命保険の保障内容の基本から選び方のポイントまでを説明した。
自分に必要な保障内容を理解せず保険に加入した場合、いざというときに必要な保障が受けられず困る可能性がある。
余計な保険料も支払い続けなければならない。
そのため自身の経済状況と将来のリスクを考え、必要な保障内容と保険金額が受け取れる生命保険を選ぶことが大切である。
しかし、将来のリスクや必要な保障を自分で把握するのは難しい。
また保険には膨大な数の商品が存在するため、自分1人ですべての保険内容を理解した上で比較検討することもまた困難である。
そこで保険の専門家であれば、このような細かいポイントを把握しながら、あなたに最適な保険を選ぶ手助けをしてもらえる。
もし相談できる保険のプロを探すのは難しいと感じる場合は、「生命保険ナビ」の活用がおすすめだ。
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保険のプロなら、あなたに必要な保険を的確にアドバイスしてくれるだろう。
ぜひ生命保険ナビを活用し、あなたの生活に最適な生命保険を見つけてほしい。