- FXの取引手数料が無料なのはなぜか知りたい
- FXのスプレッドと手数料の違いを理解したい
- お得に取引できるFX会社を見つけたい
FXの会社を選ぶときに、多くの人が重視するのが取引にかかる手数料についてだ。
国内のFX業者では、FXの取引手数料を無料としているところが多いものの、「本当に無料でトレードできるの?」「無料で取引できるなんて怪しいのでは?」と不安を感じている人もいるかもしれない。
本記事では、取引手数料無料でFXサービスが利用できる背景や、そのほかにかかる手数料について解説する。
FX会社を選ぶときのポイントについても紹介するので、口座開設を行う際の参考にしていただきたい。
FXの取引手数料が無料の理由
国内のFX業者では、取引手数料無料でサービスを提供しているところが多い。
しかし、利用するトレーダーにとっては「なぜ取引手数料を取らずにやっていけるのだろう」と疑問を感じることも多い。
取引手数料無料でFXサービスを提供できるのには、次のような理由がある。
- スプレッドで収益を確保しているから
- 顧客を獲得するため
- 取引量を増やすため
それぞれくわしく解説していこう。
スプレッドで収益を確保しているから
取引手数料を無料にできる大きな要因のひとつが「スプレッド」の存在である。スプレッドとは、FXの売買を行う際にトレーダーが実質的に負担するコストだ。
FXでは取引手数料はかからないことが多いものの、実際はスプレッドと呼ばれるコストを負担している。
FX業者はスプレッドによる収益を確保していることから、取引手数料無料でサービスを提供することが可能となっている。
なお、スプレッドの仕組みについては、次の章でくわしく解説しているため、併せてそちらも参考にしていただきたい。
顧客を獲得するため
取引手数料無料でサービスを提供しているのは、顧客を獲得するための戦略のひとつでもある。
収益を確保して健全な運営を続けていくためには、一定数のユーザーを確保する必要がある。
国内には多くのFX会社があり、その中から自社を選定してもらうためには、相応の魅力や優位性が不可欠だ。
ユーザーがFX会社を選ぶときのポイントはさまざまで、たとえば「充実したキャンペーンを頻繁に開催している」「本格的な取引ツールが無料で使える」といった特徴をアピールしているFX業者もある。
ただし、国内のFX業者については大多数が取引手数料を無料化しているため、他に大きな魅力があっても取引手数料が有料のところは選んでもらえない可能性が高い。
つまり、取引手数料を無料としているのは、ユーザーに分かりやすく自社の魅力を訴求するための「前提」のようなポイントといえる。
取引量を増やすため
FX会社が流動性の高いトレードを提供するためには、ユーザーによる取引量を増やす必要がある。
FXの売買は、「売りたい」「買いたい」という需要と供給が一致することで成立する。
しかし、市場への参加者が少なければユーザー同士の需給が一致せず、安定した取引を行えない。中には、思うようなレートで取引を行えないケースも出てくるだろう。
こうした「狙ったレートと違う条件で約定する」という状況を「スリッページ」といい、トレーダーがFX業者を選ぶときにチェックしているポイントのひとつである。
スリッページが頻繁に起こる会社は「安定したトレードができそうにない」という印象を与えてしまうため、トレーダーに避けられる要因となる。
よりスリッページの起こらない環境を提供するためには、一定の取引量を確保することが必要不可欠だ。
FX取引は完全無料ではない?スプレッドと取引手数料の違い
「取引手数料無料」と聞くと、まったくコストがかからない印象を抱くかもしれない。
しかし、実際は「スプレッド」と呼ばれるコストを負担しているため、FXを始める際はその仕組みをよく理解しておく必要がある。
ここでは、スプレッドの概要や取引手数料との違い、その他の手数料について解説していく。
そもそもスプレッドとは?
スプレッドとは、FX業者が提示する売値と買値の差額のことである。
たとえば、米ドル/日本円の売値が1ドル=155.00円、買値が155.10円の場合、このときのスプレッドは0.10円となる。
多くのFX業者では取引手数料をかけずにトレードが行えるものの、実際はこのスプレッドをコストとして負担しているため注意が必要だ。
また、スプレッドはFX業者がそれぞれ独自に設定しているものであるため、同じ通貨ペアを取引する場合であっても、どのFX会社を利用するかによってレートが異なる。
より取引コストの負担を軽減するためには、複数のFX業者のスプレッドを比較してみることが重要だ。
加えて、スプレッドの幅は通貨ペアによっても異なる。基本的に、メジャー通貨ペアはスプレッドが狭く、新興国などの通貨はスプレッドが広がりやすい傾向にある。
マイナー通貨ペアでトレードする際は、スプレッドによる負担の大きさにも注意するようにしよう。
取引手数料とスプレッドの違い
取引手数料とは、1回の取引あたりに設定されている手数料である。
取引量に基づいて手数料が定められていることが多く、ユーザーは「1ロットの取引につき〇〇円」といった仕組みで手数料を支払う。
一方、スプレッドとは、前述の通りFX会社が提示する売値と買値の差額のことである。
一見して分かりにくいものの、トレーダーが実質的に負担するコストであるため、よく仕組みを理解しておく必要がある。
国内のFX業者では取引手数料無料でサービスを提供していることが多いため、「コストゼロでトレードができる」と思いがちである。
しかし、実際はスプレッドと呼ばれるコストを負担しているため、売買によってどれくらいのコストがかかるかよく確認しておくことが重要だ。
そのほかにかかる手数料
FXでは、取引手数料やスプレッドの他にも次のような手数料が発生する。
- 口座管理手数料
- 入金手数料
- 出金手数料
- ロスカット手数料 など
たとえば、頻繁に資金の出入りを繰り返す場合は、入出金手数料に注意が必要だ。
入出金の度に手数料を支払っていると、せっかくトレードで収益を得てもコストによって目減りしてしまうことになる。
資金効率を上げながら収益を得るためには、取引手数料やスプレッドだけでなく、その他のコストもなるべく抑えることが重要だ。
どのような手数料がかかるかはFX業者によって異なるため、利用先を選ぶ際はよく手数料規定について確認するようにしよう。
取引手数料無料のFX会社を選ぶポイント
より自分の投資意向に合ったFX業者を見つけるためには、次のような対象も比較したい。
- スプレッド
- 取扱通貨ペア数
- スワップポイント
- 取引ツール
- サポート体制
それぞれどのような点を比較すればよいのか、くわしく紹介していこう。
スプレッド
スプレッドは、運用成果に直結する重要なポイントだ。より資金効率を上げるためには、なるべくスプレッドが狭く設定されているところを選定するようにしたい。
ここで、主要5業者の米ドル/日本円のスプレッド水準を比較してみよう。
FX業者 | 米ドル/日本円のスプレッド | |
---|---|---|
GMOクリック証券 (FXネオ) | 0.2銭(原則固定) | 詳しくはこちら |
SBI FX トレード | 0.2銭(原則固定) | |
DMM FX | 0.2銭(原則固定) | 詳しくはこちら |
外為どっとコム (外貨ネクストネオ) | 0.2銭(原則固定) | |
LION FX | 0.2銭(原則固定) |
メジャー通貨ペアは、原則固定のスプレッドを定めていることが多い。
ただし、原則固定のスプレッドには適用される時間帯が決められており、朝方の取引などについては流動的なスプレッドが適用されることとなる。
市況や時間帯によってはスプレッドが広がることもあるため、トレードの際はスプレッドの水準を必ず確認するようにしよう。
取扱通貨ペア数
取扱通貨ペア数も、業者を選定するときに重要なポイントだ。
米ドル/日本円やユーロ/日本円といったメジャー通貨ペアであれば、どの業者も取り扱っていることが多いが、マイナー通貨ペアについては各社によって取り扱いが異なる。
ここで、主要5業者の取扱通貨ペア数を比較してみよう。
FX業者 | 取扱通貨ペア数 | |
---|---|---|
GMOクリック証券 (FXネオ) | 20通貨ペア | 詳しくはこちら |
SBI FX トレード | 34通貨ペア | |
DMM FX | 21通貨ペア | 詳しくはこちら |
外為どっとコム (外貨ネクストネオ) | 30通貨ペア | |
LION FX | 54通貨ペア |
このように、取扱通貨ペア数は各業者によって大きく異なる。よりトレードのチャンスを広げるためには、バリエーションが豊富な通貨ペアを扱っているところを選びたい。
スワップポイント
高金利通貨ペアでのトレードを検討している人は、スワップポイントも重要な比較対象である。
スワップポイントとは、2ヶ国間の金利差によって生じる損益のことだ。トレーダーは金利の低い通貨を売って、金利の高い通貨を買うことで、その金利差を利益として受け取ることができる。
売買以外に利益を得られる機会になるため、スワップポイントの受け取りをトレードの目当てにしている人も多い。
ただし、スワップポイントは業者によって水準が異なるため、同じ通貨ペアを売買する場合でも利用する先によって受け取れる額が異なる。
メキシコペソやトルコリラ、南アフリカランドなどでのトレードを予定している人は、複数の業者を比較したうえで利用先を選定するようにしよう。
また、スワップポイントは日々変動するため、業者を比較する際はある1日のスワップポイントだけでなく、過去の推移も比較することがおすすめだ。
取引ツール
快適なトレード環境を構築するためには、取引ツールの機能や使用感も重要なポイントである。
取引ツールは無料で提供されている場合も多いが、その機能は大きく異なる。
たとえば、「外出先でもFXを楽しみたい」という人は、スマートフォンのアプリが充実している業者がよいだろう。
「本格的なテクニカル分析を行いたい」という人は、より多くのチャート分析機能や描画ツールを備えているところが向いているといえる。
業者によっては、デモ口座の機能を使ってツールの使用感を確認できるところもあるので、そういった機能を利用してみて、より使いやすいツールを見つけてみよう。
サポート体制
初めてFXのトレードを行う人や、投資経験が浅い人は、サポート体制についてもよく確認しておきたい。
FXでは夜間にトレードを行うことが多いため、「取引方法や操作の分からないことを聞きたいけど、サポートセンターが閉まっている」ということも少なくない。
しかし、中には、夜間まで電話での問い合わせに対応しているところや、チャットでいつでも質問ができるところなどもある。
初心者は、より充実したサポートが受けられるFX業者を選んでおくと、トレード中に疑問点が生じたときにも安心だ。
各業者によって、問い合わせ方法や対応時間などが異なるため、利便性が高く、気軽に尋ねられるところを探してみよう。
取引手数料無料のFX取引で気をつけたいポイント
FXのトレードを始める際は、いくつか注意したいポイントがある。ここからは、よりリスクを抑えてトレードするためのポイントについて紹介していこう。
スプレッドは変動する
FXのスプレッドは、為替市場の値動きやボラティリティによって決められる。
そのため、市況が大きく変動するときなどはスプレッドが広がることがあるため注意が必要だ。
たとえば、為替市場に影響を与えるような経済指標が発表される際は、注目度の高さから市場のボラティリティも大きくなりやすい。
そのタイミングでトレードをすると、スプレッドが広がり、コストがかさむ要因になる。
取引コストを抑えるためには、ボラティリティが大きいタイミングなどはなるべく避ける方がよいだろう。
取引できない時間帯がある
FXは、平日のほぼ24時間トレードができることが魅力だ。
ただし、業者によっては「毎朝決まった時間にメンテナンスを行う」など、取引ができない時間帯が設けられているところもある。
メンテナンス中は取引が制限されるため、もしトレードのチャンスが到来しても売買を行うことができない。
利用先を選ぶ際は、取引時間と定期メンテナンスの時間帯についても確認しておくことがおすすめだ。
レバレッジのリスクを理解する
FXでは、レバレッジをかけた取引が可能である。レバレッジは資金効率を上げて大きなリターンを狙える魅力がある。
しかし、その一方で大きな損失を負うリスクがある点にも注意したい。レバレッジ取引を行う際は、自分のリスク許容度をよく理解したうえで、それに見合った範囲内でトレードを行うようにしよう。
手数料無料のFX業者でも実際のコストを理解しよう
国内のFX業者では取引手数料無料でサービスを提供しているところが多いものの、実際はスプレッドと呼ばれるコストや入出金手数料などがかかる。
トレードを行う際は、どのような手数料がかかっているかよく理解することが大切だ。
また、利用先を選ぶ際は、取引手数料だけでなくスプレッドや取扱通貨ペア数、スワップポイントなどを比較して、より自分の意向に合ったところを選ぶようにしよう。