医師の退職金事情完全ガイド! 知っておきたい退職金の仕組みと活用法

医師は高収入と言われることがある一方で、退職金の有無や金額は勤務先の退職給付制度や勤続年数などによって大きく異なる。

そのため、退職金制度や税制、そして受け取った後の管理・活用に関する基本的な理解は重要だと言える。

また開業医など、雇用される立場でない場合は、勤務先からの退職金がないというケースもある。

定年後の生活に向けては退職金以外の資産形成戦略が求められるのだ。

本記事では、医師の退職金事情完全ガイドとして、退職金の決まり方や受け取る際の注意点を解説する。

また、退職後の生活設計や活用法についても触れ、医師のキャリアと財務計画の全容を解明する。

退職金のおすすめの運用法についても検討しよう
退職金をどこに預けるか迷う場合は、目的・期間・リスク許容度などを整理して検討しよう

目次

医師の退職金に関する基本知識・計算方法と平均額

医師の退職金に関する基本知識を中心に解説していくので、退職金について理解を深めていこう。

医師の退職金規定と退職金の有無

現在、勤務している施設の退職金規定がどのような内容かを知っているだろうか。

施設によって、役職などのポイントが退職金に影響するため、規定を把握していない方は確認しておこう。

また、退職金制度を導入していない施設であれば、退職金を受け取れない。

では、医療・福祉に分類される企業では、どれくらいの割合で退職給付(一時金・年金)制度が設けられているのだろうか。

区分割合
退職給付(一時金・年金)制度がある75.5%
退職給付(一時金・年金)制度がない24.5%

出典:本文末尾「参考・出典」

以上のように、医療・福祉に分類される企業でも退職給付制度の有無は企業によって異なるのだ。

退職金を受け取れる場合は、施設が定めた退職金ルールによって対象者や金額が決められる。

支給対象や支給条件(勤続年数、退職事由など)は、就業規則や退職給付規程で定められるため、確認しておこう。

しかし、施設によって「勤続年数〇年以上」などの決まりは異なるため、就業規則などを確認しておくといいだろう。

医師の退職金の平均額

退職金額は、制度の有無や計算方法、勤続年数、退職事由などの条件によって変わるため、勤務先の規程を確認して整理していこう。

勤続年数退職金額(目安)
1年未満勤務先の規程による
1年以上~
3年未満
勤務先の規程による
3年以上~
5年未満
勤務先の規程による
5年以上~
7年未満
勤務先の規程による
7年以上~
10年未満
勤務先の規程による
10年以上勤務先の規程による

出典:本文末尾「参考・出典」

勤続年数退職金額(目安)
1年未満勤務先の規程による
1年以上~
3年未満
勤務先の規程による
3年以上~
5年未満
勤務先の規程による
5年以上~
7年未満
勤務先の規程による
7年以上~
10年未満
勤務先の規程による
10年以上勤務先の規程による

出典:本文末尾「参考・出典」

退職金額は、勤続年数や退職事由などの条件によって変動するため、制度の条件を整理して見通しを立てよう。

医師の退職金の計算方法

では、医師の退職金はどのように計算されるのだろうか。

退職金制度は施設によって規定が異なるため、退職金額の求め方も違う。

そのため、実際に支給されるまで明確な数字は分からないので注意してほしい。

以下では、退職金額を計算する際に使用される4つの計算方法を紹介していくので、どのような求め方があるのかを知っていこう。

退職金額の計算方法

種類詳細
定額制「勤続年数」に応じて、退職金額を計算する方法

勤務した年数が長いほど、退職金額が増加する傾向にある
(例)勤続年数5年の退職金額:規程による
基本給連動型「勤続年数」「基本給」「退職理由」などのポイントを考慮し、退職金額を計算する方法

役職についている方や、勤務した年数が長い方は受け取れる金額が多い傾向にある

【計算式】基本給(退職時)×支給率※1×退職金事由係数
別テーブル制「勤続年数」「退職理由」などのポイントを考慮して退職金額を計算する方法

基本給連動型と似た方法だが、基本給ではなく役職や等級に応じて金額が変わる

【計算式】基礎金額※2×
支給率※3×退職事由係数
ポイント制従業員に与えたポイント数によって、退職金額を計算する方法

【計算式】退職金ポイント※4×ポイント単価/円×退職事由係数
  1. 支給率:勤続年数によって変動
  2. 基本金額:役職などによって異なる
  3. 支給率:勤続年数によって異なる
  4. 退職金ポイント:貢献した内容や勤続年数で異なる

医師の勤務地と給与水準の関係

勤務地(勤務先の規模や種別)によって給与水準が異なる場合があるため、ここでは各施設別の区分例を男女別で紹介していく。

実際の金額は勤務先や働き方によって大きく変わるため、勤務先の規程や統計の定義に沿って確認してほしい。

規模:従業員10人~99人=クリニックなど

年齢男性女性
30歳~34歳
35歳~39歳
40歳~44歳
45歳~49歳
50歳~54歳
55歳~59歳
60歳~64歳
65歳~69歳
70歳~

出典:本文末尾「参考・出典」

規模:従業員100人~999人=中小規模(市中病院)の病院

年齢男性女性
30歳~34歳
35歳~39歳
40歳~44歳
45歳~49歳
50歳~54歳
55歳~59歳
60歳~64歳
65歳~69歳
70歳~

出典:本文末尾「参考・出典」

規模:従業員1,000人以上=大規模(大学病院・基幹病院など)の大病院

年齢男性女性
30歳~34歳
35歳~39歳
40歳~44歳
45歳~49歳
50歳~54歳
55歳~59歳
60歳~64歳
65歳~69歳
70歳~

出典:本文末尾「参考・出典」

以上が病院の規模別の区分例である。以下では、「国立病院」「地方公共団体(公立病院)」「都道府県立病院」「市区町村組合(市立病院など)」を紹介していくので、現在の勤務先で確認してみてはいかがだろうか。

施設金額
国立病院機構
(国立病院)
地方公共団体
(公立病院)
都道府県
(都道府県立病院)
市区町村組合
(市立病院など)

出典:本文末尾「参考・出典」

勤務先の制度や規程を確認し、実際にどれくらいの金額を得られるかの1つの目安として整理してほしい。

医師が退職金を受け取る際の注意点

ここでは、退職金に対して課税される「税金」を中心に解説していくので、税金の仕組みについて理解し、今後のために役立ててほしい。

退職金にかかる税金の仕組み 

退職金は「退職所得」に該当し、以下の計算式を使うと退職所得を求められる。

退職所得を求める計算式:(退職金額‐退職所得控除)×2分の1(役員等の退職手当等・短期退職手当等に該当する場合は取扱いが異なる)

退職所得は、退職金から控除額を引いた後に「2分の1」ができるため、原則として他の所得よりも課税対象になる金額が少なく、将来のための資産を確保しやすい。

退職所得控除の意義と具体例

退職所得を求める際に重要になるのが、「退職所得控除」である。

退職所得控除は、勤務した年数によって変わるため、以下の表を確認してほしい。

勤続年数計算式
20年未満40万円×勤続年数(80万円に満たない場合は80万円)
20年以上800万円+70万円×(勤続年数−20年)

具体的な数字を使って実際に課税対象金額を計算していくので、実際に現在の勤続年数で計算してみよう。

参考①:勤続年数15年、退職金800万円

退職所得控除:40万円×15年=600万円

退職所得:(800万円-600万円)×2分の1=100万円

課税対象:100万円

参考②:勤続年数25年、退職金1,500万円

退職所得控除:800万円+70万円×(25年-20年)=1,150万円

退職所得:(1,500万円-1,150万円)×2分の1=175万円

課税対象金額:175万円

退職金がない場合の資産形成戦略 

退職金制度がない施設で勤務している方や開業医の場合、早い段階から目標のために資産形成を行うのが理想的である。

ここでは、退職金を受け取れない方でも行える資産形成について解説していく。

方法内容
預貯金金利が低いため、資産を増やす方法には不向きであるが、いつでも引き出すことができるので自由度が高い
定期預金を活用すれば、通常よりも金利が高くなるのでおすすめだ
貯蓄型保険貯蓄性のある保険を活用して、資産運用を増やす方法満期保険金や解約返戻金として保険金を得る
例:終身保険・養老保険・個人年金保険など
iDeCo掛金を支払って将来に備える「個人型確定拠出年金」で、60歳以降に一時金か年金形式で受け取れる
支払った掛金を全額所得控除でき、運用益が非課税になるため節税効果がある
また、一時金で受け取ると「退職所得控除」、年金で受け取ると「公的年金等控除」の適用が可能
NISA投資で得た利益は通常課税されるが、NISAを利用すれば非課税保有限度額(総枠)1,800万円まで非課税となる
積立投資だけではなく、株式投資や投資信託なども選べるのも魅力的なポイントだ

医師必見!退職後の生活設計のポイント

退職後、どのようなポイントを押さえると豊かな生活を送れるのだろうか。

ここでは、年金制度や老後の生活に必要な費用などを紹介するので、今後のためにぜひ参考にしてほしい。

年金制度の現状と課題

公的年金と聞くと、「老後2,000万円問題」という言葉が思い浮かぶ方も多いだろう。老後の生活費は世帯構成や生活水準などで大きく変わるため、収入と支出の見通しを整理することが重要だ。

生活意識割合
大変苦しい
やや苦しい
普通
ややゆとり
がある
大変ゆとり
がある

出典:本文末尾「参考・出典」

公的年金だけを収入源とする場合でも、支出の内容や住居費の有無などによって家計は大きく変わるため、家計の状況に応じて備えを検討しよう。

老後生活に必要な費用の項目と考え方

老後の生活にどれくらいの費用が必要になるのかを解説するので、老後までにどれくらいの資産を用意すればいいか考えてみてはいかがだろうか。

独身者と夫婦2名分の生活費を以下の表にまとめたので、ぜひ参考にしてほしい。

【老後】独身者の生活費/月

費用項目金額/月
住居費
水道費・光熱費
医療費
食費
交通費・通信費
教育費
教養娯楽費
衣類や履物などの購入費
家事用品・家具などの購入費
税金や
社会保険料など
その他
(消費支出)
合計

出典:本文末尾「参考・出典」

【老後】夫婦2人分の生活費/月

費用項目金額/月
住居費
水道費・光熱費
医療費
食費
交通費・通信費
教育費
教養娯楽費
衣類や履物
などの購入費
家事用品・家具などの購入費
税金や
社会保険料など
その他
合計

出典:本文末尾「参考・出典」

このように、世帯構成や生活水準によって毎月の費用は大きく変わる可能性が高いため、事前に将来に備えておく方がいいと言える。

退職後に想定されるリスクと生活設計のポイント

退職金に想定されるリスクは主に以下の4つが挙げられるので、しっかりとリスクを理解しよう。

リスク①:収入の減少

退職後は現役のときよりも収入が減るため、どのように「収入を得るか」を考えなければならない。

リスク②:インフレリスク

インフレ(インフレーション)とは、物価が上がり続けていく状態のことを指す。

物価が上がり続けると現金の価値が減ってしまうため、投資などで対策する必要がある。

リスク③:病気やケガ

年齢を重ねると身体機能が低下するため、病気やケガを負う可能性が高くなる。

そのため、医療機関に受診する頻度が上がり、医療費が今までよりも多く必要になるのだ。

リスク④:長生き

医療の進歩により平均寿命が延びているため、長生きすることは嬉しい反面リスクにもなる。

平均寿命の変化

対象男性女性
1990年
2019年

出典:本文末尾「参考・出典」

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医師の退職金は賢く活用しよう

今までの頑張りがあったからこそ、得られる「退職金」を賢く活用し、ゆとりある毎日を過ごせるよう資産運用を行ってはいかがだろうか。

退職金を活用する具体的な方法

退職金を活用する具体的な方法は、以下の通りである。

おすすめの
投資方法
内容
株式投資配当金・株主優待・売買差益でリターンを得られる方法
債券投資国や公共団体などにお金を貸すことで、利息を得られる方法
投資信託複数の商品や銘柄が組み合わさった金融商品のことを指し、投資家の代わりにプロが資産運用を行う方法
不動産投資家賃収入を得られるだけではなく、不動産を売却することも可能

一部の方法では、NISA制度を活用できるため、将来に備えて資産形成したい方はNISAを使った資産運用を行うのも1つの選択である。

上記「退職金がない場合の資産形成戦略」ではNISAで選べる金融商品を一部紹介しているので、気になる方は確認してほしい。

退職金を活用した資産運用の重要性

退職金を資産運用する方がいい理由は、「インフレリスクを防ぐため」と「資産寿命を延ばすため」である。

インフレリスクは、上記「退職後に想定されるリスクと生活設計のポイント」で紹介した通り、物価が上がり続けることで現金の価値が下がることを指す。

現在、現金1,000万円を保有していたとしても、インフレが進んでいる場合は時間の経過とともに現金1,000万円以下の価値に変わってしまう。

また、退職金を資産運用すると「資産寿命」が延びるため、より安心して毎日を過ごせるようになる。

資産寿命とは

老後生活を送る際に、資産形成してきた資産が無くなるまでの期間のことを指す

経済的に安定していると心に余裕がある状態で毎日を過ごせるため、資産運用は欠かせないポイントだと言える。

退職金の管理・運用に関する相談を専門家にする意義とその重要性

退職金はまとまった金額を得られるため、しっかりと管理・運用しなければならない。

しかし、資産運用を行ったことがない方は「どの方法が自分に合っているのか分からない…」と悩んでしまうだろう。

そのような悩みを解決する方法の1つとして、専門家に相談するという選択肢もある。

相談時は、資産運用目的・経済状況・家族構成・運用期間などを整理し、必要な情報提供や助言を受けられるよう準備しておこう。

資産運用には「リスク」がついて回るため、正しい知識を元にリスクと向き合う必要があるが、資産運用の知識や経験が浅い人はハードルの高さや不安を感じてしまうだろう。

そのため、リスクとリターンの関係を理解し、自身の状況に合った運用方針を検討することが重要である。

よりよい老後生活を手に入れるためにも、必要に応じて専門家のサポートを受けてみてはいかがだろうか。

医師の退職金は賢く活用しよう

勤務医の場合には定められた制度に沿った退職金が支払われるが、その金額は勤続年数や病院の種類などで異なる。

また受け取る際には税金がかかるため、その仕組みも理解しておくといいだろう。

なお、開業医には自身で設定しない限り退職金がないため、定年後の生活に向けては別の資産形成戦略が求められる。

退職金にはいくつかの活用例があるが、老後の生活を安心して過ごすためにはたしかな資金計画のもと運用することが重要だ。

退職金の管理や運用に関する疑問や不安があれば、専門家からアドバイスを受けてみてはいかがだろうか。

医師の退職金に関するQ&A

医師の退職金額の目安はありますか?

退職金額は、勤務先の退職給付制度や退職金規程、勤続年数、退職事由などによって大きく異なるため、まずは勤務先の規程を確認してほしい。

規模:10人~100人(クリニックなど)

男性女性
60歳~64歳

規模:従業員100人~999人(中小規模の病院)

男性女性
60歳~64歳

規模:従業員1,000人以上(大学病院など)

男性女性
60歳~64歳
医師の退職金や資産運用に関する相談先はどこがおすすめですか?

退職金や資産運用は、税制や制度、運用商品の内容など確認すべき点が多いため、必要に応じて専門家に相談する方法がある。

退職金がない場合の対処法はありますか?

退職金がない場合は、以下の方法で資産形成を行うことを検討しよう。

  • 預貯金
  • 貯蓄型保険
  • iDeCo
  • NISA

上記「退職金がない場合の資産形成戦略」にて詳細を解説しているので、気になる方は再度確認してみてはいかがだろうか。

参考・出典

この記事を書いた人

退職金メディア編集部は、退職前後の読者が「退職金を減らさず、着実に育てる」ための知識と選択肢を提供する金融業界に精通したライターチームです。読者の退職金に関する悩みや不安を解消するために、おすすめの退職金運用方法や退職金の相談先など、質の高い情報発信を心がけています。運営元であるアドバイザーナビ株式会社は資産運用アドバイザーと退職金の運用を考えている方をマッチングする「退職金ナビ」を提供しています。