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【1717】明豊ファシリティワークス株式会社代表取締役社長 大貫美氏「DX活用で顧客視点のマネジメントサービスの多面成長を実現」

※本コラムは2023年4月17日に実施したIRインタビューをもとにしております。

明豊ファシリティワークス株式会社はCM(コンストラクションマネジメント)事業の先駆者として、発注側視点での高度な専門性を武器に信頼を獲得してきました。

代表取締役社長の大貫美氏に、これまでの事業の変遷や、「脱炭素化支援」「DX支援」をキーワードとする今後の更なる成長の施策について教えていただきました。

目次

明豊ファシリティワークス株式会社を一言で言うと

発注者側に立ち建設プロジェクトの成功を支えるプロです。

代表就任の経緯

私は1997年に当社に入社し、当初はマーケティング部にて、サービスを提供するお客様の獲得を目的とした提案業務からキャリアがスタートしました。

また、当社はプロジェクトマネジメントの会社ですので、実際に専門家同士がチームを組みお客様をサポートするというメインの業務にも携わりながら仕事を続けてきました。

その後、2017年に現職に就任し、現在丸6年が経っています。

当社のターニングポイントはいくつかありますが、やはりCM(コンストラクションマネジメント※)事業のビジネスモデルを確立したことが一つの大きな転換点です。

  • CM(コンストラクションマネジメント):建築や設備のプロであるCMR(コンストラクション・マネージャー)が、技術的な中立性を保ちつつ発注者の代行者または補助者となって発注者側に立ち、基本計画や設計の検討、工事発注方式の検討、工程管理、コスト管理など各種マネジメント業務の全部又は一部を行うマネジメントのこと。

具体的には、まずオフィス移転事業をはじめた時は、他の会社は自社の利益を工事原価に含めて見積もりを出すのが一般的ですが、当社は、当社の報酬を開示し、工事原価と分けた見積もりをお客様に分かりやすく示しました。

これにより建設プロジェクトの上流の段階でも当社がお客様に採用され、当社がプロとしてお客様を支援し、各工程においてお客様が最適な工事会社等を「調達の透明性」の下で選ぶことができるようになりました。

これは全く新しいアプローチであり、当社の固定報酬と、お客様が選んだ発注に基づく工事原価との合計額をもって、請負契約を締結するオープンブック(アットリスクCM)からはじめました。

その後当社は、お客様からマネジメントフィーのみをいただき、プロジェクト全体にわたってお客様を支援し、お客様が工事会社等と直接契約を締結するフィービジネスへビジネスモデルを変更しました。

これにより工事原価分の売上高は下がりましたが、お客様の納得度は格段に高まり、競争優位性も向上するきっかけになったと認識しております。

そして、このモデルを確立したことで、企業のオフィス移転だけでなく、建物や工場、研究所の建設など、その他の領域へも徐々に事業をシフトしていきました。

さらに、このCM事業について国交省がガイドラインを出したことも外部環境の変化としては追い風になりました。

バブル崩壊後、建設業界は右肩下がりになり、リーマンショックを経て建設従事者数はさらに減少傾向にありました。その後、2011年の東日本大震災により復興需要が高まりましたが、建設従事者はすぐに戻らず、発注者がプロジェクトを適切に進められない状況が生じました。

これを打破するために国交省はCM事業者を活用したモデル事業を開始しました。

これにより、多くの自治体にCM(発注者支援会社)を活用することが浸透し、設計者、施工者とともにCM会社を選ぶスタイルが世間的に浸透したことも、当社事業の拡大につながるマイルストーンとなりました。

明豊ファシリティワークス株式会社 2022年度 第2四半期 決算説明会資料 より引用

事業内容について

お客様の建設プロジェクトを成功させるための発注者支援事業を展開しています。

通常ですと設計は設計会社に、工事は工事会社に、企業が直接依頼してプロジェクトを進行しますが、各工程で具体的かつ細かな判断を正確に行うことは難しいものです。

また、設計会社や工事会社の提案に基づいて判断を下すことが一般的ですが、必ずしもそれがお客様の求めていることと一致するわけではありません。

そこで、コスト削減や品質向上を目指し、お客様の確実な意思決定をサポートすることが当社の役割であります。

お客様の真の目的は、建物を建てることではなくその建物で事業を展開することです。我々は、お客様の本来の目的に集中し、それを実現するために同じ視点に立ってプロジェクトを完遂させる、発注者支援事業者と言えます。

事業セグメントとしては、オフィス事業、CM事業、CREM事業およびDX事業の4つに大別されます。

明豊ファシリティワークス株式会社 2022年度 第2四半期 決算説明会資料 より引用

当社は理念にフェアネスと透明性を掲げておりますが、まさに発注側支援のポジションを徹底することでこれを体現しています。

今年で44期目を迎える当社は、約30年にわたって先行企業としてCM事業を展開し、サービスを提供し続けてきました。近年では競合となる企業も増えており、専門性のみで差別化を図ることは難しいと認識しています。

この点、当社における競争優位性は、何よりもまずお客様側に立つCMの存在価値をご理解いただくことにあると考えております。

そのような意味では、プロジェクトの上流工程から参画し、幅広い分野をワンストップで支援できる体制を備えていることが我々の強みであると言えます。

繰り返しになりますが、お客様である企業の本来の目的である事業の遂行までを見据えて選択肢を提示することで、お客様の納得性も増し、信頼獲得にも繋がっています。

結果として、当社は受注のうち75%が既存のお客様からという非常に高いリピート率を維持しています。

ご紹介による新規顧客も増えていますが、既存顧客が成長していくことで連鎖的に当社にご相談いただく案件規模も拡大しています。

そして、これらすべての仕事においてお客様側に立つという軸を保つため、フェアネス・透明性の理念を社員一人ひとりが自らのものとして浸透させることが最も重要であると考えています。

明豊ファシリティワークス株式会社 2022年度 第2四半期 決算説明会資料 より引用

中長期の成長イメージとそのための施策

当社事業の外部環境についてですが、例えばオフィス事業は大企業の本社移転が主な業務ですが、コロナ禍以降は移転規模については縮小傾向にあります。

一方、足元では技術的専門性というハード面だけでなく、当社のDXを活用した働き方改革の実現とオフィス再構築を併せた取り組みを支援するなど、ソフト面のサービスにも需要が高まっています。

これによって省庁をはじめとした公共団体においてもサービスを展開しています。

CM事業においては、特に当社が得意とする食品、製薬、化粧品等の生産施設の分野では現在の外部環境でも成長を続けており、景気動向による影響は軽微と認識しており、より高いレベルでのご支援を期待されています。

その他、学校法人では将来の人口減により将来厳しい状況が予想されるものの、老朽化した校舎の再編需要や脱炭素化への取り組みが見込まれており、今後は新築にとどまらないキャンパス全体における総合的なマネジメントが必要とされています。

このように、私どもがお客様から求められているサービス水準は益々高度化していく傾向にありますが、建設事業者全体が減少傾向にあり、物価上昇など大きな社会の変化で発注者の課題が高度化し、当社事業のチャンスは増えていると認識しています。

また、市場規模としても約60-70兆円の建設投資市場のうち、建築物の領域はその3分の1程度を占める巨大なマーケットです。長期的には縮小していく見通しは変わらないものの、日本人の建て直しを好む国民性から見ても、そのスピードは緩やかなものと予想しております。

このような外部環境の中、お客様側に立ち上流工程から参画することを強みに、引き続き成長余地のあるCM事業での拡大を図ってまいります。

明豊ファシリティワークス株式会社 2022年度 第2四半期 決算説明会資料 より引用

さらに、CM事業のサービスにDX事業を加えることで、顧客施設や人に関するデータ活用や進捗状況の可視化、意思決定支援の促進といった取り組みも加速させてまいります。

プロフェッショナルな人材と建設及びDXのテクノロジーの掛け合わせで、より大きな発注者の価値を提供し、一層外部環境に左右されない持続的な成長を実現させることができると考えています。

投資家の皆様には、現在進行しております経済産業省等の官公庁案件の横展開のほか、脱炭素化関連の新規案件獲得にも是非ご期待いただきたいと思います。

明豊ファシリティワークス株式会社 2022年度 第2四半期 決算説明会資料 より引用

建設及び施設の運用における温暖化ガスの削減にはかなり地道な活動が必要であると思います。

「2050年までにカーボンゼロを達成する」などの大きな目標は設定されていますが、現状の実態把握やこれに向けた具体的な削減戦略の立案・実行は難易度も高く、多くの企業が着手できていないためです。

当社においては、省エネ、創エネ、再エネの調達及びそれぞれの施策における具体的な手法やコストを提示することができ、また実現にむけたロードマップの策定を支援することが可能です。

更にDXを活用した脱炭素化の見える化にも取り組んでおり、従来のマネジメントサービスの枠を超えた成長を図ってまいります。

DX事業は当社のCM事業全体において、生産性の向上や中長期での多面的な成長を支える重要な位置づけにあるとご認識いただければと思います。

繰り返しになりますが、復興から10年超を経過した今、環境問題への取り組みに加えて、足元の社会情勢の不安定さや物価上昇など、社会は更に大きな変化に直面し、お客様の要求水準は以前にも増して格段に高まっています。

私どもは、お客様から認められる高度な要求水準にお応えし、より高いサービスを提供することに引き続き徹底的に取り組んでまいります。

そのため、人材の採用についても、やはり技術的な専門性だけでなく、「お客様の立場に立てるかどうか」という軸を引き続き重要視いたします。

また入社した社員の段階的な成長を実現するため、各人の適性を見極めながら、実務においてお客様から求められることを実感できるプロセスを早い段階で経験させていきます。

自分の能力に自信を持てるようにサポートすると同時に、上司同士でメンバーの成長に有効な情報共有や意見交換を行いながら社員を育てることで能力を高め、お客様と持続的な関係の構築に繋げてまいります。

投資家の皆様へメッセージ

当社はCMがこれからの社会に益々必要とされる事業であると考えており、またこれに誇りを持ち、顧客本位の社会に変えるという姿勢で働く社員とともに経営を進めています。

投資家の皆様の期待に応える活動を続けてまいりますので、ぜひ長期的な視点での支援をいただけますと幸いです。

明豊ファシリティワークス株式会社

本社所在地:東京都千代田区平河町二丁目7番9号 JA共済ビル6階

設立:1980年9月12日

資本金:543,404千円(2023年4月アクセス時)

上場市場:東証スタンダード(2004年2月19日上場)

証券コード:1717

※本コラムは情報提供を目的としたものであり、個別銘柄の推奨や、金融商品の紹介、周旋を行うものではございません。

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執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。投資家とIFA(資産アドバイザー)とのマッチングサイト「わたしのIFA」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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