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【3695】GMOリサーチ&AI株式会社 事業概要と成長戦略に関するIRインタビュー

※本コラムは2024年3月13日に実施したIRインタビューをもとにしております。

※「GMOリサーチ株式会社」は2024年5月1日に「GMOリサーチ&AI株式会社」に社名変更いたしました。

GMOリサーチ&AI株式会社はアジア16の国と地域に展開するNo.1 マーケティング・ソリューション・プラットフォームとして市場調査・マーケティングで新しい価値を提供しています。

代表取締役社長の細川慎一氏に事業戦略の変遷や今後の成長方針を伺いました。

目次

GMOリサーチ&AI株式会社を一言で言うと

生活者と企業の「想い」に向き合い、わくわくするアイディアやテクノロジーで「世界」につなぎ、笑顔・感動の創造に貢献する会社です。 

GMOリサーチ&AIの沿革

GMOリサーチ&AI株式会社代表取締役社長 細川慎一氏

創業経緯と代表就任経緯

私はエチオピアの日本大使館、外資系企業でのシリコンバレーでの事業立ち上げを経験しました。

その後MBAを取得し、外資系コンサルティング会社でCRM系のコンサルタントとして勤務した後にマーケティングリサーチがオフラインからオンラインへ変化していくだろうと考えて2002年に起業しました。

そしてGMOインターネットグループから新規事業展開の提案を受け、2005年にGMOグループにジョインして2006年から当社の代表になりました。

アジアを中心としたビジネスモデルへの転換

当社が経験した最大のターニングポイントはリーマンショックです。

当時上場を計画していましたが、直前に一度成長が停滞する危機に瀕し、事業モデルをグローバルに展開する決断をしました。

それまでは日本の顧客向けに国内調査をメインに行っていましたが、日本市場の停滞感と対照的に、アジアの調査に関する需要が増加していきました。

当時、アジアではオンラインリサーチ市場が未発達で、競合が少ないからこそ、大きな貢献ができると考えアジア市場に特化しました。

そこで2009年から本格的にアジアを中心に海外展開を進め、中国法人やシンガポール法人を設立してきました。

現在は日本を代表するマーケティング調査プラットフォーム企業となっています。

GMOリサーチ株式会社 2024年3月12日 事業計画及び成長可能性に関する説明資料 より引用

GMOリサーチ&AIの事業の概要と特徴

概要

当社はマーケティング調査プラットフォームを提供しています。

一見すると一般的な調査会社のように見えるかもしれませんが、従来型の調査設計やレポート作成ではなく、主にオンライン化された調査プラットフォームと消費者パネルの提供です。

この非常にユニークなビジネスモデルが特徴です。

GMOリサーチ株式会社 2024年3月12日 事業計画及び成長可能性に関する説明資料 より引用

まず主要な顧客は事業会社、調査会社、グローバルパネル会社の3社です。

それぞれのレイヤーに応じて当社が提供するサービスは異なりますが、Web調査画面作成・アンケート実施・パネル管理に注力して提供しています。

GMOリサーチ株式会社 2024年3月12日 事業計画及び成長可能性に関する説明資料 より引用

そのため調査会社とのカニバリを起こすことはなく、国内サンプルパネル提供市場での市場シェアは67%を超えています。

また現在(2023年12月時点)の地域別売上は国内が約7割、アメリカが約2割、残り約1割がアジア・ヨーロッパとなっております。

事業における優位性

ポジションの特異性

調査会社にパネルとシステムを提供するサンプルパネル提供会社としての特異なポジションが当社の優位性に繋がっています。

近年特に顕著になっているのは、事業会社での調査内製化トレンドが進捗し、複雑な調査ニーズに対応するために従来は調査会社を介していたものが、直接当社にオーダーされるケースが増加していることです。

事業会社内部にリサーチャーを持つケースや、AIを用いた設問設計やレポート生成が可能になってきており、直接当社のサービスを利用する傾向が強まっています。

そのため当社のように消費者パネルやシステムを提供できるポジションは特異的でもあり、他社にはない強みでもあります。

GMOリサーチ株式会社 2024年3月12日 事業計画及び成長可能性に関する説明資料 より引用

パネルネットワーク

アジアの16カ国と地域に渡り約5800万人の会員を有しています。

当社のパネルネットワークは主に二つのタイプから成り立っています。

一つ目は自社で直接募集した会員によるもので、これらは調査専用のウェブサイトを通じて集めています。

この会員に対してはすでに調査に協力するという許諾(パーミッション)を得ているため、顧客(事業会社・調査会社)が求める特定のセグメントのデータを収集するために、アンケートを実施しています。

二つ目は「アジアクラウドパネル」として知られる、各国における会員を保有するサイトです。

ここでは、ECサイト、Tポイント、楽天ポイントなどのポイントプログラムを通じて、アンケートに答えることでポイントを獲得することができるシステムを提供しています。

この二つの基盤を活用して、オンラインでの巨大なパネルネットワークを提供できる点が当社の優位性です。

GMOリサーチ株式会社 2024年3月12日 事業計画及び成長可能性に関する説明資料 より引用

パネル品質

調査の信頼性を高めるため、パネルの品質管理にも注力しています。

従来から、回答データのチェックや不正回答を排除するための「トラップアンケート」の実施など、さまざまな対策を講じてきました。

この不正行為は近年、世界中で増加しており、インターネットリサーチ事業の信頼性への影響や、不正による報酬支払いコストが問題となっています。

そこで独自のテクノロジーを活用して「Ghost Completes」の不正行為を自動的に検知し、排除する機能を開発しました。

回答時のモニターの挙動を分析することで、この不正行為を効果的に特定し、排除することが可能になります。

この新機能は2023年9月より実装されており「Ghost Completes」を排除し、高品質なパネルの維持を実現しています。

GMOリサーチ株式会社 2024年3月12日 事業計画及び成長可能性に関する説明資料 より引用

スぺシャルパネル

我々は特定の属性を持つ様々な会員を抱えており、そのデータを活用してターゲティングを行うことができるスペシャルパネルを持っています。

性別や年齢などの基本属性情報に加え、アンケート回答データを元に趣味嗜好や、自動車、家電の保有状況、疾患などをデータベース化しアンケートのターゲティング配信を可能にするサービスです。

これにより、最適なターゲティング配信ができるのはもちろんのこと、調査の無駄打ちがなくなることから効率的でスピーディーにコスト削減を実現しながら調査を行うことが可能です。

これらはアンケートの回答をデータベース化していることから、蓄積される豊富なデータが毎年更新され、定期メンテナンスにより高品質が継続されています。

これはAIの進化によってより効果的なアンケートを行う上で、重要になっていく機能の一つであり、他社にはない優位性の一つです。

GMOリサーチ株式会社 2024年3月12日 事業計画及び成長可能性に関する説明資料 より引用

業界トップクラスの収益力

我々のビジネスモデルの特徴として、業界でも高い収益性があることも優位性の一つです。

具体的には、我々が行うプロセス、特にデータ収集や分析の工程が労働集約的でないため、事業がスケールしやすいという特徴があります。

要するに特に手間と費用がかかる調査設計の工程を顧客に委ねているため、当社は他社に比べてサービスを安価に提供できるということです。

もちろん初期投資は必要ですが、事業が成長しても追加で人員を増やす必要が少ないため、一人当たりの売上高に対する利益率が高まります。

これにより、直近3年で年平均8.4%の収益力向上を実現しています。

GMOリサーチ株式会社 2024年3月12日 事業計画及び成長可能性に関する説明資料 より引用

GMOリサーチ&AIの中長期の成長イメージとそのための施策

販売先フォーカスの変更戦略の継続

国内市場では、主に事業会社向けにサービスを提供する方向にシフトしています。

一方で、海外市場に目を向けると、アジア地域の調査が強みですが、グローバル市場での依頼主はアメリカの会社がほとんどです。

しかし、これまでは我々のサービスに対する直接のオーダーはアメリカのクライアントから直接連絡を受けることは比較的少なかったです。

これは我々がアジア市場に特化しているため、アメリカ市場においての認知度が低く、グローバルパネル会社から間接的にオーダーを受けるケースが多かったからです。

しかし最近、アメリカの調査会社がアジアのパネルに直接アクセスする傾向があり、これによりグローバルパネル会社を介さずに我々のサービスを利用することが増えています。

さらに継続して調査会社と直接取引することを増やすことでコスト削減につながり、我々の粗利率を向上させていくと考えています。

GMOリサーチ株式会社 2024年3月12日 事業計画及び成長可能性に関する説明資料 より引用

成長シナリオの4step

当社は、AIの活用を通じて大幅な成長を目指し以下の4stepで展開します。

【step1】販売先フォーカスの変更+社内AI生産性の劇的な向上

AI技術を利用して社内の生産性を劇的に向上させ、販売先のフォーカスを変更します。

【step2】業界のAI化、生産性の劇的な向上

我々のプラットフォームにAIを統合し、特に日本市場において67%のシェアを持つ当社の顧客が、効率的にAIを活用できるようにします。これにより業界全体の生産性が向上すると考えています。

【step3】AIによるパネルとの関係性の在り方(負荷軽減・不正排除)変革

AIを使用してパネルとの関係性を変革し、アンケートの回答負荷を軽減しながら不正回答を排除します。

【step4】「仲間づくり(M&A)、新サービス提供」

約200社以上のアジア中の提携先に対し、我々が保有する豊富なデータを活用した新サービスを提供します。これには、M&A戦略も含まれています。

これらのステップを通じて、我々はAIを最大限に活用し、業界をリードする位置に立とうとしています。

短期的にはstep1の成果が既に出てきていますが、step2〜4の成果は今後2年以内に顕在化されていく予定です。

GMOリサーチ株式会社 2024年3月12日 事業計画及び成長可能性に関する説明資料 より引用

注目していただきたいポイント

当社がアジア市場、特に東南アジアでの成長を目指しているという点に注目していただきたいです。

アジアはGDP成長率を含めて世界で最も成長が期待される地域です。

現在、アジア市場ではまだ多くの調査がオフラインで行われていますが、オンライン化の進展により、この地域での需要はさらに増加すると見ています。

我々の目標は、アジア市場で最先端のオンライン調査サービスを提供し、市場の成長をリードする企業になることです。

アメリカ市場から得た経験と技術をアジアのローカル企業にも展開し、市場全体のオンライン化を加速させることで、さらなる成長を目指します。

そのためにも現在私はシンガポールに移住し、現地で陣頭指揮を取りながら事業拡大を推進しています。

今後の当社の事業拡大と成長に期待していただければと思います。

GMOリサーチ株式会社 2024年3月12日 事業計画及び成長可能性に関する説明資料 より引用

投資家の皆様へメッセージ

常に投資家としての視点を大切にし、特に個人投資家の皆様にとって魅力的な企業でありたいと考えています。

このため、配当性向を50%目標に設定し、現在の配当利回りは4%を超える水準を実現しています。

これはグロース市場においてトップクラスの位置付けです。

我々は、投資家にとって魅力ある配当利回りを提供しつつ、さらなる成長を遂げる企業であり続けたいと思っています。

また、資本効率の高さにも注力しており、投資家の皆様にお預かりした資産を効率的に増やしていくことを目指しています。

GMOリサーチ&AI株式会社

本社所在地:〒150-8512 東京都渋谷区桜丘町26番1号

設立:2002年4月1日

資本金:2億9,903万円(2017年12月31日時点)

上場市場:東証グロース市場 (2014年10月21日上場)

証券コード:3695

※本コラムは情報提供を目的としたものであり、個別銘柄の推奨や、金融商品の紹介、周旋を行うものではございません。

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執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。投資家とIFA(資産アドバイザー)とのマッチングサイト「わたしのIFA」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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