【9213】株式会社セイファート代表取締役社長　長谷川高志氏「人材を起点に美容業界の発展に貢献」

※本コラムは2023年6月12日に実施したIRインタビューをもとにしております。

株式会社セイファートは1991年の創業以来、HR領域を軸とする美容室経営企業のサポートを続け、実績と信頼を築き上げてきました。

代表取締役社長の長谷川高志氏へ、創業の経緯や中長期の成長戦略について教えていただきました。

株式会社セイファートを一言で言うと

美容師応援カンパニーです。　

創業の経緯

当社の創業は、美容室経営企業向けに行っていた基礎化粧品の営業経験から始まります。

4年間で何千名もの美容室経営者と接し、美容師の仕事は素晴らしいと感じる一方、そこには課題も見えてきました。そしてこれらの課題解決と美容室経営の支援のため、1991年に当社を設立しました。

当時、美容学校は1年制で卒業後に美容室でのインターンシップ期間を経て、国家試験を受験できるという制度でした。

それ以来、制度改正が進み、美容学校の数も約180校から現在の280校超まで増えました。また、社会保険・厚生年金に加入している美容室がほとんどなかった時代から、現在ではほとんどの美容室が社会保険等を完備するよう業界も変化しました。

過去から現在を通じて、美容師募集には各美容室が苦労している状況が続いています。

当時、採用にあたっては一般業界を含む就職情報誌に掲載する方法が主流でしたが、その費用は決して安くなく、しかもターゲットとなる美容師の数は、雑誌を買う全人数の中で極めて少なかったのです。

そこで、美容業界専門の就職情報誌が必要だと思い立ち、美容師向け就職情報誌“re-quest/QJ”を創刊しました。

当社のターニングポイントは、この“re-quest/QJ”を紙からWeb媒体へ拡大することで、広告求人の取り扱い範囲が広がったことだったと思います。

創刊当初は月刊誌として無料送付しており、Webが発展し始めた初期も、紙媒体を主にしながらWeb媒体を並行して進めていましたが、スマホの普及とともに美容師がスマホからインターネットにアクセスすることが主流となったため、当社もWeb媒体主軸へと事業を移行していきました。

また当社は、創業当初から合同会社説明会“re-quest/QJ 就職フェア”も開催しております。

創業当時は中途採用を目的として美容師向けに開催していましたが、現在は新卒採用がメインとなったため、美容学生向けに全国各地で開催しています。

創業時は我々の名前を知ってもらうために学生さんに直接“re-quest/QJ”を手渡している時もありました。

ですが、美容学校での就職指導などの活動を通じて双方間の関係性を構築していったことで、徐々に当社の就職フェアを美容学生の就職活動の場としてご活用いただく機会が増えてきました。

現在では全国の美容学校の約95％と取引関係を持っています。

この長年積上げた関係性こそが美容業界の新卒採用領域における当社の強みに繋がっています。

事業内容について

主に美容室経営企業から収益を得る「サロンサポート事業」を展開しています。

開示の際には事業内容を伝わりやすくするため、広告求人、紹介・派遣、教育（その他）の三つのサービスに分けて表示しています。

売上全体の7割を占める広告求人サービスは、中途採用と新卒採用の領域でそれぞれ展開しています。

中途採用はWeb媒体の“re-quest/QJ navi”として、新卒採用はWeb媒体の“re-quest/QJ navi 新卒”、紙媒体の“re-quest/QJ FOR ROOKIES”、そして合同説明会の“re-quest/QJ就職フェア”として取り組んでいます。

さらに美容室メディアプロモーションサービス“beauqet”と“タブレット・レンタル”、美容師情報アプリ“QJ LIKE”も広告求人サービスの一部に含んでいます。

当社は、美容師を第6のメディアだと考えており、“beauqet”はこの第６のメディアを活用した商品です。

美容室は、定期的に訪れるお客様と、1-3時間ほど滞在中にコミュニケーションを取ることができる唯一無二の場所です。

当社はこの接点を“beauqet”のサンプリング案件や企業アンケートを実施することで活用しています。また、この“beauqet”のサービスに奥行きを持たせるのが“タブレット・レンタル”です。

“タブレット・レンタル”は、美容室にタブレットを配置することで、雑誌購読や、スリープ時の“beauqet”でプロモーション中の商品広告の展開、アンケート実施と、活用は多岐に渡っています。

また、“QJ LIKE”はZ世代向けの美容師情報アプリです。

就職フェアでの美容学生との接触機会を最大限に活用し、彼らに対してアプリの利用を促すことで、毎年美容学生との接点を積み上げデータ集積し、それらを活用した事業展開を目指しています。

紹介・派遣サービスでは文字通り美容師専門の人材紹介および人材派遣を展開しています。

また、ブライダル、成人式、入学式や卒業式などにヘアメイク手配も行っています。

最近では和装を楽しむ外国人観光客の需要が増加したことで、ヘアメイクの依頼も増加傾向にあります。

また、教育（その他）サービスでは約150年の歴史を持ち、全世界100カ国で相互認証しているイギリスのCity & Guildsという世界最大級の職業能力教育評価機関と連携し、日本での国際美容技能認証の普及に取り組んでいます。

この教育プログラムの普及を推進することで、産学連携や早期育成という美容業界でも今後重要になるだろう教育領域の開拓に取り組んでいます。

中長期の成長イメージとそのための施策

広告求人サービスを中心に引き続き既存事業を強化しながら、“beauqet”דタブレット・レンタル”で美容室DXの推進を通じた収益の拡大を実現してまいります。

我々がターゲットとする美容室市場は1兆5000億という安定した市場の規模があります。

一時はコロナ禍の影響で営業が制限されるなどの困難もあり若干減少しましたが、美容へのニーズは底堅く、生活に必要不可欠であることから、その後の回復も早く、今はコロナ前の水準にほぼ戻ってきたと考えています。

この美容業界を担う美容師の採用や教育領域に、我々は今後も積極的に取り組んでいきます。

広告求人サービスの基幹商品である美容師向け求人情報サイト“re-quest/QJ navi”の成長には二つのポイントがあります。

一つ目はすでに展開している二極化戦略です。

全国には、約25万軒の美容室がありますが、その中で新規採用を行うのはおよそ3割の美容室です。

しかし、この3割の美容室が美容業界全体の売上の7割を占めております。

この３割の美容室に対して、当社は事業規模に即した最適な広告求人サービスを提供しています。

また、インサイドセールスやマーケティングオートメーションツールを活用しながら、全体のサービス品質向上及び取り扱いエリアの拡大も図っています。

二つ目のポイントは、美容学生・美容学校とのリレーションです。

新卒採用市場においては誌面・対面・Webメディアの3媒体を取り揃えることで、全方位から美容学生の就職活動をサポートしています。

全国の美容学生の約25％が来場する合同説明会“re-quest/QJ 就職フェア”では、当社の会員登録を促すことで、美容学生向け求人サイト“re-quest/QJ navi 新卒”の会員の増加を図っています。

また、卒業後は基幹商品”re-quest/QJ navi”の会員に繋げることで、会員数の安定確保を図っています。

本求人情報サイトは、今年2月のサービスリニューアルに加え、今夏にも新たな機能をローンチする予定です。

既に２月のリニューアル効果が表れ足元の応募数も増加していますが、今後もさらに機能開発を続けながら優位性を高めることで、基盤収益を継続的に伸長させていきたいと考えています。

成長戦略の要となる美容室DXですが、昨今のChatGPTのようにAIをはじめとするテクノロジーの発展が進むほど、美容室にある美容師と顧客とのアナログなコミュニケーションの価値も一層増していくだろうと我々は考えています。

繰り返しになりますが、“beauqet”と“タブレット・レンタル”を掛け合わせることで、商品の訴求効果向上を目指してまいります。

また、収益という観点では“タブレット・レンタル”単一からプロモーション収益や広告収益を積み重ねていきつつ、その先のEC展開での収益拡大も視野に入れております。

さらに、中長期的な目線においてはM&Aを含む新市場への進出を検討しています。

エステやアイラッシュ・ネイルなど、業界内の周辺領域はもちろんのこと、ヘルスケア領域などさらに大きな市場規模の分野にて新しい試みを進めていきますので、今後の展開にご期待ください。

当社は、美容業界において、人（美容師）が最も重要な価値を持つ存在であると認識しています。

つまり、美容業界の人材採用領域における課題解決が我々の大きな役割ですし、これまで30年以上の実績を積み上げてきました。

投資家の皆様にはこの信頼のブランドを強みとして認識いただきつつ、さらなる美容業界発展への貢献を目指す当社にご注目いただきたいと思います。

投資家の皆様へメッセージ

我々のミッションは、美容に携わるひとたちと共に、世の中にあたらしい価値を創造することです。

美容師や美容室経営者、美容業界の従事者とともに美容業界の発展を促し、互いに成長するビジネスを展開しています。

皆様の引き続きのご支援を心からお願い申し上げます。