- 投資を始めるべきかどうか知りたい
- 投資のメリットとデメリットを正しく理解したい
- 投資のやり方や基礎知識が知りたい
「老後資金で2,000万円が不足する」と言われたのも遠い記憶のようであるが、世間では投資の必要性を感じる人が増えている傾向にある。
大企業を中心に賃金が上昇する兆しが見える一方、物価の上昇で家計が圧迫されている人も多いのではないだろうか。
この記事では、投資をやるべきかどうか悩んでいる人に向けて、投資を始めるべき理由やメリット・デメリット、投資の基本原則と具体的な始め方をまとめた。
投資をする際のおすすめの相談先についても紹介しているので、投資を始めるべきかどうか判断する際の参考にしてほしい。
投資をやるべき3つの理由
そもそも投資とは、自己資金をさまざまな金融商品に変えて運用し、配当利回りや価格差益によりリターンを狙うものだ。
現代において、投資を始めるべき理由は大きく分けて以下の3点が挙げられる。
- 老後に対する自助努力が欠かせないから
- 日本円の実質的な価値が目減りしているから
- 各種ライフイベントに備えられるから
銀行に預金して得られる「預金金利」も、一つの投資収益である。
日本円を銀行に預けて運用した結果として預金金利を受け取れるのだが、これでは生活の足しにならない。
以下で、投資を始めるべき理由について詳しく解説するので、自身の状況に当てはめながら必要性を判断してみてほしい。
老後に対する自助努力が欠かせないから
投資を始めるべき理由として最も大きいのが、老後に対する備えが欠かせないからである。
少子高齢化が進み、労働人口が減少している状況は明らかだ。
そして、この状況は数年単位で変わるものではない。
年金の仕組み自体、現役世代が年金受給者を支える形になっているため、年金収入が先細りするのは明らかだろう。
国税庁の「令和4年分民間給与実態統計調査」によると、令和4年度における給与所得者の平均給与は458万円だった。
対前年比で2.7%増えているものの、社会保障や税負担も増えているため、実質的な賃金上昇を感じられる人はあまり多くないだろう。
厚生労働省の「令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、年金の受給額に関しても、令和4年における厚生年金保険受給者の年金月額は145,000円、国民年金受給者においては56,000円となっている。
終身雇用制度も崩壊しており、退職時にまとまった額の退職金をもらって悠々自適なセカンドライフを送るのは、今となっては過去の話と言えるだろう。
会社を退職してからの生活費がどの程度になるかは人によって異なるが、年金額や退職金だけでは賄えない人が大半ではないだろうか。
不足する額については、自分たちで何とかするしかないのである。
日本円の実質的な価値が目減りしているから
投資の必要性として、「日本円が弱くなっている」というのも大きな理由として挙げられる。
バブル期においては、定期預金に預けるだけで年利5%などの金利がついていたが、今となってはメガバンクの普通預金金利は0.001%だ。
直近で金利が上昇したと言っても、0.02%になった程度である。
また、インフレが急速に進行しているのも痛感している人が多いだろう。
総務省が発表した消費者物価指数によると、2020年を100とした場合、2024年3月における指数は107.2であった。
なお、2023年度における平均は106.3ポイントで、前年末に比べてさらに物価が上昇していることがわかる。
単純計算だが1,000円で購入できていたものが1,070円になり、賃金が上昇しなければ当然ながら家計は圧迫されることになる。
そして、銀行に100万円を預金したとしても、金利0.02%換算で利息は200円しかつかないのだ。
さらに、現在は円安が急速に進行しており、円の価値は相対的に下がっている状況である。
日本円を日本円のまま保有していても、物価上昇と円安による価値の目減りを上回る運用利回りや賃金上昇がなければ、実質的な家計の黒字は目指せないのだ。
各種ライフイベントに備えられるから
投資の必要性として、各種ライフイベントへの備えとして役立つ点が挙げられるだろう。
ゼクシィによると、結婚費用の総額は平均415万円とされている。
ご祝儀があるため全額を用意するわけではないが、ある程度まとまったお金が必要なのは言うまでもないだろう。
また、住宅の購入も人生の一大イベントであり、国土交通省がまとめた住宅市場動向調査報告書によると、土地購入資金を除く注文住宅の住宅建築資金は、全国平均で3,935万円、三大都市圏平均で4,504万円だった。
うち、自己資金はそれぞれ1,177万円、1,467万円とされている。
加えて、住宅ローンの年間返済額は、全国平均で174万円、三大都市圏平均で183.1万円だった。
各種ライフイベントの有無とタイミングは人によって異なるが、住宅の購入にあたっては、頭金として最低でも1,000万円は用意しておきたいところだ。
預金で毎月コツコツ貯めることもできなくはないが、個別株や投資信託に投資して資産運用することで、効率よくライフイベントに備えられるようになるだろう。
投資をやるべきかで悩んだらリスクとリターンから考えよう
投資と聞くと「リスクがあるからできない」という人がいるかもしれない。
投資を始めるにあたっては、正しい理解が欠かせないだろう。
ここでは、投資するメリットとデメリット、さまざまな投資手法の特徴について紹介する。
投資に対して先入観やイメージだけで捉えるのではなく、以下の内容を踏まえて正しく理解しよう。
投資するメリット
投資をするメリットとしては、以下が挙げられるだろう。
- 預金以上のリターンを期待できる
- 老後の資産形成に役立つ
- 資産を守るためにも役立つ
- 金融リテラシーが高まる
投資をする最も大きなメリットは、普通預金や定期預金以上のリターンを期待できることだ。
投資に絶対はないものの、20年程度の長期スパンで見れば、資産を大きく増やすことができている。
株式や債券などの金融商品の詰め合わせパックである投資信託を積立投資すれば、年利4%ほどの運用利回りを出すことは十分可能である。
メガバンクにおける普通預金の金利である0.02%と比べても、投資信託への投資は大きなメリットがあると言えるだろう。
投資をして資産運用することは、老後の資産形成だけでなく、現在保有する資産を守るという意味においても役立つ。
現在40歳の人の場合、会社を退職して給与所得がなくなるのは65〜70歳頃だろう。
つまり、老後までに25〜30年ほどの期間があり、この時間が長ければ長いほど、資産運用がうまくいく確率を高められる。
あわせて、資産をさまざまな投資商品に分散させることで、価値の目減りを防ぐことにつながる。
日本円だけを保有した場合、物価上昇によって家計が圧迫されるため、一年経過するだけでも実質的な資産価値は目減りするのだ。
この点、資産が分散されていれば、資産価値が大きく目減りするリスクを回避できる。
この点も覚えておいたほうがよいだろう。
このように、資産運用を考えること自体、自身の金融リテラシーを高めることにつながる。
年金だけでは生活できない未来がほぼ明白である以上、自ら投資について学び、実践していく必要があるのだ。
投資するデメリット
投資をするデメリットを挙げるとすれば、資産が減る可能性もあることだろう。
投資において、リスクとリターンは表裏一体である。
プラスに動くこともあればマイナスになることもあるため、この点は覚えておかなければならないポイントだ。
だが、投資の目的が「老後の資産形成」などと明確であれば、目先の値動きを気にする必要はない。
何十年後かの未来に向けて資産が増えていればよいのだ。
デイトレードのように短期売買を繰り返すのであれば、常にチャートを見て、タイミングを逃さないように神経をすり減らす場合があるかもしれない。
しかし、ここで言う投資は、毎月一定額をコツコツと積み立てる手法がメインだ。
このような手法は淡々と続けるだけであり、精神的な辛さなどを感じることも少ないだろう。
さまざまな投資手法の特徴
ここでは、さまざまな投資手法について、その特徴を紹介する。
どのような手法があるかを理解したうえで、自分に合った投資手法を考えてみよう。
株式投資
投資手法として最初に思い浮かぶのが、株式投資ではないだろうか。
いわゆる企業の個別株に投資するもので、株式の売買による差益を獲得したり、株式の保有による配当を得たりするのが狙いだ。
ほかにも、株主優待を目的に個別株投資をする人もいるだろう。
株式投資の特徴としては、銘柄選定の難しさと投資先が豊富にある点が挙げられる。
上場している企業のなかで、どのような基準で成長性や安定性を判断するかは誰もが悩むものだ。
投資やトレードを本業で取り組んでいる人もいるなか、高いリターンを狙える銘柄を探すのは至難の業と言えるだろう。
個別株への投資に関しては、興味のある企業を中心に買ってみるのも悪くないが、安定したリターンを狙うという意味では、後述する投資信託の購入がおすすめだ。
投資信託
投資をする際の選択肢として最有力なのが、投資信託の購入である。
先述したように、投資信託とはいわゆる詰め合わせパックで、商品によって日本株、アメリカ株、先進国株、債券などの種類が異なる。
投資信託によって特徴は異なるが、いずれも「多くの企業や金融商品に満遍なく」投資できるという点で個別株投資と大きく異なる。
- 先進国株式インデックスファンド
- 米国株式インデックスファンド
- 全世界株式インデックスファンド
各証券会社において人気を集める投資信託も、上記のような商品だ。
一つの銘柄を購入するだけで、数百単位の企業の株式に少額投資できるため、安定した成長性を期待できるのはもちろん、大きく値下がりするリスクを抑えられるのが特徴である。
新NISA
新NISAとは、制度を改めて2024年からスタートした、国が用意する投資の非課税制度だ。
通常、投資で得た利益には約20%の税金がかかるのだが、新NISAでは非課税になる。
今までの一般NISAは年間120万円まで投資でき、上限は600万円、つみたてNISAであれば年間40万円、最大800万円まで運用できた。
これらはどちらかしか利用できなかったが、制度が改められ、以下のように投資額が拡充された。
- 成長投資枠
- 年間240万円まで投資可能
- つみたて投資枠
- 年間120万円まで投資可能
合計の限度額も最大1,800万円になっただけでなく、制度自体が恒久化されたため、期間を問わずに続けられる点も改正されている。
言い換えると、「新NISAを使って老後資金を自分で用意してほしい」という国からのメッセージである。
だが、制度自体は非常に使い勝手がよいため、新NISAで投資信託を購入すれば運用益も非課税になるため、資産形成をより効率よく進められるだろう。
新NISAの詳細は「【新NISAのメリット・デメリット】メリットを活かす運用戦略とは」を確認しよう。
投資をやるべきかで悩んだら基本原則や始め方を整理しよう
投資のメリット・デメリットは先述したとおりだが、始めるにあたってまだ不安が残る人もいるだろう。
ここでは、投資の基本原則や具体的な始め方を紹介する。
以下の内容を踏まえて、実際に投資を始める準備をしていこう。
投資の基本原則
投資にはいくつかの基本原則があり、なかでも以下の3点は必ず覚えておく必要がある。
- 投資する目的の明確化
- 投資予算や余剰金の明確化
- リスク許容度に合わせた投資手法や投資先の選択
それぞれ詳しく解説しよう。
投資する目的の明確化
まずは投資する目的を明確にすることだ。
ゴールが明確でなければ、いくら投資すべきか、何に投資すべきか、何年続けるべきかも分からない。
多くの場合、老後に対する備えが目的になるだろう。
この目的が決まれば、老後を迎えるまでの期間が定まる。
年金額や退職金額のシミュレーション、老後を迎えた時のローン残高、老後の生活費などから、いくら用意すべきかも明確になる。
このように、最初に目的が定まらなければ実現させる方法も決められないため、投資の目的は明確にしておこう。
投資予算や余剰金の明確化
続いて、投資の予算についても明確にしておくことをおすすめしたい。
これは投資の目的と貯めたい金額との兼ね合いもあるが、投資予算300万円で10年後に資産を1億円にするのはほぼ不可能だろう。
上記は極端な例だが、生活を圧迫しない範囲で、短期的に目減りしても構わない金額はいくらであるかを冷静に判断する必要がある。
老後の資産形成に向けた投資の場合は長期戦だ。
20年近く続けることを前提に、投資し続けられる範囲を最初に明確にしておこう。
リスク許容度に合わせた投資手法や投資先の選択
目的と投資予算や余剰金を明確にしたら、リスク許容度に合わせて銘柄を選ぶことが大切である。
目的に対する手段が一致しなければ、資産形成は失敗に終わるだろう。
年齢が若いほどリスクは取りやすいが、不確実性の高過ぎる金融商品への投資は避けてほしい。
一般的に、債券のほうがリスクリターンは小さく、株式のほうがリスクリターンは大きい。
さまざまな金融商品の特性を踏まえて、目的に沿った銘柄を選定しよう。
長期・分散・積立投資をやるべき理由
投資において欠かせない考え方が、「長期・分散・積立」だ。
- 長期
- 10年・20年単位の長期戦で投資を捉えて、リターンを安定させる
- 分散
- 一つの銘柄ではなく、多くの資産アセットを保有してリスクを分散させる
- 積立
- コツコツ買い増しすることで、取得単価を平準化させる
新NISAの活用においても、この考え方が極めて重要である。
そして、投資の目的を踏まえても、将来のために資産形成をする人がほとんどだろう。
目先の利益にとらわれず、長期的に資産を増やす意識が重要なのだ。
投資の具体的な始め方
投資の具体的な始め方に関しては、証券会社で口座開設し、口座に入金して購入したい銘柄を選んで注文するだけだ。
SBI証券を例にとると、まずは、口座開設の申込みにあたってメールアドレスを登録し、氏名や住所などを入力する。
本人確認書類を提出して口座開設完了の通知を受けたら、画面の指示に従って初期設定を済ませよう。
口座開設できたら、即時入金やSBIハイブリッド預金、リアルタイム入金などの方法から、適宜の方法を選んで入金しよう。
入金が完了したらSBI証券にログインして、興味のある銘柄やランキング結果などから購入する商品を選択しよう。
あとは数量や金額を指定して注文すれば、購入完了だ。
いずれも体感的な操作でできるので、極度に心配する必要はないだろう。
投資をやるべきかで迷ったら誰に相談するべき?
投資について迷うことも多く、一人で判断するのが怖い場合もあるだろう。
そのような際は、専門家からアドバイスをもらうことをおすすめしたい。
ここでは、投資の相談を誰にすべきなのか、専門家の重要性について紹介しよう。
投資判断や資産管理における専門家の存在意義
投資においては、目的や投資予算の明確化、目的に合わせた投資手法や銘柄選定など、検討すべき事項が思いのほか多い。
これらをすべて一人で行うのは簡単ではないだろう。
そこで、金融のプロに依頼することで、上記についてヒアリングしながら、具体的な金融商品の提案まですべてサポートしてくれる。
自分なりのスタンスや考え方を持ったうえで、専門家にも頼ることで、より安心して投資に臨めるだろう。
専門家に相談するならIFAがおすすめ
金融のプロとしてイメージするのは、証券外務員が一般的かもしれない。
外務員の場合、証券会社に勤務しているため、提案できる商品は自社のものに限られる。
そのため、自分に100%マッチする商品であるかどうかは分からないのが実情だ。
また、人事異動により担当が異なると、コミュニケーションコストが追加でかかるのもネックである。
この点、独立系ファイナンシャルアドバイザーであるIFAなら、公平中立な立場から、ニーズにマッチした商品の提案を受けられるだろう。
加えて、IFAには異動がないため、生涯にわたって資産管理にまつわる相談ができる。
そのため、専門家に相談するならIFAがおすすめだ。
IFAを探すなら「わたしのIFA」
IFAをどのように探せばよいか分からない場合は、IFAのマッチングサービスである「わたしのIFA」がおすすめだ。
居住地や目的別でIFAを絞り込み検索でき、自分に合いそうなIFAを簡単に探せる。
無料で相談できるので、まずは話を聞いてもらい、的確なアドバイスや提案がもらえそうか確認することから始めてみるとよいだろう。
投資はリスクを管理しながらやるべき!
投資に対して消極的な人がいるかもしれないが、老後に対する備えや日本円の価値が弱くなっていること、ライフイベントに対する備えとして、投資はもはや必須と言える。
投資にはリスクもあるが、長期・分散・積立という原則に従って投資をすれば、かなりの確率で安定運用できる。
特に、20年以上先の老後に備えるのであれば、コツコツ淡々と積立投資するのが定石で、短期的な価格変動を気にする必要もないのだ。
投資は思ったよりも簡単にできるものの、不安が拭いきれない人もいるだろう。
そのような人は、専門家からアドバイスをもらいつつ、目的に合わせた投資手法を選ぶことをおすすめしたい。
「わたしのIFA」なら、公平中立な立場で、資産運用や管理に関するアドバイスを提供するIFAを簡単に見つけられる。
投資をやるべきか迷っている人は、まずはIFAに相談したうえで、どのような対策をとるべきか聞いてみるとよいだろう。