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【6734】株式会社ニューテック代表取締役社長 早川広幸氏「製品力向上と新たな市場攻略でオンプレミス市場でのニッチトップを目指す」

※本コラムは2023年6月26日に実施したIRインタビューをもとにしております。

株式会社ニューテックは、ストレージ専業メーカーとしてオンプレミス市場でニッチトップを目指しています。

代表取締役社長の早川広幸氏へ、事業戦略の変遷や今後の成長方針を教えていただきました。

目次

株式会社ニューテックを一言で言うと

「データで未来をつなぐ」ことをミッションに、ストレージ製品の開発から販売、保守までを一貫して自社でまかなうストレージ専業メーカーです。

確かな品質管理体制のもと独創的で価値があり、価格競争力のある製品を生み出すべく高度な技術と真っ直ぐな思いで製品開発に注力しております。

株式会社ニューテック 提供

代表就任の経緯

私は元々地方銀行で働いていたのですが、会計学を専攻していたこともありこの道に進みたいと考え、転職を決めました。

当社へは、その後の2001年に原価管理業務の担当として入社いたしました。2005年頃からは営業職に異動し、課長、部長、取締役と昇進し、2021年の5月に現職に就任しております。

当社は1982年に創業し、今年で42期目になります。設立当初はコンピューターの周辺機器の販売から始まりました。

当時はメモリースティックが主流でしたが、その後、外付けディスクの需要が増えるとともに当社も成長してきました。特に2000年前後にはデータストレージというキーワードが広まり始め、ストレージ業界は急速に発展していきました。

当社は2002年に上場しましたが、当時は原価管理業務の一環で海外からの仕入れ等を担当していたこともあり、特に粗利率という面で他社とは異なる業績の伸びを肌で感じていました。

営業職に転身してからもストレージ市場は好調でした。

しかし、かつてのパソコン市場が成長期から飽和期へと移ったように、2015年頃にかけてストレージ市場も徐々に成熟し価格競争の時代へと移っていきました。

そして、時を同じくしてクラウド化の進行もこの頃から始まっていきました。

このような環境変化の中、我々は「お客様第一」、「スピード重視」、「継続的挑戦」を大切にし、「データで未来をつなぐ」というミッションを軸に事業を展開しています。

事業内容について

創業時のパソコン関連製品や周辺機器の製造業、1990年以降のストレージやデータの蓄積・管理に特化した事業展開を経て、現在ではストレージの開発、製品販売、保守運用などを行う専業メーカーとして事業を展開しています。

事業環境としてはオンプレミスとクラウドの二極化が引き続き進行しており、相対的にはクラウドの成長率が高い状況です。

オンプレミスは自社でサーバーやストレージを管理する必要がある一方、クラウドはデータをクラウド上に置くだけで済むという利点があります。

ただ、オンプレミスとクラウドの違いは明確で、それぞれにニーズがあります。

業界関係者によると、オンプレミスの需要が完全になくなることはないと言われておりますし、事実、企業によってはクラウドからオンプレミスに戻るケースも見られます。

また、クラウドの世界では、大手のクラウド事業者が存在し、我々が直接競合することは難しいと認識しています。

このような環境下において、当社はオンプレミスに特化したストレージコントローラーを自社で開発し、オンプレミス市場でのニッチトップを極める戦略に注力しています。

ストレージの製品導入から保守までをトータルで提供し、多くのお客様から支持を受けています。

株式会社ニューテック 提供

一方、競合しながらもマーケットの変化を捉え、共存・協業することが重要であると考えております。

オンプレミスは初期投資こそ大きいですが、当社の基本保守契約期間である5年間というスパンで見るとトータルのコストはクラウドより安価に収まる場合が多いです。

これにはクラウドの従量課金制度やデータを取り出す際のコストが関係しており、やはり双方にメリット・デメリットが存在するのです。

そのため、オンプレミスとクラウドのハイブリッドな環境を適切に構築することが好ましいと考えており、具体的には我々のストレージからクラウドへのデータ移行ツールの開発などを通じクラウド事業者との協力も図っています。

株式会社ニューテック 提供

エンドユーザー向けから業界特化へ

当初、我々はIT業界のエンドユーザーに製品を納める割合が高かったのですが、足元ではこれが減少傾向にあります。

替わって、監視カメラ市場や医療分野、映像系のリッチコンテンツを持つアニメ制作会社や大学・研究機関、また、大手メーカーへのOEM供給など業界に特化したビジネスが増加しています。

大容量かつコストパフォーマンスの良い製品群を大学や研究機関、または医療や監視カメラ領域といった新たなマーケットに提供できているという点は、ぜひご注目いただきたいと思います。

中長期の成長イメージとそのための施策

繰り返しになりますが、市場全体ではオンプレミスとクラウドの二極化が進んでおり、どちらにも一長一短の部分があります。

成長戦略のポイントとして、先にあげた監視カメラ領域や医療分野、リッチコンテンツの部門などでニーズに応じた製品ラインナップの拡充、大口案件の獲得、さらにOEMの強化を重視していきます。

株式会社ニューテック 提供

監視カメラは東京オリンピックを契機に需要が拡大しました。

足元では落ち着きが見られるものの、10-20台など比較的コンパクトな台数のデータ保存先として、オンプレミス型の需要には底堅さがあります。

また、病院は患者様のデータを長期間保持し続ける必要があり、データの安全性を重視していることからクラウドへのデータ移行に抵抗感があり、オンプレミスのストレージが多く使用されています。

大学や研究機関においても、”テラバイト“やその上の” ペタバイト”と単位の膨大なデータ容量が求められるため、クラウドへの移行は難しいケースがあります。

これらの領域にはまだ開拓余地が残されていますし、それ以外にもまだ攻略するべき市場が残されています。

我々は、創業来のオンプレミスの強みを生かしこれらの分野に注力し、ニッチな領域でのリーダーシップを発揮し続けることを目指してまいります。

具体的な戦略ですが、その根幹には製品力の向上があります。

当社の健全な財務体質を活かし、試験開発費や研究開発費を積極的に投資することで市場ニーズを捉えた新製品をリリースしていきます。

また、製品開発だけではなく、付加価値サービスにも注力していきます。

すでに保守メンテナンスとして提供しているものもありますが、他社とのコラボレーションを通じたソフトウェアのマッチングアプライアンスなど、新たな価値を提供する取り組みも重要視しています。

特に医療分野では、ストレージだけでなくキッティングやサーバー構築、アプリケーション対応など、包括的なコーディネートが求められます。

このように各病院向けにカスタマイズされたソリューションを提供することで、案件の単価向上と収益の増大を両面から追求していきます。

さらなる持続成長へ向けて

投資家の皆様には、改めて当社の製品開発力にご注目いただきたいと思います。

当社が2018年にリリースしたGPU搭載の”Cloudy -DPシリーズ”は世界水準の製品として市場で存在感を示してきました。

また、我々は事業年度計画を確実に達成することに重点を置いており、その成長率は年間3-5%と決して高いものではありませんが、堅実な成長を維持してきました。

さらなる企業価値の向上には、技術力を高めつつ従業員数を増やし新しい市場を開拓する必要があると考えています。

そのため、今期より中期経営計画の策定を進め、IR活動を通じて株主の皆様との関係も強化してまいりたいと思っております。

投資家の皆様へメッセージ

当社は一時的や急激な成長ではなく、着実に事業価値や会社価値を成長させることを目指しています。

また、事業環境としても成長の余地はまだ充分に残されており、この成長を捉える戦略の効果が足元で現れています。

次なるブレークスルーを目指し、企業価値を向上させていくことを重視していきますので、投資家の皆様におかれましても、我々が成長していく姿を共有していただければ幸いです。

株式会社ニューテック

本社所在地:東京都港区浜松町2丁目7-19 KDX浜松町ビル

設立:1982年3月

資本金:4億9,631万円(2023年7月アクセス時)

上場市場:東証スタンダード (2002年7月14日上場)

証券コード:6734

※本コラムは情報提供を目的としたものであり、個別銘柄の推奨や、金融商品の紹介、周旋を行うものではございません。

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執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。投資家とIFA(資産アドバイザー)とのマッチングサイト「わたしのIFA」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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